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三十四章:モデル研修と身体のざわめき
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合宿初日、新商品企画部の面々は、自然豊かな郊外の研修施設に到着した。
青空の下、涼やかな風が吹き抜けるが、陸と優斗はすでに汗ばむような緊張感を抱えていた。
昼間の打ち合わせは、社の新作ランジェリー企画の試着・実演を兼ねた研修であり、陸と優斗はそのモデル役として名指しされていた。
理由は単純だ——ふたりの体格が、今回のサンプルサイズにもっとも近かったのだ。
試着室の中、陸は手渡されたコルセットに目を奪われた。
それはパールグレーに黒のレースが繊細にあしらわれた、ウエストラインを極端に絞るハードタイプのコルセット。
「これは……本当に、着るんですね……」
陸が小さく呟くと、市川が笑いながら後ろから背中に手を添えた。
「当たり前でしょ。モデルなんだから。それに、陸はこれ、好きなんじゃない?」
市川と沙織の手で背中の紐がゆっくりと締め上げられていく。
コルセットが身体に食い込む感覚、肋骨に沿って押し寄せる圧迫感、それがなぜか心地よくて、陸は目を細めた。
「背筋、自然と伸びてきたわね。ヒップもきれいに出てる」
沙織が感嘆したように囁き、ヒップラインを撫でる。
その指先の感触に陸の身体はびくりと反応した。
「ん……っ」
唇を噛みしめて耐えるが、下腹部に熱が集まり、どうしようもなく意識してしまう。
続いてボンデージ風のランジェリーを合わせる。
肩からクロスに巻かれるレザー調のストラップ、胸元を軽く持ち上げるパッド、そしてタイトなペンシルスカート。
足元は、普段なら選ばないようなピンヒール。7cmの高さが腰の動きに自然と女性らしい揺れを与え、身体全体が異なる存在になったような錯覚すら覚える。
優斗の方も、淡いラベンダー色のベビードールを着用していた。
軽やかなシフォン素材がふわりと揺れ、胸元は控えめに透けている。
その下には、スカラップレースのブラと、同じく透け感のあるボーイレングスショーツ。
「わ……これ、ちょっと……」
優斗が鏡を見て顔を赤らめる。
打ち合わせの場に出ると、女性社員たちが興味津々にふたりを囲んだ。
「このライン、すごく理想的」
「背中、もう少し伸ばして……うん、いい感じ」
陸のウエストに手を添え、布の食い込みを確かめるように触れてくる手。
ヒップのカーブに指を這わせてくる社員のひとりに、陸は耐えきれず小さく息を呑んだ。
「す、すみません……ちょっと」
「ちょっとコレ、気持ちいいでしょ?」
市川が背中越しに囁きながら、わざとらしくウエストの紐をさらにきゅっと絞る。
「あ……っ」
陸は声を漏らしてしまい、思わず俯いた。
その顔を見た優斗もまた、鼓動を早めていた。
「ゆうちゃん、顔赤いよ?」
沙織がからかうように言いながら、そっとベビードールの裾を直す。
「だって……その、ちょっと……変な感じで……」
笑い混じりの空気の中で、しかしふたりは自分の身体の内側で確かに変化している何かを感じていた。
単なる羞恥ではない、喜びと快感。
身体を見られること、触れられること。
そして、自分が“女性”としてそこに立っていること。
自分のなかに芽生え始めた“心地よさ”を、どう扱っていいかまだわからないまま、ふたりは視線を何度も交わし、そらしながらその研修の時間を乗り切っていった。
青空の下、涼やかな風が吹き抜けるが、陸と優斗はすでに汗ばむような緊張感を抱えていた。
昼間の打ち合わせは、社の新作ランジェリー企画の試着・実演を兼ねた研修であり、陸と優斗はそのモデル役として名指しされていた。
理由は単純だ——ふたりの体格が、今回のサンプルサイズにもっとも近かったのだ。
試着室の中、陸は手渡されたコルセットに目を奪われた。
それはパールグレーに黒のレースが繊細にあしらわれた、ウエストラインを極端に絞るハードタイプのコルセット。
「これは……本当に、着るんですね……」
陸が小さく呟くと、市川が笑いながら後ろから背中に手を添えた。
「当たり前でしょ。モデルなんだから。それに、陸はこれ、好きなんじゃない?」
市川と沙織の手で背中の紐がゆっくりと締め上げられていく。
コルセットが身体に食い込む感覚、肋骨に沿って押し寄せる圧迫感、それがなぜか心地よくて、陸は目を細めた。
「背筋、自然と伸びてきたわね。ヒップもきれいに出てる」
沙織が感嘆したように囁き、ヒップラインを撫でる。
その指先の感触に陸の身体はびくりと反応した。
「ん……っ」
唇を噛みしめて耐えるが、下腹部に熱が集まり、どうしようもなく意識してしまう。
続いてボンデージ風のランジェリーを合わせる。
肩からクロスに巻かれるレザー調のストラップ、胸元を軽く持ち上げるパッド、そしてタイトなペンシルスカート。
足元は、普段なら選ばないようなピンヒール。7cmの高さが腰の動きに自然と女性らしい揺れを与え、身体全体が異なる存在になったような錯覚すら覚える。
優斗の方も、淡いラベンダー色のベビードールを着用していた。
軽やかなシフォン素材がふわりと揺れ、胸元は控えめに透けている。
その下には、スカラップレースのブラと、同じく透け感のあるボーイレングスショーツ。
「わ……これ、ちょっと……」
優斗が鏡を見て顔を赤らめる。
打ち合わせの場に出ると、女性社員たちが興味津々にふたりを囲んだ。
「このライン、すごく理想的」
「背中、もう少し伸ばして……うん、いい感じ」
陸のウエストに手を添え、布の食い込みを確かめるように触れてくる手。
ヒップのカーブに指を這わせてくる社員のひとりに、陸は耐えきれず小さく息を呑んだ。
「す、すみません……ちょっと」
「ちょっとコレ、気持ちいいでしょ?」
市川が背中越しに囁きながら、わざとらしくウエストの紐をさらにきゅっと絞る。
「あ……っ」
陸は声を漏らしてしまい、思わず俯いた。
その顔を見た優斗もまた、鼓動を早めていた。
「ゆうちゃん、顔赤いよ?」
沙織がからかうように言いながら、そっとベビードールの裾を直す。
「だって……その、ちょっと……変な感じで……」
笑い混じりの空気の中で、しかしふたりは自分の身体の内側で確かに変化している何かを感じていた。
単なる羞恥ではない、喜びと快感。
身体を見られること、触れられること。
そして、自分が“女性”としてそこに立っていること。
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