ランジェリー・コード

第三十九章 「秘密の鎖と支え合う心」

合宿から戻った翌日、オフィスの一角に設けられた控え室で、市川と沙織が陸と優斗を呼び寄せた。合宿中に何度も見せた二人の緊張した表情と、時折見え隠れした戸惑いを気遣ってのことだった。

「合宿中、二人とも本当にお疲れさま。あの状況で、身体の反応をどうにか抑えていたって聞いているわ」市川が優しく声をかける。

陸は恥ずかしそうに視線を伏せたまま答えた。「はい……正直、コルセットや衣装の締め付け感、みんなに触れられるのは、嬉しい反面、すごく敏感になってしまって……」

沙織は微笑みながら、「だから、あの特別な補助具を用意したのよね」と言って、デスクの上に置かれた小さなケースを開けた。

中には、細やかな縫製と曲線が施された装具が並んでいる。それはただの貞操具ではなかった。女性の身体のシルエットを美しく模した形状で、特に股間部分は柔軟なシリコン素材で作られ、着用者の体形にぴったりとフィット。下着のラインも自然に見えるよう、薄く滑らかな布で覆われていた。

「これは、二人の身体に合わせて完全オーダーメイドされたコルセット型の貞操具よ。身体のラインを損なわず、むしろ女性らしいヒップラインや股間の形状を強調してくれる設計になっているの。しかも、装着中は敏感な部分を守って、過剰な刺激を抑える役割もあるのよ。」

優斗は驚きつつも納得した表情で、「あの装具があったからこそ、身体が反応してしまいそうな時も集中できました。安心して仕事に臨めたんです。」

陸も小さく頷く。「そうですね。もしなかったら、あの合宿は耐えられなかったと思います……」

市川は少しからかうように微笑み、「私たち、単にサポートしているだけじゃないわよ。二人がもっと自分らしくいられるように、時に厳しく、時に優しく見守っているの。」

沙織は続けて、「それに、合宿中のお風呂の時間には外してもらったわ。あの時だけは、素の自分を大切にしてほしかったから。」

四人の間に、信頼と絆のようなものが静かに芽生えていた。陸は胸の内でこう感じていた。

『この秘密の鎖に守られながら、私は確かに新しい自分を見つけている。女性である自分を、そしてこの繋がりを、もっと大切にしていきたい。』

優斗もまた、自分の中の戸惑いと新たな自覚を抱えつつ、これからの道をゆっくり歩んでいく決意を固めていた。