ランジェリー・コード

なな

文字の大きさ
40 / 41

第三十八章:夕暮れの更衣室で

しおりを挟む
合宿最終日の夕刻。新商品企画部のメンバーたちがそれぞれ荷物をまとめ終わる中、陸と優斗は更衣室に向かった。二人は合宿中ずっと女装姿で過ごし、心と身体に刻まれた感覚がまだ消えずにいる。

陸は先にロッカーの前に立ち、ゆっくりとタイトなロングスカートのジッパーを下ろした。生地の伸縮が心地よく、身体の曲線を包み込んでいたそのスカートを脱ぎながら、ふと鏡に映る自分の姿に見惚れる。ラインがくっきりと浮かび上がったそのシルエットは、まるで自分が理想としてきた女性像そのものだった。

「やっぱり、このスカート……好きだなあ」

つぶやく声に、自分でも驚いた。

隣で優斗は黒のレディーススーツを着ていた。合宿中のモデル役としてきちんとした装いが求められ、彼はシャープなジャケットのボタンを外しながら、「やっぱり、こういうスーツは背筋が伸びるな」と感慨深げに言った。身体にぴったり合ったスーツは、彼の端正な顔立ちと細身の体格をより一層際立たせていた。

「今日はこれで帰るのか?」

優斗がこちらを振り返ると、陸は恥ずかしそうにうなずいた。

「うん、もう少しだけ……このままでいたいんだ」

陸は新調したトップスに袖を通しながら、コルセットの締め付けを感じた。胸元からウエストにかけてのラインがしっかり整えられていて、女性らしさが自分の中に宿るようだった。靴は先日沙織に勧められて試したヒールの高いパンプスを履き、その高さと締め付けに少し興奮を覚える。

優斗も、彼なりに女性らしい服装にこだわり、細身のパンツスーツにきっちりとパンプスを合わせている。彼の目には、隣の陸も自分も、それぞれが女性として輝いて見えていた。

二人は並んで更衣室を出ると、合宿所の玄関を静かに歩き出した。夕暮れの空に染まる町並みを背に、女性としての自分を受け入れたばかりの二人は、どこか誇らしげに歩いていた。

「今日は長かったけど、いい経験だったね」

優斗が声をかける。

「はい……また、明日からも頑張りたいです」

陸は微笑みながら答えた。

夜の街に溶け込むように、二人の足取りは軽やかだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

入れ替わり夫婦

廣瀬純七
ファンタジー
モニターで送られてきた性別交換クリームで入れ替わった新婚夫婦の話

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

小学生をもう一度

廣瀬純七
青春
大学生の松岡翔太が小学生の女の子の松岡翔子になって二度目の人生を始める話

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

BODY SWAP

廣瀬純七
大衆娯楽
ある日突然に体が入れ替わった純と拓也の話

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

処理中です...