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第6部:彼女たちの秘密の装い
第8話:鍵を預けて、歩く夜 ― “脱げない構造”が、わたしの姿勢を正す ―
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試着室のカーテンが閉まると、
世界がひとつだけ狭くなった気がした。
薄い照明。柔らかな鏡。
そして、手にしたのは――**“それ”**だった。
インビジブル・ハーネスリング(鍵付き)
黒のレースに、細く編まれたストラップ。
見た目にはフェミニンで軽やか。
けれど、構造は徹底的に**「締めるためだけ」に存在していた。**
「……着けるね」
真帆がそっと言って、背中側のベルトを持ち上げる。
脚を通し、太ももの付け根で柔らかくホールドされたあと、
ウエスト部分のストラップがきゅっと引き締まる。
「ちょっと苦しい?」
「……ううん、むしろ落ち着く」
でもその感覚は、“下着”というより
“装備”に近かった。
最後に、真帆がポケットから小さな鍵を取り出す。
背面の中央。
見えない位置にあるバックルの鍵穴にそっと差し込む。
「……じゃあ、閉じるね」
カチリ――
微かな音が、身体の内側に響いた。
その瞬間、“わたしの下半身”は、もう自分では外せなくなった。
「ね、歩けそう?」
「うん……でも、なんか……太ももが引っ張られる」
「それがいいの。歩幅、自然に小さくなるでしょ?」
真帆の声はどこか愉しげだった。
コートを羽織り、ふたりは街に出た。
外からは、誰にもわからない。
でも、歩くたびに感じる――
腰にくい込むストラップの存在。
太ももの内側、レースが擦れる音。
そして、背中の“鍵”の重さ。
私はいま、“自分の意思で外せないもの”を身につけて、
人前に出ている。
渋谷の人混み。
信号を渡るとき、足を大きく開けないことが妙に意識されて、
逆に“自分が整えられている”実感が生まれる。
(誰にも見えない。
でも、わたしの中だけに“支配”が存在してる)
レストランに入って席に着いたとき、
腰を下ろすと同時に――
背中のストラップが椅子の背に軽く押され、
下腹部の金具が服越しに“当たった”。
「……!」
真帆が小さく笑う。
「そこ、気になる?」
「うん……
でも、それが安心でもある。
今、私は“誰かに預けられてる”って、ちゃんと感じられるから」
デザートを前にして、
ふたりの視線が交わる。
「このまま、今日帰っても……脱がないでいていい?」
「いいよ。鍵はわたしが預かってるし……
脱がないで過ごす夜って、気持ちが整う気がする」
“誰にも気づかれない束縛”は、
ふたりの信頼と秘密の象徴になっていた。
そして今、私の姿勢と振る舞いは――
“誰かに締められていること”によって、形作られている。
世界がひとつだけ狭くなった気がした。
薄い照明。柔らかな鏡。
そして、手にしたのは――**“それ”**だった。
インビジブル・ハーネスリング(鍵付き)
黒のレースに、細く編まれたストラップ。
見た目にはフェミニンで軽やか。
けれど、構造は徹底的に**「締めるためだけ」に存在していた。**
「……着けるね」
真帆がそっと言って、背中側のベルトを持ち上げる。
脚を通し、太ももの付け根で柔らかくホールドされたあと、
ウエスト部分のストラップがきゅっと引き締まる。
「ちょっと苦しい?」
「……ううん、むしろ落ち着く」
でもその感覚は、“下着”というより
“装備”に近かった。
最後に、真帆がポケットから小さな鍵を取り出す。
背面の中央。
見えない位置にあるバックルの鍵穴にそっと差し込む。
「……じゃあ、閉じるね」
カチリ――
微かな音が、身体の内側に響いた。
その瞬間、“わたしの下半身”は、もう自分では外せなくなった。
「ね、歩けそう?」
「うん……でも、なんか……太ももが引っ張られる」
「それがいいの。歩幅、自然に小さくなるでしょ?」
真帆の声はどこか愉しげだった。
コートを羽織り、ふたりは街に出た。
外からは、誰にもわからない。
でも、歩くたびに感じる――
腰にくい込むストラップの存在。
太ももの内側、レースが擦れる音。
そして、背中の“鍵”の重さ。
私はいま、“自分の意思で外せないもの”を身につけて、
人前に出ている。
渋谷の人混み。
信号を渡るとき、足を大きく開けないことが妙に意識されて、
逆に“自分が整えられている”実感が生まれる。
(誰にも見えない。
でも、わたしの中だけに“支配”が存在してる)
レストランに入って席に着いたとき、
腰を下ろすと同時に――
背中のストラップが椅子の背に軽く押され、
下腹部の金具が服越しに“当たった”。
「……!」
真帆が小さく笑う。
「そこ、気になる?」
「うん……
でも、それが安心でもある。
今、私は“誰かに預けられてる”って、ちゃんと感じられるから」
デザートを前にして、
ふたりの視線が交わる。
「このまま、今日帰っても……脱がないでいていい?」
「いいよ。鍵はわたしが預かってるし……
脱がないで過ごす夜って、気持ちが整う気がする」
“誰にも気づかれない束縛”は、
ふたりの信頼と秘密の象徴になっていた。
そして今、私の姿勢と振る舞いは――
“誰かに締められていること”によって、形作られている。
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