受付バイトは女装が必須?

なな

文字の大きさ
156 / 206
第12部:告げられる好意、支配のなかの日常

第一章:鍵はもう預けてある

しおりを挟む
「……ここ、開けてもらってもいいですか?」

その一言が、今の柊にはすべてだった。

自分で開けられない。
だからこそ、お願いする。
鍵は──すでに、彼の手の中にある。

ベッドの隅で、うつむいたまま膝を抱える柊に、
佑真はいつも通りの静かな声で応えた。

「本当に、開けてほしいの?」

「……はい」

「なんで?」

「……疼いてしまって、だめなんです……。
 ……自分で触れないようにしてるのに、頭のなかがずっと……」

視線は床のまま。
けれど、身体の奥は、コルセットの下の装備ごと微かに震えていた。

「ねぇ、柊」

「……はい」

「鍵、僕に渡したとき──怖かった?」

柊は、小さく息を呑んだ。

「あのとき……こわかったけど、それよりも……嬉しかったです。
 ……預けることで、“見られること”も“許されること”も、はじめて安心できたから」

佑真はベッドの端に座り、柊の頭に手を置いた。

「鍵を渡すって、つまり“自分の疼きを、誰かに管理してもらう”ってことだよね」

「……はい」

「じゃあ……今夜は、外さないよ」

「っ……え……」

「君が自分から“どうにかして”って言えるようになるまで、僕は開けない」

「……ひどい……っ、けど……」

その言葉だけで、柊の下腹がまた疼いた。

貞操具の中。動かせないそこに、圧倒的な存在感。
それは自分のものではなく、もう“彼のもの”になっている。

「でも……安心しました。鍵が、ちゃんとここにあるって思うだけで……」

柊はそっと、自分の太ももを押さえた。

ショーツの奥で固く閉じられたリングの、その外側。
汗と、わずかな疼きと、誰にも見せられない“期待”。

「じゃあ……せめて、見せてくれる?」

「……はい」

その言葉を合図に、柊は制服のシャツを外し始めた。
コルセットの編み上げ、レースのブラ、薄く膨らんだヌーブラ。

「ねぇ、柊」

「……はい」

「ほんと、可愛いよ。……その身体、ずっと預かってたい」

柊の脚が、ピクリと跳ねた。

鍵はすでに渡してある。
でも──その意味は、まだ、少しずつ育っていく。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

OLサラリーマン

廣瀬純七
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

とある男の包〇治療体験記

moz34
エッセイ・ノンフィクション
手術の体験記

ナースコール

wawabubu
大衆娯楽
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?

九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。 で、パンツを持っていくのを忘れる。 というのはよくある笑い話。

処理中です...