受付バイトは女装が必須?

なな

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第18部:装われた日常、甘やかされる夜

第三章:美月、ヒトイヌでお留守番

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休日の朝。
美月は、自分の部屋のベッドで静かに目を覚ました。

予定は──何もない。
ただ、真帆に前夜、こうお願いしていた。

「明日……ひとりで、ヒトイヌ……してもいい?」

「もちろん。ちゃんと約束守れる?」

「うん。……待ってるから、“真帆が帰ってくる場所”として」



目覚めた美月は、バスルームでシャワーを浴びたあと、
下着の代わりに、**“あれ”**を取り出す。

専用ケースに大切にしまってある「ヒトイヌ」セット。
真帆と二人で買い、二人だけが知っているこの装備を──
今日は自分だけで身につける。

まず、幅広の首輪。
金属のDカンが正面に来るようにぴったりと締め、後ろでロックをかける。

「……ん……っ、やっぱり、これ……重い……でも、落ち着く……」

次に、肘を曲げた状態で固定するバンドを両腕に。
胸の前で軽く腕を重ね、マジックテープとバックルでしっかりと保持。

(手が、もう……使えない。……何もできない)

最後に、鏡の前にしゃがんで、
“尻尾”のついたプラグを、自分でそっとあてがう。

すでに潤滑は十分。
深く息を吐きながら、プラグを──

「ん、っ、ぁ、あぁ……んっ……」

沈み込む異物感とともに、
美月の奥がきゅっと収縮する。

それに合わせて、
「しっぽ」が背後にふわっと揺れた。

(……入った……。これで、ちゃんと“真帆のイヌ”)



四つん這いになってリビングを移動する。
膝に柔らかいサポーター、肘にはクッション。
移動のたび、しっぽが揺れ、
首輪の金具が小さく音を立てる。

「……はぁ……こんなの……誰にも見せられない……でも……」

(でも、見せなくても、“真帆の子”であることは、
 ちゃんと、この身体が覚えてる)



昼食は、あらかじめ用意しておいたスープと小さなおにぎり。
腕が固定されたままでは食べられないので、
床に口を寄せて、一口ずつ。

(……惨めじゃない。むしろ、“与えられた役割”を果たしてる)

午後は音楽を流しながら、
ソファの横に置かれたクッションに頭をのせてうたた寝。

姿勢はそのまま。
でも、リードが少しだけソファの脚に結ばれていて、
それだけで美月の心は、完全に満たされていた。



夜、玄関の鍵が静かに回る。

「──ただいま」

その声に、寝ていた美月の耳がぴくりと動いた。

リビングに入ってきた真帆が、
四つん這いのまま近づいてきた美月を見て、
微笑んだ。

「……ちゃんと、待ってたんだね。……えらい子」

「……っ……わたし、今日……一度も外してない……誰にも見せてない……ずっと……」

「うん。偉かった。──じゃあ、“ごほうび”の時間にしようか」

真帆はリードを手に取り、
そっと、美月の首元を撫でた。

「でもその前に、言って。今日一日、あなたは誰の子だったの?」

「……真帆の、イヌ。……ずっと、真帆のイヌ……」



その夜、美月は、
“誰にも見られないまま仕込まれていた”一日を、
たっぷりと甘やかされながらほどかれていった。

(こんなに、幸せでいいのかな……)

誰にも知られなくてもいい。
でも、この身体は、確かに誰かに預けられていた。
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