会社員の女装と緊縛

なな

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第14章:女として、迫られる

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「陽菜ちゃん、今日は“ひとりで”行ってきてもらうよ」

鏡の前、陽菜はピンクベージュのニットと、細身のタイトスカートに身を包んでいた。
上品で、柔らかく、それでいて胸元とヒップラインを強調する女性の服。
下着はレースのセット——そして、脚には市川に巻かれた目立たない極細の縄がひそかに施されていた。

「山崎さん、ちょっと陽菜ちゃんのこと、気に入ったみたいでさ。……今日は、“あの人にどこまで触られるか”見せてほしいんだ」

「そ、そんな……無理です……っ」

「無理じゃない。だって君は、“女として扱われるのが嬉しい”子でしょ? じゃあ、それを確かめさせてあげなきゃ」

陽菜は、震える膝のまま一人でタクシーに乗り、カフェラウンジへと向かった。

山崎は、最初から“視線”が違っていた。
前回よりも大胆に、じっくりと陽菜の顔や胸元を見つめる。

「なんか、前より色っぽくなったね。服のセンスも変わったし。……今日、ちょっとだけ手、握ってもいい?」

(……断れない)

市川の言葉が、頭の奥でこだまする。「どこまで触られるか、見せてほしい」——

「……は、い……」

そっと、山崎の手が陽菜の手を包む。
男性の大きな手。体温の違い。陽菜の喉が詰まりそうになる。

「柔らかいなあ……ほんと、女の子の手みたい」

親指が手の甲を撫で、次第にその指は手首の内側、腕、そして肘へと昇っていく。
指先が触れるたび、縄の存在が内側でぴくりと意識される。自分が“女の格好をした男”だと、誰にも言えないまま触られているという背徳感。

「陽菜ちゃん、キス、したことある?」

「っ……!」

「大丈夫、変なことしないって。ただ……今日、ちょっとだけ……近くで見たくなった」

椅子の角度が変えられ、顔が近づく。
山崎の顔が、視界を埋めていく。吐息が肌にかかる。

(ダメ、ダメ……でも逃げられない……)

唇が触れる、ほんの寸前。

「——そこまで」

低い声が割って入った。
店の奥のソファに座っていた市川が、ゆっくりと立ち上がって歩み寄る。

「山崎、ありがとう。……やっぱり、陽菜ちゃんの顔は、私以外に触らせたくないんだよね」

市川が陽菜の手を取る。山崎は肩をすくめて笑った。

「おお、悪い悪い。俺、本気になりそうだったわ」

陽菜は椅子に沈むように座ったまま、何も言えなかった。
市川の手が、自分の腰に回る。帰り道、後部座席でそっと囁かれた。

「……あのままキスされてたら、陽菜ちゃん、どうなってたと思う?」

「……わ、わかんない……でも、怖かった……でも……すごく、熱くなってて……」

「そうだよね。触られて、見られて、感じて……君の体はもう、普通の男には戻れない」

陽菜は、自分の身体が“女として望まれることで、悦びを覚える”ようになってしまったことを、改めて思い知った。

その夜、市川は陽菜の唇をゆっくりと奪い、「キスは私のものだ」と教え込むように何度も唇を重ねた。

——陽菜の中の“女”は、またひとつ、確かに深まっていった。
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