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はじめ

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学園復帰

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 学園に復帰する日が決まった。一年近く休んでいたので普通であれば留年なのだが、光の勇者かもしれないという事と、なにより、アレクシスがゴネにゴネて、「絶対に同じクラスじゃなきゃ嫌だ」と言う経緯もあり、学力テストで全教科90点以上で昇級できる事になっていた。

 ディラン、ローズ、マークに復帰する事を伝える為に、四人お揃いで買った魔石に話しかける。

「みんな久しぶり、急なんだけど、一週間後に学園に復帰する事になったよ!また同じクラスだからよろしくね」

「えっ!!アデル??」
「まぁ、アデル、無事なの?声だけじゃ分かりませんわ」
「アデル!?心配してたぞ!兄さんは助けられたのか?」

 ディランは驚いて名前しか呼べてなかった。ローズもマークも驚きを隠せていない。

「へへっ、話したい事いっぱいあるから学校でたくさん話そう」

 心配してくれて嬉しくなり笑みが溢れる。友達ってやっぱりいいな!!そんな事を思っていると

「だったら、登校する時僕にエスコートさせてくれない?馬車の中で話聞かせてよ」

「なっ!ディランずるいですわ!わたくしも一緒に登校しますわ!!」

「お前達二人ともずりぃーぞ!俺だって一緒に行くからな!!」

 結局四人で登校することに決まった。

 登校日、ディランの家の大きな馬車が門の前に到着する。ディランが降りてきて、アデレイドをエスコートしてくれる。

「アデル、会いたかったよ。君が元気な姿が見れて心から嬉しいよ。さぁ、何があったか色々聞かせてくれる?」

 少し涙ぐんでいるディラン、優しく手を差し伸べてくる。その手を取り馬車に乗り込む。すると、すぐにローズに抱きしめられる。

「もぅ!!バカアデル!!わたくしがどれだけ心配したか知らないでしょう!!元気で良かったわ本当にっっ!本当にっ…………」

 ローズは嬉しさと、実際にアデレイドが生きているのを確認できて泣いていた。アデレイドはこんなに心配させていたのかと思い「ごめんねっ、ありがとう」とローズの涙を拭った。

「ローズがこうなるのも分かるぜ!あの連絡の後一回も連絡よこさないしよぉ!!俺ら本当にアデルの事心配してたんだぜ?一回くらい連絡してくれたってよかったんじゃねぇーか?」

 マークが不貞腐れてプイッと顔を横にそらす。

「ごめんね、あの時はお兄様の事しか考えられなくて、ずっとお兄様に向かって突っ走ってたから…………」

「べっ別に謝ってほしい訳じゃないって言うか、、あーもぅ悪かったよ!!俺も寂しかったんだアデルが居なくて、俺たちを置いて一人で無茶して、俺たちの事どーでもいいのかよって思って………だから…………だから!!俺の方が、ご、ごめん」

 真っ赤な顔で謝るマーク、こんなマーク見た事なかったからビックリした。

「みんなの事は頼りにしてるよ、ただ、今回は私と魔人との勝負だったんだ、だから何か困った事が起こったら今度は頼りにさせてね」

「「「当たり前だ」さ」よ」

 三人とも息ぴったりである。その後は馬車の中でこれまであった事を順番に話した。みんな興味津々で色々聞いてくれて、話しがいがあった。ついついまた調子に乗って話してしまった。

「結局お兄さんとは一緒に帰って来れなかったんだね、でもアデルの家族はみんな本当に強いね、絆が強いと言うか……羨ましい、僕の家とは全然違うよ…………でも本当にアデルが無事で帰って来れて良かった」

「本当にそうね、アデルのお宅はとっても暖かいわ、だから今のアデルがあるのかもしれないわね、自由というか無謀というか、ふふっ」

「笑い事じゃねぇーよ、無謀すぎるだろ!!二人ともよく笑って聞いてられるな!!だって兄貴だけ救うはずなのに獣人の人攫いにも首突っ込んだって……危なすぎるだろ!!人魚にしてもそうだろ、百人以上の人魚と戦えるなんて!!どー考えても危ねぇしこのバカ!!!元気で帰ってきてくれて本当に良かったよ!!もう一回言うぞ、バカこのバーーカ!!」

 マークが最後は笑いながらアデレイドの頭をクシャクシャと撫でた。気を許したこの仲間だから許されるこの空間が懐かしくて帰ってきたんだなぁと思いホッとした。

 学園に着き、ディランのエスコートで馬車から降りるとシーーーンッと一瞬の沈黙の後、一気にザワザワとし始めた。

「ひ、光の勇者様だぁーー、あんなに可愛いなんて………ぼ、僕のお嫁さんに……」
「あの時、私達を助けてくれたのはテイラー様よ、女神、いや、救世主様よ」
「あの立ち姿、凛としてて美しいわ、さすが勇者様」

 学園ではすっかり勇者という噂が真実味を帯びていた。確かに、あれだけ光魔法で魔人を倒したらそうなるのかもしれない……

 アデレイドを囲むようにできていた人だかりが突如道を開けた。その元凶は一つしかない。

「僕のアデレイド、おはよう、今日登校すると聞いて待っていたよ。教室までエスコートさせてくれるかい?」

 ゾワゾワゾワ

 そう、アレクシス王子が来たのでみんな道を開けたのである。アデレイドは嫌な顔をしそうになるのをグッと堪えて、王子の手を取った。流石にここで断る勇気は持ち合わせていなかった。

 しかし、その姿を一人寂しく見つめるローズの姿を誰も見ていなかった。

 登校初日からずっと視線に晒され続けたアデレイド、下駄箱や机の中にはパンパンに手紙が詰まっていて、中を少し見てみると、ファンレターであった。みんなお伽話の勇者が好きなのかもしれないと思ったが、子孫を増やしまくってたあの勇者と同じにされるのは嫌だなぁと思った。

「ねぇ……私嫌われてた時の方が楽だったとかないかな?」

 好奇の目に晒されて、げっそりとしたアデレイドがみんなに問いかける。するとディランが

「ふふっ、僕はアデルの悪口聞くよりはこっちの方が全然良いけどね」

 ローズとマークもうんうんと頷いている。当事者でなければこの辛さは分からないらしい……

(これじゃぁ、ニヤニヤしたり変な事できないじゃない…………まぁ、変な事はしないけどね、別に!!)

 はぁ、とため息をつき頭を抱えていると。

「アデレイド、次は移動教室だよ!さぁ、みんなも一緒でいいから行こう」

 王子がにこやかにやってきてアデレイドに手を差し出す。だが、今回は断ろうと手を取らず自分で席を立つ。

「行きましょう」

 手を取らなかった事に何か言われる前に「行こう」と促し率先して先頭を歩き出したアデレイド。しかし王子はそんな姿でさえ恥ずかしがっていると勘違いして余計に思いを募らせるのであった。

 廊下をみんなで移動していると、中庭のベンチで一人で下を向いて座っている薄ピンク色の癖毛の男の子が座っていた。

(あれ?あの座ってる人ってアーロン先輩じゃない?)

「みんな、ちょっとごめん行ってくる」

 そう言って駆け足で先輩の元へ急ぐ。明らかに暗く普通の人だったら話しかけないであろう雰囲気が漂っている。

「はぁ、はぁ、アーロン先輩!!お久しぶりです!!アデレイドです!ここで何してるんですか?」

 少し息を切らしながら先輩に問いかける。すると、先輩は弾かれたようにパッと顔を上げて泣き笑いのような顔でアデレイドを見た。

「アデレイド嬢、学園復帰おめでとう。僕は…………いや、、何でもないよ、ただここに座っていただけさ、、」

 明らかに嘘である。アデレイドに心配させまいと泣きそうな顔を無理矢理笑顔で誤魔化しているのがバレバレだった。

「先輩!何に悩んでいるのか教えてください!!どこのどいつが先輩を苦しめてるんですか?私は許せません!!こんなに優しい先輩をこんなに追い詰めるくらいの事をするなんて!!!私が懲らしめますから!!!」

 そう言って先輩の手をぎゅっと握る興奮して顔の距離もめちゃくちゃ近い。まるでキスする5秒前だ

「「「「アデレイド!!??」」」」

 遠くからアデレイドと先輩の事を心配で見ていた四人がビックリして駆け寄ってきた。まるでキスするかのような距離だったからである。見ていた方も急な展開についていけなかったのである。

「アデレイドこんな中庭で何を始めるつもりなんだい?」

 王子が代表してアデレイドと先輩に声をかけた。しかし王子達のことがまるで見えてないかのように二人は見つめ合ったままだ……しかしすぐにその空気を破ったのは先輩だった。

 先輩の目からは大粒の涙が零れ落ちた。薄ピンクの瞳からポロポロ零れ落ちる涙。まるで宝石のようだった。

「アデレイド嬢、僕は…………ぼく……後輩にこんなカッコ悪いところ見せたくなかったな……はは……うぅっ…………アデレイド嬢………僕を軽蔑してくれても良い…………ごめん……お願い助けて…………」

 そう言うと頭を下げてぽたぽたととめどなく涙を流し続けた。可愛い先輩の涙はアデレイドに火をつけた。こんなに追い詰めた犯人を許せないと!!

「先輩の事軽蔑するなんてあるわけ無いじゃないですか!!助けます先輩の力になりたいです!どこの誰ですか?戦いましょう!!」

 すると先輩はウサギのような瞳でアデレイドを見て

「人じゃないんだ……魔物が…………僕の領地で暴れて後四日くらいで、全滅しそうだって父様が………ぼく……何もできなくて、こんな何もできない僕が後輩のアデレイド嬢に頼るなんて卑怯で軽蔑したよね?うっ……でも、国にお願いしてもダメだったんだ…………僕の領地が襲われてるって…………誰か……助けて欲しくて…………ぐっ……ふっ……ごめんこんな話…………」

(ちょっと待って、国にお願いしてもダメって何それ何それ!!この国の制度はどーなってるの?先輩がこんなに苦しんでるのに、信じられない!私が先輩を必ず助ける!!!)

「絶対に私が助けます!!それに先輩は卑怯者じゃありませんむしろ勇敢です!!やっぱり先輩は良い人です。私の大好きな先輩です!!」

 先輩の両手を更にしっかりと握り笑顔で答えた。

「と、言う事ですぐに行かなくちゃいけないから、先生達に伝言をお願いしても良いかな?迷惑かけるけど、ごめんねみんな」

 アデレイドはすぐにでも先輩の領地に駆けつける為に四人に伝言を頼もうとした。しかし、四人とも納得がいってない顔をしていた。

「僕も行きます!!今度は一人でなんて行かせませんから、しかも魔物なら僕だって倒して見せます」

わたくしだって行きますわ!!火の魔法で魔物を全滅させてやりますわ」

「俺も行くぜ!また置いてこうとしても今回は無理だからな」

 ディラン達は皆ついて行くと言う。確かに人数が多い方が早く魔物をやっつけられそうで良いのだが、とても危険である。

「危険だけど……本当に着いてきてくれるの?」

「「「当たり前だ」さ」わ」

「君たち!!僕の事を忘れてないかい?僕も着いて行くからね」

 王子もついてくるらしい…………

(人数多い方がいいから…………まぁいっか??………)

 先輩は泣き笑いの顔で「ありがとう」と言った。

(その笑顔尊いね……写真に撮りたい……)

 と不謹慎な事を思ったアデレイドであった。
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