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6章 吸血鬼と魔法使い
62.吸血王の実力
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前々から不思議に思っていたことがある。
アニメや漫画などで、主人公の敵役がやられそうになり、何で今まで出さなかったの?的な必殺技を繰り出すことがよくある。
あれっておかしくないか?
「雷撃!」
「ギョエエェエエ!!」
「絶対零度!」
「ギョェエ..........」
「灼熱焔陣!」
「ギョ.......」
そう。最初から必殺技を惜しみなく出せばいいと思うのだ。
「馬鹿か!」
ゴチン、と鈍い音がして俺の頭にたんこぶが一丁出来上がる。
「なんでゴブリンの群れ程度にそんな全力なんじゃ!馬鹿か!お主は馬鹿なのか!?」
「手っ取り早くないか?この方が」
俺が生き残りのゴブリンに向かって雷撃を放ちながら言うと、ハクリはため息をつく。
「もうわかったわ。作戦変更、できるだけ早く5層まで行く....でよいかの?」
わかってるじゃんかよ!と俺が親指を突き出すとハクリは再びため息をついた。
そんなことがありながらも今まで苦労のくの字も無かったのだから意外と行けるんじゃ....と俺が思い始めてきた時、エリアボス、別名守護者が出現した。
今までは階段を見つけて次の層へ、だったがボスを倒さないと次へは行けないらしい。
例でいうなればガーゲイルってところだ。
誰かから聞いた気がするボスはその層で出た魔物の集合体的な話を思い出し、そのボスを見ると確かにゴブリンに似ていた。
似ているといっても4m程度あるゴブリンなんて俺は知らないけど。
【よく来たな挑戦者よ。我は195階層の守護者、ゴブリンキング。先へ進みたければ我を倒せ】
どこか重苦しいナレーションが流れ、ゴブリンキングの周りから無数のゴブリンたちが湧き出てくる。
「チッ!面倒な。良いか?まず守護者を倒さんと周りはループ湧きじゃ!」
ループ湧き?どういう原理なんだそれ。
しかしあのゴブリンキング、「195層目」って言ったよな?確かガーゲイルが20層目の守護者だったから.....。こ、ここってエライ場所なんじゃ.....。ま、いっか。
「ハクリ!まず俺が一掃する!」
俺はハクリが頷くのを見て手をかざした。
「大いなる然の精霊よ、悠々たる自然の力を我が力に、全ての源泉となるその力で、すべてのものを従えつくせん、我が願いに応える気あらばその力を我が手に収めさせよ、大地よ、彼方を飲む尽くせん『大地の晩餐』!」
まだ俺が詠唱ありでしか扱えない然属性の極級魔法。名前はとてつもなく可笑しいが効果はエグい。
名前の通り、大地が食事をするのだ。
簡単に言えば、大地が対象のものを飲み込み、石の塊に封じ込める魔法、それが大地の晩餐だ。
これもハクリに教えてもらったもので、同時に「魔力消費の割にはショボい技」の烙印を押されている魔法でもある。
だがこの技俺は好きだ。なぜって?大地が飲み込む姿がカッコいいからさ。
そんな魔法の対象になったゴブリン達はまんまと地面に飲み込まれ、やがて地面から捻り出されて一つのボールが生成される。
あの中に飲み込まれたやつが入っている仕組みだ。
うむ。だがこの感じだと.....多分殺れてない。
それに同意するかのように生成されたボールに亀裂が入る。
まあ土で攻撃して窒息させるだけの魔法だからこんなものだろ。
ーーーならなぜ発動したのかって?
カッコいいからさ。
「む、お主殺りきれてないのか?」
俺はこくりと頷く。
するとハクリはニヤリと笑った。
「ならば妾がちとお手本を見せてやるかのぅ」
ハクリがそう言うと同時にまるでお膳立てされたかのようにゴブリンキングがボールを突き破り、こちらへ向かってくる。
「ふむ、大地の晩餐」
ハクリが手をかざすと地面から一つの波のようなものが突き出てゴブリンキングにぶつかる。
それが合図だったかのように次々と地面から波が出てきてはぶつかり....が起こり続け、ゴブリンキングはやがて土に覆われて動けなくなる。
そしてゴブリンキングの地面が揺らめいたかと思うとゴブリンキングを飲み込みながら塔のように捻り、突き出てきた。
捻られたゴブリンキングは体をバラバラにされ、土の塔にその体の各パーツが散らばるという無残な死に方で息途絶えた。
「す....すげえ.....」
なんというか....魅せる魔法だ。それでいて殺傷能力も十分。それをいとも簡単に無詠唱で行っているのだ。
これが格の違いというやつか。
それを聞いたハクリは不敵に笑って俺を指差す。
「ならばもっと妾を【ゴゴゴゴ......】
丁度先へと続く扉の開閉音がハクリの声と重なる。
「・・・ならば妾をうやま【ゴゴゴゴ......】
「敬うが【ゴゴゴゴ......】
「・・・・・」
俺がハクリを敬うのはもう少し先になりそうだ。
アニメや漫画などで、主人公の敵役がやられそうになり、何で今まで出さなかったの?的な必殺技を繰り出すことがよくある。
あれっておかしくないか?
「雷撃!」
「ギョエエェエエ!!」
「絶対零度!」
「ギョェエ..........」
「灼熱焔陣!」
「ギョ.......」
そう。最初から必殺技を惜しみなく出せばいいと思うのだ。
「馬鹿か!」
ゴチン、と鈍い音がして俺の頭にたんこぶが一丁出来上がる。
「なんでゴブリンの群れ程度にそんな全力なんじゃ!馬鹿か!お主は馬鹿なのか!?」
「手っ取り早くないか?この方が」
俺が生き残りのゴブリンに向かって雷撃を放ちながら言うと、ハクリはため息をつく。
「もうわかったわ。作戦変更、できるだけ早く5層まで行く....でよいかの?」
わかってるじゃんかよ!と俺が親指を突き出すとハクリは再びため息をついた。
そんなことがありながらも今まで苦労のくの字も無かったのだから意外と行けるんじゃ....と俺が思い始めてきた時、エリアボス、別名守護者が出現した。
今までは階段を見つけて次の層へ、だったがボスを倒さないと次へは行けないらしい。
例でいうなればガーゲイルってところだ。
誰かから聞いた気がするボスはその層で出た魔物の集合体的な話を思い出し、そのボスを見ると確かにゴブリンに似ていた。
似ているといっても4m程度あるゴブリンなんて俺は知らないけど。
【よく来たな挑戦者よ。我は195階層の守護者、ゴブリンキング。先へ進みたければ我を倒せ】
どこか重苦しいナレーションが流れ、ゴブリンキングの周りから無数のゴブリンたちが湧き出てくる。
「チッ!面倒な。良いか?まず守護者を倒さんと周りはループ湧きじゃ!」
ループ湧き?どういう原理なんだそれ。
しかしあのゴブリンキング、「195層目」って言ったよな?確かガーゲイルが20層目の守護者だったから.....。こ、ここってエライ場所なんじゃ.....。ま、いっか。
「ハクリ!まず俺が一掃する!」
俺はハクリが頷くのを見て手をかざした。
「大いなる然の精霊よ、悠々たる自然の力を我が力に、全ての源泉となるその力で、すべてのものを従えつくせん、我が願いに応える気あらばその力を我が手に収めさせよ、大地よ、彼方を飲む尽くせん『大地の晩餐』!」
まだ俺が詠唱ありでしか扱えない然属性の極級魔法。名前はとてつもなく可笑しいが効果はエグい。
名前の通り、大地が食事をするのだ。
簡単に言えば、大地が対象のものを飲み込み、石の塊に封じ込める魔法、それが大地の晩餐だ。
これもハクリに教えてもらったもので、同時に「魔力消費の割にはショボい技」の烙印を押されている魔法でもある。
だがこの技俺は好きだ。なぜって?大地が飲み込む姿がカッコいいからさ。
そんな魔法の対象になったゴブリン達はまんまと地面に飲み込まれ、やがて地面から捻り出されて一つのボールが生成される。
あの中に飲み込まれたやつが入っている仕組みだ。
うむ。だがこの感じだと.....多分殺れてない。
それに同意するかのように生成されたボールに亀裂が入る。
まあ土で攻撃して窒息させるだけの魔法だからこんなものだろ。
ーーーならなぜ発動したのかって?
カッコいいからさ。
「む、お主殺りきれてないのか?」
俺はこくりと頷く。
するとハクリはニヤリと笑った。
「ならば妾がちとお手本を見せてやるかのぅ」
ハクリがそう言うと同時にまるでお膳立てされたかのようにゴブリンキングがボールを突き破り、こちらへ向かってくる。
「ふむ、大地の晩餐」
ハクリが手をかざすと地面から一つの波のようなものが突き出てゴブリンキングにぶつかる。
それが合図だったかのように次々と地面から波が出てきてはぶつかり....が起こり続け、ゴブリンキングはやがて土に覆われて動けなくなる。
そしてゴブリンキングの地面が揺らめいたかと思うとゴブリンキングを飲み込みながら塔のように捻り、突き出てきた。
捻られたゴブリンキングは体をバラバラにされ、土の塔にその体の各パーツが散らばるという無残な死に方で息途絶えた。
「す....すげえ.....」
なんというか....魅せる魔法だ。それでいて殺傷能力も十分。それをいとも簡単に無詠唱で行っているのだ。
これが格の違いというやつか。
それを聞いたハクリは不敵に笑って俺を指差す。
「ならばもっと妾を【ゴゴゴゴ......】
丁度先へと続く扉の開閉音がハクリの声と重なる。
「・・・ならば妾をうやま【ゴゴゴゴ......】
「敬うが【ゴゴゴゴ......】
「・・・・・」
俺がハクリを敬うのはもう少し先になりそうだ。
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