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7章 エルフの里
73.エルフ
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一通りハクリの誤解をとき、謎の謝罪少女になんとか顔を上げさせると、あれだけ高く登っていたはずの太陽がもう沈みそうになっていた。
夕焼けに染まる茜色の空がめいめいの顔を照らす。
俺は改めて謝罪少女の姿を見た。
ボロボロですぐにも敗れてしまいそうな服装、それに傷だらけの肌。顔は愛嬌を感じさせ、何より特徴なのは鋭く尖った耳だ。
これは.....おそらくエルフというやつだろう。
この世界にもいたのが何とも嬉しい。
「今更ですけど自己紹介させてもらいます。すみませんっ!
私はカルナ・エルフィルと言います!一応エルフ族やってますすみません!」
いやだからなぜ謝る。
しかしそんな俺の疑問とは違う疑問を感じたようで、ハクリは日よけのマントを被りながら目を細めた。
「ふむ、だがなぜここに?エルフ族は高貴な者達。
本来は"王"の元、西の方で暮らしているはずじゃ」
その言葉に少女ビクリと体を震わした。
そしておずおずとハクリにあることを尋ねた。
「あ....の、もしかしてお名前にヴァンディルが入っておられて....?」
「いかにも。妾はハクリ・デル・ヴァンディルという」
「ヒィィイ!すみません!すみません!」
なぜか少女はまた土下座し始めた。いやもう何故か、でも何でもないな。これが"普通"だ。
しかしハクリの本名は初めて聞いたんだが。なんだ、ヴァンディル?それがなんなんだ?
「まさか本物の"王"とは.....。今までのご無礼お許しください!スミマセンっ!」
「・・・あれ、ハクリが王ってこと言ったっけな?」
「ん、いや言っておらん。
じゃが、王、もしくはその血筋の者にはある特定の名前がつくのじゃよ。妾の吸血鬼族の場合は「ヴァンディル」という名がの」
へぇ、なんかロイヤルファミリーみたくなってんだな。
「で、なぜエルフがここに?」
「.....追放されたんです」
少女は気まずそうに言った。見るからに落ち込んでいて、目は遠くを見ている。
「ご存知だとは思いますが私たちエルフ族は元々七人の王側に仕えていました」
「元々?」
「はい、それが突然私たちの"王"が魔神側につくと言い出しまして。当然猛反対が起きたんですが全て鎮圧....というか殺されて.....。」
そう語る少女の目には涙が溜まっている。
とても辛い思いをしたんだろう。
「そして反対した一族はことごとく追放されたんです....。私たちエルフ族はこの『シガラの森』へと....」
シガラの森。やっとここの地名がわかった。
まぁどこかわかんないんだけどね。
「それは何年前のことじゃ?」
「もう60年ほどになります」
60年も経つのか....。
・・・ん?あれ?
「えーっと、それを君は実体験したの?」
「え、はい。そうですがーー?」
なにを聞いているんだという風に少女はポカーンと俺を眺めた。
ハクリが今更気づいたのかとニヤニヤしてくる。
うん、今更気づいたよ。この子がロリババアってこと。
「ち、ちなみに今何歳?」
「ひゃ、123歳です....」
ひゃっ.....。
大お婆ちゃんだった。
あれ、てか待てよ。確かハクリは300歳はゆうに超えてるって言ってたな。
だから.....うぉっ!ここで歳が2桁なの俺だけじゃん!ってなんだ"2桁"って。どいつもこいつも爺ちゃん婆ちゃんじゃねえか!
「で、大お婆ちゃんはなんでここに?」
その瞬間、女性陣2人の猛烈な冷たい視線が俺を突き刺す。
「で、お姉さんはなんでここに?」
途端に緩くなった。
「最近盗賊がこの森を行き来してましてですね、それを捕まえようと私が囮になっていたのです、スミマセン」
うん囮?
なんだか知らないけど嫌な予感がするぞ。
「見つけたぞっ!!」
俺の予感は当たっていたようで、どこかからの声と同時に急に殺気が場を支配する。
どうやら囲まれたらしい。場には姿を見せず、少し弓の引く音もするし、定番の助けたら敵と間違えられる展開だこれ。
「お、お兄様!この人たちは敵ではありません!」
「カルナは黙っておけ!泣いているではないか!許すまじ盗賊め!八つ裂きにしてくれる!」
どうやらカルナズブラザーは勘違いしているらしい。
そしてエルフは高貴な種族ではなかった。
八つ裂きて。
「放て!!!」
止めておけばいいものの、森に潜むエルフらは弓を放った。
全方位から無数の矢が飛んでくる。
普通の盗賊だったら打つ手もなくハリネズミになることだろう。
だが残念ながら相手が悪い。
「硬石岩」
全方位同時に手頃な岩壁を生成。
それで矢を防ぐと同時に、力の差を見せるため魔力を放出する。
「.....なっ!!!」
強い魔力に当てられ、次々に倒れていく音が聞こえてくる。
やはり迷宮の魔物には遠く及ばないレベル。負けるはずがない。
実際、森に潜んでいる大方の者が倒れ、少女の兄弟とやらも苦しそうな息遣いをしている。
が、そんな中1人だけ魔力を気にも留めない者がいた。
「だからお兄様!この人たちは無害です!
私を助けてくれたのですよ!!??」
「・・・なにっ!?」
苦し紛れながらずっと殺気を放っていた兄者が殺気を放つのをやめた。
やる気のないやつにずっと魔力を当てていても仕方がない。俺も魔力を止める。
すると安堵の声が次々と聞こえてきた。
「本当か...?カルナ?」
「はい!本当です!」
その言葉にエルフらがざわざわと騒ぐ。
そんな中、森から1人の美男子がずいっと出てきた。
耳は鋭く、髪は長い。典型的なエルフだ。
「もしそうなら大恩を授かった者に義を返さなかったどころかとんだ失礼をしたことになる。
すまなかった!」
突如、そのイケメンは頭を下げた。
うむ、イケメンに頭を下げられるのは苦しゅうない。
「許そう、別に大したことじゃない」
俺が言うとイケメンは驚愕の表情を浮かべる。
「な、なんと大したことじゃない....!?」
あれ?まずった?
「な、なんと.....!
おいお前たち!この方々を村へ案内するのだ!早く!」
「「「「ハッ!!!」」」」
そこからは一瞬だった。
身の毛もよだつようなイケメン集団が来襲し、俺の手をさあさあと引きながら森の奥へ奥へと連れて行く。
道中、少女とそのお兄様が代わる代わる話しかけてきたりした。
なんだこの展開。
夕焼けに染まる茜色の空がめいめいの顔を照らす。
俺は改めて謝罪少女の姿を見た。
ボロボロですぐにも敗れてしまいそうな服装、それに傷だらけの肌。顔は愛嬌を感じさせ、何より特徴なのは鋭く尖った耳だ。
これは.....おそらくエルフというやつだろう。
この世界にもいたのが何とも嬉しい。
「今更ですけど自己紹介させてもらいます。すみませんっ!
私はカルナ・エルフィルと言います!一応エルフ族やってますすみません!」
いやだからなぜ謝る。
しかしそんな俺の疑問とは違う疑問を感じたようで、ハクリは日よけのマントを被りながら目を細めた。
「ふむ、だがなぜここに?エルフ族は高貴な者達。
本来は"王"の元、西の方で暮らしているはずじゃ」
その言葉に少女ビクリと体を震わした。
そしておずおずとハクリにあることを尋ねた。
「あ....の、もしかしてお名前にヴァンディルが入っておられて....?」
「いかにも。妾はハクリ・デル・ヴァンディルという」
「ヒィィイ!すみません!すみません!」
なぜか少女はまた土下座し始めた。いやもう何故か、でも何でもないな。これが"普通"だ。
しかしハクリの本名は初めて聞いたんだが。なんだ、ヴァンディル?それがなんなんだ?
「まさか本物の"王"とは.....。今までのご無礼お許しください!スミマセンっ!」
「・・・あれ、ハクリが王ってこと言ったっけな?」
「ん、いや言っておらん。
じゃが、王、もしくはその血筋の者にはある特定の名前がつくのじゃよ。妾の吸血鬼族の場合は「ヴァンディル」という名がの」
へぇ、なんかロイヤルファミリーみたくなってんだな。
「で、なぜエルフがここに?」
「.....追放されたんです」
少女は気まずそうに言った。見るからに落ち込んでいて、目は遠くを見ている。
「ご存知だとは思いますが私たちエルフ族は元々七人の王側に仕えていました」
「元々?」
「はい、それが突然私たちの"王"が魔神側につくと言い出しまして。当然猛反対が起きたんですが全て鎮圧....というか殺されて.....。」
そう語る少女の目には涙が溜まっている。
とても辛い思いをしたんだろう。
「そして反対した一族はことごとく追放されたんです....。私たちエルフ族はこの『シガラの森』へと....」
シガラの森。やっとここの地名がわかった。
まぁどこかわかんないんだけどね。
「それは何年前のことじゃ?」
「もう60年ほどになります」
60年も経つのか....。
・・・ん?あれ?
「えーっと、それを君は実体験したの?」
「え、はい。そうですがーー?」
なにを聞いているんだという風に少女はポカーンと俺を眺めた。
ハクリが今更気づいたのかとニヤニヤしてくる。
うん、今更気づいたよ。この子がロリババアってこと。
「ち、ちなみに今何歳?」
「ひゃ、123歳です....」
ひゃっ.....。
大お婆ちゃんだった。
あれ、てか待てよ。確かハクリは300歳はゆうに超えてるって言ってたな。
だから.....うぉっ!ここで歳が2桁なの俺だけじゃん!ってなんだ"2桁"って。どいつもこいつも爺ちゃん婆ちゃんじゃねえか!
「で、大お婆ちゃんはなんでここに?」
その瞬間、女性陣2人の猛烈な冷たい視線が俺を突き刺す。
「で、お姉さんはなんでここに?」
途端に緩くなった。
「最近盗賊がこの森を行き来してましてですね、それを捕まえようと私が囮になっていたのです、スミマセン」
うん囮?
なんだか知らないけど嫌な予感がするぞ。
「見つけたぞっ!!」
俺の予感は当たっていたようで、どこかからの声と同時に急に殺気が場を支配する。
どうやら囲まれたらしい。場には姿を見せず、少し弓の引く音もするし、定番の助けたら敵と間違えられる展開だこれ。
「お、お兄様!この人たちは敵ではありません!」
「カルナは黙っておけ!泣いているではないか!許すまじ盗賊め!八つ裂きにしてくれる!」
どうやらカルナズブラザーは勘違いしているらしい。
そしてエルフは高貴な種族ではなかった。
八つ裂きて。
「放て!!!」
止めておけばいいものの、森に潜むエルフらは弓を放った。
全方位から無数の矢が飛んでくる。
普通の盗賊だったら打つ手もなくハリネズミになることだろう。
だが残念ながら相手が悪い。
「硬石岩」
全方位同時に手頃な岩壁を生成。
それで矢を防ぐと同時に、力の差を見せるため魔力を放出する。
「.....なっ!!!」
強い魔力に当てられ、次々に倒れていく音が聞こえてくる。
やはり迷宮の魔物には遠く及ばないレベル。負けるはずがない。
実際、森に潜んでいる大方の者が倒れ、少女の兄弟とやらも苦しそうな息遣いをしている。
が、そんな中1人だけ魔力を気にも留めない者がいた。
「だからお兄様!この人たちは無害です!
私を助けてくれたのですよ!!??」
「・・・なにっ!?」
苦し紛れながらずっと殺気を放っていた兄者が殺気を放つのをやめた。
やる気のないやつにずっと魔力を当てていても仕方がない。俺も魔力を止める。
すると安堵の声が次々と聞こえてきた。
「本当か...?カルナ?」
「はい!本当です!」
その言葉にエルフらがざわざわと騒ぐ。
そんな中、森から1人の美男子がずいっと出てきた。
耳は鋭く、髪は長い。典型的なエルフだ。
「もしそうなら大恩を授かった者に義を返さなかったどころかとんだ失礼をしたことになる。
すまなかった!」
突如、そのイケメンは頭を下げた。
うむ、イケメンに頭を下げられるのは苦しゅうない。
「許そう、別に大したことじゃない」
俺が言うとイケメンは驚愕の表情を浮かべる。
「な、なんと大したことじゃない....!?」
あれ?まずった?
「な、なんと.....!
おいお前たち!この方々を村へ案内するのだ!早く!」
「「「「ハッ!!!」」」」
そこからは一瞬だった。
身の毛もよだつようなイケメン集団が来襲し、俺の手をさあさあと引きながら森の奥へ奥へと連れて行く。
道中、少女とそのお兄様が代わる代わる話しかけてきたりした。
なんだこの展開。
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