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6章 吸血鬼と魔法使い
70ー3.失われた魔法
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ゴウゴウと吹き荒れる風がピタリと止み、辺りを言い知れぬ静寂が支配していた。
そこには先までの殺気は無く、命の鼓動を燃やす2人の姿だけがある。
ーーー終わった。やっと終わった。
守護者は影も形も無くなり、洞窟の先へと続くドアが開いたところだ。
前までは扉が開くたびに、まだあるのかよ.....と落胆しただろうが、今では何故か分からないが、もう終わりだという不思議な思いがあった。
・・・しかしこれで続いてたらダサいな俺。
「・・・終わった、な」
「・・・終わった、のぅ」
それをキリに俺とハクリが喋ることはない。2人とも黙って先へと続くドアへと向かう。
そのドアをくぐると、一つの小部屋があった。
真ん中には魔法陣が輝き、奥には恐らく数百年前のであろう、古式の机。その上には一つの光り輝く宝石があった。
「・・なんだこれ」
取り敢えず危なそうな魔法陣を避け、先に机の宝石をチェックした。
宝石は指輪風になっており、指にはめられるようになっていた。
宝石は色や形的にエメラルドだろうか。深い緑色の、綺麗な形をしている。地球でよく見た正何面体~のようにはなっておらず、自然の形そのままだがとても綺麗だ。
思わずそれに触りかけーーー手を引っ込める。
だって触った途端警報がなって、奥から「ルパーン!逮捕だー!」とか聞こえてきたら嫌じゃん。
そんな時、やっとのことで沈黙が破られた。
「取り敢えず魔法陣に入らんか?さっきから早よ入れとばかりに輝いてるしのぅ」
ハクリは鬱陶しそうに眩しい魔法陣から目を背ける。
魔法陣さん、ドンマイ。
「あぁ、そうだな」
別々に入って、気づいたら別々のところに転移して再び迷宮攻略レッツラゴー!とか死んでも嫌なので一緒に入ることにする。
俺とハクリは同時に足を踏み出したーーー
途端、あたりが光に包まれ、意識が吸い込まれる感覚がした。
壮絶な眠気が俺を襲い、俺はゆっくりと目を閉じた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「何をしているのですかブラッド!歯向かう七人の王は我々で片付けたはずでしょう!」
目を開けると、美しい女性が、黒いフードを被った男を驚いたように見つめていた。
場所はどこかの城のようだ。周りには一緒に入ったはずのハクリが見えない。
これはーーーいったいどういうこと?
「何を、とは愚問だなパール。2度と歯向かうものがないように痛めつけているのだよ」
フードの男が振り返る。
ちょうど影になって顔は見えなかった。
しかし、実際その男がしていることは悲惨だ。何人もの種族の者が、恐らく男が操作していると思われる槌槍に串刺しにされている。
・・・とてもグロい。
「なっ!歯向かったのは王だけです!他の者は関係ありません!」
どうやら"七人の王"が関係しているらしい。
そいつらを処罰し、他の者、即ち部族民などの待遇を巡って意見が食い違っているのだろう。
しかしなんでこれ見せられてるんだ?
「関係ない?甘いなパールよ。我々はこの世界の支配者、我々が力を得るためには信仰心が大事なのだ!
それを邪魔する者を処罰して何が悪い?実際、お前も力が無くなっているではないか」
そう言われてパールと呼ばれる女性がたじろぐ。本当のことらしい。
しかし全くどうでもいい話だ。
「しかし、関係ない者をいたぶるのは道義に反します。信仰心がないのなら我々が働きかければいいではないですか。
七人の王に対してもあそこまでしなくても....」
女性が目を伏せる。
相当ひどいことがあったようだ。
今までの話的に、男は暴力派、女性は温厚派、的な感じだ。
てかこれほんとなに?
「ふっふ.....パールよ。お前は優しいな。そしてダメになる女神の典型的な性格をしている。
いいか?我々神が生きるには信仰心が必要だ。しかしこの世界からはそれを得られない。
ならばどうする?ーーー答えは一つ」
「この世界を壊して新しく作るーーそれしかないでしょうね......」
あーダメだ。これは"しんわ"が関連してる奴だ。わっけワカンねぇ。
話飛びすぎだよ。
「わかっているではないか。お前もこの世界を壊したくはなかろう。
ならば、痛めつけてでも信仰心を得ないとダメなのだ」
その言葉を最後に俺の意識が急速に浮上する感覚がした。
え?もう終わり?一体これはなんだったんだ?
そんな思いのまま、俺は現実に引き戻されるーーーと思いきや、見覚えのある何も見えない空間へと通された。
あの自称神とやらがいた場所だ。ここへ来るのは1年ぶりぐらいだろうか。
そんな場所に、1人の女性、先ほどの女性が現れる。
『私はパール。この世界を創造した女神です』
あ、そうですか。
『本来、この世界は、住民が自由に生き、少しの信仰と共に私と歩んでいく世界のはずでした』
・・・これオートのやつだな。返事がない。
録画されたものを再生しているだけの気がする。
『しかし、先程の会話からわかる通り、このままではこの世界はブラッド、"魔神"のいいようにされてしまうでしょう』
・・・なんとなーくわかってたけど、やっぱアイツが魔神だったのか。
なんというか.....思ったよりショボい男だった。
『残念なことに、私にはそれを止める力がありません。しかし、授けられる力ならあります。
その力を、この迷宮を制覇したものに授けましょう。
そのとても強大な力を、悪事に使うことなく使ってくれることを期待しています。
そして、もし溢れんばかりの力があるならば、どうかブラッドを倒して......この世界が壊される前にーーー』
はい、無理です。無理なお願いきました。
クエスト受注!「魔神を討伐せよ!」
無理ゲーだろ。
一瞬で破棄するわ。クエスト破棄!
その思いが通じたのか、意識がぐんぐんと浮上していく。
周りが光輝き、目が見えなくなる。
俺は再び目を閉じたーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ーーーーぅはっ!」
目を開けると、魔法陣はなくなっていた。代わりに一つの本が置かれてある。
題名が「失われた魔法」のその本は、明らかに女神?が言ってた授けられる力とやらだろう。
そんで明らかにヤバそうだ。
「・・・うむ、これを見るのも二回目じゃなぁ」
「え?見たことあんの?」
ハクリがとんでもないことを言い出した。
「だって妾は攻略二回目じゃし?女神の言葉とやらも以前聞いた。魔神との会話は少し違っていたがーーー相変わらず突拍子もない話じゃったのう」
だよねー。少なくともハテナ5回は浮かんだもん。
「ということで、妾にはその宝石がなんなのか、この本が何なのかわかっておる。」
おっ!便利だなぁハクリペディア。
「女神からの力は二つある。一つは、指輪。"誓約の指輪"というものじゃ。一つの指輪に、一つの特殊能力がある。
二つ目はーーもうわかっとると思うが、その魔導書の魔法、題名の通り、『失われた魔法』じゃ」
うーむ。どっちも名前からして半端じゃあ無さそうだ。
しかし流石ラグナロクの迷宮。ご褒美が半端ない。
「さあ、どっちにする?」
「え?何が?」
「得れる力じゃよ。指輪か、魔導書。1人が得れるのは一つの力だけじゃ」
えー!そんなのありかよ!ケチか女神は!
だが、そうだな.....。指輪ーーーは俺自称神からもらった指輪今してるし、二つつけるのもなぁ....。なんか貴族みたいでヤダ。
「魔導書にする」
「ふ、言うと思ったのじゃ。お主は典型的な魔法使いじゃしな」
いや違いますけど。
ま、黙っておくに限る。
「ではそうしよう。お主は魔導書に手を当てるだけでいい。妾にしても指輪に触れるだけじゃ。
では、授かろうか」
あわわわわ。やっぱり指輪に触らないで良かった。触ってたら完全アウトだった。触るだけで授かれるとかそんな危険なもの机の上に放置すな。
ハクリは指を手に取り、指にはめる。そして俺は魔導書に手を当てた。
その瞬間、膨大な情報量が俺に雪崩れ込んでくる。しかしそれが溢れることはない。一つ一つ、しっかりと俺の頭にインプットされ、巡るましい数々の情報は正確に伝わってくる。
雪崩が終わった時、俺はしっかりその魔法の情報を理解できていた。
「"破壊の魔法"......」
それが失われた魔法の力だった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
迷宮編完結!
次からやっとこさ地上に出ます。
次章では異世界のアイドル的存在、美男美女しかいない種族が登場する....かも。
そこには先までの殺気は無く、命の鼓動を燃やす2人の姿だけがある。
ーーー終わった。やっと終わった。
守護者は影も形も無くなり、洞窟の先へと続くドアが開いたところだ。
前までは扉が開くたびに、まだあるのかよ.....と落胆しただろうが、今では何故か分からないが、もう終わりだという不思議な思いがあった。
・・・しかしこれで続いてたらダサいな俺。
「・・・終わった、な」
「・・・終わった、のぅ」
それをキリに俺とハクリが喋ることはない。2人とも黙って先へと続くドアへと向かう。
そのドアをくぐると、一つの小部屋があった。
真ん中には魔法陣が輝き、奥には恐らく数百年前のであろう、古式の机。その上には一つの光り輝く宝石があった。
「・・なんだこれ」
取り敢えず危なそうな魔法陣を避け、先に机の宝石をチェックした。
宝石は指輪風になっており、指にはめられるようになっていた。
宝石は色や形的にエメラルドだろうか。深い緑色の、綺麗な形をしている。地球でよく見た正何面体~のようにはなっておらず、自然の形そのままだがとても綺麗だ。
思わずそれに触りかけーーー手を引っ込める。
だって触った途端警報がなって、奥から「ルパーン!逮捕だー!」とか聞こえてきたら嫌じゃん。
そんな時、やっとのことで沈黙が破られた。
「取り敢えず魔法陣に入らんか?さっきから早よ入れとばかりに輝いてるしのぅ」
ハクリは鬱陶しそうに眩しい魔法陣から目を背ける。
魔法陣さん、ドンマイ。
「あぁ、そうだな」
別々に入って、気づいたら別々のところに転移して再び迷宮攻略レッツラゴー!とか死んでも嫌なので一緒に入ることにする。
俺とハクリは同時に足を踏み出したーーー
途端、あたりが光に包まれ、意識が吸い込まれる感覚がした。
壮絶な眠気が俺を襲い、俺はゆっくりと目を閉じた。
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「何をしているのですかブラッド!歯向かう七人の王は我々で片付けたはずでしょう!」
目を開けると、美しい女性が、黒いフードを被った男を驚いたように見つめていた。
場所はどこかの城のようだ。周りには一緒に入ったはずのハクリが見えない。
これはーーーいったいどういうこと?
「何を、とは愚問だなパール。2度と歯向かうものがないように痛めつけているのだよ」
フードの男が振り返る。
ちょうど影になって顔は見えなかった。
しかし、実際その男がしていることは悲惨だ。何人もの種族の者が、恐らく男が操作していると思われる槌槍に串刺しにされている。
・・・とてもグロい。
「なっ!歯向かったのは王だけです!他の者は関係ありません!」
どうやら"七人の王"が関係しているらしい。
そいつらを処罰し、他の者、即ち部族民などの待遇を巡って意見が食い違っているのだろう。
しかしなんでこれ見せられてるんだ?
「関係ない?甘いなパールよ。我々はこの世界の支配者、我々が力を得るためには信仰心が大事なのだ!
それを邪魔する者を処罰して何が悪い?実際、お前も力が無くなっているではないか」
そう言われてパールと呼ばれる女性がたじろぐ。本当のことらしい。
しかし全くどうでもいい話だ。
「しかし、関係ない者をいたぶるのは道義に反します。信仰心がないのなら我々が働きかければいいではないですか。
七人の王に対してもあそこまでしなくても....」
女性が目を伏せる。
相当ひどいことがあったようだ。
今までの話的に、男は暴力派、女性は温厚派、的な感じだ。
てかこれほんとなに?
「ふっふ.....パールよ。お前は優しいな。そしてダメになる女神の典型的な性格をしている。
いいか?我々神が生きるには信仰心が必要だ。しかしこの世界からはそれを得られない。
ならばどうする?ーーー答えは一つ」
「この世界を壊して新しく作るーーそれしかないでしょうね......」
あーダメだ。これは"しんわ"が関連してる奴だ。わっけワカンねぇ。
話飛びすぎだよ。
「わかっているではないか。お前もこの世界を壊したくはなかろう。
ならば、痛めつけてでも信仰心を得ないとダメなのだ」
その言葉を最後に俺の意識が急速に浮上する感覚がした。
え?もう終わり?一体これはなんだったんだ?
そんな思いのまま、俺は現実に引き戻されるーーーと思いきや、見覚えのある何も見えない空間へと通された。
あの自称神とやらがいた場所だ。ここへ来るのは1年ぶりぐらいだろうか。
そんな場所に、1人の女性、先ほどの女性が現れる。
『私はパール。この世界を創造した女神です』
あ、そうですか。
『本来、この世界は、住民が自由に生き、少しの信仰と共に私と歩んでいく世界のはずでした』
・・・これオートのやつだな。返事がない。
録画されたものを再生しているだけの気がする。
『しかし、先程の会話からわかる通り、このままではこの世界はブラッド、"魔神"のいいようにされてしまうでしょう』
・・・なんとなーくわかってたけど、やっぱアイツが魔神だったのか。
なんというか.....思ったよりショボい男だった。
『残念なことに、私にはそれを止める力がありません。しかし、授けられる力ならあります。
その力を、この迷宮を制覇したものに授けましょう。
そのとても強大な力を、悪事に使うことなく使ってくれることを期待しています。
そして、もし溢れんばかりの力があるならば、どうかブラッドを倒して......この世界が壊される前にーーー』
はい、無理です。無理なお願いきました。
クエスト受注!「魔神を討伐せよ!」
無理ゲーだろ。
一瞬で破棄するわ。クエスト破棄!
その思いが通じたのか、意識がぐんぐんと浮上していく。
周りが光輝き、目が見えなくなる。
俺は再び目を閉じたーーーー
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「ーーーーぅはっ!」
目を開けると、魔法陣はなくなっていた。代わりに一つの本が置かれてある。
題名が「失われた魔法」のその本は、明らかに女神?が言ってた授けられる力とやらだろう。
そんで明らかにヤバそうだ。
「・・・うむ、これを見るのも二回目じゃなぁ」
「え?見たことあんの?」
ハクリがとんでもないことを言い出した。
「だって妾は攻略二回目じゃし?女神の言葉とやらも以前聞いた。魔神との会話は少し違っていたがーーー相変わらず突拍子もない話じゃったのう」
だよねー。少なくともハテナ5回は浮かんだもん。
「ということで、妾にはその宝石がなんなのか、この本が何なのかわかっておる。」
おっ!便利だなぁハクリペディア。
「女神からの力は二つある。一つは、指輪。"誓約の指輪"というものじゃ。一つの指輪に、一つの特殊能力がある。
二つ目はーーもうわかっとると思うが、その魔導書の魔法、題名の通り、『失われた魔法』じゃ」
うーむ。どっちも名前からして半端じゃあ無さそうだ。
しかし流石ラグナロクの迷宮。ご褒美が半端ない。
「さあ、どっちにする?」
「え?何が?」
「得れる力じゃよ。指輪か、魔導書。1人が得れるのは一つの力だけじゃ」
えー!そんなのありかよ!ケチか女神は!
だが、そうだな.....。指輪ーーーは俺自称神からもらった指輪今してるし、二つつけるのもなぁ....。なんか貴族みたいでヤダ。
「魔導書にする」
「ふ、言うと思ったのじゃ。お主は典型的な魔法使いじゃしな」
いや違いますけど。
ま、黙っておくに限る。
「ではそうしよう。お主は魔導書に手を当てるだけでいい。妾にしても指輪に触れるだけじゃ。
では、授かろうか」
あわわわわ。やっぱり指輪に触らないで良かった。触ってたら完全アウトだった。触るだけで授かれるとかそんな危険なもの机の上に放置すな。
ハクリは指を手に取り、指にはめる。そして俺は魔導書に手を当てた。
その瞬間、膨大な情報量が俺に雪崩れ込んでくる。しかしそれが溢れることはない。一つ一つ、しっかりと俺の頭にインプットされ、巡るましい数々の情報は正確に伝わってくる。
雪崩が終わった時、俺はしっかりその魔法の情報を理解できていた。
「"破壊の魔法"......」
それが失われた魔法の力だった。
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迷宮編完結!
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