異世界に行ったら才能に満ち溢れていました

みずうし

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8章 勇者の国

86.出馬

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 「んで?お前らは一体どこに行ってたんだよ?」

 俺は随分と疲れた様子のバーニングに問う。護衛させといて勝手にいなくなるなんて都合が良さすぎるのだ。

 「え、あ、そうだな.....。その前に、1つ確認をさせてくれ。
 お前は俺の仲間になれと言われたらなるか?」
 「ならないな」
 「即答かよ!?・・・まあいい。
  どっちにしろ、話してしまおう!」

 バーニングは話を持ち出してきた。多分、先ほど隠してたことだろう。

 「俺はな、『王選』に立候補する!!!」

 そしてそれは唐突だった。

 「「「え???」」」

 「この国、シュウスイの国王の座をかけた選挙だ!出馬には勇者の推薦も必要だが、俺はトールストンの推薦を受けている!」

 トールストンを見ると、苦い顔で頷いていた。
 どうやら本気らしい。

 「い、いやちょっと待て!この国の国王は召喚者なんだろ?なんだ、王選って」

 俺はその希望をもってこの国に入ったのだ。国王が召喚者、もしくはその子孫じゃないとおかしい。

 「ああ、今まではそうだった・・・・・
 「だった?」
 「ああ、僅か10日ほどまえ、この国の国王、最後の召喚者が死んだ。そいつの遺言で『新たな国王は勇者の推薦の元、選挙で行え』とあったらしい。それに俺は乗っかる!」
 「しょ、召喚者が死んだ.......?」

 突然の告白に俺はめまいを覚える。
 10日前......?し、死んだ....?

 「そ、それは本当に言ってるのか?」
 「ああ。それで、王選に参加するのは俺含め4人。他の候補は皆貴族の有力者たちだ。だからお前たちにも力を貸して欲しいということだ」

 トールストンも隅でコクコク頷く。
 しかしそんなことよりも、召喚者、つまり日本人が10日前に死んだだと?

 「頼む、さすがに金はあっても戦力が足らん。もちろん、勝った暁には相応の官位と報酬を用意する」

 真顔で、確かにそう約束するバーニング。

 「断る」

 が、一刀両断したのは俺.....ではなくハクリだった。

 「ーーーなに?なぜだ?いい話だとは思うが」
 「まったく聞く価値がないのぅ。なぜ妾たちがお主らの国取りに協力せねばならん。それで妾たちに何か得があるか?」

 つまり、他の有力な貴族、さらには負けた時には敵となりかねない新たな国王、そんな奴らを敵に回す危険を背負ってまでやる価値は?
 と聞いているのだろう。た、たぶん.....。

 そもそも官位などすでに王であるハクリとカルナには無用の長物だし。

 「それに、俺達はいったん故郷へ戻るからな。カルナの挨拶回りもあるし」

 だから日本人のいなくなったこの国などもういる意味がない。さっさと準備だけして出てしまいたいのだ。官位を貰っても帰郷にいちいち手続きがかかって面倒なだけだ。
 よって、国取りなんてしてる暇はないし、したくもない。

 「・・・故郷か.....。それじゃあ仕方がないな。まあ、別に俺たちはそんなに親しい仲でもないし、別のやつを探すとするよ」

 故郷、と聞いて何か思うものがあったのだろう。バーニングは寂しげな顔でそうかえした。
 案外、物分りがいいやつである。

 「ああ、理解してくれて助かる」
 「大したことじゃねえ。んで、話は変わるが、お前の故郷ってのはどこなんだ?」

 どうやら世間話に入ったようだ。
 てかどんだけ故郷好きなんだよコイツ。

 「あー、俺はウルスア領出身だな」
 「ウルスア?どこ国だ?」
 「アリア王国だけど」
 「っ!?アリア!??」

 突如、バーニングは立ち上がる。
 いきなりどうしたんだ?情緒不安定か?

 「お前っ!早く帰らなくて大丈夫なのかよ!?」
 「いきなりどうしたどうした?」

 なにその時間過ぎてるのに帰らない奴に言う言葉みたいのは。子供時代か。

 「お前こそなんでそんなのんびりしてるんだ!?」
 「だから、一体どうしたってんだよ?」

 なんだかそこまで言われるとやっちまった感が溢れてくるんだが.....。

 「ーーーまさかお前知らないのか?」

 顔面蒼白のバーニングは信じられない、という目で俺を見る。
 そして、トールストンがおずおずとある紙面を差し出してきた。
 俺は、恐る恐るそれを覗く。

 「ーーーーは?」

 そして、俺が見たのは信じられないものだったーーー
 
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