Level2から始まる召喚魔剣士の異世界成り上がり冒険記

みずうし

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フェーズ1

4.お偉い様の登場です

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 「ああ、腹が減った」

 あれから翌日。まあ察していた通り、晩ご飯と朝ごはんはパン1つという悲しいものだった。
 ユリエは口も聞いてくれない、というか、なぜかもじもじしている。そんなユリエも眼福なのだか。

 そんなわけで、俺はぐーぐー文句を垂れる腹を諌めながら訓練所へと向かった。
 今日は色々な人を鑑定してみようと思う。騎士のおっさん達の強さも知りたいところだ。

 しかし、残念なことに俺と同期の召喚者の中には、当然俺より年下もいるわけで......。
 まあ、なんというか生意気なのだ。口を開けば減らず口....みたいな。

 「あ、ポンコツはっけんー!相変わらずノロノロしてんな!うししし」

 そうそう、こんなクソガキーーーー

 「・・・今日は本当についてないな俺」
 「え?俺とあえて嬉しいって?うしし!もっと喜んで跪いてもいいんだぞ愚民!」

 コイツの耳はイかれてんのか。
 いや、もう無視だ無視。それが一番良い手。

 「おーい聞こえてんのかー?耳まで悪くなったのかー?おーい!おーい!おい!!愚民!」

 だんだん苛立ってきたらしい。言葉がトゲるガキ。ちなみにこのガキ、10歳の小学4年生である。

 「チッ!愚民のくせに無視しやって!訓練の時ボコってやっから覚えとけよバーーカ!!」

 ユリエの「ばーか」と違って1つも可愛くなく、そしてただイラつくだけの「バーカ」。
 だが残念でした!!俺は今日鑑定しかしないんです!!

 小学生相手に心の中で煽る俺。
 なんて悲しいんだ。

 そんなことはともかく、訓練所に着くといつもは既に打ち合ってるはずの訓練生が一箇所に集まっていた。
 どうやら俺が最後に来たらしく、こっそり集団の中に入る。
 すると、集団の真ん前。少し高台に登った1人の男ーーー少年の姿が目に入った。

 金髪でたかそうな服を着るボンボンのなりだ。
 その、ボンボンが口を開く。

 「私はこの国の第6王子シュペトロメンネーだ」

 え?シュペトロ.....なんて?

 「今日はこの訓練所に視察へ来た。腕の良いものがいたら私の家来にしてやる所存である。光栄に思うがいい。ふん、まあ蛮族のものなど弱々しいに決まっておるが」

 やはり王族というものはクソ野郎と相場が決まっているらしい。
 いつもは互いに敵意むき出しの訓練兵達が、今ばかりは同時に殺意を覚える。

 「では早速その剣技とやらを私に見せるがいい。さっさとしろよ。私はお前どもゴミと違って忙しいんだ」

 その言葉に、訓練兵達は嫌々ながらも各所で打ち合いを始めた。
 絶対にシュペトロなんとかの部下になりたくないのか、皆手を抜きまくっている。
 まあ俺も鑑定しかしてないんだが。

 「えーっと、こいつはC+で、こいつはB-!?お、こいつはC-だから俺と同じぐらいか.....!」

 なんか親近感が湧いた。

 そんなことはともかく、鑑定はどうやら日本人にかければ日本語で、異世界人にかければ異世界語で表示されるようである。
 試しにあのシュペなんとかを鑑定すると、意味のわからない言語が出てきた。きっとあいつの頭の中なんだろう。

 「・・・?そこのお前、何してる?」

 そんなシュなんとかを見ていると、ふと目が合ってしまった。
 そしてそれは俺のサボりが露見したことを意味する。
 ま、まずいぞこれは.....。

 「・・・名を言え」
 「は、ハッ!俺....いや私は楠夕間と申しますであります!」
 
 「「「ブフッ!!!」」」

 俺の華麗な二重敬語に吹き出す面々。
 あとでしばく。返り討ちにされそうだけど。

 「よしお前、じゃあそこのガキと戦え」

 突然、シュなんとかはクソガキを指差した。

 「お、俺?」
 
 クソガキは思わぬ使命に慌てる。ざまあ!!!
 ま、当事者は俺なんだけれども。

 「早くしろゴミが」
 「「は、ハッ!」」

 とりあえず、俺とクソガキは向かうように立って、構える。
 てか本当にやったら負けるのは確実に俺だ。小学生の方が強いのだ俺より。まじ不公平である。
 が、まあ守るだけならなんとかなりそうな気もする。だって相手単細胞だし。
 
 「よし、じゃあお前は素手で戦え」

 しかし、シュなんとかは意味のわからないことを言い出した。
 それも俺に向かって。

 「・・・は、は?」
 「だから素手でやるのだ。そんなこともわからんのか?早くしろ!」
 「!??」

 素手だと!?
 そんなもん、負けるに決まってーーーー

 「・・・なるほどね.....」

 このオウジサマは俺がボコボコにされるところが見たいと.....。
 まじで終わってるな、この国。

 「では、始めるのだ!」

 「オラオラオラァァァア!!!」

 開始の合図とともに、満面の笑みを浮かべてクソガキが俺に斬りかかってくる。
 容赦も手加減も一切なしだ。さすがクソガキである。

 「うおっ!?あぶねっヒュオアッ!?」

 しかし、俺は済んでのところで躱す躱す。逃げるだけならなんとかなるのが俺ってもんよ。

 「チッ!ゲルマン!」
 「了解だす!」
 
 しかし、そんな俺が面白くなかったのか、命令を受けたゲルマンとやらの筋肉ダルマが俺に向かってタックルしてくる。
 俺はまたギリギリかわそうとしてーーー地面の小石に躓いた。

 「まじで....今日はついてねえ!!」

 その言葉を最後に俺はタックルを全身で受け、吹っ飛んだ。

 「グェホッ!!!」

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!!

 肺から空気が漏れる。鋭い痛みが俺の全身を包み、声にならない叫びが喉から飛び出た。
 そして気付いたときにはいつのまにか地面へ転がっている。....まるで立ち上がれない。
 それほどまでに全身の痛みで俺の意思は朦朧としていた。

 ・・・もう、ダメかもしんねえコレ。

 「ふふふふ!トドメだ、やれ!!」
 
 そして、俺が息をかきこもうと空を見上げた瞬間、笑みを浮かべて木刀を振り下ろすクソガキの姿が見えた。

 ああ、今日はなんてついてないんだ.....。

 そんな感想を最後に、鈍い音と共に俺の意識は途切れた。



ーーーーそして、その日を境に俺が大きく変わるとは、この時誰も思いもしなかったのである。
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