Level2から始まる召喚魔剣士の異世界成り上がり冒険記

みずうし

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フェーズ1

6.ゾンビ?いいえ人間です

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 私の眼の前にRな光景が広がっている。タンスから落下したツボは割れ、そしてそれを受けたゆうまくんの、その、あれも割れている。

 「あ.....え.....ゆ、ゆうまくん?」

 恐る恐る手を伸ばすが、当の本人は反応することなく、ただ痙攣しているだけ。
 まさか、こんなことになるなんて。
 ほんの、一瞬の油断で生まれた事故。そんなもので私の、私のゆうまくんが、

 ーーーゆうまくんが死んだ。死んじゃった。


 「あれ?俺生きてる?」

 ーーーーと思ったら生き返った。
 呆然とする私を他所に、ひょこりと起き上がり、頭をさすっている。

 「え、え?え??」

 「あれ、なんで俺生きてんだ?」

 「え、え、え!!!」

 「ユ、ユリエさん?」

 間違いなくさっきゆうまくんは息絶えていた。だって、その、あれが割れていたのだ。
 つまりこの起き上がったゆうまくんは.....

 「ゾンビィ!!!?」

 思わず思いっきりゆうまくんのほおを叩く。爽快な高い音が響き、「なんでぇえ!??」と悲痛な声が上がった時、私は気づいた。

 「あれ?ほおが温かい.....」

 つまり、ゆうまくんはゾンビじゃなかったのだ。
 なーんだ♪




 ☆☆☆




 うん、現状整理しよう。
 今俺は、ツボが落ちてきて脳天に直撃し死を迎えるも直後すぐに生き返りユリエに強烈ビンタをお見舞いされた。
 なんだこのカオス。

 俺の傷はなぜか全快しているし、ユリエは何故か「あったかい、あったかいです、うふふ♪」とか言って抱きついてくるし、なんじゃこれ。
 それに、死の瞬間になにか聞こえた気がするんだよなぁ。条件を満たしたとかなんとか.....。

 「はぁはぁ....温かい.....ゆうまくんが生きてる.....これが生きてるということ......♪」

 しかしユリエがそろそろ悟りを開きそうなのでポカーンとするのは終わり。
 俺は残念がるユリエを引き離し、一番大事なことを聞いた。

 「俺って生き返った?」
 「はい♪」

 この世の摂理が2文字の返事によって崩される。すべての生物、死というものは乗り越えられないものなのに。あれ、てことは俺って生物じゃない?

 「ス、ステータス」

 震える声でステータスを開く。
 種族がゾンビとかだったらスリラー踊ろう。ジャクソーン!


 ーーーーーーーーーーーー

・楠 夕間 〈くすのき ゆうま〉

年齢 17
性別 男
種族 人間族

職業 魔剣士→七星の魔剣士

Level 1→2

攻撃 D+→C
防御 D→C-
魔攻 D-→D+
魔防 D→C
俊敏 C-→B
魔力 C→B

総合評価 C

【ユニークスキル】呪霊

【スキル】鑑定(低)Level1→2

【七星スキル】死亡耐性

【称号】召喚されし者・文字無しの召喚者・七星

経験値 0/15000


 ーーーーーーーーーーーーーーー


 「・・・Why?」

 何これ。

 「どうしたんですか?」
 「何故かレベルアップしてるんだけど」
 「ラッキーですね♪」

 いや軽いなアンタ!もっと不思議がれや!

 とまあそんなことは置いといて、他にも謎のものは数多くある。
 謎1:七星ってなに?
 謎2:ホラー系ユニークスキル
 謎3:死亡耐性ついちゃったんですけど

 カオス。
 基本ステータスが上がっているのは嬉しいけど、それよりも頭を悩ませるものが多すぎてまた頭かち割れそうなんだが。

 取り敢えず1つ1つ丁寧に解析していくしかないだろう。

 「ユリエ、七星ってなに?」
 「知りません♪」
 「呪霊って?」 
 「何でしょう?」
 「死亡耐性って?」
 「わかりません♪」

 はい、解析終了。
 ユリエが知らなければ俺は詰みだ。

 「七星って書いてるんですか?」
 「うん、職業が七星の魔剣士になってるし、七星スキルってのに死亡耐性があるし」
 「死亡耐性....」

 もしかして俺が生き返ったのはこれが原因か?

 と、ユリエも思ったようで、おもむろにユリエは立ち上がり、台所へ向かった。
 ご飯でも作るんだろうか。いきなりだな。

 「もうご飯か?」
 「いえ?実験した方がいいかと思って♪」

 そう言い、台所から出てきたユリエの手には


 ーーーーー包丁が握られていた。


 「!!??」
 「さあいきますよ~♪」

 笑顔を浮かべながら刃を俺に向ける。
 あ、あれ?体が動かないんすけど!?

 「一息で楽に刺せるようにスキル使ってます♪準備はいいですか?」
 「いや、あの、早まらないで!!?」
 「?」

 なに言ってるんですか♪、とニコリとされる。
 こ、これが狩られるモンスターの気持ち....!

 「では♪せーの!」
 「ちょまっ!」

 グサリ

 包丁は俺の胸を正確に狙い撃ち、胸部に赤い染みができる。
 そのままユリエは俺の上に馬のりになって平然に笑顔を浮かべていた。
 僕、あなたがとても怖いです......。

 そんなことを思う暇もなく、体が自由を失い、猛烈な熱さとともに意識がダウン。 
 俺は、2度目の死を迎えたーーー



ーーー「で、やっぱり生き返るんだな」

 あれから数秒後。何事も無かったかのように俺は目を覚ました。当然胸の痛みはない。それどころか体全体が羽のように軽い。覚えておこう。
 人は死ぬと体が軽くなるっと。俺しか役に立たないがな。

 そんな俺を他所に、馬乗りになっているユリエは目をパチクリさせていた。
 確かに死亡耐性なんてものは死んでみないとわからないが、実際行動に移せるユリエはすごい....というか少しサイコパス。

 「実験成功です♪」
 「わかったからどいてくれ」

 ・・・その体勢は色々とまずいんだ。元気になった体と一緒に元気になってしまう。ちょっとユリエさんナイスバディすぎっす。


 ピコンッ!

 と、その時脳内で音がした。1度目に死んだ時と音が一緒だ。

 そして、再び俺を悩ませることとなる、ナレーションが流れる。

 『条件「二回目の死亡」によりユニークスキル「呪霊」が強制発動されました』
 

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