Level2から始まる召喚魔剣士の異世界成り上がり冒険記

みずうし

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フェーズ1

7.幽霊

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 『条件「二回目の死亡」によりユニークスキル「呪霊」が強制発動されました』

 脳内に流れたのはそんなアナウンス。それに俺はピタリと動きを止めた。

 「ゆうまくん?」

 ユリエが心配して顔を覗き込んでくる。しかし、そんなことも気にならないぐらい、俺はある一点を注視していた。

 ユリエの後ろ、少し離れたところに1つの光が漂っていた。しかし形は丸でも、形がないわけでもない。
 人型。つまり人の姿をしていたのだ。

 つまりーーーーー幽霊?

 「ゆ、ユリエ後ろ.....」
 「後ろですか?」

 ユリエは振り返る、が何事もなくハテナマークを浮かべて首をかしげる。
 まさか........見えないの?

 「見えないの?」
 「何がですか?」
 「光だよ。Flash」
 「・・・?」

 本当に見えないみたいだ。つまりそれはアレが幽霊の可能性が5%上昇したことを意味する。もともと94.9%のものが。

 「ゆ、ゆうまくん。まさか何かいるんですか?」
 「だから光is stayingだけど」
 「光?」
 「人型のね」
 「それってつまり.....」
 「ああ、そうだよ」

 幽霊デスヨ。ゴースト。ゴーストインザマイルーム。
 訳あり物件かよ。

 そんな、幽霊さんは俺たちに近づいてきた。

 「ひっ!」
 「えっ!なんですかなんですか!?」
 「こっち来てるし!」
 「えぇ、もうゆうまくんなんとかしてください!死んででも!」
 「俺の扱い雑じゃね!?」

 そんなやり取りをしてる間にも幽霊は近づいてくる。
 デジャブ。まずいぞこれ。よくよく見ればこの幽霊、悪霊の気がしないでもない。

 「ま、待て幽霊!止まるんだゴースト!」

 こういう時は話しかけるのが一番!ってんなわけねぇだろ俺はアホか。

 「ーーーでうん?」

 しかし幽霊は止まった。

 ・・・心が通じて何よりだ。幽霊と心通じるとか嫌だがな。

 「よし、そのまま向こうへ行くんだ」

 幽霊は、のっそり離れ始めた。

 俺は、幽霊の気まぐれだと思っていた。止まったのがだ。
 しかし、俺の言葉通り動き始めたことで俺の思考が一変する。

 あれ?これ操れんじゃね?と。

 「やっぱ止まれ。そうだな.....胸を突き出して威張るポーズだ!」

 幽霊は威張った。

 「片足を前に出してカッコつけのポーズ!」

 幽霊はカッコつけた。
 
 うむ、これは....楽しいぞ!

 「次は前方3回転だ!」

 幽霊は動かない。

 なんでだ。動けよ光!

 「ゆ、ゆうまくん?」
 「うん?」

 そういえば端から見れば「誰もいないところに声をかける謎の少年」である。
 ユリエが「頭大丈夫かな?」という目をしていてもおかしくない。おかしいのはこいつ幽霊なのだ。
 さて、取り敢えず整理しよう。



 ☆☆☆



 整理した。あの幽霊は俺のユニークスキル「呪霊」による作用というのが有力な仮説だ。いや、それ以外には考えられない。
 そして、あの幽霊。俺の命令に従ったり従わなかったり勝手に動いたりと中々自由なやつだが、1つだけ行動に一貫性があった。

 「よし、逆立ちをしろ」

 幽霊は動かない。

 「じゃあ逆立ちに失敗しろ」

 幽霊は逆立ちをしようとして、そのままビターンと倒れる。

 「最後は.....そうだな、ユリエに抱きつけ」
 「ゆ、ゆうまくん!?」

 ユリエは動じたが、幽霊は全く動かない。

 「何言ってるんですか!?」
 「実験だよ。俺にできることが幽霊にもできるかの」

 そう、この幽霊、俺が出来ることはできるが、出来ないことはできないのだ。 
 つまり、俺が出来ない逆立ちは幽霊はできないのでしない。しかし失敗するのは俺にもできる。よって幽霊はするのだ。
 よって、命令を聞くのはできることだけ。できないことは無視る幽霊だった。

 「不便だなぁこの幽霊」

 どうせなら俺にできないことをできて欲しかった。要は俺みたいなチキンが2人になっただけである。
 しかも、この幽霊、命令しなければ勝手に動くし、命令しないと動かない。ボンクラである。

 が、意外と使える場面を思いつくのもまた事実。こいつの1番の強みは姿が見えないところなのだから。

 例えば、一対一の戦闘。俺が前から勝負を仕掛け、後ろからこの幽霊が奇襲を仕掛ければ俺の勝ち。楽勝である。
 ちなみに、この幽霊は見えないだけで実体を持っているのは確認済みだ。

 早く言えば、透明人間ってところだろう。
 ふむ、中々いいじゃないか「呪霊」!

 見所十分!使えるぜ!

 なんて考えていた俺がバカだった。

 ガチャーン、パリーン、ズドン。

 すでに和室は阿鼻叫喚の地獄と化している。全て自由に動き回る幽霊によって。物は散らばり、ふすまは破れ、布団ははちゃめちゃ。

 もうそりゃあ、動くわ動くわ。暴れまわり動き回り、ユリエは呆然として突っ立っている。 

 いつも部屋を片付けるのはユリエだ。この事実を認めたく、というか信じられないんだろう。

 ・・・しかしどうやって幽霊消すんだろう。

 幽霊のOFFがないんだけれども。とんだ欠陥品である。

 「ゆうまくん」
 「ハイ」

 切り替えたユリエがにっこり笑いながら近づいてくる。笑顔が怖いっすユリエさん。

 「お仕置き」
 「幽霊!ユリエを阻止するんだ!!」

 俺はとっさに幽霊に指示。
 
ーーーが、幽霊はふすまにズボズボ穴開けるのに夢中だった。

 「幽霊ぃぃぃぃぃいい!!!!」
 「大人しくしてくださいね♪」

 叫喚する俺をユリエは軽く転ばし、転がる俺を脚で挟んで上から見下ろす。
 なぜかユリエの息が荒い。怖い。

 「さあ、お仕置きです♪」


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