橘さんの料理教室

ぷりん

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 ゆーちゃんが健康で病気もせずに過ごしてほしい。健康に過ごすためには何が重要か?

 それはだと僕は考えた。

 しかし、僕は全く料理ができない。唯一作れるものといえば「カレー」だ。ゆーちゃんはカレーが好きだと言っている(僕に気をつかってなのかわからないが)、もう一週間で三回目のカレーである。流石にそれでは健康とは程遠い。

 この現状をどうにかしなければならない。そう思いながら今日もカレーを作っていた。

 それから2・3日後、僕はゆーちゃんを幼稚園に送って帰っている時、一枚のポスターを見つけた。ポスターには可愛らしい食べ物の絵が沢山描かれていて、ポップな文字でこう書いていた。

 『~料理教室やってます~
    毎週木曜日 午前10時半から1時位まで

  料理で困っていることはありませんか?楽しくお話しながら料理しましょう。相談にものりますよ!
  (男性の方も大歓迎ですよ)
  ・参加費一回500円
  ・作ったご飯を昼食として食べましょう

  ※メニューは私(橘)の気分で決めます 
  ※メニューの希望も受け付けます。

  場所:○○マンション
  参加希望の方はお電話ください
     橘 すみれ 090-○○○○-○○○○ 
                      』
 
 なんだこのポスターは………
僕がそれを見た第一印象はそれだった。手書きの文字と絵で書かれたポスターは随分手の込んだものだった。

 橘すみれという名前は聞いたことがある。僕が住んでいるマンションの管理人の名前がそうだった気がする。70歳くらいのおばあさんだ。マンションに引っ越してきた時に、随分お世話になった。

 (あの人が料理教室をやっているのかぁ…いつもニコニコしていて、挨拶をしたらいつも返してくれるしきっと良い人なんだろう。妻が亡くなった時も葬儀に参列してくれた。
 しかも、一回500円って安すぎやしないか?!
ゆーちゃんのためにも、お試しとして参加してみるか…)

 そう僕は思い、すぐに橘さんに電話をかけた。



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