魔王を討伐したので年上メイドと辺境でスローライフします!

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村長へ報告

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 僕達は受けたクエストの達成報告を村長にして、子供に薬を処方した。

 簡素な造りをした村人の家の子供部屋に僕とアイリさん、子供の両親と村長、そして横になった子供と、部屋はかなりの人口密度になった。

「まさか、ユウキさまが本物の勇者だったとは、ご挨拶が遅れた無礼、お許しください」
 村長が凄い恐縮して言った。そこまでビビらなくてもいいのにってくらい縮こまった姿だった。

「気にしないで下さい。正体を隠していたのは僕の方でしたから」
「なんとお礼を言って良いのやら、勇者様ありがとうございます」
 子供の両親もペコペコと頭を下げてそう言った。

「魔王を倒す旅の途中でも、何度も困った人を助けました。やり過ぎだってルシアによく言われましたけど。やっぱり困っている人は放ってはおけないですから」
 そう言って僕は子供に薬を与えているアイリさんを見た。煎じた薬草の汁を木製の匙ですくって、一口ずつ子供に与えていた。

「この子は大丈夫です。早期に薬を飲ませられたのが大きいですね」
「おお……姫様、ありがとうございます」
 子供の母親が声を震わせるというか、ほぼガチ泣きの状態でアイリさんにお礼を述べた。

 アイリさんの手を握り、しきりに感謝を伝える両親を尻目に、僕は村長さんに話しかけた。
「あの……森を焼いた冒険者なんですけど」
「ああ……領主さまのところに出入りしているチンピラですね。困ったものです」
 村長は怒りを隠さず、チンピラの悪行に文句を言った。

「先代の領主さまはそれはそれは優秀な方で、姫様のブラック家とともに領地を守り、民を守ってきたのですが、残念ながら子供を育てる能力が欠如していたらしく。甘やかされて育った息子は、領地の統治もそっちのけで贅沢三昧の遊び人で困っておるのです」
 最後は呆れ顔で村長はそうぼやいた。

「クエストを邪魔してしまったのですが、一応詫びを入れるべきでしょうか?」
 僕がそう言うと村長は目の色を変えた。
「とんでもない、勇者さまは王位継承権第一位と同等の格付けですぞ、あんな田舎領主に頭を下げたら、陛下がなんと仰るか」

 そういえば、僕に領地を与えようとしたときに、陛下はさらっと現領主はどこか別の地方へ飛ばせばいいとか言ってたっけ。
「恐らくは領主さまが勇者さまにたてつくことはないと思います。そんな度胸はないと思いますが、今の領主さまはあのチンピラを使い自分へ歯向かうものに理不尽な制裁を加えたり、作物が不作の時でも税を上げたりと、我々もほとほと困り果てておるのです」
「はぁ……」
 あったことはないが何となくその人となりはわかる気がした。クリスタニアの貴族や官僚の中にもどうしようもなくて、なぜこんな奴が権力を握っているのか解からない輩が何人もいた。

「先代が亡くなってからは、今の若領主は羽目を外すばかり、今回も高価なキノコのために大切な領民の血税を使って、実にけしからんことです」
 村長は憤懣ふんまんやるかたないといった様子だった。

「アイリさん、今の領主ってどんな人なの?」
「一言で申し上げて、クズといったところですね」
「そ、……それは」
 アイリさんのストレートな物言いに、僕は少し驚いた。

「領主としては無能、人格は品性下劣です。何度もわたくしの貞操を狙ってくる本当にうっとおしい男です」
「そ、……そうなんだ」
 これはよほどのことだぞ。

「陛下に頼んでユウキさまが領主になられてはどうですか?」
 アイリさんがけっこう本気の目でそう言った。
「それは素晴らしい話です」
 村長がマジで色めき立った。

「僕はできるだけ政治とかには関わらず、ゆっくりと過ごしたいんです」
 僕はぼそぼそと本音を言った。
「それは……残念ですな」
 さすがに勇者に無理強いをすることは憚られるのか、村長もそれで黙った。

「しかし、そう言うことなら我がフロア村をあげて、勇者さまをもてなしますぞ」
「いや~あんまり大げさなのは……」
「心配することはありません。勇者さまは世界の英雄、この村の救い主です。遠慮なく楽しんでください」
 村長はそう言うと、何か嬉しそうにウンウン頷いた。

「勇者さまをもてなすパーティなら、私たちも協力を惜しみません」
 さっきまでべそをかいていた母親も物凄くスッキリした顔でそう言った。

「さっそく、準備を始めましょう」
 父親もノリノリだった。
 こうしてなし崩し的に僕の歓迎パーティが開かれることになった。
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