賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

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第三章 王都炎上

無法者たち

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 俺たちは、オークを蹴散らしながら、先を急いだ。
 あちこちから悲鳴が聞こえる。

 生意気にも武装しているオークもいた。一般人にとっては強敵だろうが、あいにくだが俺たちの敵ではない。俺たちの中に、女騎士はいないからだ。残念だったな。


 ぐるる、ごふうー。
「くっ、ここは私が……。あなたたちは早く逃げなさい、オークなんかに負けないっ!」
 気丈な女冒険者の姿が見えた。子供たちを必死で守ろうと、オークの前に立ちふさがっていた。
「まずいな。――≪電撃ライトニングボルト≫っ!」

 ぎゃうーん
「あっ、あなたは? ギルド所属の女魔術師なの? 初めて見るわ」

 答えている暇も惜しかった。俺たちは無言で、ぶすぶすと焦げた匂いのするオークの横を走り抜ける。

 しかし、簡単な変装しかしていないのに、そんな簡単に性別を間違うのだろうか?
 まったく、どうせ転生するならもう少し男らしい顔立ちに生まれたかったものだ。

 複雑な気持ちで先を急いでいると、今度は一人の女騎士がオークの群れと戦っていた。
 かなりの腕前のようだが、多勢に無勢か。魔法でも使えれば劣勢をひっくり返せたかもしれないが。いや、あの貧乳具合でここまで粘ったことを褒めるべきだろう。

「くっ、ここまでか。殺せっ!」
 うがー、がおー。ぶっふー。

 ぶしゅっ。
 剣で先頭のオークの首を斬りとばす。射線上に女騎士がいたので魔法は使わなかったが、この程度の敵ならどうにでもなる。
 ざしゅ、しゅばっ。

 サクラも走りながら、必死でモモフクを振り回す。
 レイチェルは、あー、遅れ気味だな。
 いくら魔力があっても、体力がついてこない。魔術師タイプの限界というやつだろうか。

「おい、大丈夫か? そう簡単に生きることをあきらめるもんじゃないぞ。まだ、守るべき相手はいるはずだろう?」
「なっ、だれだ君は? 金髪の女剣士、見慣れぬ顔だな。冒険者か?」
「一応魔術師だ。くらえ、≪火球ファイアーボール≫っ!≫」
 残ったオークたちを魔術で一掃する俺。
「ああ、すまない。すごいな、魔法剣士だったのか」

 女騎士は複雑な顔で俺の胸を見ていた。



 俺たちがレイチェルの家に戻ったとき、家は見る影もないほどに荒らされていた。
 急いで中に入り、マリアを探す。

 地下室へと続く階段の手前で、マリア・ラーズは死んでいた。

「マリア、おい、しっかりしろっ!」
「マリアさんっ!」
「なんて、ひどい……」

 助けを求める人たちを振り切って急げば、間に合ったのだろうか。
 いや、そんなことわかるはずもない。しかし――。

「マリア。……仇は、討つぞ」

 こんなに怒りが湧いてきたのは、数百年ぶりかもしれない。
 俺は静かに、襲ってきた魔獣たちをせん滅することを決意した。


「ここは、私に任せてください」
 レイチェルが言った。どうするつもりだ? 俺が尋ねると、彼女は強い決意のもと、しっかりとした口調で言った。

「マリアさんを、ゾンビにして生き返らせます。任せてください、だてに死療術ネクロマンシーを使えるわけではありません!」

「しかし、危険だぞ、まだ魔獣は残っている」
「地下室に隠れていれば、大丈夫です。そこで、マリアさんをゾンビにする術を使います。大丈夫、骸骨おとうさんも守ってくれますから!」

 かたかたと返事をする骸骨スケルトン
 ならば、任せてみるか。

「私たちは、どうするんですか?」
 サクラが聞いてくる。

「王城へいくぞ、ボスをやっつける」
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