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第五章 ダンジョン・デストラクション
おうちに帰ろう
しおりを挟む旅立ちの前に、俺たちは全員でフィッツの住処を訪れた。
地底湖のほとりにある墓の前で、フィッツは手を合わせる。
「お父さん、エマーソンさん、行ってくるね」
エマーソンさんか。きっと誇り高いマンティコアだったのだろう。
「ねえレイチェル、マリアみたいにエマーソンさんも生き返らせられないんですの?」
「ムリね。死体は残っていても、魂がすでに無くなってるわ。それに彼女だって、そういう再会を望んではいないでしょう?」
「そうなんですのね。ごめんなさい」
大丈夫だ、きっと気持ちは伝わっているさ。
「そういえば、ミルメコレオってすぐに死んじゃうんですよね? よくその、えーと、子供が作れましたね」
レイチェルの問いに、フィッツは言った。
「少しだけ長生きしたんだってさ、うちのお父さん。なんでも尻尾が蛇だったから、卵を飲み込んでゆっくり消化してたとか」
は? 尾が蛇? えーと、マンティコアもたしか、尾が蛇だったな。
……もしかして。
俺の脳裏にある可能性が浮かんだ。
もしかして、エマーソンとやらは、フィッツの父の父、つまり祖父にあたる人物だったのかもしれない。
そしてフィッツは、マンティコアベースのミルメコレオと、人間とのハーフだ。蟻の血が薄く見えるのも、そのせいか?
だが、今更それを伝えてどうなるというのか。
ここはエマーソンズ・レイク。悲しい獅子の親子が眠る地だ。
「おっかえりー! お土産は? ねえ、お土産ある?」
「にゃあああー! ゾンビだにゃあ!」
帰宅した俺たちを待っていたのは、マリアの歓迎。驚愕するフィッツ。
「なんだよ、失礼しちゃうなー」
「まあ、そういうな。こいつのおかげで、うまい酒が造れそうな地底湖を見付けたんだ」
「むー、インギーがそう言うなら……」
へそを曲げるマリアを、俺はなだめる。
だが、マリアにとって空振りだったのも確かだ。
そう簡単に見つかると思っているわけではないが、酒に弱い彼女を救うため、早く毒消しのアイテムを見付けなければ。
「さて、とりあえずは歓迎パーティーと、冒険者登録ですね」
レイチェルは早くもビールの瓶を出してきて、飲む気満々だ。
こいつは本当に底なしだな。
戦いもせずに、ダンジョン内では飲むしかしていなかったはずだ。まあいいけど。
「あ、インギー、皆がいない間に、王様の遣いから、手紙が届いてたよ。はいこれ」
ん? 裏を見ると、確かにアサルセニア王家の紋章があった。
ああ、また厄介ごとなのだろうか。重たい気持ちで封を切る。
手紙を読み、ため息を吐くと、皆を招集する。
「さて、お前たち。ちょっといいか」
「「「はい」」」
このギルド、ミスフィッツは、基本的にただのEランク冒険者の集まりだ。
ひいきにしてくれるのはありがたいのだが、依頼に関しては、もっと別の高ランク冒険者に回した方が良いと思うのだが。
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