賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

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第六章 女神の洗濯

ダイスロール・ヒーローズ

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「ダンジョンンに潜りたいにゃん」

 フィッツが言った。

「俺も、ダンジョンに潜りたい。というか戦いたい」

 俺は賛成した。

「別に良いと思いますけど、誰が行くんです?」

 レイチェルも同意した。

「ダイスロールで決めるか」

 俺が提案した。

 こういうのは勢いとノリが大切なのだ。俺とフィッツは決まりとして、後はダイスロールだ。
 ランダムなのが良いのだ。行ってしまえば何とかなる、考えるのは後回しだ。

「ええと、まずは人数からだな」
 ころころとダイスを振ると、4の目が出る。

「4人だね、じゃみーとインギーは決まりということで、あと二人か」
 サクラ、レイチェル、マリア、キャスリー。

 ころころー、ころころー。
 出た目は、2と4。つまり、レイチェルとキャスリーだ。が、キャスリーは不在。

「キャスリーは、サクラと一緒に薬草採取クエスト中だったよな」
「はい。今日はフォレスト・イゾー草とかを採りに行ってますよ?」
 よし、ダンジョンの前にそちらに向かい、合流してもらうか。

「ちぇ、いいなー、ボクもたまにはレア素材げーっとー! とかやりたかったのに」
 マリアは最初から除外されている。鍛冶の腕は認めるが、モンスターとの戦闘経験があるわけではない。けんかっ早いだけでは、どうしようもないからな。

「今度サクラあたりにけいこをつけてもらうといい。あいつは弱かった分、教え方もうまいぞ」
 ぶすっとしながら、はいはいと適当な返事をされてしまう。ううむ、すねたか?

「まあいい、ちょっと行ってくるぞ」

 目指すは西の森。まずは薬草採取中のサクラとキャスリーを探すのだ。



 王都の西に広がる大森林、名前はまだない。いや、あるのだろう。きっとある、無いわけがないのだが、ここは俺がつけてやろうと思う。
 なに、どうせ内輪で呼ぶ名前だ。もし公式の名前があるのなら、その時は森自体を焼き払ってしまえばいい。そうすれば、焼野原を作ったのは俺だ。名前を付ける権利は作成者にあるはずだ。

 うん、決めたぞ。
 『熊さんの森』だ。熊が住んでいそうだから、熊さんの森。荒ぶる熊、現れるヒドラ。なすすべもなく食べられる熊。
 これが、弱肉強食、自然の掟なのだ。
 さて、俺たちは熊さんの森に足を踏み入れる。


 サクラとキャスリーはすぐに見つかった。

「キャスリー、探したぞ。ダンジョンに行くからついてこい」
「えっ、インギー、なんでこんなところにいるんですの? 今日は別行動だと思っていたんですの」

「ダンジョンって、行先でも変わったんですか? ねえレイチェル、どういうこと?」

 俺たちは事情を説明する。
 サクラには悪いが、キャスリーは連れていくぞ。

「一人ですか? いいですけど、少し寂しいなー。うん、気を付けてくださいね」
 サクラに関しては問題なかろう。なんだかんだでうちのギルド内では一番強いし、逃げ足も速い。世間知らずなだけで常識力もある。

「薬草探しだったよな、サクラの依頼は。ではキャスリーの代わりを置いていこう」

 俺は懐からスキットルを取り出し、ちょちょいと魔法をかける。
 スキットルからはにょっきりと手足が生え、動き出す。生き物を作った後は、名前を付けねばならない。名前を付けることで、その生き物を真に支配下に置くことができるのだ。

「よし、お前の名前は、ミリリッ太だ」

 ミリリッ太はちゃきちゃきした声で喋り始める。
「へい旦那、サクラの旦那、薬草ならまかせてくだせえ。いくらでも取ってきやすぜ。旦那、行きましょ、行きましょ」

「ええ、ほんと? 頼りになるのかなあ。ちゃんと見分けられる?」
「ムリです、旦那。あっし、目が無いんで」
「ダメじゃん」

 呆れるサクラを置いて、俺たちは別行動を開始した。
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