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第11章 パペット・パニック!
まにふぁくちゅあ!
しおりを挟む次の日、二日酔いの頭痛を引きずりつつも、俺は奴と話し合うことにした。
今日の奴は、そびえたつ黒きプリンのような形状だった。
「とりあえず、だ。名前を教えろ。姿も不定なのに名前も不定では、紛らわしくてたまらん」
「特にないよ。好きにつけてもらってもいいけど?」
プリン型の胴体に、口だけがうにょんとへばりついていた。それにしてもずいぶんとラフな話し方になったものだ。
「うーむ、どうしたものか。……見たところお前の体は、流動性は高いが、金属ベースの魔法生物だろう? ではメタ梨花というのはどうだ。俺の昔いた世界の言葉で、金属化という意味が込めてある。」
「じゃあ、名前はそれで。でもさ、金属ベースの魔法生物かー。見ただけでわかるものなの? すごいなあ。他の特徴も何か、わかる?」
「わかる範囲でいいならな。……まず、魔力を含めた外部からの刺激に敏感に反応する性質がある。魔力操作や親和性のある物質を取り込むことで、ある程度、自身の大きさや重さを変化させることが可能。ああ、分裂もできたな。互いに通信したり個々の意志を持てるが、逆に言えば統一されていないということでもある」
「へー、さっすがぁ」
魔法生物に褒められたところで、喜んでいいものかどうか。
お互いに挨拶もすんだところで、俺は本題を切り出す。
「お前は、今後どうするつもりだ?」
「どうするつもりって、どうゆうこと?」
「そのままの意味だ。この街に連れてきてしまったのは、俺の責任でもある。もしメタ梨花が望むのなら、当面の住む場所くらいは用意しよう」
責任を感じているのは本当だ。未来の責任も含めてな。
こんな変身能力者を市井に解き放ったら大混乱だ、そしてそのまま、俺の責任まで追及されてしまう。
「そうだね。特に目的があるわけでもないし、お言葉に甘えようかな。本当は、人が多いところって苦手なんだ。気を抜くと影響を受けて、勝手に変身しちゃうからね。でも、魔力的に守られたこの家は居心地がいいな」
俺は納得した。なるほど、結界のせいか。
外部からの魔術をある程度遮断するこのギルドハウスは、メタ梨花にとって都会の中の公園のような存在なのだろう。
「ただし、少しは働いてもらうぞ? 遊んでばかりいるペットを飼っている余裕もない」
「別にいいよ? 何するかは知らないけど」
とりあえずマリアに任せるか。
特殊な体や知識を持っているのだ、何かしら役に立つだろう。最悪でもメイドくらいにはなるだろう。
俺は黒い直立するプリンとともに、工房へと向かった。
「マリア、いるかー?」
「ああ、インギー。……と、例の魔法生物か」
「名前はメタ梨花だよ、よろしく!」
マリアはちょっと警戒したようにたじろぐ。出会いの時点であまり良い印象は無かったから、仕方がないのだが。
俺は事情を説明し、何かできることはないか聞いてみた。
マリアは少し考えて答えた。
「んー、ボクの体と能力をコピーさせて、製品の量産に使えないかな? その間、ボクは次の発明にもとりかかれるしさ」
予想以上に合理的で良い案だった。マニファクチュアというやつか。いいかもしれない。
「よくわかんないけど、ゾンビには化けられても腐りかけのところまでは再現できないよ?」
禁句だった。
「くぁwせdrftgyふじこl!!!」
マリアは声にならない叫び声をあげ、金槌を振り回す。
俺とメタ梨花は絶妙のコンビネーションを見せ、その攻撃をかわしつつ工房から出る。
どかっ、ばたんっ。
ドアを閉め、硬化の術をかける。これでしばらくマリアは出てこれまい。
深いため息と共に、俺たちはその場を後にした。
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