賢者、二度目の転生――女性しか魔術を使えない世界だと? ふん、隠しておけば問題なかろう。(作中に飲酒シーンが含まれます、ご注意ください)

鳴海 酒

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第14章 サクラ、がんばる!

Let my heart Go

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 男の人は行ってしまい、私はまたもや一人ぽっち。
 帰り道どころか、ここがどこかもわからないまま。寂しいけれど、不思議と気分は悪くなかった。

 理由はわかってる。あの時に似ているからだ。故郷を飛び出した、あの日と。

 ◇◇◇

「あらサクラ、まだオーガも倒せないの?」
「せっかくいいカタナを持っているのに、もったいないわね。私が使ってあげようか?」
「ダメ! このカタナはおとーさんの形見だもん。絶対にわたさないもん!」

 私の育った村は、寒くて畑も岩だらけ。食べ物はあまり取れなかった。だから、傭兵を生業とする人が多かった。
 村の人の力関係は、文字通り強さで決まる。そんな中、幼いころに父を亡くした私は、昔からよくいじめられていた。
 私が弱かったのもいけないんだけど。

 私は、昔からマナは多かったんだ。たぶん、遺伝。お母さんが、村の外から嫁いできた、魔法使いタイプだったから。
 でも、大きくなってからは、それもいじめられる原因になった。
 今思えば、それもお父さんがいなかったせい。体にマナを循環させて、筋力をあげたりとか。そういう戦い方を教えてくれる人なんて、いなかったから。
 父を亡くしたかわりに乳が大きくなったなんて、笑えない話でしょ。

 村には、いい思い出なんかなかった。
 お母さんは優しかったけど、私が17のときに死んじゃった。体を壊してたところで、流行りの風邪で、あっさりと。たぶん、お母さんは私以上に苦労していたんだと思う。
 お墓は立てたけど、私は、その村に未練なんてなかった。
 そのまま18の誕生日を迎え、成人した日に私は村を飛び出した。

 少しだけど、家にあるだけのお金。それと、お父さんの形見のカタナ、モモフクを持って。

 怖かったし切なかったけど、初めて手に入れた自由は素晴らしかった。肩の軽さに、驚いた。
 初めての街で冒険者としてギルドに登録して、うまくいかなかった。
 でも、自分のことだけ考えればいい。他人から助けてももらえないけど、邪魔もされない。だから、楽しかった。
 お金はないけど、森に入れば食べ物なんていくらでもあった。故郷の山に比べれば、天国だ。野草だって蛇だってハチの子だっている。

 そんなとき、レイチェルっていう女の人に出会って、友達になった。彼女もまた、街ではみ出し者の魔術師だった。
 使える術は、死霊術ネクロマンシー。嫌われ者の術らしい。
 私はそんなこと知らなかったから、初めて見た術にびっくりして、すっごく褒めた。
 レイチェルは、笑ってくれた。そして、好きになった。

 そうだ、そのあと、もう一人、大切な人に出会ったんだ。それは、イングウェイさん。
 会うなり私の胸を強く揉みしだき、そして、私のコンプレックスを解消してくれた。
 私の弱い部分を、伸ばしてくれた。

 そうだ、なんで忘れていたんだろう。
 イングウェイさんだ、あの人のことを――。
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