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設営一年目
第2点 アルバイトは募集したら、勇者がやってきました。
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どうも、店長の忠野です。
手短に説明しますと、死にかけてます。
古桟栖君と十暁院さんがコンビニまで担いで連れて行ってもらいました。
コンビニに着くと、模奉が慌てて駆け寄ってくる。
忠野を見るなり、どんどん青ざめていくのが分かる。
「ててててててて、店長ー!?なんですか!その傷は!?」
「いえ、大した傷じゃないです。」
「「「何処が!?」」」」
その場の全員が口を揃えて反応した。
皆さん、大袈裟ですね。
花火大会の時に片付けを全部丸投げされた時に比べたらまだ平気です。
あの時は、3時間で3000人以上来店があったときは、本当に大変でした。
コンビニに入店して、しばらくの事だった、店長の体が暖かい光に包まれていく。
熱くなっていた背中は、いつの間にか何も感じなくなっていくことがわかる。
「て、てんちょーが光ってる!?」
「か、覚醒でもするのか?」
周りにいるお客様とスタッフ達が動揺する。
さらに時間が経つと、背中の傷と折れた腕はみるみると治っていく。
それだけではなく、血が染み込んだ部分、敗れた部分の制服が綺麗になって新品になった。
「て、店長!傷が!?」
「流石に私もこの状態で働くのは覚悟してましたが、治ってよかったです。」
「働くつもりだったの!?てか休んで!?」
そう言って、突っ込む十暁院だったが、グキュルルルルという音が聞こえた。
その音の方向を見ると、金髪の少女がうつ伏せになって倒れてた。
「お、お腹が空いた・・・ガクッ」
「あ、あの子は誰なんですか?」
ただ、それだけ言って再び倒れ、模奉が指を差し質問する。
そして、お腹の音が鳴り続ける。
「模奉さん、お客様に指を差しちゃいけませんよ」
「この状況で、お客様!?」
む、何か間違ったことでも言いましたかね?
ただただ突っ込むの模奉を見て、やれやれと言わんばかりにあきれる忠野。
「この方は、私を助けてくれたんですよ」
「え、あ、そうだったんですね」
「はい、一週間程、飲まず食わずだったらしくて、そのまま倒れました。」
「えぇ!?なんか食べさせないと!?て、てんちょー!」
模奉は私の顔を見つめる。
そんな目で見つめなくても、分かっている。
命の恩人なのだから。
「命は救っていただいのですから。何かお礼いたしましょう。
瀬川君はウォークインにお水を取ってきてください、
杏さんは何か適当に揚げ物をお願いします。
一ノ瀬さんはカップの味噌汁とお願いします。
私は適当におにぎりを取ってきます。」
そう言って、店員達は素早く動いた。
古桟栖君は慌てずに歩いて取りに行く。
良いですね、走るとお客様に物かってしまうので良い配慮です。
十暁院さんもいつも通りに揚げてますね。
ちゃんと揚げた物はキッチンペーパーでふき取ってますね。
拭き取らないと、袋に入れても油が漏れ出て大惨事になりますからね、満点です。
模奉さんはもうちょっと心に余裕を持ったほうが良いかもですね。
走るまでは至らないですが、少し急ぎ過ぎですね、これではお客様を不安にさせてしまうでしょう。
忠野はバイト店員の一人一人の行動を見て、観察し、次に活かす。
良いところは褒め、悪い所は注意をする。
注意したら次に何をしたらいいかを一緒に考える。
これを続けてやっていくことによって、一人一人の店員の質を高めていく。
そして忠野は、その功績が認められて、自分の店舗を持つ店長になったのだ。
――――5分後
忠野は従業員たちが作った物、持ってきたものを銀のトレイに乗せる。
それを少女の目の前に置いた。
すると、少女はピクピク動き、勢いよく顔を上げた。
「この匂いは・・・!?」
「食べてください。これはお礼です。」
少女は思わず、涙を浮かべ、涎を垂らす。
久しぶりの食事で感激しているのだった。
「う、うぅ・・・神様ありがとう・・・」
「いえ、私はここの店長です」
「そこ、真面目に言うところ!?」
模奉はまた突込む。
だって、私は店長ですし・・・。
「あれ?食べられない?」
少女は包装された、三角おにぎりをそのまま食べようとした。
「これはですね、ここの三角の天辺をつまんで引っ張るんですよ。」
飯河はそう言って、包装された三角おにぎりのつまみの部分を引っ張り、そのまま一周する。
すると、一粒一粒の輝く三角の白飯が剥き出しになって出てくる。
向き出した白飯と包装に挟まった海苔を同時に取り出して、白飯を海苔で包んであげて渡した。
「お、おぉー・・・!!」
少女は目を輝かせて言う。
「た、食べていいの!?」
「えぇ、いいですよ。」
目を輝かせた少女を安心させるように、営業スマイルをするが、周り従業員がちょっと震えている。
忠野は気づいていない、自分の営業スマイルが人を殺しそうな顔になっていることに。
少女はおにぎりを頬張ると、しばらく震える。
「お口に会いませんでしたか?」
「・・い」
「すみません、聞き取れませんでした・・・?」
「うまいぁい!!」
少女は叫んだ。
思ってた以上に大きい声を出した為、注意をした。
「すみません、大声は他のお客様に迷惑になるので、控えていただけると・・・」
「そこ、今言っちゃう!?」
模奉さんの突っ込みが鋭くなってきた。
「あ、すみません・・・」
「え、そこ了承しちゃう!?」
少女はシュンとしてしまう。
少し悪いことしてしまった気分だが、仕方ない事だと思い割り切った。
次はファソチキを食べる
これも絶賛だった。
「おいしい・・・!こんな美味しい物を食べたの初めて・・・。」
少女は暖かいお味噌汁を飲んだ、何かを思いついたようにおにぎりとお味噌汁を交互に食べる。
「このスープはなんですか・・・!すごくおにぎりと合うじゃないですか!」
「それはお味噌汁です。」
「オミソシル?」
どうやら、お味噌汁を知らない世界に来てしまったようですね。
これは売上を伸ばすチャンスかもしれません。
そして、最後にお水を勢いよく飲んだ。
「水もおいしいなんて・・・、どうなってるんですか、ここ・・・!?」
少女はあまりも美味しかったのか、震えているようだ。
トレイは綺麗に全部食べて貰えたようです。
忠野はほっとするのであった。
元気になった少女はお礼をした。
「美味しいご飯を恵んでもらってありがとうございます!
自己紹介が遅れました!私はファレス=ロウ=ソレイです!
勇者をやってます!」
そう言って、背中の聖剣を見せるのファレスだった。
「ゆ、勇者だと!?」
「ゆゆゆゆ、勇者!?」
「やべぇ、本当に異世界に来てしまったのか・・・。」
店員とお客様が動揺する。
そして、私は・・・
「あ、ご丁寧にありがとうございます、私は忠野 天朷と申します。
ここの店舗の店長を務めてます。」
「「「「普通に挨拶をしたーーーー!?」」」」
いやお客様ですし…。
そう思っていると。
「あっはっはは、店長はいつも通りだねぇ!」
「まぁ、店長ですし」
「えぇ!?二人ともそれでいいんですか!?」
流石ですね、二人は長い付き合いだけでもあって、理解してくれる。
すると少女は話を続ける。
「でも、それは昔の話ですけどね!」
「ん?どういう事ですか?」
何か訳ありようだった。次第にファレスの表情は次第に暗くなっていく。
少女は俯きながら語るのだった。
「私よりも強い、勇者が出てきちゃって…、それでお払い箱になっちゃったんですよね、あはは」
そう言って笑い飛ばす勇者。
飯河はただ、黙って最後まで話を聞いた。
「おかげで国から支給されるお金はもらえなくなって。
村からは勇者じゃない、お前は必要ないなんて言われました。」
「そ、そんな・・・!あんまりじゃ・・!」
「模奉さん、少し静かにしましょう」
「て、店長・・・でも・・・」
何かを言おうとしてる、模奉さんを止めた。
お客様の話は最後まで聞くべきと判断した。
最後まで話を聞かなければ、何をしたらいいか判断ができないからだ。
「そして、仲間は新しい勇者について行ってしまいました!」
それも笑顔で語る、ファレス。
「でも、良いんです!それが最善なら私は受け入れましょう!」
少女は健気だった。
健気だが、その姿には大きな悲しみ背負っていることが、ずしりと伝わる。
かつて育った故郷も共に戦った友も栄光も勇者称号も全て失ってしまったのだ。
まだ、見たところまだ模奉と同い年ぐらいであろうなのに、世界を守ろうとしたのに、その世界に裏切られたのだ。
「私よりも早く倒してくれる、勇者がいれば世界が救われます!なら私はこのまま野垂れ死んじゃっても本望かなーなんて!」
口が震えているのが分かる。
周りの皆は下を向く、中には話を聞いて泣いている人もいた。
「でも、救われてしまいました・・・。死にたかったんだけどなぁ・・・」
少女は目に雫が溜まっていく。
そして、その雫は頬に一直線に下に向って落ちて行った。
「ありがとうございました。そして、暗い話をして申し訳ございませんでした」
勇者と名乗る少女は出て行こうする。
すると、十暁院が後ろで包み込むように背中から抱きしめた。
驚いたファレスは思わず声を出してしまった。
「ひゃ、なにをするんですか!?」
「いいこ、いいこ、よく頑張ったね」
少女はその言葉を聞いて、びっくりする。
「え、え!?」
「ふぁれずざぁああああああん」
「わ、っわ!?」
「う、っうう!づらかったんでずねええええ」
一ノ瀬は、ファレスよりも大声で泣いてた。
まぁ、今回は許しましょう。
十暁院は話す。
「そんな、強がっちゃだめだよ。それに生きていれば、もっといい事あるよ。ファレスさんがどれだけ辛いかわからないけど、でも、沢山の命を救ってきたの変わりないんだよね。それに今回、ファレスさんがいなかったら、今頃店長はこの場にいなかったんだよ。だから、ありがとうね。」
お客様達はうんうんと頷く
「で、でも・・・、自分には居場所が・・・」
「あ、店長に提案ありまーす」
「どうしたんだい?古桟栖君」
古桟栖は何を思いつくように話す。
機転が聞く
「俺達のお店って、今はすっごい人でがいないじゃないですか」
「ま、まぁそうですね。」
「この子を昼勤に入れたらどうっすか?」
古桟栖君はそう言って、十暁院も同調するように言う。
お前ら本当仲がいいな。
「そうだよ!店長!ここで働かせましょうよ!それにここの世界のこと何も知らないじゃないですか!勇者なら色々しってそうじゃないですか!今後の売り上げアップにつながるかもしれないですよ!!!」
「てんちょー!」
売り上げアップにワードに反応する。
十暁院が言ってることは一理ある、右も左もわからない状態よりも、この世界の住人が一人でもいてくれたら心強いのは間違いはないだろう。
皆、忠野に注目している。
答えはすでに決まったのも同然、ファレスに目線を合わせて言う。
「そうですね、ちょうど働き手が必要でしたので、ファレスさんが良ければ出すけど」
「え、っえ!?でも私・・・、戦いに明け暮れたてたので、仕事はできないかもしれませんよ?」
私はファレスさんに近づき目線を合わせる。
「ファレスさん、よく聞いてくださいね。仕事は最初から出来る人はいないんですよ?出来るように仕事をするんですよ。」
「で、でも私は不器用だし・・・」
「大丈夫です、2ヶ月間の研修がありますので。
その分、できない所は、全部私たちが丁寧に教えていきます。」
「う、うぅ・・・本当にいいの?」
「えぇ、勿論です。貴方はここに必要な人材として認めらたんです。なので一緒に頑張りましょう。」
忠野は一人のスタッフを育て上げると決心をする。
そして、爽やかな笑顔ではファレスと握手をする。
「あ、う・・・!」
何故か、ファレスさんが顔が赤くなっていく風邪でも引いたんでしょうか?
「あーあ、店長は罪深いねぇ」
「本当ですね。あんな顔もできるんですね」
「ウッス」
私が何かしたんでしょうか?
「ファレスさん、私は何かしたんでしょうか?」
「い、いえ、なんでもありません!!」
そういって、背中をピンっと伸ばす
うん、良いスタッフになれそうだ。
そして、ファレスは膝をついて言う
「私、ファレス=ロウ=ソレイは貴方の剣になる事を誓います。
そして、ここの人たちの守護として、守ります。」
そして、私の手を取って誓った。
その姿は幼い少女とは思えないほどの凛とした姿が皆の目に焼き付いたのだった。
「あ、これからよろしくお願いしますね」
「「「「「軽っ!?」」」」」
そういって、周りの皆は笑いあったのだった。
そして、ここで元勇者のファレスがコンビニ店員として仲間になったのだった。
手短に説明しますと、死にかけてます。
古桟栖君と十暁院さんがコンビニまで担いで連れて行ってもらいました。
コンビニに着くと、模奉が慌てて駆け寄ってくる。
忠野を見るなり、どんどん青ざめていくのが分かる。
「ててててててて、店長ー!?なんですか!その傷は!?」
「いえ、大した傷じゃないです。」
「「「何処が!?」」」」
その場の全員が口を揃えて反応した。
皆さん、大袈裟ですね。
花火大会の時に片付けを全部丸投げされた時に比べたらまだ平気です。
あの時は、3時間で3000人以上来店があったときは、本当に大変でした。
コンビニに入店して、しばらくの事だった、店長の体が暖かい光に包まれていく。
熱くなっていた背中は、いつの間にか何も感じなくなっていくことがわかる。
「て、てんちょーが光ってる!?」
「か、覚醒でもするのか?」
周りにいるお客様とスタッフ達が動揺する。
さらに時間が経つと、背中の傷と折れた腕はみるみると治っていく。
それだけではなく、血が染み込んだ部分、敗れた部分の制服が綺麗になって新品になった。
「て、店長!傷が!?」
「流石に私もこの状態で働くのは覚悟してましたが、治ってよかったです。」
「働くつもりだったの!?てか休んで!?」
そう言って、突っ込む十暁院だったが、グキュルルルルという音が聞こえた。
その音の方向を見ると、金髪の少女がうつ伏せになって倒れてた。
「お、お腹が空いた・・・ガクッ」
「あ、あの子は誰なんですか?」
ただ、それだけ言って再び倒れ、模奉が指を差し質問する。
そして、お腹の音が鳴り続ける。
「模奉さん、お客様に指を差しちゃいけませんよ」
「この状況で、お客様!?」
む、何か間違ったことでも言いましたかね?
ただただ突っ込むの模奉を見て、やれやれと言わんばかりにあきれる忠野。
「この方は、私を助けてくれたんですよ」
「え、あ、そうだったんですね」
「はい、一週間程、飲まず食わずだったらしくて、そのまま倒れました。」
「えぇ!?なんか食べさせないと!?て、てんちょー!」
模奉は私の顔を見つめる。
そんな目で見つめなくても、分かっている。
命の恩人なのだから。
「命は救っていただいのですから。何かお礼いたしましょう。
瀬川君はウォークインにお水を取ってきてください、
杏さんは何か適当に揚げ物をお願いします。
一ノ瀬さんはカップの味噌汁とお願いします。
私は適当におにぎりを取ってきます。」
そう言って、店員達は素早く動いた。
古桟栖君は慌てずに歩いて取りに行く。
良いですね、走るとお客様に物かってしまうので良い配慮です。
十暁院さんもいつも通りに揚げてますね。
ちゃんと揚げた物はキッチンペーパーでふき取ってますね。
拭き取らないと、袋に入れても油が漏れ出て大惨事になりますからね、満点です。
模奉さんはもうちょっと心に余裕を持ったほうが良いかもですね。
走るまでは至らないですが、少し急ぎ過ぎですね、これではお客様を不安にさせてしまうでしょう。
忠野はバイト店員の一人一人の行動を見て、観察し、次に活かす。
良いところは褒め、悪い所は注意をする。
注意したら次に何をしたらいいかを一緒に考える。
これを続けてやっていくことによって、一人一人の店員の質を高めていく。
そして忠野は、その功績が認められて、自分の店舗を持つ店長になったのだ。
――――5分後
忠野は従業員たちが作った物、持ってきたものを銀のトレイに乗せる。
それを少女の目の前に置いた。
すると、少女はピクピク動き、勢いよく顔を上げた。
「この匂いは・・・!?」
「食べてください。これはお礼です。」
少女は思わず、涙を浮かべ、涎を垂らす。
久しぶりの食事で感激しているのだった。
「う、うぅ・・・神様ありがとう・・・」
「いえ、私はここの店長です」
「そこ、真面目に言うところ!?」
模奉はまた突込む。
だって、私は店長ですし・・・。
「あれ?食べられない?」
少女は包装された、三角おにぎりをそのまま食べようとした。
「これはですね、ここの三角の天辺をつまんで引っ張るんですよ。」
飯河はそう言って、包装された三角おにぎりのつまみの部分を引っ張り、そのまま一周する。
すると、一粒一粒の輝く三角の白飯が剥き出しになって出てくる。
向き出した白飯と包装に挟まった海苔を同時に取り出して、白飯を海苔で包んであげて渡した。
「お、おぉー・・・!!」
少女は目を輝かせて言う。
「た、食べていいの!?」
「えぇ、いいですよ。」
目を輝かせた少女を安心させるように、営業スマイルをするが、周り従業員がちょっと震えている。
忠野は気づいていない、自分の営業スマイルが人を殺しそうな顔になっていることに。
少女はおにぎりを頬張ると、しばらく震える。
「お口に会いませんでしたか?」
「・・い」
「すみません、聞き取れませんでした・・・?」
「うまいぁい!!」
少女は叫んだ。
思ってた以上に大きい声を出した為、注意をした。
「すみません、大声は他のお客様に迷惑になるので、控えていただけると・・・」
「そこ、今言っちゃう!?」
模奉さんの突っ込みが鋭くなってきた。
「あ、すみません・・・」
「え、そこ了承しちゃう!?」
少女はシュンとしてしまう。
少し悪いことしてしまった気分だが、仕方ない事だと思い割り切った。
次はファソチキを食べる
これも絶賛だった。
「おいしい・・・!こんな美味しい物を食べたの初めて・・・。」
少女は暖かいお味噌汁を飲んだ、何かを思いついたようにおにぎりとお味噌汁を交互に食べる。
「このスープはなんですか・・・!すごくおにぎりと合うじゃないですか!」
「それはお味噌汁です。」
「オミソシル?」
どうやら、お味噌汁を知らない世界に来てしまったようですね。
これは売上を伸ばすチャンスかもしれません。
そして、最後にお水を勢いよく飲んだ。
「水もおいしいなんて・・・、どうなってるんですか、ここ・・・!?」
少女はあまりも美味しかったのか、震えているようだ。
トレイは綺麗に全部食べて貰えたようです。
忠野はほっとするのであった。
元気になった少女はお礼をした。
「美味しいご飯を恵んでもらってありがとうございます!
自己紹介が遅れました!私はファレス=ロウ=ソレイです!
勇者をやってます!」
そう言って、背中の聖剣を見せるのファレスだった。
「ゆ、勇者だと!?」
「ゆゆゆゆ、勇者!?」
「やべぇ、本当に異世界に来てしまったのか・・・。」
店員とお客様が動揺する。
そして、私は・・・
「あ、ご丁寧にありがとうございます、私は忠野 天朷と申します。
ここの店舗の店長を務めてます。」
「「「「普通に挨拶をしたーーーー!?」」」」
いやお客様ですし…。
そう思っていると。
「あっはっはは、店長はいつも通りだねぇ!」
「まぁ、店長ですし」
「えぇ!?二人ともそれでいいんですか!?」
流石ですね、二人は長い付き合いだけでもあって、理解してくれる。
すると少女は話を続ける。
「でも、それは昔の話ですけどね!」
「ん?どういう事ですか?」
何か訳ありようだった。次第にファレスの表情は次第に暗くなっていく。
少女は俯きながら語るのだった。
「私よりも強い、勇者が出てきちゃって…、それでお払い箱になっちゃったんですよね、あはは」
そう言って笑い飛ばす勇者。
飯河はただ、黙って最後まで話を聞いた。
「おかげで国から支給されるお金はもらえなくなって。
村からは勇者じゃない、お前は必要ないなんて言われました。」
「そ、そんな・・・!あんまりじゃ・・!」
「模奉さん、少し静かにしましょう」
「て、店長・・・でも・・・」
何かを言おうとしてる、模奉さんを止めた。
お客様の話は最後まで聞くべきと判断した。
最後まで話を聞かなければ、何をしたらいいか判断ができないからだ。
「そして、仲間は新しい勇者について行ってしまいました!」
それも笑顔で語る、ファレス。
「でも、良いんです!それが最善なら私は受け入れましょう!」
少女は健気だった。
健気だが、その姿には大きな悲しみ背負っていることが、ずしりと伝わる。
かつて育った故郷も共に戦った友も栄光も勇者称号も全て失ってしまったのだ。
まだ、見たところまだ模奉と同い年ぐらいであろうなのに、世界を守ろうとしたのに、その世界に裏切られたのだ。
「私よりも早く倒してくれる、勇者がいれば世界が救われます!なら私はこのまま野垂れ死んじゃっても本望かなーなんて!」
口が震えているのが分かる。
周りの皆は下を向く、中には話を聞いて泣いている人もいた。
「でも、救われてしまいました・・・。死にたかったんだけどなぁ・・・」
少女は目に雫が溜まっていく。
そして、その雫は頬に一直線に下に向って落ちて行った。
「ありがとうございました。そして、暗い話をして申し訳ございませんでした」
勇者と名乗る少女は出て行こうする。
すると、十暁院が後ろで包み込むように背中から抱きしめた。
驚いたファレスは思わず声を出してしまった。
「ひゃ、なにをするんですか!?」
「いいこ、いいこ、よく頑張ったね」
少女はその言葉を聞いて、びっくりする。
「え、え!?」
「ふぁれずざぁああああああん」
「わ、っわ!?」
「う、っうう!づらかったんでずねええええ」
一ノ瀬は、ファレスよりも大声で泣いてた。
まぁ、今回は許しましょう。
十暁院は話す。
「そんな、強がっちゃだめだよ。それに生きていれば、もっといい事あるよ。ファレスさんがどれだけ辛いかわからないけど、でも、沢山の命を救ってきたの変わりないんだよね。それに今回、ファレスさんがいなかったら、今頃店長はこの場にいなかったんだよ。だから、ありがとうね。」
お客様達はうんうんと頷く
「で、でも・・・、自分には居場所が・・・」
「あ、店長に提案ありまーす」
「どうしたんだい?古桟栖君」
古桟栖は何を思いつくように話す。
機転が聞く
「俺達のお店って、今はすっごい人でがいないじゃないですか」
「ま、まぁそうですね。」
「この子を昼勤に入れたらどうっすか?」
古桟栖君はそう言って、十暁院も同調するように言う。
お前ら本当仲がいいな。
「そうだよ!店長!ここで働かせましょうよ!それにここの世界のこと何も知らないじゃないですか!勇者なら色々しってそうじゃないですか!今後の売り上げアップにつながるかもしれないですよ!!!」
「てんちょー!」
売り上げアップにワードに反応する。
十暁院が言ってることは一理ある、右も左もわからない状態よりも、この世界の住人が一人でもいてくれたら心強いのは間違いはないだろう。
皆、忠野に注目している。
答えはすでに決まったのも同然、ファレスに目線を合わせて言う。
「そうですね、ちょうど働き手が必要でしたので、ファレスさんが良ければ出すけど」
「え、っえ!?でも私・・・、戦いに明け暮れたてたので、仕事はできないかもしれませんよ?」
私はファレスさんに近づき目線を合わせる。
「ファレスさん、よく聞いてくださいね。仕事は最初から出来る人はいないんですよ?出来るように仕事をするんですよ。」
「で、でも私は不器用だし・・・」
「大丈夫です、2ヶ月間の研修がありますので。
その分、できない所は、全部私たちが丁寧に教えていきます。」
「う、うぅ・・・本当にいいの?」
「えぇ、勿論です。貴方はここに必要な人材として認めらたんです。なので一緒に頑張りましょう。」
忠野は一人のスタッフを育て上げると決心をする。
そして、爽やかな笑顔ではファレスと握手をする。
「あ、う・・・!」
何故か、ファレスさんが顔が赤くなっていく風邪でも引いたんでしょうか?
「あーあ、店長は罪深いねぇ」
「本当ですね。あんな顔もできるんですね」
「ウッス」
私が何かしたんでしょうか?
「ファレスさん、私は何かしたんでしょうか?」
「い、いえ、なんでもありません!!」
そういって、背中をピンっと伸ばす
うん、良いスタッフになれそうだ。
そして、ファレスは膝をついて言う
「私、ファレス=ロウ=ソレイは貴方の剣になる事を誓います。
そして、ここの人たちの守護として、守ります。」
そして、私の手を取って誓った。
その姿は幼い少女とは思えないほどの凛とした姿が皆の目に焼き付いたのだった。
「あ、これからよろしくお願いしますね」
「「「「「軽っ!?」」」」」
そういって、周りの皆は笑いあったのだった。
そして、ここで元勇者のファレスがコンビニ店員として仲間になったのだった。
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