血濡れは絶景を求める、

出無川 でむこ

文字の大きさ
4 / 19
第一章

3ページ目 この世界での現在の歴史

しおりを挟む
「さぁ、授業を始めるわよ」

そう言うと、生徒達は鞄からノートを取り出す。
先生は手持ちの本を取り出し、前回の授業の続きの内容を話す。

「さて、前回の復習でもしようか、前回は"3大英雄"の授業したな?では魔王を討伐したときの3大英雄の人物の名前と職業を全部言える生徒はいるかな?」

すると、隣席のエルが勢いよく手を上げた。
エルの元気の良さは、明らかに戦士系なんだが、こう見えて勉強は物凄くできるタイプだ。
話を聞けば、その日に受けた授業は、必ず家で復習すると言っていた。
流石は、優等生だ。

「はいはいはい!!」
「返事は一回で十分だ」
「ハイッ!!」

ミレイ先生は、呆れた様子でエルを指名する。
エルは机に立ち上がって、3大英雄の答えを言う。

「ハイッ!勇者のレイル様、賢者のライラ様、大神官のレイ様ですよね!」
「あぁ、名前は正解だが、職業は間違っているな」
「え!うそ!?」

エルが答えを、珍しく間違えていた。
今回の問題は、引っ掛け問題だったらしい。

「正式にはその職業は魔王討伐後の話だ。魔王討伐前は、勇者のレイル、魔法使いのライラ、神官のレイだ。賢者と大神官になったのは、その後だ。魔王に、破壊された町や村を復興しているうちに、彼らは更に称えらるようになった。ライラ様は、より国を豊かにする為に魔法の勉強して、いつしか賢者になった。レイ様は勇者と共に傷ついた者を多くでも癒す為に、世界を回って大神官になったのだ」

生徒達が、真剣に話を聞いている中、隣のスピカはつまらなさそうにしていた。
そんなスピカは小声で言う。

「3大英雄ねえ・・・」
「どうしたの?スピカさん?」

シャルはぼそりと呟くスピカに気になり話しかけた。
すると、スピカは眠そうな顔でこっちへ顔を向ける。

「なぁに、本当に3大英雄かねえ・・・っと思ってね」
「え?どういうこと?」

スピカの唐突な発言で疑問を抱く、まるで魔王を討伐したのは英雄は3人だけじゃない発言だった。
史実、本にも書かれていた事なのに何故そう思っているのか。
現にその証拠も2000年前の石板とその奥に勇者の活躍なども記載されている。
スピカは畳みかけるようにシャルに質問する。

「ねぇ、シャル?今の歴史は捻じ曲げられたものだとしたらどうする?」

スピカの黄色の眼がシャルを捉えるように見つめる。
しばらく、二人の間に沈黙が続いた。

「(歴史を捻じ曲げられた?どういうだろう?)」

スピカの質問に対して混乱する事しか出来なかった。
シャルは、そのまま思った事を。話す事にした。

「ど、どうする事もできないんじゃないかな・・・?」
「何故、そう思う?」
「それは既に決まったことだし・・・それに・・・」
「それに?」

スピカは、思っていた以上にグイグイと攻めてくるタイプだった。
その行動で、思わず息を詰まらせる。
しかし、スピカはその答えを待ってるかのように、シャルの瞳をずっと見つめる。
待たせてはいけないと、思い話す。

「それに・・・ねじ曲がったことに気づかないんじゃないかな?2000年前のことだし、僕たちはその時代に生まれているわけでもないから、今の歴史を信じる事しかできない。つまり、ずっとねじ曲がった状態かと・・・それこそ、歴史的新発見、新しい証拠がない限りは、どうにもならないと思う・・・」

その答えを聞いた、スピカは手に顎をあて何かを考える仕草をする。
すると、シャルを呼ぶ声が聞こえる。
振り向くと、目の前に何かが飛んできて、ギリギリの所で避ける。
本当に振り向くまで、分からない筈なのに、避けてしまった。
それは、恵まれた反応速度のなのか、凄まじい反射神経なのかは、分からない。
しかし、それに気づいたのは、スピカだけだった。

「ほぉ・・・」
「シャル!授業中によそ見とは良い度胸だな!!」
「せ、先生!?これには訳がありまして・・・」

シャルはスピカの方を見ると、既に背中を真っすぐして、ちゃんと先生の話を聞いていますよとアピールをしていた。
そして、察した

「(裏切りやがったぁあああああ!?)」

そんなスピカは、目だけ動かして、シャルの方をちらりと見る。
その口角が、少し上がっているのを、見逃さなかった。

「(よし、後で仕返ししてやる、覚えておけよ・・・)」

しばらく、シャルはミレイ先生の説教を受ける事になったのは言うまでもなかった。
授業が終わって小休憩を挟んだ。
転校生の噂に聞きつけたのか、他のクラスの人もスピカを一目見ようとドア越しで人が群がっていた。
これじゃ、トイレにも行くのも一苦労しそうだ。

「ねえ!スピカさんは何処から来たの!?」
「綺麗な髪だねー!」
「今は何処に住んでるのー!」

当然の如く、スピカの周りには人でいっぱいだった。
隣にいるシャルにとってはうるさく感じていた。
すると、エルがうつ伏せになっている、シャルの背中をつつく

「なんだ?」
「スピカちゃん人気だねぇー」
「そう・・・だね」

エルは、楽しそうに喋る。だが、シャルは知っている。実はスピカは腹黒なのを、何せさっきまで堂々と裏切りったのだから。
また被害者になるのは嫌だったので、できるだけ関わらないでおこうと決めていたのだった。

「どうしたの?シャル、元気ないね?」

そんなシャルの浮かない表情に気づいたエルは心配をする
しかし、エルには関係ない事だったので気を使わせない程度に話す。

「あぁ、大丈夫だよ?心配させたなら、ごめん」
「ううん、シャルが大丈夫って言うなら良いよ!」

そんな天使ようなエルの笑顔に、癒されるシャルであった。先ほどの、スピカのい悪魔的な笑みを浮かべたと違って、エルの笑顔は元気になれる。
それは、つかぬ間のことだった。
ドスドスと歩いてくる足音が聞こえる。うつ伏せになっているから、なお更にはっきり聞こえていた。
顔を上げると、スピカの机の前にピグレが立っていた。
その迫力に、圧倒されたのか、周りの生徒達が後退していく。
そして、お互いに睨みあう。
何だか、不穏な空気が流れていた。

先に口を開いたのは・・・スピカだった。

「何かしら?」

そう言うと、ピグレは背中を真っすぐにさせる。
何だか、様子がおかしいし、モジモジしていた。
傍からみたら、いつもの傲慢なピグレらしくなく、何だか気持ち悪い。というか、もじもじしないでほしい。
すると、ピグレがスピカに向って言う

「も、もしも良かったら!いいい一緒にお昼たべませんか!!」

それは、お昼のお誘いだった。
シャルは、すぐに察した。顔は赤く、身体をくねらせる。
ピグレはスピカに惚れたんだという事に。
正直、おすすめはしなかった。何せ、人を陥れることを平気でする腹黒女だという事は、俺しか気づいていなかったのだから。

「ふむ・・・」

そう言って、スピカは考え込んだ。
すると、スピカはシャルの方に一瞬だけ目がいく。運が悪く。シャルはスピカと目が合ってしまったのだった。
スピカはニヤリと笑う。それを見たシャルは、とてつもなく嫌な予感がした。
その直後のことだった、スピカは立ち上がりシャルに近づいて、そのまま・・・。

腕に組み付いた。

「「な!?」」

思わずの事で、シャルとピグレは同時に驚いた声を出す。

「ごめんなさい・・・実はシャル君と食べる約束をしていまして・・・」
「いや!僕は・・・モゴッ!!」

スピカはシャルが断るろうとすると、手で口を塞いだ。
そのまま、耳元に囁くように言う。

「良いかいシャルくん?今断れば、後で貴方を燃やすわよ?」
「ムッー!!(そんなの横暴だー!)」

すると、何やら太ももに何か尖った者が当たる。
目線を下に向けると、うまい具合に隠したナイフが見える。
その事に気づいた、シャルは背中を真っすぐになる。

「付き合ってくれるわよね?」

スピカの笑顔は怖かった。傍から見たら天使な笑顔にしか見えないが、シャルにはその笑顔ですら恐怖の対象でしかなかった。
シャルは、生命の危機を僅か10歳で覚えてしまったのだった。
断ることもできず、シャルは首を大きく振る。

「シャルくんは優しいなあ、という事で、ピグレ君だっけ?ごめんね!そういう事なの!」

ピグレは断られ、膝から崩れ落ちた。
そして、次第にピグレはシャルを睨みつけた。

「お、覚えておけよー・・・シャルゥウ・・・!!」

そんなピグレは捨て台詞を言って、自分の席に戻った。
スピカのせいで、シャルは平穏が脆くも崩れ去ってしまった
そして、本人はと言うと外を眺めていた。

「アハハ・・・、大変事になったねぇ・・・」

流石にエルもこの状況はどうフォローすれば良いのか分からなかった。
しかし、エルは知らなかった、その気遣いは返ってシャルの心を抉ってしまうという事を

「俺の平穏を返してくれ・・・」

シャルの苦労がまた一つ増えてしまったのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』

チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。 気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。 「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」 「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」 最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク! 本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった! 「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」 そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく! 神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ! ◆ガチャ転生×最強×スローライフ! 無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜
ファンタジー
 ある日、高校二年生だった桜井渚は魔法を扱うことができ、世界最強とされる精霊王に転生した。家族で海に遊びに行ったが遊んでいる最中に溺れた幼い弟を助け、代わりに自分が死んでしまったのだ。  だけど正直、俺は精霊王の立場に興味はない。精霊らしく、のんびり気楽に生きてみせるよ。  趣味の寝ることと読書だけをしてマイペースに生きるつもりだったナギサだが、優しく仲間思いな性格が災いして次々とトラブルに巻き込まれていく。果たしてナギサはそれらを乗り越えていくことができるのか。そして彼の行動原理とは……?  ロマンス、コメディ、シリアス───これは物語が進むにつれて露わになるナギサの闇やトラブルを共に乗り越えていく仲間達の物語。 ※HOT男性ランキング最高6位でした。ありがとうございました!

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました

小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。 しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!? 助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、 「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。 幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。 ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく! ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

処理中です...