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第一章
4ページ目 木のナイフ
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結局、スピカと一緒に、食べる事になった。
気遣ってくれたのか、エルも付き合ってくれた。
この時は特に問題はなく、軽い談話をして過ごしたのだが、問題が起きたのは、食後の戦闘授業の時間だった。
「さあ、模擬戦闘の時間だ」
この世界は、魔王の脅威がなくなっても、魔王の魔力の残骸によって、魔物が生み出されている。
戦闘の才能がある人は、冒険者ギルドに所属して、冒険者になり、魔物を倒して、それで生計を立てる人もいる。
ほかにも、傭兵や護衛や騎士に所属など、戦闘経験が必要な職業が沢山あるのだ。
その為、魔王がいなくなっても尚、自分を守る手段として、生きる手段として戦闘訓練は幼い頃から必修科目として受けている。
「模擬戦闘かぁ・・・」
シャルはどちらかと言う平和的な為、争い事は苦手だった。
その為、模擬戦闘の成績はそこまで良くなかった。
しかも、今日に限って、今回の相手はピグレだった。
相性は最悪だ、体格差に筋力も何もが劣っていたシャルには一度も勝った事もなかったのだから。
「よぉ!シャルゥウウ、お前と模擬戦闘するの楽しみだったぜぇ・・・」
ピグレは何時に増しても、やる気満々で満ち溢れていた。
鼻息は荒く、口からフシューフシューと、音を鳴らしならす。
シャルを小動物を狩るような目で見てくる。先ほどの事を、まだ気にしているらしく、その屈辱を模擬戦闘で晴らそうとしていた。
対するシャルは、その真逆で肩を落としていた。
隣にいた、エルは頑張ってと励ましてくれるが、流石に今でも相手をボコボコにしてきそうな人と戦うとなると、やる気がなくなっていく。
そのエルとは反対にスピカは立っていて、何故か楽しそうに見ていた、相変わらず何を考えているのかが分からなかった。
お互いに、木製で出来た剣を手に取る。
他にも、木製の武器はあるが、シャルは無難に剣を取る。
「ルールは先に2本取ったら勝ちだ!始め!」
そう言って、ミレイ先生の合図と同時にお互い動き始める。
「おりゃああああ!シャルゥウウウ!!」
「う、うぉ!?」
ピグレはシャルの頭を叩き割る勢いで木剣を振った。
シャルは反射的に手に持った木剣で防御する。
攻撃を受け止めると、ドゴォと鈍い音がなる。明らかに木剣が鳴らす音では無かった。
「お、おい!?カチ割るつもりかよ!?」
「うるせえ!!ここで、くたばりやがれ!!」
ピグレは持ち前の対格差と力でゴリ押そうとした。
シャルは、それに耐えるのが精一杯で、どうやって勝つかまで思考が追い付かない。
「シャルー!頑張れー!!」
「・・・」
エルの応援がシャルの耳に入ってくる。
その隣にいる、スピカはシャルを観察するように、ジーっと見ていた。
視線が身体に突き刺さるほどに痛みはないが、精神的に痛み感じる。そして何よりも、身体の奥底から、何だかざわつく。
「・・・っく!!」
「どうしたんだ?シャルゥ!その程度なのか?」
そう言って、ピグレは更に力を込める。
木剣がミシミシと音が鳴り、今でも壊れそうだ。
そして、このまま力任せで剣で振り、シャルは吹き飛ばされる。
「うわ!?」
シャルは転がるように吹き飛び、地面に倒れた。
そのまま、起き上がろうとすると、首元に剣が付きつけられる。
最初の一本はピグレだった。
「ふん!やったぜ!」
そう言って、ピグレは元の定位置に戻った。
シャルはそのまま大の字になる、今の勝負で大分消費した。
すると、何やらカランと軽い音が聞こえた。
音がした方を見ると、木のナイフだった。
自分の頭から、影が近づいてくる。今度は上を見上げる。
スピカが無表情で、シャルの方へと歩いてくる。
「スピカさん・・・?」
「・・・」
呼びかけても、反応はない。
周りの皆は騒めくが、それを気にもせず、そのまま、スピカは傍まで近づいてしゃがみ込んだ。
スカートの中身が見えそうになり、目を逸らす。
しかし、スピカはシャルの顔を掴み、無理やり見つめ合うように、そのまま覗き込む。
「今の、無様な戦いはなんだい?」
「へ・・・?」
転校初日だというのに、今日はスピカと、やたらと目が合うことが多い。
もはや見慣れた、その綺麗な琥珀の瞳が吸い込まれ、不思議と見放せなかった。
顔が近い、だけど恥ずかしいという感情はなく、違う意味で心臓が高鳴る。
「君の力はそんなもんじゃないだろう?」
「スピカさん・・・君はいったい何を・・・」
スピカが何を言っているのかが分からなかった。
君の力?そんなもんじゃない?どういうことだ?
その様な事を脳内でループするように思考が回る。
「さぁ、君の"本来"の武器を選んであげたわ、感謝しなさい」
今日は、何故か戸惑う事ばかりだ。
何故、自分が理不尽な目に合っているか?
そう考えると、無性に腹が立ってくる。
スピカに睨むと、怖がるどころか、小悪魔的な笑顔になっていた。
「フフッ・・・そう、それでいいのよ」
「何言ってんだよ・・・」
スピカはそのまま自己完結する。未だにシャルが理解しないままの状態で、自分の場所へと戻る。
エルはスピカとのやり取りを見て、気になったのか話しかけていた。
「シャル君と何してたのー?」
「フフッ、少し彼にアドバイスをしてあげたのよ」
遠くで笑ってるスピカを見る。
なんて自分勝手な人だと思いつつ、シャルは隣に落ちてる木製のナイフを見つめる。
「これで、どう戦えと・・・」
ナイフで戦ったなんてない。むしろ。ナイフ事態を触るのが、これが初めてだ。
しかし、スピカが渡してきた以上は、これで戦わなけばならないと思った。
じゃないと、次は何をされるか分からなかったからだ。
「それに・・・」
スピカの自信に満ちた顔を見つつ、ため息しながら、地面に落ちていた、木製のナイフを拾う。
「・・・」
不思議とナイフを握ると落ち着く。
むしろ、初めて触ったのに、何度も使った事あるかのような感覚だった。
シャルは握ったナイフを見つめる。何か体の奥から、何かを思い出す感覚に陥る。
しびれを切らしたのか、ピグレが怒鳴るようにシャルに話しかける。
「早くしろよ!ったく!またスピカちゃんと話がって!許さねぇ!」
完全な逆恨みである。
シャルはゆらりと立ち上がる。そして、シャルはピグレを優しく笑う。
「ごめんね」
シャルの優しい声で言ったのは、その一言だけだった。
ピグレは剣を構えた。
「さあ、やるぞ!」
「・・・」
先生の合図と同時にピグレは踏み込んでそのまま剣を大振りに振る。
相変わらずの巨体を利用した迫力だった。
普通の人ならここでビビッて立ちすくんでいただろう
シャルは憶する事もせず、ピグレの眼を真っすぐ見つめていた。
何やら、嫌な予感がしたのか剣を振るのが一瞬遅れる。
シャルは小さく避け、そのまま横に回り込んだ。
「何ッ・・・!?」
そのまま、シャルはナイフを振り上げる。
しかし、ピグレの方がガードが早かった、そう早かったのだ。
ピグレはシャルの振り上げた手を見てみると、"何も持っていなかった"。
「う、うそだ、うぉ!?」
ピグレの首にもう片方の手に先ほどの木のナイフが突き立てられる。
周りはあまりの出来事に唖然とする。
あのシャルがピグレに一本を取ったのだ。
「こ、この野郎!シャルの癖に!」
それが気に入らなかったのか、それも腹が立ったのか分からなかったがピグレの口調が荒くなっていく。
しかし、対するシャルは恐ろしく冷静なっていた。
まるで研ぎ澄まされたナイフのように思考が切れていた。
そして先生の指示でお互いに元の位置に戻った。
「さぁ、最後だ!始め!」
ミレイ先生は合図をした。
しかし、ピグレは先ほどの事に警戒しているのか、むやみに近づかなかった。
ピグレでも、学習はするんだなと思うシャルであった。
ここで、シャルは構えるのやめて、シャルはゆっくりと歩きだした。
人が武器を持ってて構えていれば、それは誰しも警戒するであろう。
彼は仲間でクラスメイトだ。
シャルは木のナイフはポケットにしまう。
その急の行動に、呆然とするピグレ。
だが、シャルは何時も変わらず、廊下ですれ違うような感覚で歩く。
廊下ですれ違うのはピグレだ。
知り合いなら、挨拶はすべきだと思ったシャルは挨拶をする。
「やあ、ピグレ」
「へ?」
彼との距離は近かった、すれ違う前に、手を上げ振った。
それはあまりにも自然だったので誰も気づかなかった。
ただ"一人"除いての話だが
シャルの手にはいつの間にか・・・。
ナイフが握られていた。
手を上げると同時にナイフをピグレの首に向けて刺そうとしていた。
その瞬間、ピグレは気づいた。
自分は殺されかけている。
いや、殺しに来ているという事に!
「うわぁあ!?」
ピグレは思わずのバランスが崩れ、そのまま尻餅をしてしまう。
そのまま、シャルはナイフをピグレの首に突き立てた。
「勝負あり!シャルの勝ち!」
ミレイ先生の合図が聞こえる。
勝ったのはシャルだ。
周りは未だに何が起きたのかを理解していなかった。
だが、スピカだけはご機嫌よさげに笑っていたのは遠くから見ても分かる。
何故、シャルにナイフを渡したのかが少しわかった気がする。
「だ、大丈夫?」
「あ、あぁ・・・」
シャルはピグレに近づいて言う。
負けたのがショックなのか大人しくなっていた。
ピグレはシャルを向いて話す。
「シャルゥ・・・お前いったい何したんだ?」
その事を聞かれたシャルはどう返そうと困った。
何故なら、自分でも分からなかったからだった。
ただ、ナイフを持つと、不思議と落ち着いただけを話す。
ピグレは、当然の如く何を言ってんだコイツという顔をしてて、困惑していた。
「シャルー!お疲れ!初めて勝ったね!」
「あ、うん」
シャルは言われて気づく、ピグレに初めて勝った事に。
前のシャルだったら、普通に負けていたのだから。
次にシャルはスピカの方を向き言う。
「君は・・・いったい何をしたの?」
「何もしてないわぁー、ただ貴方には剣が似合わないと思っただけよ」
そう、わざとらしく言うのだった。
結局の所、何も分からずじまいだった。
気遣ってくれたのか、エルも付き合ってくれた。
この時は特に問題はなく、軽い談話をして過ごしたのだが、問題が起きたのは、食後の戦闘授業の時間だった。
「さあ、模擬戦闘の時間だ」
この世界は、魔王の脅威がなくなっても、魔王の魔力の残骸によって、魔物が生み出されている。
戦闘の才能がある人は、冒険者ギルドに所属して、冒険者になり、魔物を倒して、それで生計を立てる人もいる。
ほかにも、傭兵や護衛や騎士に所属など、戦闘経験が必要な職業が沢山あるのだ。
その為、魔王がいなくなっても尚、自分を守る手段として、生きる手段として戦闘訓練は幼い頃から必修科目として受けている。
「模擬戦闘かぁ・・・」
シャルはどちらかと言う平和的な為、争い事は苦手だった。
その為、模擬戦闘の成績はそこまで良くなかった。
しかも、今日に限って、今回の相手はピグレだった。
相性は最悪だ、体格差に筋力も何もが劣っていたシャルには一度も勝った事もなかったのだから。
「よぉ!シャルゥウウ、お前と模擬戦闘するの楽しみだったぜぇ・・・」
ピグレは何時に増しても、やる気満々で満ち溢れていた。
鼻息は荒く、口からフシューフシューと、音を鳴らしならす。
シャルを小動物を狩るような目で見てくる。先ほどの事を、まだ気にしているらしく、その屈辱を模擬戦闘で晴らそうとしていた。
対するシャルは、その真逆で肩を落としていた。
隣にいた、エルは頑張ってと励ましてくれるが、流石に今でも相手をボコボコにしてきそうな人と戦うとなると、やる気がなくなっていく。
そのエルとは反対にスピカは立っていて、何故か楽しそうに見ていた、相変わらず何を考えているのかが分からなかった。
お互いに、木製で出来た剣を手に取る。
他にも、木製の武器はあるが、シャルは無難に剣を取る。
「ルールは先に2本取ったら勝ちだ!始め!」
そう言って、ミレイ先生の合図と同時にお互い動き始める。
「おりゃああああ!シャルゥウウウ!!」
「う、うぉ!?」
ピグレはシャルの頭を叩き割る勢いで木剣を振った。
シャルは反射的に手に持った木剣で防御する。
攻撃を受け止めると、ドゴォと鈍い音がなる。明らかに木剣が鳴らす音では無かった。
「お、おい!?カチ割るつもりかよ!?」
「うるせえ!!ここで、くたばりやがれ!!」
ピグレは持ち前の対格差と力でゴリ押そうとした。
シャルは、それに耐えるのが精一杯で、どうやって勝つかまで思考が追い付かない。
「シャルー!頑張れー!!」
「・・・」
エルの応援がシャルの耳に入ってくる。
その隣にいる、スピカはシャルを観察するように、ジーっと見ていた。
視線が身体に突き刺さるほどに痛みはないが、精神的に痛み感じる。そして何よりも、身体の奥底から、何だかざわつく。
「・・・っく!!」
「どうしたんだ?シャルゥ!その程度なのか?」
そう言って、ピグレは更に力を込める。
木剣がミシミシと音が鳴り、今でも壊れそうだ。
そして、このまま力任せで剣で振り、シャルは吹き飛ばされる。
「うわ!?」
シャルは転がるように吹き飛び、地面に倒れた。
そのまま、起き上がろうとすると、首元に剣が付きつけられる。
最初の一本はピグレだった。
「ふん!やったぜ!」
そう言って、ピグレは元の定位置に戻った。
シャルはそのまま大の字になる、今の勝負で大分消費した。
すると、何やらカランと軽い音が聞こえた。
音がした方を見ると、木のナイフだった。
自分の頭から、影が近づいてくる。今度は上を見上げる。
スピカが無表情で、シャルの方へと歩いてくる。
「スピカさん・・・?」
「・・・」
呼びかけても、反応はない。
周りの皆は騒めくが、それを気にもせず、そのまま、スピカは傍まで近づいてしゃがみ込んだ。
スカートの中身が見えそうになり、目を逸らす。
しかし、スピカはシャルの顔を掴み、無理やり見つめ合うように、そのまま覗き込む。
「今の、無様な戦いはなんだい?」
「へ・・・?」
転校初日だというのに、今日はスピカと、やたらと目が合うことが多い。
もはや見慣れた、その綺麗な琥珀の瞳が吸い込まれ、不思議と見放せなかった。
顔が近い、だけど恥ずかしいという感情はなく、違う意味で心臓が高鳴る。
「君の力はそんなもんじゃないだろう?」
「スピカさん・・・君はいったい何を・・・」
スピカが何を言っているのかが分からなかった。
君の力?そんなもんじゃない?どういうことだ?
その様な事を脳内でループするように思考が回る。
「さぁ、君の"本来"の武器を選んであげたわ、感謝しなさい」
今日は、何故か戸惑う事ばかりだ。
何故、自分が理不尽な目に合っているか?
そう考えると、無性に腹が立ってくる。
スピカに睨むと、怖がるどころか、小悪魔的な笑顔になっていた。
「フフッ・・・そう、それでいいのよ」
「何言ってんだよ・・・」
スピカはそのまま自己完結する。未だにシャルが理解しないままの状態で、自分の場所へと戻る。
エルはスピカとのやり取りを見て、気になったのか話しかけていた。
「シャル君と何してたのー?」
「フフッ、少し彼にアドバイスをしてあげたのよ」
遠くで笑ってるスピカを見る。
なんて自分勝手な人だと思いつつ、シャルは隣に落ちてる木製のナイフを見つめる。
「これで、どう戦えと・・・」
ナイフで戦ったなんてない。むしろ。ナイフ事態を触るのが、これが初めてだ。
しかし、スピカが渡してきた以上は、これで戦わなけばならないと思った。
じゃないと、次は何をされるか分からなかったからだ。
「それに・・・」
スピカの自信に満ちた顔を見つつ、ため息しながら、地面に落ちていた、木製のナイフを拾う。
「・・・」
不思議とナイフを握ると落ち着く。
むしろ、初めて触ったのに、何度も使った事あるかのような感覚だった。
シャルは握ったナイフを見つめる。何か体の奥から、何かを思い出す感覚に陥る。
しびれを切らしたのか、ピグレが怒鳴るようにシャルに話しかける。
「早くしろよ!ったく!またスピカちゃんと話がって!許さねぇ!」
完全な逆恨みである。
シャルはゆらりと立ち上がる。そして、シャルはピグレを優しく笑う。
「ごめんね」
シャルの優しい声で言ったのは、その一言だけだった。
ピグレは剣を構えた。
「さあ、やるぞ!」
「・・・」
先生の合図と同時にピグレは踏み込んでそのまま剣を大振りに振る。
相変わらずの巨体を利用した迫力だった。
普通の人ならここでビビッて立ちすくんでいただろう
シャルは憶する事もせず、ピグレの眼を真っすぐ見つめていた。
何やら、嫌な予感がしたのか剣を振るのが一瞬遅れる。
シャルは小さく避け、そのまま横に回り込んだ。
「何ッ・・・!?」
そのまま、シャルはナイフを振り上げる。
しかし、ピグレの方がガードが早かった、そう早かったのだ。
ピグレはシャルの振り上げた手を見てみると、"何も持っていなかった"。
「う、うそだ、うぉ!?」
ピグレの首にもう片方の手に先ほどの木のナイフが突き立てられる。
周りはあまりの出来事に唖然とする。
あのシャルがピグレに一本を取ったのだ。
「こ、この野郎!シャルの癖に!」
それが気に入らなかったのか、それも腹が立ったのか分からなかったがピグレの口調が荒くなっていく。
しかし、対するシャルは恐ろしく冷静なっていた。
まるで研ぎ澄まされたナイフのように思考が切れていた。
そして先生の指示でお互いに元の位置に戻った。
「さぁ、最後だ!始め!」
ミレイ先生は合図をした。
しかし、ピグレは先ほどの事に警戒しているのか、むやみに近づかなかった。
ピグレでも、学習はするんだなと思うシャルであった。
ここで、シャルは構えるのやめて、シャルはゆっくりと歩きだした。
人が武器を持ってて構えていれば、それは誰しも警戒するであろう。
彼は仲間でクラスメイトだ。
シャルは木のナイフはポケットにしまう。
その急の行動に、呆然とするピグレ。
だが、シャルは何時も変わらず、廊下ですれ違うような感覚で歩く。
廊下ですれ違うのはピグレだ。
知り合いなら、挨拶はすべきだと思ったシャルは挨拶をする。
「やあ、ピグレ」
「へ?」
彼との距離は近かった、すれ違う前に、手を上げ振った。
それはあまりにも自然だったので誰も気づかなかった。
ただ"一人"除いての話だが
シャルの手にはいつの間にか・・・。
ナイフが握られていた。
手を上げると同時にナイフをピグレの首に向けて刺そうとしていた。
その瞬間、ピグレは気づいた。
自分は殺されかけている。
いや、殺しに来ているという事に!
「うわぁあ!?」
ピグレは思わずのバランスが崩れ、そのまま尻餅をしてしまう。
そのまま、シャルはナイフをピグレの首に突き立てた。
「勝負あり!シャルの勝ち!」
ミレイ先生の合図が聞こえる。
勝ったのはシャルだ。
周りは未だに何が起きたのかを理解していなかった。
だが、スピカだけはご機嫌よさげに笑っていたのは遠くから見ても分かる。
何故、シャルにナイフを渡したのかが少しわかった気がする。
「だ、大丈夫?」
「あ、あぁ・・・」
シャルはピグレに近づいて言う。
負けたのがショックなのか大人しくなっていた。
ピグレはシャルを向いて話す。
「シャルゥ・・・お前いったい何したんだ?」
その事を聞かれたシャルはどう返そうと困った。
何故なら、自分でも分からなかったからだった。
ただ、ナイフを持つと、不思議と落ち着いただけを話す。
ピグレは、当然の如く何を言ってんだコイツという顔をしてて、困惑していた。
「シャルー!お疲れ!初めて勝ったね!」
「あ、うん」
シャルは言われて気づく、ピグレに初めて勝った事に。
前のシャルだったら、普通に負けていたのだから。
次にシャルはスピカの方を向き言う。
「君は・・・いったい何をしたの?」
「何もしてないわぁー、ただ貴方には剣が似合わないと思っただけよ」
そう、わざとらしく言うのだった。
結局の所、何も分からずじまいだった。
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