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改稿シリーズ・第一章
第12話 乗り物と復讐の話
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「・・・出口だ」
月ノ城に案内がされるまま、道を進んでいくと、奥の方に光が見えてくる。
そして、俺たちは洞窟から、出る事ができた。
澄んだ空気が、身体に染み込んでくる。
上を見上げると、太陽が俺たちを歓迎するかのように、照らしていた。
ここ2週間の間はずっと、洞窟の中にいたせいか。
もの凄く眩しい、目が痛くなるぐらいに。
「眩しいな・・・」
「太陽・・・!」
アイリスはYの字に腕を広げて、太陽を拝んでいた。
どこかで見たことあるようなポーズだが、気にしないでおこう。
少し前に、月ノ城が立ち止まり、胸の懐から、何かを取り出す。
そのまま、洋紙を取り出し、広げる。
後ろか、覗くように見ると、それは世界地図だった。
「へえ、この世界の大陸ってこんな感じなんだな」
全体に的に、ひし形世界だった。
地図には、しっかりと、町の名前や王国の名前が書いてあり、真ん中にフィルネル王国と書いてある。
その名前を見ると、アイツのことを思い出し、不快になってくる。
しかし、軌光石があるのに、何故、洋紙の地図を使っているのかを聞くと「こっちの方が、慣れているんだ。軌光石はどうも、慣れん」と言う。
どうやら、機械系が苦手な、おじいちゃんみたいだ。
「これを見てくれ」
月ノ城は北側の方に、赤い丸がついてる場所に、ペンを取り出して叩く。
「俺たちは、今はこの場所にいる。そして、ここから西へと向かう。」
そう言って、月ノ城のペンを動かし、西へと指す。
結構距離がある。ここから、歩いて行くとなれば、3週程は掛かりそうだ。
「普通なら、3週間ほど掛かるが・・・移動手段あるから、問題ない。」
「移動手段とは?」
この世界なら、空を跳んだり、馬車を使ったりすると思えば、月ノ城はカプセルみたいな物を取り出した。
「それは?」
「ああ、これはだな・・・」
月ノ城はカプセルのボタンらしきものを押して、そこら辺の平野に投げる。
ドンッ!!!
煙がもくもくと立ち上がり
やがて、晴れていくとそこには・・・漆黒の刺々しいフォルムをした、自動車が現れた。
そして、俺は思う。
これ見たことあるやつだーー!?
てか、ドラ〇ン・〇ールじゃねぇか!!
思って以上に、現代的な移動手段に、少し夢が壊れた気がする。
俺たちに世界は魔法に憧れるように、同じかもしれない。
まあ、これは、これでありかもしれないけど・・・。
そして、月ノ城は決め顔で言う。
「ブラック・ブケファラスⅡ世だ」
「ブフッ・・」
吹きそうになり、口を塞ぐ。
そもそも、二世ってなんだよ。これは後継機なのか?
さりげなく、無駄に車がかっこいいから、色々酷いような気がする。
このネーミングセンスは、絶対に日本人しかいないだろう。
「どうした、黒杉?」
「な、なんでもない・・・!」
「まぁ、いい・・・さぁ、乗れ」
そう言って、車のドアは縦にスライドする。
無駄に、かっこよくて、男心をくすぐらせてくる。
そして、月ノ城が無表情だけど、何故か嬉しそうな顔してるような気がした。
雰囲気で伝わるというのは、こういうことなんだなって思う。
「ヨウイチ・・・これ乗っても大丈夫?」
アイリスは、不安げな顔で自動車を見つめる。
初めてみる、表情だったものだから、少しでも不安を和らげるために、説明する。
「あぁ、大丈夫だよ、俺の世界では当たり前の乗り物なんだ」
「そ、そう・・・」
それでも、躊躇うアイリス。
まるで、本能的に身の危険を感じているかのように、身を構える。
見た感じは、何処かが壊れている個所はない、なぜ警戒するのだろうか、アイリスにしか見えないものがあるだろうか?
それは、何か起きた時に、何とかしよう。
それよりも・・・。
「何故この乗り物がこの世界にあるんだ?」
「まぁ、それは乗りながら説明しようか」
そう言って、月ノ城は先に乗り込み、続いて、シルクも車の中へと飛び込みながら乗り込む、その姿は完全に猫だった。
「ほら、アイリスも行くぞ。大丈夫だって、月ノ城さんたちは、いつもこれで移動してるっぽいから、大丈夫だと思うぞ」
「う、うん・・・」
躊躇うアイリスの手を、引っ張り、そのまま一緒に車の中に乗り込む。
全員が揃ったところで、車を発進させる。
エンジン音が付いたことで、シルクが興奮するように、窓を張り付くように、外の景色を眺め始める。
「月ノ城さん、この乗り物は?」
「これは組織の一人の提案で作られた物だ。そして、そいつは転生者なんだ」
「転生者・・・」
転生者か・・・この車を作ったというなら、きっと俺と同じ世界の人なのかもしれない。
「なんでも、前の世界で記憶を引き継いで生まれ変わったらしい。」
「なるほどなぁ・・・」
この世界は、転生者がいる事がわかったことでも、良い情報だった。
召喚されること以外でも、この世界に行ける方法があるってことが分かえう。
ただ、それを知っても、それがどうしたって話になるんだけどな。
――――【2時間後】
「う、うぅ・・・」
何か、後ろでうめき声が聞こえると思えば、アイリスだった。
後ろを見てみると、シルクがアイリスの背中をさすっている。
成る程、だから、拒否反応したのだろう。
「ヨウイチぃ・・・」
「あーはいはい・・・もうちょっと我慢してくれ・・・な?」
そう言って、涙目になりながら我慢するアイリスであった。
どうやら、アイリスは乗り物系は苦手のようだ。
「あ、そうだ!!」
「どうしたんだ?シルクさん?」
「実は良いものがあるんですよ!!フッフッフ!!」
そういって、シルクは自分の鞄をガサゴソさせて、何かをとり出す。
「じゃじゃん!飴ちゃんです!!アイリスさん!これをなめてください!」
そういって、シルクはアイリスに渡して、その飴玉を舐めはじめる
そして、アイリスは目を閉じて、蒼くなっていた顔が、少しずつ引いていく。
「三日ぐらいだ、我慢してくれ。」
「わかった」
月ノ城の言葉で、アイリスは再び、うめき声が聞こえる。
こればかりは、我慢してもらうしかない。
ご愁傷さまだ・・・。
そう言って、外の景色を眺める。
やはり、ここの世界に車は似合わないなと思いつつ。
到着するのに、3日も掛かるそうだから、その間に月ノ城に聞きたいことを聞いてみようかと思った。
「なあ、月ノ城さん」
「なんだ?」
「俺のスキルなんだけどさ、分からないことがあるんだ」
「ふむ?スキルか・・・どれ、見せてみろ」
そう言って、軌光石を使って、成長スキルを見せる。
月ノ城は車を止めて、頷きながら見ている。
そのまま、画面を閉じて、黒杉に言う。
「成長スキルか・・・珍しいものを持ってるんだな」
「知ってるんですか?」
「ああ、知ってる」
良かった。
ようやく、スキルに詳しい人が出会える事ができた。
ハンドルを握りながら、口頭で話し始める
「その成長スキルは、自分の体を鍛えることによってステータスを上げることができる」
「き、鍛える?」
「簡単に言えば・・・筋トレだ」
「筋トレ!??」
衝撃の事実で、俺は勢いよく前に倒れそうになる。
まさか、筋トレするだけでステータスが上がるなんて、予想外だった。
「攻撃と素早さを、同時に上げるなら、重い物をもったりして走るといいぞ。器用さが微妙に高いってことは・・・モンスターを急所攻撃したり、料理とかしてたら上がったんじゃないか?成長スキルは、自分の日常動作にも影響するからな、細かい所を気にしてみると良いだろう」
「なるほど・・・ありがとうございます」
これで説明がつく、微妙にHPと器用さが高いのは、何度も魔物を攻撃を受けては回復したり、料理を作っていたからだ、自分がやっている事は、無駄にならないのは、大きなメリットだ。
「あと、成長スキルはもう一つ能力ある」
「そ、それは?」
思わず、俺は唾を飲み込む。
「それはだな・・・スキルを使うたびに、強くなっていくんだ」
「でも、それって普通じゃないですか?」
「少し違うな。通常スキルは、ステータスとパッシブ効果で、威力が上がる。だが、成長スキルは、スキル自体が成長するように、強くなっていくんだ。」
「んー・・・?」
ん、どういうことだ?ちょっとわからんな?
理解ができずに、頭を捻る。
そんな、黒杉の姿を見て、月ノ城は、もう一度説明をする。
「説明が下手で、申し訳ないな。例えば、通常だとLVが上がればステータスが上がると、威力も上がるだろ?」
「そうですね・・・この世界では、当たり前のこと」
「ああ、成長スキルは、そのスキルを使い続ける事で、LVが上がらなくてもスキルが強化されていくんだ。勿論、上限はあるけどな」
「なるほど」
なるほどな、そういう効果があったことに素直に感心した。
「戦ってた時に、違和感とか感じなかったか?攻撃した時に、いつもより、攻撃がうまくいったり、魔法が制御しやすくなったとか」
「・・・確かに、ありましたね」
黒杉はオロチとの戦いを思い出す。
『風圧』のコントロールや『加速』を使う度に、速くなってたような気がした。
まだ強くなれる可能性がある。それだけでも、安心できた。
「・・・もっと、強くなれる」
黒杉は、板野のことを思い出す。
その度に、刺された胸を触り、自分の使命を確認する。
目がぎらついた目で、ナイフを取り出して、見つめる。
そんな、月ノ城は黒杉の表情を伺うように話す。
「黒杉は強くなりたいのか?」
「・・・ああ、俺は強くなりたい。ならないといけないんだ」
俺は強くなってアイツに仕返しをしなければならない。
絶対に忘れない、この胸の事も、俺の友を傷つけようとしている事も、許されない。
すると、自分の考えを読まれるように、月ノ城が話す。
「・・・復讐を考えているなら、やめとけ」
「何故、わかるんです?それに、仮に復讐をするとしても、それは月ノ城さんには関係ないだろ?」
「・・・関係ないか」
月ノ城は黙る。
碧い瞳が、目の前の景色を真っすぐ見つめる。
何処か、思い詰めるような顔をして、やがて口を開く。
「確かに、お前の復讐には、俺には関係ないな」
「だろ?じゃあ・・・」
「だけどな・・・」
黒杉が、何か言おうとすると、月ノ城は割り込むように話し続けた。
「その復讐が正しくても、それが達成されても、満たされるとは限らないし、あっけないものだ」
「なんですかそれ・・・」
「さあな、ただ言えることが、あるなら・・・虚しくなるだけだな」
「・・・」
月ノ城は優しい眼をして、「あとは自分で考えろ」と言って、運転を再開する。
虚しくなる。
その言葉が、胸に深く突き刺さり、重く感じる。
過去に色々あったんだろうか、彼の姿は、過去に自分に懺悔するかのように、生きてるようにみええる。
「まあ、強くなりたいなら、協力はしよう」
「本当か?」
「ああ、その代わりに、俺たちの仕事を手伝ってもらうことになるが、大丈夫か?」
きっと、魔獣王の開放の事だろう。
だが、元の世界に帰る為には、避けては通れない道。
「ああ!強くなれるなら、やってやるさ」
「良い返事だ・・・期待してるぞ」
月ノ城は、再び静かに笑う。
これから、もっと厳しくなりそうだ。
「安心しろ、"俺たち"がお前を強くさせてやるさ」
「月ノ城さん・・・ありがとう」
「強くなってから言ってくれ、まず、それからだ」
―――――【三日後】
車を走らせて、三日が立つ。
そして、何もない平原に止まる。
見渡せば、一本の木が立ってるのと、周りに自分たちの3倍はあるだろうと、思われる岩が、そこら中に落ちていた。
「着いたぞ、今日からお前たちの住処だ。」
月ノ城は、後ろに寝てた二人を起こす。
「んー?もうついたんでふかー?」
「んー、よういちー?」
二人は寝ぼけていた。
眠そうな目を擦り、瞬きをして、そとの景色を見渡した。
「ほら、先行っちまうぞ」
「まってえー」
そう言って追いかける、アイリスとシルク。
外に出ると、風が当たり、空気が澄んでいた。
それだけでも、心が晴れやかになる。
ここの世界に来て、今のところ、良かったことは、空気がうまいぐらいしかなかった。
「着いたぞ」
しばらく歩くと、月ノ城が立ち止まる。
その場所は、先ほどと変わらない、平原と沢山の岩だった。
「月ノ城さん?ここには何も無いんですけども・・・」
「まあ、待ってろ」
月ノ城は近くの岩に触る。
魔力を込めて、何かをしているようだ。
すると、音を鳴らしながら、大きな岩が横にずれる。
ゴゴゴゴォ・・・
音が聞こえなくなると、同時に岩が止まる。
穴が見える。覗けば、そこには地下に続く階段だった。
「ようこそ、フヴェズルングへ、君たちを歓迎しよう」
そう言って、月ノ城が先頭で、案内され、俺たちは地下へ降りる。
月ノ城に案内がされるまま、道を進んでいくと、奥の方に光が見えてくる。
そして、俺たちは洞窟から、出る事ができた。
澄んだ空気が、身体に染み込んでくる。
上を見上げると、太陽が俺たちを歓迎するかのように、照らしていた。
ここ2週間の間はずっと、洞窟の中にいたせいか。
もの凄く眩しい、目が痛くなるぐらいに。
「眩しいな・・・」
「太陽・・・!」
アイリスはYの字に腕を広げて、太陽を拝んでいた。
どこかで見たことあるようなポーズだが、気にしないでおこう。
少し前に、月ノ城が立ち止まり、胸の懐から、何かを取り出す。
そのまま、洋紙を取り出し、広げる。
後ろか、覗くように見ると、それは世界地図だった。
「へえ、この世界の大陸ってこんな感じなんだな」
全体に的に、ひし形世界だった。
地図には、しっかりと、町の名前や王国の名前が書いてあり、真ん中にフィルネル王国と書いてある。
その名前を見ると、アイツのことを思い出し、不快になってくる。
しかし、軌光石があるのに、何故、洋紙の地図を使っているのかを聞くと「こっちの方が、慣れているんだ。軌光石はどうも、慣れん」と言う。
どうやら、機械系が苦手な、おじいちゃんみたいだ。
「これを見てくれ」
月ノ城は北側の方に、赤い丸がついてる場所に、ペンを取り出して叩く。
「俺たちは、今はこの場所にいる。そして、ここから西へと向かう。」
そう言って、月ノ城のペンを動かし、西へと指す。
結構距離がある。ここから、歩いて行くとなれば、3週程は掛かりそうだ。
「普通なら、3週間ほど掛かるが・・・移動手段あるから、問題ない。」
「移動手段とは?」
この世界なら、空を跳んだり、馬車を使ったりすると思えば、月ノ城はカプセルみたいな物を取り出した。
「それは?」
「ああ、これはだな・・・」
月ノ城はカプセルのボタンらしきものを押して、そこら辺の平野に投げる。
ドンッ!!!
煙がもくもくと立ち上がり
やがて、晴れていくとそこには・・・漆黒の刺々しいフォルムをした、自動車が現れた。
そして、俺は思う。
これ見たことあるやつだーー!?
てか、ドラ〇ン・〇ールじゃねぇか!!
思って以上に、現代的な移動手段に、少し夢が壊れた気がする。
俺たちに世界は魔法に憧れるように、同じかもしれない。
まあ、これは、これでありかもしれないけど・・・。
そして、月ノ城は決め顔で言う。
「ブラック・ブケファラスⅡ世だ」
「ブフッ・・」
吹きそうになり、口を塞ぐ。
そもそも、二世ってなんだよ。これは後継機なのか?
さりげなく、無駄に車がかっこいいから、色々酷いような気がする。
このネーミングセンスは、絶対に日本人しかいないだろう。
「どうした、黒杉?」
「な、なんでもない・・・!」
「まぁ、いい・・・さぁ、乗れ」
そう言って、車のドアは縦にスライドする。
無駄に、かっこよくて、男心をくすぐらせてくる。
そして、月ノ城が無表情だけど、何故か嬉しそうな顔してるような気がした。
雰囲気で伝わるというのは、こういうことなんだなって思う。
「ヨウイチ・・・これ乗っても大丈夫?」
アイリスは、不安げな顔で自動車を見つめる。
初めてみる、表情だったものだから、少しでも不安を和らげるために、説明する。
「あぁ、大丈夫だよ、俺の世界では当たり前の乗り物なんだ」
「そ、そう・・・」
それでも、躊躇うアイリス。
まるで、本能的に身の危険を感じているかのように、身を構える。
見た感じは、何処かが壊れている個所はない、なぜ警戒するのだろうか、アイリスにしか見えないものがあるだろうか?
それは、何か起きた時に、何とかしよう。
それよりも・・・。
「何故この乗り物がこの世界にあるんだ?」
「まぁ、それは乗りながら説明しようか」
そう言って、月ノ城は先に乗り込み、続いて、シルクも車の中へと飛び込みながら乗り込む、その姿は完全に猫だった。
「ほら、アイリスも行くぞ。大丈夫だって、月ノ城さんたちは、いつもこれで移動してるっぽいから、大丈夫だと思うぞ」
「う、うん・・・」
躊躇うアイリスの手を、引っ張り、そのまま一緒に車の中に乗り込む。
全員が揃ったところで、車を発進させる。
エンジン音が付いたことで、シルクが興奮するように、窓を張り付くように、外の景色を眺め始める。
「月ノ城さん、この乗り物は?」
「これは組織の一人の提案で作られた物だ。そして、そいつは転生者なんだ」
「転生者・・・」
転生者か・・・この車を作ったというなら、きっと俺と同じ世界の人なのかもしれない。
「なんでも、前の世界で記憶を引き継いで生まれ変わったらしい。」
「なるほどなぁ・・・」
この世界は、転生者がいる事がわかったことでも、良い情報だった。
召喚されること以外でも、この世界に行ける方法があるってことが分かえう。
ただ、それを知っても、それがどうしたって話になるんだけどな。
――――【2時間後】
「う、うぅ・・・」
何か、後ろでうめき声が聞こえると思えば、アイリスだった。
後ろを見てみると、シルクがアイリスの背中をさすっている。
成る程、だから、拒否反応したのだろう。
「ヨウイチぃ・・・」
「あーはいはい・・・もうちょっと我慢してくれ・・・な?」
そう言って、涙目になりながら我慢するアイリスであった。
どうやら、アイリスは乗り物系は苦手のようだ。
「あ、そうだ!!」
「どうしたんだ?シルクさん?」
「実は良いものがあるんですよ!!フッフッフ!!」
そういって、シルクは自分の鞄をガサゴソさせて、何かをとり出す。
「じゃじゃん!飴ちゃんです!!アイリスさん!これをなめてください!」
そういって、シルクはアイリスに渡して、その飴玉を舐めはじめる
そして、アイリスは目を閉じて、蒼くなっていた顔が、少しずつ引いていく。
「三日ぐらいだ、我慢してくれ。」
「わかった」
月ノ城の言葉で、アイリスは再び、うめき声が聞こえる。
こればかりは、我慢してもらうしかない。
ご愁傷さまだ・・・。
そう言って、外の景色を眺める。
やはり、ここの世界に車は似合わないなと思いつつ。
到着するのに、3日も掛かるそうだから、その間に月ノ城に聞きたいことを聞いてみようかと思った。
「なあ、月ノ城さん」
「なんだ?」
「俺のスキルなんだけどさ、分からないことがあるんだ」
「ふむ?スキルか・・・どれ、見せてみろ」
そう言って、軌光石を使って、成長スキルを見せる。
月ノ城は車を止めて、頷きながら見ている。
そのまま、画面を閉じて、黒杉に言う。
「成長スキルか・・・珍しいものを持ってるんだな」
「知ってるんですか?」
「ああ、知ってる」
良かった。
ようやく、スキルに詳しい人が出会える事ができた。
ハンドルを握りながら、口頭で話し始める
「その成長スキルは、自分の体を鍛えることによってステータスを上げることができる」
「き、鍛える?」
「簡単に言えば・・・筋トレだ」
「筋トレ!??」
衝撃の事実で、俺は勢いよく前に倒れそうになる。
まさか、筋トレするだけでステータスが上がるなんて、予想外だった。
「攻撃と素早さを、同時に上げるなら、重い物をもったりして走るといいぞ。器用さが微妙に高いってことは・・・モンスターを急所攻撃したり、料理とかしてたら上がったんじゃないか?成長スキルは、自分の日常動作にも影響するからな、細かい所を気にしてみると良いだろう」
「なるほど・・・ありがとうございます」
これで説明がつく、微妙にHPと器用さが高いのは、何度も魔物を攻撃を受けては回復したり、料理を作っていたからだ、自分がやっている事は、無駄にならないのは、大きなメリットだ。
「あと、成長スキルはもう一つ能力ある」
「そ、それは?」
思わず、俺は唾を飲み込む。
「それはだな・・・スキルを使うたびに、強くなっていくんだ」
「でも、それって普通じゃないですか?」
「少し違うな。通常スキルは、ステータスとパッシブ効果で、威力が上がる。だが、成長スキルは、スキル自体が成長するように、強くなっていくんだ。」
「んー・・・?」
ん、どういうことだ?ちょっとわからんな?
理解ができずに、頭を捻る。
そんな、黒杉の姿を見て、月ノ城は、もう一度説明をする。
「説明が下手で、申し訳ないな。例えば、通常だとLVが上がればステータスが上がると、威力も上がるだろ?」
「そうですね・・・この世界では、当たり前のこと」
「ああ、成長スキルは、そのスキルを使い続ける事で、LVが上がらなくてもスキルが強化されていくんだ。勿論、上限はあるけどな」
「なるほど」
なるほどな、そういう効果があったことに素直に感心した。
「戦ってた時に、違和感とか感じなかったか?攻撃した時に、いつもより、攻撃がうまくいったり、魔法が制御しやすくなったとか」
「・・・確かに、ありましたね」
黒杉はオロチとの戦いを思い出す。
『風圧』のコントロールや『加速』を使う度に、速くなってたような気がした。
まだ強くなれる可能性がある。それだけでも、安心できた。
「・・・もっと、強くなれる」
黒杉は、板野のことを思い出す。
その度に、刺された胸を触り、自分の使命を確認する。
目がぎらついた目で、ナイフを取り出して、見つめる。
そんな、月ノ城は黒杉の表情を伺うように話す。
「黒杉は強くなりたいのか?」
「・・・ああ、俺は強くなりたい。ならないといけないんだ」
俺は強くなってアイツに仕返しをしなければならない。
絶対に忘れない、この胸の事も、俺の友を傷つけようとしている事も、許されない。
すると、自分の考えを読まれるように、月ノ城が話す。
「・・・復讐を考えているなら、やめとけ」
「何故、わかるんです?それに、仮に復讐をするとしても、それは月ノ城さんには関係ないだろ?」
「・・・関係ないか」
月ノ城は黙る。
碧い瞳が、目の前の景色を真っすぐ見つめる。
何処か、思い詰めるような顔をして、やがて口を開く。
「確かに、お前の復讐には、俺には関係ないな」
「だろ?じゃあ・・・」
「だけどな・・・」
黒杉が、何か言おうとすると、月ノ城は割り込むように話し続けた。
「その復讐が正しくても、それが達成されても、満たされるとは限らないし、あっけないものだ」
「なんですかそれ・・・」
「さあな、ただ言えることが、あるなら・・・虚しくなるだけだな」
「・・・」
月ノ城は優しい眼をして、「あとは自分で考えろ」と言って、運転を再開する。
虚しくなる。
その言葉が、胸に深く突き刺さり、重く感じる。
過去に色々あったんだろうか、彼の姿は、過去に自分に懺悔するかのように、生きてるようにみええる。
「まあ、強くなりたいなら、協力はしよう」
「本当か?」
「ああ、その代わりに、俺たちの仕事を手伝ってもらうことになるが、大丈夫か?」
きっと、魔獣王の開放の事だろう。
だが、元の世界に帰る為には、避けては通れない道。
「ああ!強くなれるなら、やってやるさ」
「良い返事だ・・・期待してるぞ」
月ノ城は、再び静かに笑う。
これから、もっと厳しくなりそうだ。
「安心しろ、"俺たち"がお前を強くさせてやるさ」
「月ノ城さん・・・ありがとう」
「強くなってから言ってくれ、まず、それからだ」
―――――【三日後】
車を走らせて、三日が立つ。
そして、何もない平原に止まる。
見渡せば、一本の木が立ってるのと、周りに自分たちの3倍はあるだろうと、思われる岩が、そこら中に落ちていた。
「着いたぞ、今日からお前たちの住処だ。」
月ノ城は、後ろに寝てた二人を起こす。
「んー?もうついたんでふかー?」
「んー、よういちー?」
二人は寝ぼけていた。
眠そうな目を擦り、瞬きをして、そとの景色を見渡した。
「ほら、先行っちまうぞ」
「まってえー」
そう言って追いかける、アイリスとシルク。
外に出ると、風が当たり、空気が澄んでいた。
それだけでも、心が晴れやかになる。
ここの世界に来て、今のところ、良かったことは、空気がうまいぐらいしかなかった。
「着いたぞ」
しばらく歩くと、月ノ城が立ち止まる。
その場所は、先ほどと変わらない、平原と沢山の岩だった。
「月ノ城さん?ここには何も無いんですけども・・・」
「まあ、待ってろ」
月ノ城は近くの岩に触る。
魔力を込めて、何かをしているようだ。
すると、音を鳴らしながら、大きな岩が横にずれる。
ゴゴゴゴォ・・・
音が聞こえなくなると、同時に岩が止まる。
穴が見える。覗けば、そこには地下に続く階段だった。
「ようこそ、フヴェズルングへ、君たちを歓迎しよう」
そう言って、月ノ城が先頭で、案内され、俺たちは地下へ降りる。
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長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
『三度目の滅びを阻止せよ ―サラリーマン係長の異世界再建記―』
KAORUwithAI
ファンタジー
45歳、胃薬が手放せない大手総合商社営業部係長・佐藤悠真。
ある日、横断歩道で子供を助け、トラックに轢かれて死んでしまう。
目を覚ますと、目の前に現れたのは“おじさんっぽい神”。
「この世界を何とかしてほしい」と頼まれるが、悠真は「ただのサラリーマンに何ができる」と拒否。
しかし神は、「ならこの世界は三度目の滅びで終わりだな」と冷徹に突き放す。
結局、悠真は渋々承諾。
与えられたのは“現実知識”と“ワールドサーチ”――地球の知識すら検索できる探索魔法。
さらに肉体は20歳に若返り、滅びかけの異世界に送り込まれた。
衛生観念もなく、食糧も乏しく、二度の滅びで人々は絶望の淵にある。
だが、係長として培った経験と知識を武器に、悠真は人々をまとめ、再び世界を立て直そうと奮闘する。
――これは、“三度目の滅び”を阻止するために挑む、ひとりの中年係長の異世界再建記である。
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