初級技能者の執行者~クラスメイトの皆はチート職業だが、俺は初期スキルのみで世界を救う!~

出無川 でむこ

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改稿シリーズ・第一章

第13話 覚悟と自己紹介の話

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俺たちは、月ノ城と一緒に地下の長い道を降りて行く。
地下は薄暗く、暑くはないが、狭い。
どれぐらい歩いたのだろうか?

「月ノ城さん、後どれぐらい歩くんですか?」
「もう少しだ」

そう言って、月ノ城は進み続ける。

――――15分後


「ここだ」

月ノ城は立ち止まる。
目の前には、岩壁にしか見えず、周りを見渡しても何もなかった。

「月ノ城さん、何もないんだが?」
「カモフラージュだ。ここには仕掛けがある」

そう言って、月ノ城は近くの壁のレンガを押した。
すると、鈍い音をたてながら、岩壁が動き出す。
現れたのは、ここの世界に相応しくない、頑丈そうな、鉄の扉があった。

「岩壁の後ろに・・・」
「万が一に備えて、普通の人には分からないように、扉に【隠蔽魔法】を付与させて、岩壁の後ろに隠してあるんだ。俺たちは、立場的に知られてはいけない存在だ。ここの世界の住人は、意外とこの世界の住人は敏感でな・・・こうでもしないとすぐにバレるんだ」

確かに、こんな平野の下に、基地があるとは考えにくいだろう。
それに、ここから先は、過去に色々あった者達が集まる場所。
ばれてしまえば、各国に狙われるには、間違いはない。
この場所は、人通りが少ないのか、隠れるのには最適な場所だろう。

月ノ城は、カードキーらしき物を、コート裏の胸ポケットから取り出してくる。
そのまま、カードを扉の隣に細長の溝をスライドさせると、鉄扉はピピッと音が鳴り開く。

前々から思った事あるが、あのコート裏は、四〇元ポケット見たいになっているだろうか?旅の途中、あのコートから、地図は、まだ分かる。調味料セットを取り出した時には、びっくりした。

「おぉー・・・」

黒杉にとっては、見慣れた光景だが、アイリスは物珍しそうに見ていた。
この世界には、機械的なものは、見たことないから、珍しいの普通だろう。

「さぁ、こっちだ」

月ノ城は手招きして、俺たちを連れて行く。
白い廊下、床も壁も鉄で出来ていて、研究所のイメージが、真っ先に思い浮かぶ。
しばらくして、先ほどの入り口よりも、一回り大きな扉が見えてくる。
その前まで歩くと、自動的に横に開く。

アイリスは、目を大きくして、見ている。
キョロキョロと見渡す。
その姿は、何もかもが初めてな、子供みたいな反応で、可愛らしく思ってしまう。

そして、扉の先には、人が立っていた。

「あ!ウサさんシルクさん、おかえりなさい!」
「おかえりなのー」

そう言って、月ノ城の帰って来たことに、気づいた二人の青年と少女が出迎えてくる。

青年の方は、サラっとした、黒漆の濡れたような美しい黒髪は耳と眉まで伸びている。
黒い瞳に、肌は健康的な肌色で、全体的に華奢で、服装は白ワイシャツと青ネクタイに、黒のスラックスと着ていた。

少女の方は、全体的に黒味がかった深い紫色と間から見える白色の布が見える、ゴスロリ服を着ていた。
銀の色のような上品で明るい鼠色の髪色、髪型はハーフアップツインテール、の温かみのある、淡い色した黄色の瞳、白百合のような黄色みのある、柔らかそうな肌。
そして、隣の青年と比べて、身長が低い。
見た感じ、小学5年生ぐらいだろうか?

「なんか、失礼なこと思われた気がする・・・なの」

とってつけたような語尾が、特徴的な少女は黒杉を睨む。
思わず、目をそらしてしまうが、「まあ、良いなの」と言って、月ノ城の方に向く。
身の危険を感じたが、なんとか回避することが出来た。
今度から、失礼な事を考えないように気を付けなければならないと、心に誓う。

黒髪の青年が、近づいて、月ノ城に聞いてくる。

「お客様でしょうか?」
「ああ、そんな感じだ」
「なら、長旅でお疲れの様ですから、お茶を入れきますね」

そう言って、青年は早歩きで、お茶を入れいく。

「ウサさん、そちらの方は誰なんですかー?」

もう一人のゴスロリ服を着た少女がトテトテと歩いてくる。

「ああ、こいつらは新しい仲間だよ」
「新規メンバーさんなんですねー」

少女はスカートを摘まんで、丁寧にお辞儀をする。

「私は源城(みなしろ)疾嘉(しつか)と言いますー、よろしくなの」
「あ、ご丁寧にどうも・・・」
「アイリスです、よろしくお願いします・・・」

綺麗なお辞儀だったのか、こちらもついお辞儀してしまう。
この少女も、日本人に似た名前をしていた。
やはり、この世界には、それに似たような国でも、あるのだろうか?
疾嘉と名乗る少女が話す。

「そんな、かしこまらなくていいなの、私も入ったばかり初心者なので・・・」

あぁ風嘉さんも同じ時期に入ったばかりの人なんだと思ったところで、月ノ城が疾嘉の頭に、優しくチョップする。

「こらこら、嘘つくな」

嘘なのかーい!!
何故、ここで嘘をついたのか・・・。
月ノ城は突っ込んだところで、疾嘉はあっけらんとした顔で言う。

「エッ?」
「えっ?じゃない」

俺とアイリスは困惑する。
しばらく、二人の口論が続く。
5分経ったところで、月ノ城がこちらに向く。

「すまんな、疾嘉ちゃんは冗談を言うのが好きなんだ」
「本当のことなのにー」
「話を紛らわしないでくれ・・・」
「ちぇー」

月ノ城は頭を抱えるが、その顔は微かに笑っていた。
そんな、二人を見て思うのが。

「お二人は、仲が良いんですね。まさか、付き合って・・・」
「それは、絶対にないなの」
「ないな」

バッサリを切り捨てられた。

「彼女とは長い付き合いの古い友人だよ。かれこれ、15年ぐらいだな」
「はいー」
「じゅ・・・う、五年?」

そう言われて、疾嘉の方を向こうとすると、再び身の危険を感じ、振り向くことが出来なかった。
すると、月ノ城が・・・。

「はいはい、立派なレディだもんな」
「分かってれば、良いなの」

先ほどまで感じた、殺気はすぐに収まる。
あのまま、放置されていたら、どうなっていたのだろうか・・・。

「さて、風嘉ちゃん、申し訳ないが、ここの制服と私服を用意してあげてくれ」
「了解・・・なの」

そういって、パタパタと歩き取りに行った。

「ここで、話すのもあれだから、移動しようか」
「あ、ああ・・・」

───【休憩室】

俺たちは椅子に座った。
それに向かいあうように、「よっこらしょ」と言って、月ノ城も座る。
たまにオジサン臭い・・・そういや、疾嘉さんの時も15年の付き合いといってたけど、見た目が明らかに20代前半にしか見えない・・・まさか。

考えていると、先ほどの青年がお茶を持って帰ってくる。
そのまま、丁寧にお辞儀して、部屋から出ていく。

「さて、まず何処から話そうか・・・」

そう言って、お茶をすすりながら、月ノ城が話す。

「黒杉は・・・強くなりたいんだっけか」
「はい」

月ノ城は「ふむ・・」と言って、顎に手を当てて、考え込む。
秒針の音が聞こえる。
そのまま、お茶を一気に飲み干したところで、口が開く。

「強くなりたい、その気持ちは・・・悪い事ではない、向上心がある事は良いことだ。それが人間の本能でもあり、性でもある。だが・・・」

その瞬間、ピリッとした、空気が充満する。
それに敏感なのか、シルクの猫耳帽子はペタンと怖がるように折れ曲がる。
アイリスも自分の事ではないが緊張が伝わり、冷や汗を掻く。

「君には、覚悟があるかい?」
「覚悟・・・?」
「ああ、覚悟だ。確かに、強くなることで得る物が多い。しかし、少なからず、失うものがある。失ったものは、戻ってこない。それに向き合う覚悟だ」

月ノ城は目を閉じ、淡々と語る。

「人は簡単に壊れる。たとえ、どんなに小さい出来事でも、それはいずれ大きくなる。そして、決まってロクなことにならない。堕ちる者がいれば、身を滅ぼす者もいた。」

月ノ城は、目を開けて自分の手のひらを見つめた後に、握り絞める。

「悲しいものだな・・・。黒杉、お前が強くなった時、必ず、その日がやってくる。ああ、絶対に・・・必ずな」

不確定な未来なのに、これから起こることが、分かっているようなことを言う。
月ノ城の悟るような眼と力強い言葉は、黒杉に心に突き刺さる。
それは、自分の復讐に向けての言葉なのだろうか、それとは別の何かなのかは、分からなかった。

「なぜ・・・そう思うんです?」
「・・・さあな、でも・・・心当たりはあるんだろ?ただ、俺は"永い"間、沢山を人を見てきただけだからな」

月ノ城さんの長くはどういう意味で言ったのであろうか?
見た目は、20代にしか見えなかった。
しかし、語る姿とその発言は、まるで、それ以上に生きてるかのような発言にも聞き取れる。

「もう一度聞くぞ。覚悟はできているか?」

更に空気が重くなる。
今でも、押しつぶされそうな勢いだ。
でも・・・俺はここで諦めるわけにはいけない。
俺は、元の世界に戻る為に強くならなきゃいけない。
親友と、またバカ騒ぎがしたい。そして・・・。

黒杉は、隣に座っている、アイリスを見る。
その視線に、気づいたのか、こちらを見上げる。
そのまま、優しく微笑んで、手を握る。

「大丈夫・・・」

ただ、一言だけだった。
だけど、その一言で、気持ちが軽くなる。
その時には、何かが滾ってくる。

「俺は戦う・・・戦わなきゃいけないんだ。強くなるんだ」
「・・・そうか」
「確かに、復讐もしたいとは思っている。これは本当の事だ・・・」

そっと息を吸って、吐き出す。
月ノ城の眼を、今度はこっちから、見つめる。

「でも、それ以上に俺は待ってくれる友がいるんだ・・・だから、元の世界にm帰らなきゃいけない、その為には神をぶっ倒さなきゃいけないんだろ?」
「あぁ、そうだ」
「なんとかしなきゃ、皆が死ぬんだろ?」
「そうだな」

そのまま、アイリスの頭を撫でる。
急に撫でられたせいなのか、身体が少し跳ねる。

「それに、俺はアイリスを連れて行くと言ったんだ。守られてばっかりじゃ・・・嫌なんだ」

黒杉は、もう片方の拳で、強く握りしめ言う

「だから、答えは一つだ。俺は覚悟ができている、お願いだ・・・俺を強くしてくれ」

月ノ城はッフと笑い、立ち上がる。
そのまま、一枚の紙を取り出し、テーブルに置いた。
去り際に、後ろ向きの状態で、空中にナイフを投げる。
ナイフは綺麗に曲線を描きながら回転して、先ほど置いて、紙に突き刺さる。

「これは?」
「誓約書だ。その紙に、お前の血を垂らせば、誓約は完了だ」

そう言って、そのまま手を振って、部屋から去っていく。
かくして、黒杉の修業が始まった。


――――――今回の後日談

そのあと、俺たちは基地を案内とメンバー紹介された。

先ほどの黒髪の青年はサンク=スレイというらしい。
レベルは96の遠距離武器の使い手
俺たちと、同じように、数カ月前に入ってばかりらしい。

次は源城 疾嘉(みなしろ しつか)
月ノ城さんの次に強いらしく
レベルは151 職業は大賢者
おっとりした性格をしていて、冗談がいうのが好きらしい。
身長と胸の話はNG

そして、驚くことに・・・。

「紹介するなの、私の妹たち・・・なの」
「ヒャッハア!」
「よろしくお願いします」
「ふええええぇぇぇぇ、よろしくですう」

疾嘉は四つ子の姉妹らしい
それぞれ個性的だが、流石姉妹って感じで全員似ている。
右から順番に・・・。

次女の紅嘉(こうか)
レベルは121の職業は剣聖。
いたずらっ子で月ノ城が手を焼いている子で、戦闘狂。
髪色は紅花で染めた濃い紅赤色、髪の長さは肩まで、くせっけが目立つ。
眼の色も深紅で、鎧など着てはおらず、革鎧に纏っていた。

三女の雷嘉(らいか)
レベルは111の職業は騎士王
仕事は真面目だが、それ以外はそうでもない。
髪色は明るい紅みのある紫、髪の毛の長さは紅嘉と同じぐらいだが、綺麗なストレートだ。眼の色は葵色で、こっちは正統派の騎士の鎧にミニスカ―トだった。

四女 水嘉(すいか)
レベルは101の職業は大聖女
気が弱い子で姉達に毎回、罪を擦り付けられて苦労人。
髪色は黄味を含んだ淡い水色で、髪の毛の長さはショートで、サラサラしている。眼の色は青藍色で、神官服を着ているけど、手には、メリケンサックを付けていた。まさかね・・・。

一応、色で見分けつくことができるが、全員同じ色だったら、見分けがつかないぐらい、姉妹の顔は似ている。

次に案内されたのは調理室。
そこには赤毛の黒い和服の女性が調理をしていた。誰かに入ってきたことに、気づきこちらに振り向く。

「おや?ウサさん、新人さんですか?」
「ああ、今は基地を案内しているところだ」

立花 百合(たちばな ゆり)
皆からは、何故か姉御と呼ばれている。
LV108の職業は魔剣士
彼女は唯一、デメリットなしで、魔剣と呪刀が使える存在らしい。

次に訓練所。
そこには、二人の女性が立っている。
お互いにすごい剣幕で睨みあう、あれは完全に殺し合いが、始まる合図だった。
その瞬間、動いたと思えば、目に負えないスピードで戦っている。
分かるのは、轟音がっているのと、空中で火花が飛んでいた。

青髪のハーフアップポニーの女性が
アクレア=メイソン
LVは117職業は双・聖騎士
二刀流で騎士らしい、二刀流の騎士って珍しいな・・・
真面目で洞察力が高く、研究家で、毎日自分の動きに何が悪いかを調べているととのこと。

セヌーア・ルシアナ
白髪の短髪少女
LVは128 職業はエンチャウンター・トレーサー
武器を複製して、それを強化して使って戦う
無〇の剣〇じゃねぇか!!!という突っ込みを心の中でするのであった。
もちろんユニーク職業らしい。
フヴェズルングの、もう一人の戦闘狂で純粋な戦闘なら月ノ城と互角に渡り合えるらしい。

次に研究所。
入ると、そこにいたのは、黄色い羽毛の被り物と白衣を着た、男性らしき人物いた。男は振り向くと、顔は鳥なのかそうじゃないのかハッキリしていなかった、つぶらな黒い瞳、くちばしについいて、頭に触覚が生えていた。
男は、薬が入っていると思われる物を、月ノ城に近づく。

「お!ウサさんじゃーん!今回は良い薬を作ったんッスよお!」
「飲まんぞ」
「まだ、何も・・・」
「飲まんぞ」
「ま・・・」
「飲まんぞ?なんども言わせるな?」
「アッハイ」

月ノ城の威圧で、小さく引っ込む研究者。
男の名前はアバダギ=モスラ
レベルは40 職業 研究者
話してみると、めっちゃ普通!!
被り物と名前以外は普通の人だった!!
謎の安心感。
テンションが高い研究者ですごく親しみやすい人だ。

その研究室で、こっそりと掃除してる少女
名前はフェレシア・メルティ
レベルは95の職業は殴り屋
殴り屋ってなんだ・・・・すげぇ職業だな・・・。
これもユニークスキルだった。
それ意外なら美少女にか見えなかった。
髪色が、亜麻を紡いだ糸の色のような黄色がかった薄茶色、髪型はアップヘア。
素直な子で皆に可愛がられる存在だった。

そして、最後にエンジニア室
金槌でひたすら鉄を叩く、一人の男がいた。
今は作業中の為、話しかけることが出来ず。
その姿を眺めていた。

彼の名前は、ハグレ=メダル。
俺はこれ以上突っ込まないぞ。
レベルは98の職業は 発明王。
主に、この人の提案で地下を作ってくれたらしい。

「さて、今日は疲れただろう。今回の案内はここまでだ」

そう言って、まだ人がいるらしいが。
ひとまず、ここで自己紹介はここで終わりらしい。
明日からは、本格的に始めることになる。
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