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改稿シリーズ・第一章
第39話 VS月ノ城(上)の話
しおりを挟む「月ノ城さん」
「うーん・・・君は?」
黒杉は、名前を呼び、ゆっくりと歩き前に出る。
その一歩ずつ近づく度に、殺気のせいで、足腰が酷く重く、押しつぶされそうになる。
前に出ようとすると、危険を察知したのか、御剣が「お、おい」と、呼び止めるが無視をする。止まるわけにはいかない。
名前に反応して、月ノ城は振り返り、首を傾げ、思いだそうとする。
「ああ、君か、会ったのは最近なのに遠いあの日の事の様に思い出すよ」
どうやら、まだ意識はあるようだ。
しかし、振り返った姿は痛々しいもので、左側の顔が蝕むように黒く侵食されている。
赤黒い血管が浮き出ており、碧い瞳が、殺気と禍々しさが混沌化し、紅い瞳になっていた。
セヌーアさんが、持ってきた映像よりも、浸食が進んでいる。早く救出しなければ、取り返しの付かなくなるだろう。
そして、その紅い瞳と、目が合った瞬間だった。
”自分”の頭が、斬り飛ばされた。
「・・・ッ!?」
慌てて、自分の首を触ると、繋がっている事を確認する。
それは、後ろにいた、御剣も同じように、首を触っていた。
しかし、今のは何だったのだろうか、確かに、今、"殺された"。
その幻覚なのか、錯覚なのか、それとも、自分たちが未来が見えるようになったのか。
月ノ城から出てくる、凄まじい殺気のせいなのか、それともあの瞳に見つめられたからだろうかは分からない。
ただ、一つ分かるとすれば。
俺たちは、少しでも油断すれば、間違いなく首が吹き飛ぶ。
そして、気づけば、武器を構え、戦闘態勢になっていた。
直接当たる殺気で、息が苦しくなるのを、平気な振りをして、話しかける。
「意識はあったんですね」
「まあ、俺はしぶといからな。この通り、元気に活動しているさ。それより・・・君は随分と無理をしているじゃないか?まあ、十中八九は、この空気のせいだろうけどな。まあ、耐えているだけで、褒めてあげるさ」
流石、月ノ城だった。侵食されても、尚、健在であり、見透かしたような発言は相変わらずのようだ。
だが、相手も無理しているのは、分かっていた。よく見ると、彼の頬から冷や汗を掻いているのが分かる。
そして、小刻みに体が震えているのが分かる。浸食されている事で、体温の調整が効かなくなっているのだろうか?
それをずっと、耐えているのなら、化け物染みた精神力をなのが、目に見えて分かる。
「そうか、次はお前が相手なのか」
何かを察したように、目を瞑る。
俺が瞬きをした瞬間。目の前に月ノ城が現れ、首に向けて抜刀をする。
思わずのことで、反応に遅れ、大きく後退するが、間に合わない。
そして、先ほどの見えた、錯覚が現実になろうとした時、御剣の声が聞こえた。
「なっ!?」
「あぶない!」
────キィン!!
御剣が、目の前に現れて、甲高い音を鳴らしながら、月ノ城の攻撃を受け止める。
おかげで、首が吹き飛ぶことは免れ、そのまま、尻餅をする。
そして、その後ろで、互いの剣と刀が火花を散らしているのが、見えていた。
月ノ城も人外だが、御剣も人をやめつつもあった。
何故なら、あの状態の月ノ城の剣撃を、攻撃を、綺麗に捌く。
最後に会った時も、十分に強かった。しかし、それ以上の成長を遂げていることに、俺は少し"妬んで"しまう。
流石、勇者。
成長も、強さも、スキルも、全てが一級品。
特別な力があっても、所詮、村人。まるで、石ころと、ダイヤモンドの差。
「っく・・・!」
「どうした。始まったばかりだというのに、もう疲れが出ているのか?早くも少しずつ、攻撃が鈍っているぞ」
「いや、まだ・・・ッ、まだ、始まったばかりだ!」
だが、攻撃の激しさが増していく・・・違う。
御剣の動きが、鈍くなっている。
一見、余裕そうに見えるが、彼の顔に焦りが見え、防ぐことで精一杯のようだ。
何故、動きが鈍っているのか、すぐに分かった。
月ノ城は、魔力と魔素を殺している。
膨大な魔力を保持している勇者とは言えど、死んだ魔力を吸収すれば、弱体化は免れない。
「御剣!!月ノ城さんは、殺気によって、周りの魔力と魔素を殺してしまんだ!気を付けろ!!」
「殺す?どういうこと!?」
「ああ、文字通りに魔力と魔素を殺してしまう。魔力や魔素を吸収してしまうと、能力が弱体化してしまうんだ!だから、基本的には、内包してある魔力を使う身体強化魔法で対抗するしかないんだ!」
「んな、無茶苦茶だよ!!」
ごもっともだ。
月ノ城は、その話を聞いて、にやつく。
何故、笑っているのか、それは分からない。
だが、状況が不利に変わらない、俺は立ち上がり、【収納】から刀を取り出す。
すると、今度は撃ち合いながら、話はじめる。
「俺の攻撃で武器が壊れないのか・・・ふむ。そして、その穢れなき純粋な光と膨大な魔力。そして、羽の軽く輝く美しいその武器は聖剣。そして、聖剣を保持できるのは選ばれた者か扱えない。お前・・・勇者だな?しかし、勇者としては、珍しい剣技だな。まるで、攻撃は美しいが、何かが混じっている。しかし、その技は、まだまだ未熟と言ったところだな。そうなると、【架空技能】の伝授してもらったばかりだな」
「な、なにを言って・・・」
「そして、東方の国で、それに似た、流派がある。異国の花、『桜』という花のように、優美に動きながら戦う姿は無駄がなく、その『影』に隠れるような、儚さは見る者を魅了させる。だが、習得するには、それに見合う、美しく強い精神の持ち主ではないといけない。その様な"剣技・刀技"は一つしかない。『黒桜花流』だな?」
「なっ・・・!?」
月ノ城の冷静な分析に、御剣は自分の正体をすぐにバレてしまい、動揺してしまう。
撃ち合っているだけで、剣の重さが分かり、相手の剣技さえ、どんなものか、少しずつ暴いていく。
そして、分かってしまえば、すぐに対処してしまう対応力。
魔眼を持っていないのに、彼の観察眼は、魔眼を凌駕してしまうぐらいに、存在を薄くしてしまう。
理性を失っていないからこそ、タチが悪い。
「まだ、技をだしていないというのに、何故ッ!?」
「戦いってのはな、剣を交じり合えば、分かるもんなんだよ。お前は、強いがもう少し、悟られないように動きを見直す事だな。まあ、もっとも、あの世に行くから、意味がないけどな」
俺は、この状況を打破するために、何とかしなければ行けないと思い、【収納】から刀を取り出し、攻撃をする。
「甘いな、気配を消しても、刀に殺気が帯びてるぞ。殺人鬼が相手に殺気を出すのは自殺行為だ」
「ぐあっ・・・!?」
「御剣!?」
月ノ城は、御剣の腹を目掛けて蹴り飛ばし吹き飛ばされる。そのまま、地面に、様々方向で転がりながら、そのまま、岩壁にぶつかる。
そして、片手で、黒杉の刀に目掛けて、斬る。
チィンっと軽い音がなった時には、刀は綺麗に横一直線に折れていた。
「ふむ、聖剣ほどではないが、中々堅いな。流石、ハグレの武器だ。だが、一歩及ばないな」
「刀が・・・ッ!?」
この武器は英雄級の武器の筈、そんな簡単に折れる物ではない。
ましては、あのハグレの作った刀だというのに、まるで、バターを切るように、軽々とやってくれる。
手に持った刀を【収納】にしまい、その場を離れる。
「っく・・・容赦ないな。そして、強すぎないか?君のところのリーダーは」
「ああ、強さは健全。それどころか、あの姿で、さらに強くなっているらしいからな」
御剣は、よろめきながら立ち上がり、その状態を引っ張るように手を引く。
堅そうな黒い鎧は、蹴られた箇所が僅かにへこんでいた。
力の差は圧倒的、技量も経験も、俺たち何もかもが不足している。
そして、相手は戦いのプロと来た。しかも、職業は殺人鬼。そんな、物騒な職業なら、何処を攻撃すれば、即死なのか、人体の熟知している筈。
だが、しかしここで諦めるわけにもいかないし、引くわけもいかない。このまま行かせれば、確実に、フィルネル王国の皆が殺される。
すると、月ノ城は刀を抜いたまま、俺たちに話しかける。
そして、その刀は遠くから見ても、禍々しく感じる。
「どうした、もう終わりか?大人しく、殺される覚悟してたのか?」
「っく・・・どうした良い物か・・・。そして、その武器はいったい・・・」
「ああ、この武器か?これは宝刀『村雨』だ。俺の殺気で、能力と刃が強化される」
月ノ城は刀を見せると、付け根の部分が黒い霧が出てきて、刃は氷のように白く透き通っていて、不気味に美しさがあった。しかし、その刃は殺気が駄々洩れで、今でも血を欲しがっているようにも見えた。
その武器を見るだけで、俺たち二人に、寒気が襲って来る。
『村雨』、たしか、日本にもあった架空の伝説の武器。なぜ、この世界にあるのか、不思議に思うが、もし伝承通りなら厄介だ。
俺は黒姫ノ紅を構えた。
すると、月ノ城は感心したかのように、武器を見つめる。
「ほあ、良い武器じゃないか、しかも生きてる武器なんて珍しいな」
「嘘だろ・・・これも、分かるのかよ」
「ああ、"永年"の経験。ただ、それだけさ」
俺は、月ノ城さんに武器の事、一切教えていないのに何故分かるんだ?
スキルだろうか?しかし、千里眼も持っていない何故だ?
これも、観察眼なのか?
考えても埒が明かなかった。
「御剣、行くぞ!」
「ああ!」
俺は御剣に合図をし、再び月ノ城に攻撃を仕掛ける。
スキル【加速】【スピードアップ】を発動させ、一気に距離を詰める。
新しい制服の効果のおかげで、身体強化系の能力が向上している。
そのまま、遠くから、武器を振る。
「黒姫ノ刃!」
無数の紅黒い斬撃を、月ノ城に向けて放つ。
月ノ城が切り伏せようとした瞬間、斬撃は左右に避けると、斬撃の陰に隠れていた御剣の姿を現す。
御剣は、そのまま、聖剣を振る。
この状態だと、動けないだろう思い、先ほどの左右に分かれた斬撃を、再び月ノ城に集中させる。
そして、追加で追尾する斬撃を放ち、四方八方に逃げられないように【黒姫ノ影】で移動しながら、設置する。
「無駄だ・・・散れ」
月ノ城は、斬撃に睨みながら殺気を放つと、斬撃は霧のように分散する。
やはり、効かなかった。魔力を帯びた斬撃は、無効化されてしまった。
このまま、御剣と月ノ城は打ち合いが始まるが、最初の勢いはなく、少しずつ御剣が押されてた。
「っく!やはり魔力が、掻き乱される・・・!」
「御剣!絶対に、刃から目を離すんじゃないぞ!少しでも、目を放せば、絶対に首が飛ぶからな!!」
「ああ、分かっているよ!君も、気を付けるんだ!」
「どうした、さっきまでの勢いが足りないぞ」
剣と刀がお互いの交差する中、黒杉も戦いに加わる。
攻撃はますます激しくなろ、剣と刀の金属音が響く、短剣を振ればそれを小さく避ける。
御剣は剣を振れば、刀で火花を散らしながら相殺される。
ぎらついた目が、二人を動きを観察するように見る。
隙が無く、応戦し続ける。
浸食されても、尚、戦いの繊細さは失われていない。
強い、今までの出会った敵の中で強かった。
それでも、月ノ城さんはやられてしまったのだ。
戦いの中で寒気を感じながらも戦い続けた。
このままじゃ、勝てない、もっと早く、もっと強く、攻撃しなければいけない。
どうしたらいい?勇者でもなければ、英雄でもない、ただの村人。
今思えば、無謀だし、勝算なんて、ほぼ0%、自殺行為でしかない。
実際に、月ノ城の強さを目の前に見たというのに、普通はやらない筈。
それでも、俺は優先したい何かがあった。
なら、それに従おう思う。
例え、勝てない勝負だとしても、それでも、今やらなければならない、強くなければならない。
自分の中にある、可能性を探すんだ。模索するんだ。
俺の武器は何だ?質でもなければ、技量でもない。
俺の武器は『量』と『成長』だ。
初心に戻るんだ。何の為の修業だったのか。
正しい本来の力を、引き出す為のものだ。
冷静になれ、相手をよく見ろ。基本中の基本。
殺しに来てるが、格下に油断してる筈だ。自分は村人だからだ。
身体にある、魔力を集中させろ。少ない魔力かき集めろ。
隙を見つけるんだ。悟られては駄目だ、少しずつだ。
「うおおおおお!!」
御剣が隣で叫びながらを振るう。
ぶつかり合ったとき、月ノ城の腕が微かに、力が抜けるところが見えた。
その瞬間、黒杉は剣撃が、爆発するように加速する。
「・・・!?」
「届きやがれええええ!!」
もっと早く!
───スキルが極限に達した。以下の能力が付与される。
『加速・EX』
・高速から、光速へと変化。
攻撃は加速する、音速を超える
それの刃は光るように、攻撃が"光速"へと変わっていく。
その証拠に避けるだけではなく、"防御"を始めた。
光速になっただけで、威力が足りなかった。
俺はステータスは低い、月ノ城さんは何十倍もある、それだけじゃ足りない、足りないんだ!
質で足りないなら、数で上回れ!ありったけの俺のスキルを月ノ城さんにぶつけろ!!
それが俺が許された唯一許された攻撃方法だからだ!
俺はスキル『スピードアップ』を御剣と自身にバフを掛けた。
「体が軽く!これなら」
御剣の攻撃は音速から光速になっていく。
だが足りない、まだ足りない!
もっと強く!重く!!
俺は『密迹』『アタックアップ』を発動し
短剣を振り下ろすと月ノ城の立っていた地面が砕ける。
───スキルが極限に達した。以下能力が付与される。
『密迹・EX』
・能力が大幅に向上。
───スキルが極限に達した。以下能力が付与される。
『スピードアップEX』
・能力が大幅に向上。
・味方への付与の範囲が広がる。
───スキルが極限に達した。以下の能力が付与される。
『アタックアップEX』
・能力が大幅に向上。
・味方への付与の範囲が広がる。
己の成長を"加速"させろ!!限界まで振り絞れ!!!俺の成長はまだまだ終わらない!
月ノ城の攻撃を防御する為に『金剛』『ガードアップ』を発動させる。
───スキルが極限に達した。以下の能力が付与される。
『金剛・EX』
・能力が大幅に向上。
───スキルが極限に達した。以下の能力が付与される。
『ガードアップEX』
・能力が大幅に向上。
・味方への付与の範囲が広がる
───対象となった、全てのスキルが極限に達した為、以下のスキルが統一でき、新しいスキルが習得しました。
対象スキル:加速・EX、金剛・EX、密迹・EX、アタックアップEX、ガードアップEX、スピードアップEX
・『仁王』
・『大元帥』
その瞬間、俺達の体から奥から力が沸き上がった。
さっきまで包み込んでいた"殺気"は、己の"闘志"によって無効化される。
月ノ城は、眉間にしわを寄せる。その顔が少しずつ不快な表情になっているのが分かる。
それは彼を追い込んでいる事になる証拠になる。
「僕も負けていられないな・・・!」
すると、御剣から凄い力を感じた。
「っぐ・・!僕の体、耐えてくれよ!『オーバー・クロック』!」
これが、御剣の本当の力か、しかし辛そうだ。
あの技は飛躍的に能力を向上をさせるが身体の限界を超える技の為、負荷が大きかった。
月ノ城に。向けて剣を薙ぎ払うかのように攻撃をする。
月ノ城は。防御をするが、耐えられなかったのか吹き飛んだ。
木に激突する度に折れていく、およそ200m辺りで止まった。
流石にただでは済まないだろうと思った。
しかし、土煙が上がるとそこには彼の姿はなかった。
背中に寒気がした俺は振り向いた。
そこには振り向くと俺の後ろに月ノ城が抜刀術の構えで立ってた。
「流石に、ここまで強いとは思わなかった。だが、詰めが甘かったな。熾炎流抜刀術・弐型「皐月」」
月ノ城の攻撃が五つに別れ"同時"に襲ってきた。
俺は防御するにも。間に合わず吹っ飛ぶ。
身体中から血が噴き出す、これは明らかに重症だった。
だが、首を守れただけでも良かった。
「ぐう・・・!」
「やめろぉ!!」
御剣の叫ぶ声が聞こえた。
しかし、ダメージがでかくて立ち上がれず。血が流れるのを眺めていた。
このままじゃ・・・!
「じゃあな、新人、さらばだ・・・」
もう駄目だと思った。
月ノ城さんが刀を振り上げた瞬間だった。
カランと落ちる音がした。
俺は目を開けると、月ノ城さんが刀を落としていた。
見上げると、月ノ城は腕から血を流していた。
なぜだ?
すると、耳元から声が聞こえた。
「(黒杉さん!すみません!!援護に遅れました!!)」
サンクの声だった。
「おま!今まで何してたんだよ!」
「(すみません!ちょっと準備に遅れてしまいまして!)」
俺は小声で話す、月ノ城さんに聞かれたらまずいからな。
「今、何処にいるんだ・・・!」
「(右を見てください!)」
すると、イヤホンから発砲音が聞こえる。
その瞬間、月ノ城の太ももに何かがあたり血が噴き出す。
それは銃弾だった。
右をみると、何もなかった。
「(あ、こっち見ましたね)」
「お前、いい加減にしろ何処にいるんだ・・・」
「(山です)」
え?山?まさかあそこから撃ったのか!?
俺は山の方をみると、明らかに10kmほど離れていた。
まさか、そこから狙撃したのか!?
「(すみません!本当に!あそこま、でいかないと月ノ城さんに殺気が届いて察知されてしまうんです!)」
すると、発砲音が聞こえた。
しかし、此処からでは聞こえなった。
命中、月ノ城の顔が歪む。
すると、後ろから声が聞こえた。
「ヨウイチ・・・!」
アイリスだった、アイリスの声を聴いてホッとする・・・
「アイリスか・・・」
「すごい、怪我・・・、待って・・・」
すると、アイリスは足のポーチから丸薬を取り出して、何故か自分の口に含んだ。
そのまま、口を含んだまま俺のマスクを取って、顔に近づき、そのまま。
口と口を重ねた。
ちょっと、アイリスさん人前ですよ?
というかさりげなく舌を入れないでくれませんかね!?
おい!馬鹿勇者!なに顔を赤くして、目を逸らしているんだ!乙女かよ!てか止めろ!!
そんな濃厚時間が、過ぎ去っていく。長いようで短い。
そして、お互いの顔は離れる。
アイリスは舌を出し妖艶な顔をして満足げに言ってくる。
「どう・・・?うまかった?」
「それ、今の現状で聞くことなのか?」
そう言うと、頬を膨らませる。
いや、うまかったよ!でもここで聞くのもどうかとおもうよ!?
そういうと、動かなかった体が動き出す。
同時に月ノ城は刀を拾ってこっちに攻撃してくる。
アイリスは瞬時に大剣を片手で持ち防御をし、そのまま押し返した。
「じゃあ、後で聞く」
発砲音が聞こえると同時に月ノ城の肩に銃弾が命中する。
俺は立ち上がって、片手に拳銃の先端から煙を出しながら、片腕でアイリスを抱き寄せて。
「・・・覚えてたらな」
すると、アイリスは今度は頬にキスをする。
可愛い奴め。
月ノ城は無表情で刀を構えた。
そして俺は言う。
「第二ラウンドだ」
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