クズで何が悪い!!

猫村蒼夜

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第一章:死んでも変わらない

2.気持ち悪い集落

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 現在、エドさんと共に集落の手前に居る。集落に近づいて、明るくなってようやく気付いたのだがエドさんは人間離れしたがたいの良さをしている。これなら、森で出会った大きい熊にも勝てるのでは?と思い始める。気になり始めると、色々と観察してしまう。エドさんの鎧に所々付いている青い血が説く気になる。凄く気持ち悪いです。はい……
 そんな一人コントの様な事をやっていると、門番と話が付いたようで呼ばれる。
「おいアル! 通行許可証を作成するからこっちにこい」
 なんと原始的な!なんて思いつつ私は、作り笑顔を見せながら近づく。そこには、門番の他に白が強く印象的な白衣の男性が。また男性かよ、口には出していないがそう思う。しかし、この人は私の好感度を上げて落とす事になるとは、この時の私は思いもしなんだ。兎垂れ耳でもふもふの尻尾……これにときめかない女子なんて動物嫌いの女子位なものだ。私は、下心ある本心を隠しつつ何時もの作り笑顔で挨拶をする。
「初めまして、アルファと申します。 よろしくお願いします!」
 お決まりの良い子ちゃんにしてみたが、それが失敗だったのか……それともこの人が用心深いのか、一瞬でただ知れる恐怖だけが私を襲う。
「……ラビット=ブラウンです。貴方、随分不愉快な発言及び顔をしますね……ま、下手な事を考えて死ぬのは貴方ですし、今回は良いとしましょうか……」
「っ!?」
 そう、この人に私の嘘は通じない。一瞬で私の性格を見破るタイプの人は、私の天敵だ。何故バレたか、単純だ……この人は安易に他人を信用しないんだ。そう、私の知ってる範囲内で信用してるのはエドさん……かな?分かんないけど。現段階で、私の傍に長く居る事になるのはエドさんだ。仲間として信用してなければ、怪しい私を野放しにはしない。との、私の単純な予想であるけど。
「……なんの事でしょうか? 不快にしてしまったのなら申し訳ありません。 ただ、貴方も相当なものですね」
「いえいえ、謝らなくて結構ですよ。 お互い様って事にしましょう」
 私とラビットさんの間に火花が飛び交っているような空気だ。
「もう二人共仲良くなったのか?早いな、相変わらず……ラビは人付き合いが上手い」
「エドはもう少し人を疑う事を覚えてください。 接近戦で貴方の右に出るの者は、勇者組の近接組くらいなのは分かっていますが、何時か身近な人に足元すくわれる事になりますよ?」
 やはり、親しい関係のようだ。
「それよりラビ、身分証と通行証の作成お願い出来るか? 記憶が無く、持ち物もないので身分も身元も分からないらしい……」
「はぁ……分かりました。 では、アルファさん。 こちらの部屋へどうぞ……」
 うわぁ、すげぇ疑いの眼差し。てゆうか、怖いんですが……何時までこれ続くんだろうか。と思う私でありました。
「は、はい」
 案内された個室は、そこまで広くなく二人分の椅子と少し大きめの机が一つ。机の上には大きめのクリスタルがあるだけの場所だった。椅子に座る様に言われ、そのまま座る。すると、ラビットさんは、低めのトーンで言う。
「そろそろ、本性出してはどうです? 嘘つきをまだ続けますか?」
 冷たい青い眼に睨まれ私は冷や汗をかく。出して良いのだろうか、本当に。しかし、相手が望んだのだ。今更、取り繕うが無駄骨である。
「嘘つきはお互い様っすよね。 ラビットさん……貴方も自分と同じ相当な嘘つきじゃないっすか。 あ、でも……私、あの人に嘘はいってませんよ?」
「へぇ、ね……」
 コイツ本当に鋭いな、いや…私の周りの人間が鈍感過ぎなのか。
「本当の事を言ったところで、100%信じて貰えないでしょうし。 それに、死ぬのは本当に一度キリで十分ですし、生きたいですから……」
 少し驚いたのか、ほんの一瞬だけ目が緩くなった。
「僕には、知った事ではありませんね。 さっさと、そのクリスタルに手を翳してください。 そうすれば貴方の魔力でステータスや個人情報などがこの小さい方のクリスタルに書き込まれます。 これは通行許可証ですが、身分証にもなるのでこれ一個持ち歩くだけで大丈夫ですよ」
「へぇ、RPGとかのセーブクリスタルみたいっすね」
なんて、割と気楽な会話。てゆうか、わざわざ細かい説明ありがとう。まるで、私以外にも分かるようにしてるみたいじゃまいか。
「一様、ステータス確認させて貰うぞ……!?」
『ステータス』
名前/アルファ 年/15 性別/♀ 身長/157㎝ 種族/人種

Lv/1 HP/130 魔力/1600

メイン属性/無 サブ属性/水 役職/なし

スキル/なし 称号/ %\*$~#$\&&\*$~~

「……(弱過ぎる、Lv1でHPが130のスキル無しだと⁉ありえない、無色の同い年で平和ボケの貴族でもHPは300以上は普通あるぞ!スキルなしもまずありえない。生まれたばかりの赤子でも1つはあるものだ……しかし、魔力量は上の下…これは、まずまずだ。 属性もかなり珍しい。勿体ない……それにしても、称号の表示が可笑しい……)」
「顔色悪いっすよ? ラビットさん」
 私のステータスを見るや否や顔色が悪くなる相手に、流石の私も不安になる。
「いえ、あまりにも貴方のステータスは弱いもので逆に心配になりました。 まず、一般的にはありえない数値ですよ」
「えぇ、神にも嫌われてるのか自分は……(転生させんならもうちょい平均的なステータスをだな……)」
 なんて落ち込む私と呆れる相手。部屋の空気はどんよりと重たく息苦しい……ん?息苦しい?
「なんか、変じゃない? くらくらしてきた……と言う……か……」
 そこから意識がまた途切れた。またかよ!って思うよ本当に。次目を覚ますと、ベットの中に居た。
「見知らぬ天井、ふかふかのベット。 澄んだ青い空と窓から差し込む太陽の光、そしてお世辞も言えぬほどの気持ち悪い空気……間違いない。 ここ集落の中だわ……」
「目を覚ましましたか、空気中の魔力に当てられるとは貧弱な。 まぁ、耐性スキルも無ければレベルも最低レベルですし、僕の配慮も足りませんでしたね。 しかし、言う程この集落は魔力は多くない筈ですが……」
「昨日の昼頃、森の中で目が覚めたのでね……此処より気持ち悪かった気がしますよ、はは」
 ゆっくり頭を抱えて起き上がり苦笑した。なるほど、この世界では私にとって圧倒的住みにくい環境なのか。なんて気持ち悪い集落なのか。こんなんじゃ、二度目の死も早い気がするね。
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