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ツイッターランドのサンタクロース
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とある地球のとあるクリスマス直前、とあるツイッターランドの運営がサプライズ発表した。
「リツート、ファボの回数に応じてサンタクロースのそりに燃料が充填します。燃料が満タンになったソリでサンタクロースがクリスマスに子供たちにプレゼントを贈ります。出発するサンタクロースのソリの数は国別対抗戦方式で発表されます」
なんと太っ腹な企画ではないか!とツイッターランド民は湧き上がる。
当然ながら、注意事項が矢のように飛んできた。
「やみくもにリツート、ファボしたアカウントは運営が削除します。不正なクリックは絶対しないように!」
こういうことにかけてはとある日本の国民は、張り切りだす傾向がある。
知らないかもしれないので説明すると、十数年前、悪名高いとある匿名の巨大掲示板において誹謗中傷で憂さ晴らしにあけくれていた「とあるねらー民」達が、一つの書き込みに気が付いたのだ。
アメリカの研究機関が病気の治療を目的としたタンパク質の解析を世界中のパソコンで行うことを計画した。企業や個人がパソコンを立ち上げた時、使っていない余剰能力で計算するという。パソコンを立ち上げて他の作業しているだけで研究に貢献できるという、このプロジェクトは世界各国に広がった。
解析量がチームや国別で発表されるという、ちょっとしたゲーム性があったのだ。
大学などアカデミック単位で参加するチームが多かった中で、「とあるねらー民」がいきなり団結する。
それまで悪い意味で有名だった匿名掲示板は、英語で書かれた解析ソフトのダウンロードの仕方を日本語に訳し、ダウンロードから起動の仕方まで懇切丁寧にサポートし始めたのだ。
知識のない「とあるねらー民」もゲーム感覚でできるとあって、こぞって匿名巨大掲示板のチーム員としてパソコンの解析に参加したのである。
いつもなら、何か基本的な質問すれば
「ググレカス」
「半年ロムっていろ」
と罵倒の嵐になるのが、懇切丁寧に互いを匿名でサポートしあい、驚くことに解析を始めて数日でチーム別解析量が世界一になった。
ぶっちゃけ「とあるねらー民」は、アカデミックな名前の並ぶそのてっぺんに「チーム匿名巨大掲示板」が燦然と居座る様子が面白かったのだ。
それでも、やっていることは社会貢献である。
「やらない善より、やる偽善」
プロジェクトは数年間続き、その間「チーム巨大掲示板」は常に一位の座にあったという……。
かくのごとき国民性のため、ツイッターランドのプレゼント企画にとある日本のランド民は盛り上がった。
いかに垢バンされずにリツートやファボをクリックするか? プレゼント企画期間限定の相互フォロー運動がうねりとなり、ツイッターランド民は盛り上がる。
真面目な議論が繰り返された。そもそも、ツイート数が増えなければリツートもファボもできない。
ゆえに、参加民はあいさつツイートを日課にした。一日二回「おはよう」と「おやすみ」ツイートが爆増。あり得ない数のファボが付いた。
無論、ツイッターランド社は垢バンできる理由がない。ツイッターに夢中になりすぎて日常生活に支障が出る社会問題化まで意識し、節制したツイートとファボとリツート。
ソリの燃料を充填したくてツイッター始めた初心者への優しい対応。
行動は様式美となり、ツイッターランド社の赤旗判定を回避しながら、サンタクロースのそりの燃料を次々充填していくとある日本のランド民たち。
ソリの数に狂気乱舞するランド民を批判する者もいる。しかし、ランド民はさわやかな笑顔で答えた。
「やらない善より、やる偽善」
そう、パソコンの解析で「とあるねらー民」たちが言っていたあの言葉であった。
十二月二十四日。前日までの集計が終了して日本は燃料充填が終了したツイッターランドのサンタのソリ数世界一が確定した。ランド民たちは喜びのツイートを飛ばしあい「#日本が世界一」がトレンド世界一位になる。
二十四日の夜、ツイッターランド社ソリに乗ったツイッターランドサンタクロースたちが出発し、世界中の子供たちにプレゼントを配り始めた頃――
熱が冷めたとある日本のツイッターランド民たちは日常の、炎上騒ぎに戻っていた。
「リプ、巻き込んでいますよ(怒)‼」
初心者ランド民は、いきなり日常に戻ったツイッターランドで震えあがった。
「今までの優しさは何?」
そのツイートにファボはつかない。ボロボロ剥がれ落ちていくフォロワー数。そして初心者ランド民は、そっとツイッターランドを去って行く。
十二月二十五日。師走の忙しさにとある日本は今年も突き進んでいく。年末進行の中、ツイッターランドのソリの存在はすっかり忘れ去られていた……。
(終わり)
※これはフィクションです!
フリーイラストは赤坂しぐれ(らぶもあい)様
https://novelup.plus/story/120257982
ツイッター:@lovemoaiyamaben
ありがとうございました!
「リツート、ファボの回数に応じてサンタクロースのそりに燃料が充填します。燃料が満タンになったソリでサンタクロースがクリスマスに子供たちにプレゼントを贈ります。出発するサンタクロースのソリの数は国別対抗戦方式で発表されます」
なんと太っ腹な企画ではないか!とツイッターランド民は湧き上がる。
当然ながら、注意事項が矢のように飛んできた。
「やみくもにリツート、ファボしたアカウントは運営が削除します。不正なクリックは絶対しないように!」
こういうことにかけてはとある日本の国民は、張り切りだす傾向がある。
知らないかもしれないので説明すると、十数年前、悪名高いとある匿名の巨大掲示板において誹謗中傷で憂さ晴らしにあけくれていた「とあるねらー民」達が、一つの書き込みに気が付いたのだ。
アメリカの研究機関が病気の治療を目的としたタンパク質の解析を世界中のパソコンで行うことを計画した。企業や個人がパソコンを立ち上げた時、使っていない余剰能力で計算するという。パソコンを立ち上げて他の作業しているだけで研究に貢献できるという、このプロジェクトは世界各国に広がった。
解析量がチームや国別で発表されるという、ちょっとしたゲーム性があったのだ。
大学などアカデミック単位で参加するチームが多かった中で、「とあるねらー民」がいきなり団結する。
それまで悪い意味で有名だった匿名掲示板は、英語で書かれた解析ソフトのダウンロードの仕方を日本語に訳し、ダウンロードから起動の仕方まで懇切丁寧にサポートし始めたのだ。
知識のない「とあるねらー民」もゲーム感覚でできるとあって、こぞって匿名巨大掲示板のチーム員としてパソコンの解析に参加したのである。
いつもなら、何か基本的な質問すれば
「ググレカス」
「半年ロムっていろ」
と罵倒の嵐になるのが、懇切丁寧に互いを匿名でサポートしあい、驚くことに解析を始めて数日でチーム別解析量が世界一になった。
ぶっちゃけ「とあるねらー民」は、アカデミックな名前の並ぶそのてっぺんに「チーム匿名巨大掲示板」が燦然と居座る様子が面白かったのだ。
それでも、やっていることは社会貢献である。
「やらない善より、やる偽善」
プロジェクトは数年間続き、その間「チーム巨大掲示板」は常に一位の座にあったという……。
かくのごとき国民性のため、ツイッターランドのプレゼント企画にとある日本のランド民は盛り上がった。
いかに垢バンされずにリツートやファボをクリックするか? プレゼント企画期間限定の相互フォロー運動がうねりとなり、ツイッターランド民は盛り上がる。
真面目な議論が繰り返された。そもそも、ツイート数が増えなければリツートもファボもできない。
ゆえに、参加民はあいさつツイートを日課にした。一日二回「おはよう」と「おやすみ」ツイートが爆増。あり得ない数のファボが付いた。
無論、ツイッターランド社は垢バンできる理由がない。ツイッターに夢中になりすぎて日常生活に支障が出る社会問題化まで意識し、節制したツイートとファボとリツート。
ソリの燃料を充填したくてツイッター始めた初心者への優しい対応。
行動は様式美となり、ツイッターランド社の赤旗判定を回避しながら、サンタクロースのそりの燃料を次々充填していくとある日本のランド民たち。
ソリの数に狂気乱舞するランド民を批判する者もいる。しかし、ランド民はさわやかな笑顔で答えた。
「やらない善より、やる偽善」
そう、パソコンの解析で「とあるねらー民」たちが言っていたあの言葉であった。
十二月二十四日。前日までの集計が終了して日本は燃料充填が終了したツイッターランドのサンタのソリ数世界一が確定した。ランド民たちは喜びのツイートを飛ばしあい「#日本が世界一」がトレンド世界一位になる。
二十四日の夜、ツイッターランド社ソリに乗ったツイッターランドサンタクロースたちが出発し、世界中の子供たちにプレゼントを配り始めた頃――
熱が冷めたとある日本のツイッターランド民たちは日常の、炎上騒ぎに戻っていた。
「リプ、巻き込んでいますよ(怒)‼」
初心者ランド民は、いきなり日常に戻ったツイッターランドで震えあがった。
「今までの優しさは何?」
そのツイートにファボはつかない。ボロボロ剥がれ落ちていくフォロワー数。そして初心者ランド民は、そっとツイッターランドを去って行く。
十二月二十五日。師走の忙しさにとある日本は今年も突き進んでいく。年末進行の中、ツイッターランドのソリの存在はすっかり忘れ去られていた……。
(終わり)
※これはフィクションです!
フリーイラストは赤坂しぐれ(らぶもあい)様
https://novelup.plus/story/120257982
ツイッター:@lovemoaiyamaben
ありがとうございました!
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