フリーイラストでお話を書こう

ぽんたしろお

文字の大きさ
2 / 4

ツイッターランドのサンタクロース

しおりを挟む
 とある地球のとあるクリスマス直前、とあるツイッターランドの運営がサプライズ発表した。
「リツート、ファボの回数に応じてサンタクロースのそりに燃料が充填します。燃料が満タンになったソリでサンタクロースがクリスマスに子供たちにプレゼントを贈ります。出発するサンタクロースのソリの数は国別対抗戦方式で発表されます」
 なんと太っ腹な企画ではないか!とツイッターランド民は湧き上がる。
当然ながら、注意事項が矢のように飛んできた。
「やみくもにリツート、ファボしたアカウントは運営が削除します。不正なクリックは絶対しないように!」

 こういうことにかけてはとある日本の国民は、張り切りだす傾向がある。

 知らないかもしれないので説明すると、十数年前、悪名高いとある匿名の巨大掲示板において誹謗中傷で憂さ晴らしにあけくれていた「とあるねらー民」達が、一つの書き込みに気が付いたのだ。

 アメリカの研究機関が病気の治療を目的としたタンパク質の解析を世界中のパソコンで行うことを計画した。企業や個人がパソコンを立ち上げた時、使っていない余剰能力で計算するという。パソコンを立ち上げて他の作業しているだけで研究に貢献できるという、このプロジェクトは世界各国に広がった。
 解析量がチームや国別で発表されるという、ちょっとしたゲーム性があったのだ。
 大学などアカデミック単位で参加するチームが多かった中で、「とあるねらー民」がいきなり団結する。
それまで悪い意味で有名だった匿名掲示板は、英語で書かれた解析ソフトのダウンロードの仕方を日本語に訳し、ダウンロードから起動の仕方まで懇切丁寧にサポートし始めたのだ。
 知識のない「とあるねらー民」もゲーム感覚でできるとあって、こぞって匿名巨大掲示板のチーム員としてパソコンの解析に参加したのである。
 いつもなら、何か基本的な質問すれば
「ググレカス」
「半年ロムっていろ」
 と罵倒の嵐になるのが、懇切丁寧に互いを匿名でサポートしあい、驚くことに解析を始めて数日でチーム別解析量が世界一になった。
 ぶっちゃけ「とあるねらー民」は、アカデミックな名前の並ぶそのてっぺんに「チーム匿名巨大掲示板」が燦然と居座る様子が面白かったのだ。
 それでも、やっていることは社会貢献である。
「やらない善より、やる偽善」
 プロジェクトは数年間続き、その間「チーム巨大掲示板」は常に一位の座にあったという……。

 かくのごとき国民性のため、ツイッターランドのプレゼント企画にとある日本のランド民は盛り上がった。
いかに垢バンされずにリツートやファボをクリックするか? プレゼント企画期間限定の相互フォロー運動がうねりとなり、ツイッターランド民は盛り上がる。
 真面目な議論が繰り返された。そもそも、ツイート数が増えなければリツートもファボもできない。
ゆえに、参加民はあいさつツイートを日課にした。一日二回「おはよう」と「おやすみ」ツイートが爆増。あり得ない数のファボが付いた。
 無論、ツイッターランド社は垢バンできる理由がない。ツイッターに夢中になりすぎて日常生活に支障が出る社会問題化まで意識し、節制したツイートとファボとリツート。
 ソリの燃料を充填したくてツイッター始めた初心者への優しい対応。
 行動は様式美となり、ツイッターランド社の赤旗判定を回避しながら、サンタクロースのそりの燃料を次々充填していくとある日本のランド民たち。
 ソリの数に狂気乱舞するランド民を批判する者もいる。しかし、ランド民はさわやかな笑顔で答えた。
「やらない善より、やる偽善」
 そう、パソコンの解析で「とあるねらー民」たちが言っていたあの言葉であった。



 十二月二十四日。前日までの集計が終了して日本は燃料充填が終了したツイッターランドのサンタのソリ数世界一が確定した。ランド民たちは喜びのツイートを飛ばしあい「#日本が世界一」がトレンド世界一位になる。
 二十四日の夜、ツイッターランド社ソリに乗ったツイッターランドサンタクロースたちが出発し、世界中の子供たちにプレゼントを配り始めた頃――
 
 熱が冷めたとある日本のツイッターランド民たちは日常の、炎上騒ぎに戻っていた。
「リプ、巻き込んでいますよ(怒)‼」
 初心者ランド民は、いきなり日常に戻ったツイッターランドで震えあがった。
「今までの優しさは何?」
 そのツイートにファボはつかない。ボロボロ剥がれ落ちていくフォロワー数。そして初心者ランド民は、そっとツイッターランドを去って行く。
 
 十二月二十五日。師走の忙しさにとある日本は今年も突き進んでいく。年末進行の中、ツイッターランドのソリの存在はすっかり忘れ去られていた……。


(終わり)
※これはフィクションです!

フリーイラストは赤坂しぐれ(らぶもあい)様
https://novelup.plus/story/120257982
ツイッター:@lovemoaiyamaben
ありがとうございました!
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

まなの秘密日記

到冠
大衆娯楽
胸の大きな〇学生の一日を描いた物語です。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

意味が分かると怖い話【短編集】

本田 壱好
ホラー
意味が分かると怖い話。 つまり、意味がわからなければ怖くない。 解釈は読者に委ねられる。 あなたはこの短編集をどのように読みますか?

処理中です...