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第12章
進路変更とかいう難敵
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検定用のコースには運転要素の「基本のき」が凝縮している。
私はそれぞれの要素を壁にぶちあたりながら学んできたが、それを複合的に組み合わせるという段階で、再び壁にぶち当たった。
マルチタスク化すると、脳とからだが再びパンクするのだ。
私にとって、進路変更はあらゆる操作にくっついてくるやっかいな動作だった。
例えば、交差点左折。
交差点で左折したいならば、交差点手前で進路変更をするのが正式な動作だ。
交差点手前三十メートルで進路変更のためにウインカー点灯→三点確認→車線の左に寄って進路変更→ウインカー止めて、交差点侵入操作に備える、侵入する交差点でウインカー再度点灯、交差点の確認(三点確認)、左折、ウインカーを止める(これは自動戻ることが多い)という動作が流れになる。
文字に書くと、長々となることをスピードのある車内で畳みかけるように操作しなけらばいけないのだ。
運転がこんなに忙しい操作の連続で、かつ道路状況が変わる対処(教習コースには、他の練習車も当然いる)しなければいけないものなのか…。
先生が絶えず指示を飛ばし、それについていくのさえ難しい。
三点確認している間にコースを通り過ぎそうになって、先生が助手席のブレーキを踏む回数がどんどん増えてきた。
先生にブレーキを踏ませたら駄目なのはわかるが、からだも頭も追いつかない。
クリープ現象で出るスピードでしか走っていないのに、動作が追いつかない。
追いつかない、遅い、遅い、遅い!
苦手でないところなんてどこにもない状況だったが、特に苦手な場所がある。
外周コースから左折して内部のコースに侵入して、その直後に右折して狭路区間に侵入するコースだ。
外周コースから左折時にウインカー、足はブレーキで減速しつつ、三点確認「1、2、3」、ハンドルを時計回りに回して左折したら、すぐに右折用のウインカーを出し、三点確認「1、2、3」、ハンドル反時計回りに回して右折して狭い狭路に侵入するコース。
狭路通行の手前で、左折と右折を三点確認いれながら操作することが出来なくて出来なくて、そしてまた出来ない。
仮免検定用のコースで進路変更を加えた練習を始めて何時間たっただろうか。
その日もまた狭路コースに入る操作が遅れてしまった。
本来右折すべき場所を通り越していたのに、私は狭路コースに侵入する右折を強行しようとした。
先生が助手席のブレーキを強く踏んだ。
「○○さん!」
教習車は中央線のところで斜めになって、ガクッと揺れた。
「○○さん!」
再び急ブレーキ。再び車体がガクッと揺れた。
「○○さん!!」
三回目の急ブレーキ。
先生は、それ以上何も言わない、怒らない。
しかし先生の急ブレーキは、先生が私の肩を掴んで揺さぶりながら
「いい加減にしろ!」
と怒鳴る光景と重なった。
先生が怒りたいことを抑え、伝えたいのはわかっている。
先生、私も自分に怒りたい気分です、でもどうしたらいいのかわからないや…。
その後、先生が何を注意したのか全く覚えていない。
道路に対して斜めになった教習車から、私は青い空を見つめていた。
そして、先生が怒りを私にぶつけた翌日、やっぱり上達のかけらもない運転に明け暮れていたのに、先生は私を仮免検定に送り出すと私に伝えたのだった。
私はそれぞれの要素を壁にぶちあたりながら学んできたが、それを複合的に組み合わせるという段階で、再び壁にぶち当たった。
マルチタスク化すると、脳とからだが再びパンクするのだ。
私にとって、進路変更はあらゆる操作にくっついてくるやっかいな動作だった。
例えば、交差点左折。
交差点で左折したいならば、交差点手前で進路変更をするのが正式な動作だ。
交差点手前三十メートルで進路変更のためにウインカー点灯→三点確認→車線の左に寄って進路変更→ウインカー止めて、交差点侵入操作に備える、侵入する交差点でウインカー再度点灯、交差点の確認(三点確認)、左折、ウインカーを止める(これは自動戻ることが多い)という動作が流れになる。
文字に書くと、長々となることをスピードのある車内で畳みかけるように操作しなけらばいけないのだ。
運転がこんなに忙しい操作の連続で、かつ道路状況が変わる対処(教習コースには、他の練習車も当然いる)しなければいけないものなのか…。
先生が絶えず指示を飛ばし、それについていくのさえ難しい。
三点確認している間にコースを通り過ぎそうになって、先生が助手席のブレーキを踏む回数がどんどん増えてきた。
先生にブレーキを踏ませたら駄目なのはわかるが、からだも頭も追いつかない。
クリープ現象で出るスピードでしか走っていないのに、動作が追いつかない。
追いつかない、遅い、遅い、遅い!
苦手でないところなんてどこにもない状況だったが、特に苦手な場所がある。
外周コースから左折して内部のコースに侵入して、その直後に右折して狭路区間に侵入するコースだ。
外周コースから左折時にウインカー、足はブレーキで減速しつつ、三点確認「1、2、3」、ハンドルを時計回りに回して左折したら、すぐに右折用のウインカーを出し、三点確認「1、2、3」、ハンドル反時計回りに回して右折して狭い狭路に侵入するコース。
狭路通行の手前で、左折と右折を三点確認いれながら操作することが出来なくて出来なくて、そしてまた出来ない。
仮免検定用のコースで進路変更を加えた練習を始めて何時間たっただろうか。
その日もまた狭路コースに入る操作が遅れてしまった。
本来右折すべき場所を通り越していたのに、私は狭路コースに侵入する右折を強行しようとした。
先生が助手席のブレーキを強く踏んだ。
「○○さん!」
教習車は中央線のところで斜めになって、ガクッと揺れた。
「○○さん!」
再び急ブレーキ。再び車体がガクッと揺れた。
「○○さん!!」
三回目の急ブレーキ。
先生は、それ以上何も言わない、怒らない。
しかし先生の急ブレーキは、先生が私の肩を掴んで揺さぶりながら
「いい加減にしろ!」
と怒鳴る光景と重なった。
先生が怒りたいことを抑え、伝えたいのはわかっている。
先生、私も自分に怒りたい気分です、でもどうしたらいいのかわからないや…。
その後、先生が何を注意したのか全く覚えていない。
道路に対して斜めになった教習車から、私は青い空を見つめていた。
そして、先生が怒りを私にぶつけた翌日、やっぱり上達のかけらもない運転に明け暮れていたのに、先生は私を仮免検定に送り出すと私に伝えたのだった。
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