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第14章
二度目の仮免検定
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一発合格とか、スピード免許取得とかいう言葉は、私には一切無縁の言葉だ。
仮免を検定中止という最悪の形で落ちた後の補習は、狭路通行に終始した。
コースが車で隠れると行先を見失うミスを繰り返す。
さすがの先生も、もう言葉が見つからないようだ。
「車両感覚」というあいまいな体感を身に付けることの困難さをどうやって克服すればいいのかわからない。
補習の終わり、先生は
「頑張っているんですから、落ち着いてください」
とだけ言った。
二回目の検定前、何度も何度もユーチューブの動画を見て、先生の言葉を書き留めたノートに目を通した。
どれくらい理解していないか、披露しようと思う。
補習を受けて頭を整理しながらS字コースを通るポイントを、ノートにまとめたものがこれだ。
『視線、進行方向(左前)見ながら、手前縁石がみえなくなる直前で一回転ハンドルきる。
左に曲がるけど足りないから左前のタイヤが左から右へいくので、道路の中央に左前タイヤがきたら半回転たす。
車が左側に移動、右へ視線を向けてアクセルの下のタイヤが右を離れて道路中央に来たら半分戻す。
右の進行方向を見ながら、アクセルの手前のタイヤが道路中央きたら、半回転戻す。
S字中央、縁石が正面に見えてきたら、右に一回転でハンドル戻す。
進行、縁石が見えなくなる直前で右に一回転。
アクセルの下のタイヤが道路中央にきたら半回転たす。
コース抜けるとこで、ハンドル戻す』
自分で書いたメモだが、何を書いているのか全く理解できない。
メモで文章化している分だけ、狭路通行1時間目のわあぁぁぁあああからは、まだマシになってはいるのだ、これでも。
頭の中が、混線した状態だということだ。
二回目の仮免検定の日、検定前に突然手が震え出した。極度の緊張状態をコントロールできる自信はどこにもなかった。
検定が始まりS字コースに入った時、緊張は限界に達した。無限に続くと思われたコースを通り抜けた時にも手ごたえはなかった。
ただ、検定官の先生は
「検定中止」
と言わなかった。私は検定コースを最後まで走ることを許され、検定コースの最後の発着点に戻ってきた。
一回目に行けなかった指定された教室で合否を待つ。その日の仮免受験者は、二十人ほど。
自動車学校は一番忙しい時期に入りつつあったのだ。
全員技能は合格。
続いて筆記試験だ。効果試験では2回落ちているが、ここで足止めくらうわけにはいかない。
慎重に問題を解いていった。
どうやら私も、合格したらしい…。
仮運転免許証が作成され、配られた。
公道を走ることができるれっきとした免許証である。
公道を練習できる許可が出たのだ。
ここで注意事項を受けた。
法律的には、仮運転免許証があれば、一定の条件を揃える(助手席に3年以上普通免許取得した人が乗っていること、「仮免練習中」と書かれたプレートを車の前後2ヵ所に所定の位置とサイズで取り付けること)で自家用車で練習ができることになっている。
「ただし」
仮運転免許証を配ってくれた自動車学校の係の人が続けた。
「当校は、自主練習は一切認めていません。発覚したら退学処分になります」
続けて
「というわけで、仮免は学校で預かります」
配られた仮免許証とその旨を了承する宣誓書に署名捺印した物を再び係員に渡した。
学校が仮運転免許証をがっちり保管しているので、自主練習は不可能なのだ。
対応は自動車学校によって分かれるようだが、私の通った学校は、自主練禁止だった。
一通り手続きがすむと、担当の先生が入ってきた。私を含めた数人の学生が呼ばれる。
全員、先生が担当している生徒なのだという。若い男の子もいれば、三十前後の若い女性もいた。
まぁ、一番異質なのは私なのは間違いない。
三十前後の女性と少し話をした。自動車学校に入学して以来、生徒という立場の人と親しく話したのは、これが初めてだった。
小さなお子さんがいて、送り迎えのために自動車免許をとりに来たと話してくれた。
先生は、第二段階の実習時間を決めていく。
私は、早速翌日に教習が入った。
三十前後の女性が実習した次の時間らしい。
「明日から、路上なんだ…」
仮免の検定試験に合格できるのかでいっぱいだった頭を、即座に切り替えることは至難だ。
でも、自動車学校というのは、所定の条件が揃うと、私の心の準備を待つことなく次の段階へ放り込まれる場所であることは、薄々わかってきた。
気持ちは仮免検定の緊張でガチガチのままだが、自動車学校は待ってくれない。
仮免を検定中止という最悪の形で落ちた後の補習は、狭路通行に終始した。
コースが車で隠れると行先を見失うミスを繰り返す。
さすがの先生も、もう言葉が見つからないようだ。
「車両感覚」というあいまいな体感を身に付けることの困難さをどうやって克服すればいいのかわからない。
補習の終わり、先生は
「頑張っているんですから、落ち着いてください」
とだけ言った。
二回目の検定前、何度も何度もユーチューブの動画を見て、先生の言葉を書き留めたノートに目を通した。
どれくらい理解していないか、披露しようと思う。
補習を受けて頭を整理しながらS字コースを通るポイントを、ノートにまとめたものがこれだ。
『視線、進行方向(左前)見ながら、手前縁石がみえなくなる直前で一回転ハンドルきる。
左に曲がるけど足りないから左前のタイヤが左から右へいくので、道路の中央に左前タイヤがきたら半回転たす。
車が左側に移動、右へ視線を向けてアクセルの下のタイヤが右を離れて道路中央に来たら半分戻す。
右の進行方向を見ながら、アクセルの手前のタイヤが道路中央きたら、半回転戻す。
S字中央、縁石が正面に見えてきたら、右に一回転でハンドル戻す。
進行、縁石が見えなくなる直前で右に一回転。
アクセルの下のタイヤが道路中央にきたら半回転たす。
コース抜けるとこで、ハンドル戻す』
自分で書いたメモだが、何を書いているのか全く理解できない。
メモで文章化している分だけ、狭路通行1時間目のわあぁぁぁあああからは、まだマシになってはいるのだ、これでも。
頭の中が、混線した状態だということだ。
二回目の仮免検定の日、検定前に突然手が震え出した。極度の緊張状態をコントロールできる自信はどこにもなかった。
検定が始まりS字コースに入った時、緊張は限界に達した。無限に続くと思われたコースを通り抜けた時にも手ごたえはなかった。
ただ、検定官の先生は
「検定中止」
と言わなかった。私は検定コースを最後まで走ることを許され、検定コースの最後の発着点に戻ってきた。
一回目に行けなかった指定された教室で合否を待つ。その日の仮免受験者は、二十人ほど。
自動車学校は一番忙しい時期に入りつつあったのだ。
全員技能は合格。
続いて筆記試験だ。効果試験では2回落ちているが、ここで足止めくらうわけにはいかない。
慎重に問題を解いていった。
どうやら私も、合格したらしい…。
仮運転免許証が作成され、配られた。
公道を走ることができるれっきとした免許証である。
公道を練習できる許可が出たのだ。
ここで注意事項を受けた。
法律的には、仮運転免許証があれば、一定の条件を揃える(助手席に3年以上普通免許取得した人が乗っていること、「仮免練習中」と書かれたプレートを車の前後2ヵ所に所定の位置とサイズで取り付けること)で自家用車で練習ができることになっている。
「ただし」
仮運転免許証を配ってくれた自動車学校の係の人が続けた。
「当校は、自主練習は一切認めていません。発覚したら退学処分になります」
続けて
「というわけで、仮免は学校で預かります」
配られた仮免許証とその旨を了承する宣誓書に署名捺印した物を再び係員に渡した。
学校が仮運転免許証をがっちり保管しているので、自主練習は不可能なのだ。
対応は自動車学校によって分かれるようだが、私の通った学校は、自主練禁止だった。
一通り手続きがすむと、担当の先生が入ってきた。私を含めた数人の学生が呼ばれる。
全員、先生が担当している生徒なのだという。若い男の子もいれば、三十前後の若い女性もいた。
まぁ、一番異質なのは私なのは間違いない。
三十前後の女性と少し話をした。自動車学校に入学して以来、生徒という立場の人と親しく話したのは、これが初めてだった。
小さなお子さんがいて、送り迎えのために自動車免許をとりに来たと話してくれた。
先生は、第二段階の実習時間を決めていく。
私は、早速翌日に教習が入った。
三十前後の女性が実習した次の時間らしい。
「明日から、路上なんだ…」
仮免の検定試験に合格できるのかでいっぱいだった頭を、即座に切り替えることは至難だ。
でも、自動車学校というのは、所定の条件が揃うと、私の心の準備を待つことなく次の段階へ放り込まれる場所であることは、薄々わかってきた。
気持ちは仮免検定の緊張でガチガチのままだが、自動車学校は待ってくれない。
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