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2020年08月
技術者としての夫は、私の誇りである
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いつ「技術大国・日本」は終焉していたのだろうか?
その時を自覚する術を私たちは、残念ながら持ちあわせない人間だった。
現状はすでに日本は「技術大国」ではない、そう思う。
夫は「技術大国」の末期を担った技術者だ。だからといって、夫が日本の技術を低下させたとか、そんなこと言う奴がいたら私は全力で否定する。
夫は優秀な「技術者」だ。夫の技術が今の時代にそぐわないだけ――ただそれだけのことだ。
実際、夫が関わった器具は夫の名前が出ないだけで、今も売れ続けている。ただし、ほんのちょっとだ。全く売れ筋から外れた、特殊な機械であり、時代にそぐわない種類の物というだけだ。
夫が関わっていた製品に対し、問題を解決する夫の方法は愚直ながら真摯であると私は心から賞賛する。
しかし、時代は変わったのだ。アナログからデジタルへ、技術が変遷する中で、アナログ技術大国だった日本とその一旦を担った夫は時代遅れの烙印を押されたのだ。
例えばブラウン管テレビ。日本が世界のトップを走っていたテレビ製品である。ブラウン管テレビの仕組みはよく知らないが、日本のメーカー数社が競っていた。
テレビは日本家電のお家芸の象徴的存在だった。外国製のテレビを購入する選択肢を持とうと思ったこともない。
家電は国内メーカーから選択するのが当然だった時代なのだ。特許や特許公開しない技術がどれほど蓄積されただろうか。
潮目が変わったのはやはりテレビのデジタル化だと、私は思う。
テレビの液晶画面とプラズマ画面で国内メーカーが対決していた時、まだ日本は気が付いていなかった。おそらく日本の家電の最後の打ち上げ花火だったのだ。
シャープの「世界の亀山ブランド」が崩れ、台湾のメーカーに買収された時、私たちはようやく気が付いた。
「アナログ技術大国・日本」は、デジタル化の波に乗り遅れた形に結果的になってしまったのだと思う
私たちが学生だった時代、日本には「工学部」が乱立していた。それは、アナログベースの技術大国として更なる発展を信じたゆえである。
今、工学部は形を変えつつある。工学部から理工学部へ、更に理学部へ。おそらくデジタルに対応していく学部が多くなる中で、大量生産を得意とした工学的な学問の比重が小さくなってきたのだ。
では、私たちの世代が今の凋落を作ったのか? そうではないと私は信じている。アナログ技術の発展があって、世界はデジタルの移行したのだ。
現在、時代遅れになった技術であろうとも、今のデジタル技術が花開くために通過する必要はあったはずだ。
科学技術の進化とは、過去からの積み重ねであることを、私は信じているし、今を担う人に否定されるとすれば、反論する。
とはいえ、過去の技術は過去の技術である。それは事実である。
技術者としての夫の時代は終わった。夫は全く別の仕事を必死に覚えようとしている。若い時と違って、一度で記憶は定着してくれない。それを若い人は「老害」と呼ぶのだろう。
世代間の意識の違いといわれても、過去の栄光に縋りつくのはみっともないといわれようとも、それでも、夫は私の誇りである。
その時を自覚する術を私たちは、残念ながら持ちあわせない人間だった。
現状はすでに日本は「技術大国」ではない、そう思う。
夫は「技術大国」の末期を担った技術者だ。だからといって、夫が日本の技術を低下させたとか、そんなこと言う奴がいたら私は全力で否定する。
夫は優秀な「技術者」だ。夫の技術が今の時代にそぐわないだけ――ただそれだけのことだ。
実際、夫が関わった器具は夫の名前が出ないだけで、今も売れ続けている。ただし、ほんのちょっとだ。全く売れ筋から外れた、特殊な機械であり、時代にそぐわない種類の物というだけだ。
夫が関わっていた製品に対し、問題を解決する夫の方法は愚直ながら真摯であると私は心から賞賛する。
しかし、時代は変わったのだ。アナログからデジタルへ、技術が変遷する中で、アナログ技術大国だった日本とその一旦を担った夫は時代遅れの烙印を押されたのだ。
例えばブラウン管テレビ。日本が世界のトップを走っていたテレビ製品である。ブラウン管テレビの仕組みはよく知らないが、日本のメーカー数社が競っていた。
テレビは日本家電のお家芸の象徴的存在だった。外国製のテレビを購入する選択肢を持とうと思ったこともない。
家電は国内メーカーから選択するのが当然だった時代なのだ。特許や特許公開しない技術がどれほど蓄積されただろうか。
潮目が変わったのはやはりテレビのデジタル化だと、私は思う。
テレビの液晶画面とプラズマ画面で国内メーカーが対決していた時、まだ日本は気が付いていなかった。おそらく日本の家電の最後の打ち上げ花火だったのだ。
シャープの「世界の亀山ブランド」が崩れ、台湾のメーカーに買収された時、私たちはようやく気が付いた。
「アナログ技術大国・日本」は、デジタル化の波に乗り遅れた形に結果的になってしまったのだと思う
私たちが学生だった時代、日本には「工学部」が乱立していた。それは、アナログベースの技術大国として更なる発展を信じたゆえである。
今、工学部は形を変えつつある。工学部から理工学部へ、更に理学部へ。おそらくデジタルに対応していく学部が多くなる中で、大量生産を得意とした工学的な学問の比重が小さくなってきたのだ。
では、私たちの世代が今の凋落を作ったのか? そうではないと私は信じている。アナログ技術の発展があって、世界はデジタルの移行したのだ。
現在、時代遅れになった技術であろうとも、今のデジタル技術が花開くために通過する必要はあったはずだ。
科学技術の進化とは、過去からの積み重ねであることを、私は信じているし、今を担う人に否定されるとすれば、反論する。
とはいえ、過去の技術は過去の技術である。それは事実である。
技術者としての夫の時代は終わった。夫は全く別の仕事を必死に覚えようとしている。若い時と違って、一度で記憶は定着してくれない。それを若い人は「老害」と呼ぶのだろう。
世代間の意識の違いといわれても、過去の栄光に縋りつくのはみっともないといわれようとも、それでも、夫は私の誇りである。
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