ふと頭をよぎったことを書いておく、いわゆるブログ的なあれ

ぽんたしろお

文字の大きさ
14 / 59
2020年08月

技術者としての夫は、私の誇りである

しおりを挟む
 いつ「技術大国・日本」は終焉していたのだろうか?
 その時を自覚する術を私たちは、残念ながら持ちあわせない人間だった。

 現状はすでに日本は「技術大国」ではない、そう思う。

 夫は「技術大国」の末期を担った技術者だ。だからといって、夫が日本の技術を低下させたとか、そんなこと言う奴がいたら私は全力で否定する。
 夫は優秀な「技術者」だ。夫の技術が今の時代にそぐわないだけ――ただそれだけのことだ。
 実際、夫が関わった器具は夫の名前が出ないだけで、今も売れ続けている。ただし、ほんのちょっとだ。全く売れ筋から外れた、特殊な機械であり、時代にそぐわない種類の物というだけだ。
 夫が関わっていた製品に対し、問題を解決する夫の方法は愚直ながら真摯であると私は心から賞賛する。

 しかし、時代は変わったのだ。アナログからデジタルへ、技術が変遷する中で、アナログ技術大国だった日本とその一旦を担った夫は時代遅れの烙印を押されたのだ。

 例えばブラウン管テレビ。日本が世界のトップを走っていたテレビ製品である。ブラウン管テレビの仕組みはよく知らないが、日本のメーカー数社が競っていた。
 テレビは日本家電のお家芸の象徴的存在だった。外国製のテレビを購入する選択肢を持とうと思ったこともない。
 家電は国内メーカーから選択するのが当然だった時代なのだ。特許や特許公開しない技術がどれほど蓄積されただろうか。
 潮目が変わったのはやはりテレビのデジタル化だと、私は思う。
 テレビの液晶画面とプラズマ画面で国内メーカーが対決していた時、まだ日本は気が付いていなかった。おそらく日本の家電の最後の打ち上げ花火だったのだ。
 シャープの「世界の亀山ブランド」が崩れ、台湾のメーカーに買収された時、私たちはようやく気が付いた。

 「アナログ技術大国・日本」は、デジタル化の波に乗り遅れた形に結果的になってしまったのだと思う

 私たちが学生だった時代、日本には「工学部」が乱立していた。それは、アナログベースの技術大国として更なる発展を信じたゆえである。
 今、工学部は形を変えつつある。工学部から理工学部へ、更に理学部へ。おそらくデジタルに対応していく学部が多くなる中で、大量生産を得意とした工学的な学問の比重が小さくなってきたのだ。

 では、私たちの世代が今の凋落を作ったのか? そうではないと私は信じている。アナログ技術の発展があって、世界はデジタルの移行したのだ。
 現在、時代遅れになった技術であろうとも、今のデジタル技術が花開くために通過する必要はあったはずだ。
 科学技術の進化とは、過去からの積み重ねであることを、私は信じているし、今を担う人に否定されるとすれば、反論する。

 とはいえ、過去の技術は過去の技術である。それは事実である。
 技術者としての夫の時代は終わった。夫は全く別の仕事を必死に覚えようとしている。若い時と違って、一度で記憶は定着してくれない。それを若い人は「老害」と呼ぶのだろう。
 世代間の意識の違いといわれても、過去の栄光に縋りつくのはみっともないといわれようとも、それでも、夫は私の誇りである。




しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

投稿インセンティブで月額23万円を稼いだ方法。

克全
エッセイ・ノンフィクション
「カクヨム」にも投稿しています。

妻の遺品を整理していたら

家紋武範
恋愛
妻の遺品整理。 片づけていくとそこには彼女の名前が記入済みの離婚届があった。

国外追放だ!と言われたので従ってみた

れぷ
ファンタジー
 良いの?君達死ぬよ?

アルファポリスであなたの良作を1000人に読んでもらうための25の技

MJ
エッセイ・ノンフィクション
アルファポリスは書いた小説を簡単に投稿でき、世間に公開できる素晴らしいサイトです。しかしながら、アルファポリスに小説を公開すれば必ずしも沢山の人に読んでいただけるとは限りません。 私はアルファポリスで公開されている小説を読んでいて気づいたのが、面白いのに埋もれている小説が沢山あるということです。 すごく丁寧に真面目にいい文章で、面白い作品を書かれているのに評価が低くて心折れてしまっている方が沢山いらっしゃいます。 そんな方に言いたいです。 アルファポリスで評価低いからと言って心折れちゃいけません。 あなたが良い作品をちゃんと書き続けていればきっとこの世界を潤す良いものが出来上がるでしょう。 アルファポリスは本とは違う媒体ですから、みんなに読んでもらうためには普通の本とは違った戦略があります。 書いたまま放ったらかしではいけません。 自分が良いものを書いている自信のある方はぜひここに書いてあることを試してみてください。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

熟女教師に何度も迫られて…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
二度と味わえない体験をした実話中心のショート・ショート集です

処理中です...