フランシェス兄弟はアンニュイ(兄編)

朝陽ヨル(月嶺)

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馴れ初め編

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 仕事が休みの日は毎度あの公園へ足を運ぶ。そして時々理一に会えれば何気ない会話を楽しんだ。理一に会えたら心が踊る。 

「理一って難しい本読んだり、多国語話せたりして頭良いけど若そうだよね。何歳?」
「三十一になるな」
「え。年下だと思ってた。理一童顔なんだね」
「ははは……」
「俺は二十九」
「ジョアルは年下だが俺よりしっかりしている。その年で医学、武術の心得もあって、他にも色んな知識を得ているだろう? それに驕ることがない」
「褒めてくれてる?」
「ああ」
「じゃあ、お願い。頭撫でて」
「え……ああ、じゃあ」 

 突飛なお願いだが理一は微笑みポンポンとジョアルの頭を撫でてやる。 
 年上と知り素直に甘えられる、そんな相手だと思えた。
 意図的に表情を崩すことはあっても、自分の感情のままに笑みを零すことは人生でほとんど無かった。心から楽しい、嬉しいと思えることが無かった。けれど理一と話していると楽しくて嬉しいと感じる。もっと熱い感情も。こんな気持ちは初めてだった。 

「理一、髪触っていい?」
「ああ、いいぞ」 

 理一の髪はさらさらと指通りが良く気持ちがいい。 

「弟も髪長いけど触らせてくれない」
「そうなのか?」
「うん。俺、嫌われてるから」
「弟に…………そうか」 

 少し理一の表情が曇ってしまい、ジョアルは話題を変えようと考える。そして思いついたのが自分の家へ招待することだった。
 家の敷地には道場があり、腕が鈍らないようにと毎日鍛錬をしている。
 理一に格好良いところを見せたいと思い、模造刀で剣の型を振るったり、真剣で巻藁を試し斬りしてみせた。 

「本当にすごいな、ジョアルは」 

 感心して拍手する理一。
 そしてジョアルは提案する。 

「理一でも出来るよ。試し斬り」
「え、いや……さすがに難しいんじゃないか?」
「俺が教えてあげる」 

 ジョアルがぐいぐいと話を進めて準備を整える。そして言葉の通り理一に手取り足取り教えて見事試し斬りを成功させた。 

「斬れた……!」
「うん、姿勢も良いし理一は筋がいいと思うよ」
「そ、そうか? ……ジョアル?」
「ん?」
「いや……その……」 

 ジョアルの手は理一の腰を支えていた。しかし段々と手つきが支えるだけではなく擦ったり揉んだりと動いていく。 

「っ……! こ、こら、やめてくれ」 

 困ったように叱る理一。
 ジョアルはその手をどけて。 

「ごめんごめん。あんまりにも俺と違うからつい」 

 悪びれる様子も無い。
 若干呆れつつも、試し斬りという体験が出来たことに感謝をしている。
 その日はそれでお開きとなった。
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