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十ニ話 フェイス トゥ フェイス
三
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「ここ行ってみない?」
夏菜がチラシを持ってきて見せてきた。チラシには町内会の祭りについて印刷されている。
多分あの広場だ。リリカちゃんが言ってたおまつり……!
「行きたい!」
「よ~し決定! あ、せっかくだから……お母さーん、浴衣ってまだある?」
「あんたの小さい時のなら残ってるはずよ」
「それそれ。ねえココロちゃん、お下がりになっちゃうけどうちが着てた浴衣着てみない?」
「うん、きてみたい」
「じゃあうちが着せてあげる。夕方になったら着替えよっか」
朝起きてすぐにそんな会話をし、待ちに待った夕方になるとクックから浴衣の帯を渡される。
「夏菜カラ受ケ取リ、ソレカラ主用にアレンジシマシタ」
「アレンジ?」
よくわからずに帯を広げてみると、帯の至るところにトリの模様が縫われていた。
「トリさんいっぱい! ピヨさんかな? これクックさんがぬったの?」
「ハイ。ミシンと手縫イシマシタ」
待っている間に夏休みの宿題をしていたが、クックは縫い物をしていた。その完成品がこの帯のアレンジだとは思いもしなかった。
「すごいね、ありがとうクックさん」
「主が喜ブ、ワタシ嬉シイデス」
ココロが笑えばクックはそれだけで嬉しくて満足する。
受け取った帯を今度はココロから夏菜に渡して浴衣を着付けてもらう。夏菜の子供の頃の浴衣はココロの体のサイズにぴったりだった。着付けの最後には髪をお団子ヘアーにし、リボンを結べば完了だ。
両親の影響か夏菜は手先が器用で、ヘアアレンジやリボンの結び方も綺麗にこなしている。
「ひゃ~! もううち天才じゃない!? めっちゃくちゃ可愛い! ココロちゃん見てみなよ!」
全身の映る鏡の前へ移動して見てみると、自分の変わりようにココロは驚く。
「わあ~かわいい……! ナッちゃん、おひめさまをへんしんさせるまほうつかいみたい!」
「うーん魔女か。魔女もいいね! それじゃあお姫様、舞踏会へ……じゃなくて、お祭りに行きましょっかね」
「準備は出来たか? おお、ココロ可愛くしてもらったな」
やって来た祖父に褒められて恥ずかしそう俯く。
そんな様子のココロを見て夏菜も祖父も顔を合わせて笑っていた。
伯父と伯母は仕事でいない為、祭に同行するのは夏菜と祖父の二人だ。クックと太郎丸に見送られて家を出ていく。
祭が行われている広場はココロが思った通り学校帰りにある広場で、普段は小学生が十人遊んでいれば多い方だ。しかし今日はその十倍の人数を軽く超える程の人だかりである。中央には櫓、そこから提灯が四方にいくつも連なっている。櫓から通路を挟んで囲うように屋台が広場いっぱいに所狭しと並んでいる。
「わーお、人集まってるね~。ココロちゃん、はぐれないように手でも繋いどく?」
「えっ、……う、うん」
「夏菜はすっかりお姉さんだな」
「えっへん」
ココロと夏菜は手を繋ぎながら会場を回る。たこ焼き、チョコバナナ、かき氷を食べて、流行りのアニメのお面を買って被ったり、射的にも挑戦してみた。最後の一発で小さな菓子の箱に当てられたのは大きな喜びとなる。
「やったね!」
「うん!」
夏菜とハイタッチして景品をもらったココロは充実していて、目元も口元も緩み次第に顔が綻んでいた。
「あっ! ココロちゃーん」
「リリカちゃん」
駆け寄ってきた凛々華と、後からその両親と会い軽く挨拶をする。
「ココロちゃんゆかたきてる! すっごくかわいい!」
「ありがとう」
「いいなあ、わたしもゆかたきたい」
凛々華は母親におねだりすると、また来年ねと宥められている。
しばらく咲掛一家と話していると、スピーカーから盆踊りが始まるというアナウンスが流れてきた。
「盆踊り始まるみたい。行くよココロちゃん!」
「ええっ!?」
「すみません、後ろ入れてくださーい」
夏菜に手を引かれて櫓の周りにやって来て、既に並んでいる人の列に入り込んだ。前の人は浴衣を着た小学生の女の子で、振り向いて返事をしてくれた。顔を合わせて知っている顔に目を丸くする。学級委員の百合子だ。
「ユリコちゃんだ!」
「ココロちゃんも来てたの」
「うん。ナッちゃんとおじいちゃんといっしょに来たよ。ユリコちゃんは?」
「おばあちゃんと。毎年ここでぼんおどりしてるって言うからいっしょに来たのよ」
「あー! ユリコちゃんもゆかただ! いいないいなあ……、来年はぜったい買ってもらうー!」
凛々華も列に加わり、羨ましそうにココロと百合子を見ている。
祭りに浴衣を着たいと憧れる気持ちはわかる。ココロも自分のではなくてお下がりだが浴衣を着ることが出来て嬉しかったからだ。運が良かったと嬉しさを今でも噛みしめている。
盆踊りが始まる前に夏菜と百合子の祖母から振り付けを学び、盆踊りの定番曲が流れてくるとぎこちなく踊る。そうして夏の風物詩を思う存分楽しんだ。
夏菜がチラシを持ってきて見せてきた。チラシには町内会の祭りについて印刷されている。
多分あの広場だ。リリカちゃんが言ってたおまつり……!
「行きたい!」
「よ~し決定! あ、せっかくだから……お母さーん、浴衣ってまだある?」
「あんたの小さい時のなら残ってるはずよ」
「それそれ。ねえココロちゃん、お下がりになっちゃうけどうちが着てた浴衣着てみない?」
「うん、きてみたい」
「じゃあうちが着せてあげる。夕方になったら着替えよっか」
朝起きてすぐにそんな会話をし、待ちに待った夕方になるとクックから浴衣の帯を渡される。
「夏菜カラ受ケ取リ、ソレカラ主用にアレンジシマシタ」
「アレンジ?」
よくわからずに帯を広げてみると、帯の至るところにトリの模様が縫われていた。
「トリさんいっぱい! ピヨさんかな? これクックさんがぬったの?」
「ハイ。ミシンと手縫イシマシタ」
待っている間に夏休みの宿題をしていたが、クックは縫い物をしていた。その完成品がこの帯のアレンジだとは思いもしなかった。
「すごいね、ありがとうクックさん」
「主が喜ブ、ワタシ嬉シイデス」
ココロが笑えばクックはそれだけで嬉しくて満足する。
受け取った帯を今度はココロから夏菜に渡して浴衣を着付けてもらう。夏菜の子供の頃の浴衣はココロの体のサイズにぴったりだった。着付けの最後には髪をお団子ヘアーにし、リボンを結べば完了だ。
両親の影響か夏菜は手先が器用で、ヘアアレンジやリボンの結び方も綺麗にこなしている。
「ひゃ~! もううち天才じゃない!? めっちゃくちゃ可愛い! ココロちゃん見てみなよ!」
全身の映る鏡の前へ移動して見てみると、自分の変わりようにココロは驚く。
「わあ~かわいい……! ナッちゃん、おひめさまをへんしんさせるまほうつかいみたい!」
「うーん魔女か。魔女もいいね! それじゃあお姫様、舞踏会へ……じゃなくて、お祭りに行きましょっかね」
「準備は出来たか? おお、ココロ可愛くしてもらったな」
やって来た祖父に褒められて恥ずかしそう俯く。
そんな様子のココロを見て夏菜も祖父も顔を合わせて笑っていた。
伯父と伯母は仕事でいない為、祭に同行するのは夏菜と祖父の二人だ。クックと太郎丸に見送られて家を出ていく。
祭が行われている広場はココロが思った通り学校帰りにある広場で、普段は小学生が十人遊んでいれば多い方だ。しかし今日はその十倍の人数を軽く超える程の人だかりである。中央には櫓、そこから提灯が四方にいくつも連なっている。櫓から通路を挟んで囲うように屋台が広場いっぱいに所狭しと並んでいる。
「わーお、人集まってるね~。ココロちゃん、はぐれないように手でも繋いどく?」
「えっ、……う、うん」
「夏菜はすっかりお姉さんだな」
「えっへん」
ココロと夏菜は手を繋ぎながら会場を回る。たこ焼き、チョコバナナ、かき氷を食べて、流行りのアニメのお面を買って被ったり、射的にも挑戦してみた。最後の一発で小さな菓子の箱に当てられたのは大きな喜びとなる。
「やったね!」
「うん!」
夏菜とハイタッチして景品をもらったココロは充実していて、目元も口元も緩み次第に顔が綻んでいた。
「あっ! ココロちゃーん」
「リリカちゃん」
駆け寄ってきた凛々華と、後からその両親と会い軽く挨拶をする。
「ココロちゃんゆかたきてる! すっごくかわいい!」
「ありがとう」
「いいなあ、わたしもゆかたきたい」
凛々華は母親におねだりすると、また来年ねと宥められている。
しばらく咲掛一家と話していると、スピーカーから盆踊りが始まるというアナウンスが流れてきた。
「盆踊り始まるみたい。行くよココロちゃん!」
「ええっ!?」
「すみません、後ろ入れてくださーい」
夏菜に手を引かれて櫓の周りにやって来て、既に並んでいる人の列に入り込んだ。前の人は浴衣を着た小学生の女の子で、振り向いて返事をしてくれた。顔を合わせて知っている顔に目を丸くする。学級委員の百合子だ。
「ユリコちゃんだ!」
「ココロちゃんも来てたの」
「うん。ナッちゃんとおじいちゃんといっしょに来たよ。ユリコちゃんは?」
「おばあちゃんと。毎年ここでぼんおどりしてるって言うからいっしょに来たのよ」
「あー! ユリコちゃんもゆかただ! いいないいなあ……、来年はぜったい買ってもらうー!」
凛々華も列に加わり、羨ましそうにココロと百合子を見ている。
祭りに浴衣を着たいと憧れる気持ちはわかる。ココロも自分のではなくてお下がりだが浴衣を着ることが出来て嬉しかったからだ。運が良かったと嬉しさを今でも噛みしめている。
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