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一瞬の静けさ
しおりを挟む私は念願の別荘を購入して
今日で1年が経った
場所は大都会を離れて
湖畔の近くの郊外にある
街に行くためには車で1時間ほどの
距離であり
少し不便だと感じると思うが
ここは空気が美味しく
外を歩けば
小鳥はハーモニーを奏で
魚は生き生きと川を泳ぐ
まさに都会の喧騒とは正反対の場所と
言えるだろう
朝食の熱々の食パンに
甘い甘いいちごジャムを塗り
目覚めの糧になるコーヒを飲み
軽めのストレッチをすると
私は
家を出ていつもの散歩コースを歩く
湖畔の奥に映る
登山には最適な大きさの山を眺めながら
深呼吸をし
空気や風の匂いを感じる
これが至福の時である
すると奥から若い夫婦が歩いていた
「おはようございます」
夫婦は調子の良い声であいさつをした
「おはようございます、はて見たことない顔ですな」
「先月越したものです
職場は街の方なのですが
最近出来た高速道路に乗ればここから一瞬ですから」
「なるほど
いいですな、この年齢でこんな素敵な所を見つけるなんて」
「ありがとうございます
これからもよろしくお願いします」
夫婦はそう挨拶を言い別れた
最近は家の近くに看板の数が増えてきたりキャンプの目的で来る人の数が若干多くなったがまだ気にするほどではないだろう
家に帰りシャワーを浴びたら
ここで夕方まで釣りでもしょう
特に釣れなくても
湖をぼーっと眺めるだけで幸せなのだ
日が沈み
晩御飯を食べ
その後は先週都会の本屋でまとめ買いをした本をゆっくり読めばいい
どんな本を読もうか
ゆっくり考える
この時間も良いのだ
今の私にはせっかちと言う言葉は
消えたようだ
あぁーなんて幸せなんだろう
大学を出て
就職して約40年
定年退職を迎えた
お金は結婚しなかったため
同世代の周りと比べると金銭的な余裕があると思う
そのため都会の空気から逃れ
下見に行き一目惚れしたこの場所へ越した
最近は経済成長の影響もあってか
生活や暮らしは良くなり
お金を貯めて郊外へ移り住む人が
以前よりも増えてきた
その一員が私である
散歩コースを歩き終え
家のドアを開けようとした途端
近くでショベルカーの音や
工事の音が聞こえた
私は今も都会にいた時の工事の音の幻想が聞こえてしまうのか
郊外に移り住んだとはいえ
都会で聞いていた音が今も私に
刷り込まれてしまっているようだ
まぁもう少し長く住めば
そんな事無くなるだろう
私は暖を取るため
ストーブの薪を集め
割る準備を始めた
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