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隣人戦争
しおりを挟むある晩いつものように
家族で食卓を囲んでいると
キッチンから外に繋がる窓が大きく音を鳴らした
家族一同あまりの状況に
父親である俺が立ち上がり様子を窺う
一面バラバラになったガラスの破片
その隣には大きなフライパンがあった
それは家にある物ではない
つまり誰かが投げたのだ
投げ込まれたフライパンを持ち上げ
「誰だ、こんな事をしたやつは」
俺の怒鳴り声に反応して
リビングから妻が来る
「誰なのこんな事をしたの」
必死の形相で俺へ訴えかける
「そんなの知らん愉快犯である事は確実だが」
妻は急いで掃除道具を持っていきガラス破片を片付ける
「ねぇお父さん」
夕食のご飯をかきこみながら
息子は語る
「確か玄関に防犯カメラあったよね」
話しを最後まで聞かずに急いで俺は防犯カメラの映像を確認する
「あ、この人って」
妻が開口一番に叫んだ
「お隣さんじゃないの?」
息子と俺がハッとした目で反応する
時刻は夜であり玄関の光もないためか
輪郭は詳しくは見えず
フード姿の誰かが見える
確かに言われてみれば隣人そっくりだ
同時にそっと怒りと
見えてきた犯人への戸惑いが胸に現れた
その後家族で話し合い
明日又は今週待って物的証拠を集め
確実な状態で警察に話そうと決めた
明日の晩昨日と同じ時刻
俺達3人は投げ込まれたキッチンの窓が見える位置にスタンバイをし
窓だけ静かに見つめる
しかし、空は暗くなるばかりで
一向にものは投げられない
テーブルに戻り冷めきった料理を食べる
安心した為かいつもより会話が弾み
何故だが家族仲が深まった気がした
飲み物が無くなり息子は冷蔵庫に向かう
息子は小走り気味にキッチンへと向かっていると窓が割れた
昨日よりも大きな音だ
息子はその場で倒れ込む
俺と妻は一心不乱に息子へ駆け出す
左膝を両手で抱え
うめき声を上げる息子の手を優しく触ると膝にガラスの破片が刺さったようだ
ここで俺は確信した
隣人は確実に家族に危害を加えようとしているしかも俺じゃなくこの息子に危害を加えた
このままではいけない
隣人に向けて無言の宣戦布告を誓った
防犯カメラを今は確認せずに妻に息子の手当てを任せ
硬いステンレス製のフライパンを強く握り少し離れた隣人の窓に投げた
見事にクリーンヒットし
フライパンが落ちる大きな音とガラスが割れる音が一面に広がる
してやったのだ
後悔は一切無いこれが原因で
仕事だって辞めてもいい
目の前の問題これだけを取り除くために俺は将来迫りくる問題は気にしない
家族を守るのだ
駆け足で家に戻り
キッチンの棚から包丁を取り出す
妻はそれを見て何か俺に話し掛けたが
詳しくは聞き取れなかった
包丁を堂々と持ち
隣人の家へ割れた窓から駆け込む
リビングで怯え狼狽える何か
言いたげな顔をして俺を見つめる
言いたいのはこっちなのに
何故この者はそんな顔で見つめる
俺の覚悟にビビったのか
そんな者に息子は傷つかれたのか
包丁を大きく振り回す
その時耳にキンと来る高い叫び声が
俺を襲った
その瞬間違和感を感じた
この者は女性だ
しかし明らかに防犯カメラに写る犯人とは違う
だがそれを考えた時には既に遅かった
そんな現実を凝視出来なかったのだ
大きく振り回した包丁はもう胸へ深く刺さってしまったのだ
俺は急いで包丁から手を離し
倒れ込む女性を確認する
違う違う
骨格やら佇まい何度見ても防犯カメラと違う
大きな足音が隣から聞こえ振り向くと
俺を見つめる男の姿がいた
この男が犯人と確信は出来ないしかし
防犯カメラに映る犯人と似ている
そう判別をしている内に
そいつは右手にフライパンを持ち
急いで玄関へ飛び出す
俺も今すぐにでも追いかけたかったが
何故だが足が動かない
耳だけが今は敏感なのだ
聞こえてくるのは
大きく窓ガラスが割れて
苦しい叫び声断末魔だ
目からは涙がたくさん零れ落ちる
それを拭く手も今は上がらない
目の前にあるさっき投げたフライパン
それが原因で
大事な家族の叫び声を聞く羽目になってしまうなんて
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