お姉様は一途でいたいのに妖艶美魔女に狙われています

那須野 紺

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自由の代償(美咲SIDE)

やましいと言われようと何と言われようと、これは私が夢にまで見た願望なのだ。実現させられるチャンスがあるなら躊躇するつもりはない。

執務室の配置がどうもおかしい気はするけれど、当の容子本人が使わないと言っているのだから遠慮する必要はないだろう。
さすがに社長には専属秘書が居ないのに、専務である私には専属秘書が居る状況は違和感を覚えるけれども、冴子には容子の面倒も見てもらうつもりでいるし、私が引っ張った秘書なのだから文句はないはずだ。

それでも実際に自分専用の執務室の入り口付近にある冴子のものと思しきデスク一式を見た時には、何だか頭がぐらぐらするような妙な高揚を覚えてしまった。

「部屋を綺麗にして古い什器は入れ替える」という容子の話があって、ちょうどその什器入れ替え直後の執務室を見に行った時の事である。

「…ちょっと豪華過ぎないかしら」
「そんな、大した物じゃないわよ、どれも」
「……」

まず目に入ったのは、まだビニールがかかっているけれども真っ白で大きなソファセットとメタリック素材のローテーブルという応接セット一式だった。
普通、重厚感や汚れの目立たなさを理由としてだろうけど、応接セットのソファはダークな色合いのものが多い中でこれは異彩を放っている。

「貴女のイメージに合わせてみたのだけれど…嫌だったかしら」
「全然、すごく嬉しい、個性的だし」
「でしょ?」

容子はウフフと笑いながら私を室内へと通してくれる。
いつか夢で見たのと似た感じの執務室、自席の背後にはガラス窓があって都心の風景を一望できる。

いつか冴子には「夜景とかには興味がない」と本心を語ってしまった事があるけど、今は風景に対してネガティブに思う事は減っている気がする。

容子は今日も、いつもの黒いワンピース姿で、少し離れた所から私の様子を嬉しそうに眺めていた。
多分この恰好はもう、彼女のトレードマークのような物だと思うけど、チャイナドレスのように少しハイネック気味の襟と、脚の横にかなり深いスリットが入っていて、しかもそこからレース柄の白い網タイツの脚がちらちらと覗いている。
ワンピースの生地は地模様のような細かい凹凸が刻まれていて、それがそこらの一般的な素材とは一線を画す品であるのは一目瞭然である。
ひょっとするとどこかのデザイナーに頼んで作らせたか、少なくともサイズはきちんと合わせてオーダーしたものであるのは間違いない。

ビジネスシーンにはどうもセクシー過ぎる気がしないでもないけれど、彼女は経営者であるし個性を重んじる考え方であるのは理解できる。
また慣れというのは恐ろしいもので、年中この姿で一貫されるとそんなにナシとも思わなくなるのが不思議だ。

私はある女性を通じて容子と知り合った。
彼女は後に女性専用マッチングアプリ『WS』を開発し世に送り出すのだが、付き合い半分で登録した私がそこで二宮冴子と出会い、どういう訳だか頻繁に身体を重ねて、今となっては同じ職場に誘ってしまうほど傍に置きたくなる、そんな関係にまで発展してしまった。

容子にはいちいち話していないけど、私と冴子の関係性についてはおおよそ理解しているだろう。
私が自分専用の執務室にこだわる経緯に関しても、容子はあえて深掘りしようとはして来なかった。

…でも、あまりにも話しがうまく行き過ぎていると言うか何と言うか。

「…いつから来られそう?」

振り返ると先ほどより近い位置に容子が来ていて、私と一緒に窓の外に広がる景色を眺めている。

「来月の頭くらいになるかな」
「そう、こちらの準備は十分に間に合うと思うから、あとは前の会社の有給消化をゆっくり楽しむという所なのかしらね」
「…そうね」
「…あの娘と?旅行でもするの?」
「決めてないけど、そうしようかな」

答えてからはっとした。
何でもない事のように、あまりにも自然に冴子との話へスライドされていたから。

そう言えば、冴子が容子と面接した日、冴子はあまり浮かない顔をしていたけれど、「容子社長とはうまくやれると思う」とは断言していた。
何か気になる事でもあるのかと思ったけれど、冴子がそれ以上あまり話す気がなさそうだからそっとしておいた。

容子には言えないが、私はこの執務室で冴子といちゃつく下心満点である。
故に容子に対して無防備に、冴子の話をするのは恥ずかしい気がしていた。

「あら」

容子は意外そうに呟く。私が一瞬焦った表情を見せたからだろう。

「恥ずかしがらなくても…気にする事ないわ」
「どれの話してる?」
「あの娘の事」
「……」

容子はくりくりとした目を輝かせて微笑んでいる。
41歳という年齢には思えないほど、肌も髪も艶があって綺麗だ。
彼女は業界誌などで「美人社長」と取り上げられる事もあるが、写真で見る以上に実物は若々しく見えるので、正に美魔女という言葉がふさわしい。

私が冴子との何を恥ずかしいと思えば良いのか、世間一般的な要素で言うならそれはいくらでもある。
冴子があまりにも若い事、女である事、容姿が良くて身体つきもちょっとエッチな感じである事、職場にまで引っ張り込んでいる事、しかもそこで冴子にいやらしい悪戯をしようと企んでいる事…挙げればきりがないほどだ。
そのうちのどこまでを指して容子は「気にするな」と言っているのだろうか。

いぶかしく思い容子をちらりと見ると、容子は「うふふ」と微笑んできた。

「あの娘真面目そうだし、それでいて杓子定規でもなさそうで、いいわね」
「……」

容子も冴子の事が気になってるの?…でもそういう欲のようなものは発言ににじんで来ない。
どちらかと言うなら、私が冴子に惹かれる理由はわかる、とでも言いたいような、そういう方向性のニュアンスが強いと思える。
するとそのものズバリを容子が口にした。

「貴女があの娘を傍に置いておきたい気持ちは、わからないでもない気がする」
「……」

どういう意味で言ってるんだろう。こちらは下心だらけなだけに不用意に質問できない。

「だから気にしなくていいって言ったでしょ」
「…何を?」
「だって私もこの部屋使ってた時、女の子をペットにしてたもの」
「は?」
「比喩よ、比喩」
「……」

それでも立場のある経営者の発言としてデンジャラス過ぎるであろう言葉に私は過剰反応してしまう。

「勝手に来るのよ、女の子が…それでここに居座ってね、頼んでないのに裸でお茶出してきたりとか、身体触らせてくださいとか迫ってきたりして」
「そ、そうなの…?」
「困っちゃうわよね、ほんと」
「……」

困ると言う割には表情は笑っているし、そんな調子で押しかけた女の子に言い含めても全く聞いてもらえないであろう事は想像がついた。

「だから貴女のやり方はむしろ正解じゃないかと思うの」
「あ、そう…」

何だか不思議な人なのだけれど、容子には他の人にはない独特の魅力がある。
どエロなオーラを放ちまくる割に上品だし、あまり性に対してガツガツしていない感じもあってどちらが容子の本質なのか、私にはわからない。

「ねえ、美咲さん」
「何?容子さん」

容子は従業員に自分を「容子社長」と下の名前で呼ばせている。
私とは年も立場も近いから、互いに「さん」付けで呼び合う関係で始まり、今もそのままだ。

「でも一応、貴女のような人には条件を提示しておく方が、貴女自身が楽なんじゃないかと思うのよね」

何の話だかまたわからない。

「条件、って…?」
「ここであの娘と好きな事してもいい、と私が認める為の条件」
「……あの、それは」
「うふふ、正直な人」

顔に出た。冴子とやましい事をしたがっている自分の下心が。
目を反らすとかえってそれを強調してしまいそうだから、こちらは苦笑いでごまかす。

「こっちに来て」

すっと手を取られ、例の真っ白なソファセットの方へと導かれる。
そのままビニール越しにそこへ座るのかと思いきや、いきなり背後に回った容子の腕が私の身体に巻き付いてきた。
軽く見下ろされるように後ろから耳元に囁かれる。

「…案外簡単そうね、貴女」
「…え?」
「だから予防線、張ってるんでしょ?」

一瞬の出来事だった。もはや鮮やかと拍手をしたいぐらいに。
容子は「んっ」と艶めかしい吐息を漏らしながらチロリと私の耳たぶを舐めて、たったそれだけの行為でこちらのモードを強制的にオンにしてしまう。

「あの…」

油断していた。容子はいくなら冴子を狙うと思っていた。
あっさりと身体を反転させられ唇も奪われる。それもやっぱり、鮮やかという一言に尽きるスムーズさだった。

「……っ」

部屋の扉は開いているし、誰か来たらどうするのかと思い焦るが彼女は見逃してくれない。
唇を離す合間に「今日は土曜日よ?」と呟いて私を落胆させた。

いや、何故落胆しているのか、自分の心なのに説明がつかない。
この後の行為から逃げられないと思っているからだろうか。でもその程度の事でじたばたするのも、何だか年の割にカマトトぶっているようでそっちの方が恥ずかしい気もする。

「…冴子には、こういう事してないよね?」
「してないわ、すれば応じるだろうけど、あの娘はある程度私の事わかったみたいだから…そんなに攻め甲斐なさそうと思っちゃった」
「え……」
「貴女よりも多分、気付いてるんじゃないかしらね、あの娘の方が…」
「それってつまり…」
「そう、こういう事平気でする女だってね」

思考を巡らす時間も与えられず、私は彼女の膝の間に座らされる感じでソファに腰を下ろす。
…冴子とこういう風に座る時にはいつも私が後ろだから、前に座るのは慣れなくて、冴子の気持ちを追体験しているような気になった。

すかさず、でも何の強引さもなく容子の腕がまた身体に巻き付いてきて、服越しに胸を揉まれる。
…なんでこんな事になっちゃったんだろう、と考える暇もない。
かろうじて思ったのは、あの時の冴子の複雑そうな表情だけだった。

「何、これ…これが条件?」
「そうね、不満?」
「いや違うけど…っん…」
「あら」

感じてしまっている事を悟られたくなくて声を殺していたつもりだが、つい力が抜けた瞬間に漏れた息が甘い響きを含んでしまう。

「柔らかくて気持ちいい、このおっぱい」
「……」

何だろう、これは。卑猥な事を囁かれているのに、まるでいつもの容子と変わらない気がする。

「別に貴女たちのお付き合いをどうこうするつもりなんてないわ、ちょっと楽しませてもらえればいい、それだけの事よ」

事もなげに言うが、容子にとって条件など、あってもなくても良いような事ではないのか。
何なら私の気を楽にする為にしているとまで言った。

…別にいい、冴子に対して純潔を誓った訳でもなし、嫉妬に駆られて冴子を攻めた事もあったが、私だって身体だけなら他とも関係はある。

やたらと器用に胸をまさぐられながら、私は観念して容子に身体を預けた。
容子は「遅い」とわざと声に出して言う。それがまるで私が不器用な処女であるかのように、軽く揶揄する口調だったから、ますます抵抗する気をなくさせた。

「…どこまで、お望みなの?」
「そうね…やっぱりイキ顔を見せてもらおうかしらね」

容子のテクニックは多分、同じ年ごろの女性として考えても異常に卓越しているような気がしてならない。
それこそ若い頃からパトロンにでも仕込まれたのか、淑女の嗜みなどとしてそういう行為を磨いていたのか、知らないけど。

まあこれだけの人なのだ。黙っていてもそれを磨く機会はもういいと言うほどあった事だろう。
それでも今しているように圧倒的な主導権をもって行為に臨む事のできる女性は、同世代にそれほど多くはいない気もする。

「…だいたいわかるわよ、貴女があの娘とどういう風にしてるのかもね」
「……」

振り返ろうとしたが頭を押さえられて前を向かされる。
「見て」と視線を下げさせられ、そこにはタイトスカートから伸びる自分の脚に絡みつく、レースの網タイツの容子の脚が艶めかしく蠢いていた。
自分で思う以上に両脚は容子のそれによって大きく開かされている。

「…やっぱり、ちゃんと全身きっちり感じる身体を保っていて素晴らしいわ」
「何言ってるの…」
「そういう事、ずっとしてないと…感度は下がるものだから」

容子の細い指先が私のスカートをたくし上げてその内側へと侵入する。
あっと思う間もなくその指先はストッキングとショーツの上からでも適格に、萌芽の位置をとらえてそこを上下に擦り始めた。

「や…いきなり…っ」

爪の先でカリカリと引っかくように擦られ、その刺激だけでもやけに反応してしまった。
態勢が不安定で何かにしがみつきたくなる。
私はぐっと拳を握るようにして自分の太腿を押さえつけた。

「遠慮しないでもっと声出していいのよ…?」
「べ、別に…遠慮はしてないけど」
「あ、やっぱり…好きな娘の愛撫でないとそんなに感じないのかしらね…」

という訳で、とでも言わんばかりに布腰に萌芽を擦っていた指先が離れてお腹側に回ったかと思うと、ショーツの中に手を突っ込まれてその中を掻き回された。

「やぁ…そこは…」
「…あら、濡れてるのね、さすがだわ」

そう言う容子の声にも何か粗い吐息が混じっているようだった。
相変わらずがっちりと私の脚は容子の両脚でホールドされているのだけれど、その脚を軽くスリスリと擦り付けてきたり、胸やら自分の秘部を背後から私の身体に擦り付けるように上下に動かしている気配も感じる。

「も、もしかして…欲求不満とかじゃ…」
「失礼ね」

ちょっと怒った容子の言いぐさが面白くて笑いそうになってしまった。

「貴女こそ、あんな娘にこんなになるまで身体中開発されちゃって…いやらしいわ」
「……ん」

無声音に近い、ハァハァという吐息で部屋が満たされていく。
私も容子もそういう息遣いを繰り返しながら、かたや私は容子の愛撫に、かたや容子は私の反応にそれぞれ高揚しながらも、あえて騒ぐような事はせず、静かに官能を高め合った。

自分でも驚くくらいにショーツの中はヌルヌルの愛液でいっぱいになっていて、容子の指が蠢く度にそれを実感させられるし、ショーツの前布やクロッチが盛り上がったり沈んだりする動きと内側の動きが連動して見えて、かえっていやらしい気分になってしまう。

「…きっと、ここね…」

どういう風に指を動かしているのかわからないが、私は萌芽をつまむように弄られながらも花弁の内側にも指を挿入され、膣口付近をくすぐられてあちこちから快感を与えられてしまう。
指は五本あるのだから理論上できない動きではないはずだが、それでもあまりの器用さに私は驚くばかりだった。

「あ、あ…ダメそれっ…んっ」
「やっぱり、これなのね…」
「あぁっ…あ…」

身体の方は抵抗するのを諦めているが、心の方はまだ、それでも少し何かに引っ掛かるような抵抗を覚えていた。
単純に身体を刺激されるだけで始まった行為なのに、だから別に絶頂したって何も自分に非はないはずなのに、何故か容子の前ですんなり絶頂するのが嫌だと思ってしまう。

理由はわからないが、冴子に謝りたいような気持がこみ上げてくる。
でも「ごめんなさい」なんて言いながら容子の前で達するなんて意地でもしたくない。

ならばいっそ、恥ずかしくない振る舞いは何なのだろうか。
積極的にこの愛撫を享受し悦ぶ事なのだろうか。

…もう時間はあまり残されていない気がする。
それぐらい、容子の指による愛撫は的確に私を高みへと追い込んでいった。

「…あぁんっ、もっと…」
「あら」

あえて積極的な言葉を発してみると容子は嬉しそうな声を上げた。

「素直に良がる所、素敵だわ」
「あ、あ…あんっ」

あえていやらしく聞こえるように喘いでみると、わざとらしいとさえ思えるぐらいに甘い声が出た。
自分でもこれはやり過ぎだろうと思うぐらいだけれど、容子はそれを喜んでいるようだった。

「美咲さんいいわ…もっと聞かせて、それ」
「え、あ…あんっ」

そう言えば冴子と交わっている時、どういう風に喘いでいただろう。全然思い出せない。
これよりもっとわざとらしくいやらしい声を出しているのではないか、という気がするが冴子はそういう事に関してあまり細かく言及するタイプではないから、全く意識してこなかった。

「ねえ美咲さん、その声素敵だわ…もっと、聞かせて」

冷静さを失ったように、ショーツの中の指はめちゃくちゃに蠢いて、それからまとめて二本ぐらいを私の膣内に突っ込んでは中を擦ってくる。

「あんっ、あ…あふぅ…っ」
「は…美咲さん、凄い…指に絡んでくる…」

首筋に噛みつかれるような予感がして、それだけは手で制したがもはや容子も我を忘れかけてはいないだろうか。

「美咲さん、まだイかないでね…もっとこうしていたいから」

そう思うならその指の動きをもうちょっと緩めてくれと思うのだが、それは止まる気配を見せない。それどころかますます乱暴に、でも濡れそぼってどんな激しい動きでも滑らかに受け止める準備が整っているその場所は、全てを快感として拾っていく。

「いいわ、美咲さん…もっと乱れて見せて」

秘部への愛撫だけだったものが、空いた片手で私の胸まで掴んでくる。しかもブラウスの裾を引っ張り出してブラジャーの中にまで指を潜り込ませて来ているし。

「ちょ、そんな所まで…やぁっ」
「嫌?私に触られるの…嫌だ?」
「……」

そう言われてしまうと何とも言えないんだけど。

「はぁ…美咲さん、胸もすべすべしていて気持ちいいのね…」

容子がうっとりしながら、ヌルヌルの秘部の感触と、胸肉の感触の対比を愉しんでいるようだった。
私はもう声を抑えきれなくなり、それを期待されている事も忘れて甲高く喘いでしまう。

「ひぃあっ、あん…あぁ…」
「素敵…あの娘だけのものにしておくなんて、勿体ないのに」
「だ、あっ…だめぇ、イっちゃう」
「まだよ、イかないで…」

だからそう思うならせめて秘部の方だけでももうちょっと手加減してくれと思うのだが、容子自身がもはや動きをコントロールできなくなっているのかもしれない。

「そんなの、無理…ダメだってば」
「ダメじゃないの、もっと…したいの」
「し、知らない…っんん…んくぅ…っ」

無言のまま身体だけがビクビクと痙攣し、どっと溢れた蜜が容子の指を濡らす。
確実に、達した事がわかっているはずの容子は何故か、申告がなかった事を言い訳にでもしたいのか、まだその指を秘部に突っ込んだままガツガツと中を擦っている。

「っん、ん…だからまた…イっちゃうから…」
「ダメよまだ…貴女はイってないわ」

馬鹿な事を言うなと思うが、どこか必死っぽい感じで言われてしまい一方的に怒りづらい。

「んっ、あんっ、あ…」

二度、三度と身体が跳ねて、その所為でかえって深く秘部が容子の指を飲み込んでしまう。

「…うぅ…っ」

泣きそうになりながら「もう、許してよ」と詫びを入れてしまう。
恥ずかしいとか恰好悪いと思っていた事柄はもう、全般的にどうでも良くなっていた。

「嫌よ…美咲さんがこんなに可愛く乱れるなんて、反則だもの」

一体私がどう乱れると想像していたのか知らないが、身勝手な言い分である。
しがみついてくる彼女の腕を一度ゆっくり握って体温を伝えてから、私はそれをそっと振りほどいて尋ねてみる。

「何か…予定と違ったのかしらね」
「……」

膝を揃えて座り直した容子の顔は赤い。
それに、身体の中で熱がくすぶっているのがよくわかった。

「ねえ美咲さん、オナニーしたくなっちゃったの…いい?」

見て欲しいという事だろうか。
私は一度軽く溜め息を吐いてから「わかった」とだけ返答し向かいのソファに腰を落ち着けた。

「あ、あ…美咲さんっ、あんっ」

気楽に眺めていようと思っていたのに、これこそ反則レベルにいやらしい自慰を見せつけられた。

「見て、私の…いやらしい所、いっぱい見て」

そう言われても、私は緊張の糸が切れて疲労しているし、その場から更に彼女に接近するつもりはない。
それにこの距離から見ているだけでも、十分危険度MAXの艶めかしさなのだ。これ以上深く絡んでいくのは無理としか思えない。

容子は太腿の真ん中ぐらいまで、網タイツとその下に履いている、やはりレース仕立ての黒いショーツをずり下げて、かろうじて手を入れる事のできるスペースを作っただけの状態で、他の全ての手間を惜しむようにひたすら自分の秘部を弄っている。

「どうして…わからないの、すごい興奮してるの、私…んん」

これは、彼女に群がるペット志願者なら泣いて喜ぶシチュエーションなのだろう、と私は考えていた。
あるいはこの部屋自体に欲情の呪いでもかかっているのではないか、と割と本気で考えてしまったりもする。

「あん、あぁ…」

我慢できなくなったのか、容子は身体を横に倒してソファに寝そべるようにしながら、閉じた脚の間に手を突っ込んで指をしきりに動かす。

「はぁ…もう少しだから、お願い…見ていて欲しいの」
「…わかったから」
「あ、ん…あはぁ…あんっ…!」

座っている時にはあまり思わなかったが、寝そべった容子の姿にはどこか、男に犯される時のような無防備さと言うか、相手を誘うような艶めかしさがプラスされたように見えて魅惑的だった。

両手で自分の股間を弄る様子はまるで中学生か高校生の自慰でも見ているような気分だが、目と唇を半開きにして、緩く首を左右に振りながら悶える姿には誰でも欲情させられるものがある。

「あ、あ、あ…っ、凄い、感じちゃってるの…あふ、あ……!」

自分はきちんと申告するのかと思いきや、言わずに果てたようだった。
驚いたのは、上り詰める様子以上に達した後の容子の表情や、纏う空気が淫靡で仕方ない事である。
これ…間近で見てたら絶対に今手を出していたんじゃないか、という気になって、自分の呼吸が止まっている事に気付く。

「…ごめんなさい」

私が席を立とうとすると、容子は「いいの、気にしないで」と一人で余韻に浸り気だるい表情のままで私を見送った。

「……」

しまった。
言質を取り損ねたが、これでもう、容子に気兼ねせずあの部屋で冴子と戯れる事ができると思って良いはずだ。

いちいち戻って確認するのも変だし、私は諦めて家路を急いだ。
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