お姉様に夢中なはずなのにその他の誘惑が多すぎます

那須野 紺

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日除けとタオルの中

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離島四人旅の終盤、東京へ帰る前日となった。
「離島らしい事全然してないね」という話になり、昼間はそれぞれに海を楽しむ事として、夕食は街の居酒屋でみんなで食べようという話になっている。

梢さんと晴香ちゃんはシュノーケリングを楽しむという事だった。
私と美咲さんは、ホテル客専用のビーチへと足を運び、のんびりと過ごす事にしている。

「冴子の水着姿が見られるのは喜ばしい」と美咲さんは嬉しそうだ。
「それだけならどこでもやれますよ」と返すけれど、「海で見るのは希少でしょ」と美咲さんは笑う。

旅行前、私は水着をどうするか大いに悩んでいた。
それこそ、晴香ちゃんとの因縁の一着はまだ実用しておらず、けれどもその水着を美咲さんの前で着ても良いのだろうかと迷ってしまった。
一応他のものも持参しているけれど、結局晴香ちゃんとは別行動になっているし、彼女は美咲さんとのリゾートで着たらどうか、という提案ベースの見立てをしてくれたのだから、悩んだ結果そちらを着る事にした。

デニム生地を寄せたような、一見そうとわからないドット柄のストラップレスビキニである。
美咲さんは「冴子によく似合ってる」と言い写真を撮ってくれた。

勿論二人一緒の写真も撮った。美咲さんは水彩タッチの柄の落ち着いた感じのセパレートの水着である。美咲さんに凄く似合うと思った。

実際に海でガッツリ遊ぶまではしなかったけど、少し波打ち際を歩いたりなんかして、それだけでも十分に楽しい気持ちになれた。
日焼け防止と、少ないながらも他のホテル客の視線が集中しないようにという事で、二人ともラッシュガードを羽織って歩いた。

浜辺には休憩する為のスペースとして、所々にテント生地でできた日除けと、その下に寝そべる事のできるベンチやテーブルなんかが置いてある。
それぞれ距離が取られているので、他の人からもろに見えてしまう事がないように日除けの形が工夫されていた。

「ちょっと休もうか」
「はい」

その中の空いているスペースに私たちは落ち着く事にする。
テーブルの上にはホテルが用意したと思われるタブレットがあって、飲み物やタオルなんかをここから頼む事ができるようになっていた。

「何か頼もうか」
「そうですね…」

写真を見ていると、シークワーサーのジュースが美味しそうに見えたので私はそれを選んだ。美咲さんは塩サイダーなるものを頼んでいる。

飲み物が運ばれてくる間、私たちは特に言葉も交わさずベンチになんとなく寝そべって休んだ。
実際はそう疲れている訳じゃなかったけど、こういう時間こそが贅沢というものなのだろう。

「四人で来て、良かったんでしょうか…」
「今それ言うの?」

飲み物と、あと何故か大きなタオルも運ばれてくる。どうやら美咲さんがついでに頼んでいたらしい。

「日陰ではあるけど、それでもあった方がいいかなと思って」

美咲さんはそう言いながら私にタオルをかけてくれた。
全身がすっぽり覆えてしまうほどの大判の白いタオルで、ホテルの物だからだろうけれどとても毛足がふんわりしていて柔らかい。

「はい」

寝心地が良いので私が起き上がらずにいると、美咲さんはドリンクのグラスを私の顔の前に持って来てくれた。
私は身じろぎしてグラスを受け取り、中途半端に身体を起こした態勢でそれに口を付ける。

「あー目の毒?保養?だわ」
「……」

さすがに指指しはされなかったけど、私が斜めに身体を捩じって半身を起こしているような状態で手を前に出しているので、おそらく胸元が寄ってしまっているのだろう。

ラッシュガードやタオルで隠れているだろうと思って油断していたが、谷間がしっかり形成されているのが見えたらしく美咲さんはそこをじっと見ている。

「ちょ、じろじろ見ないでくださいっ」
「…なんで?」

そんなの、恥ずかしいからに決まっているではないか。

「わざと見せてるのかと思った」
「ち、違います」
「なーんだ、残念」

美咲さんはさっと目を反らして海に視線を向ける。
目を反らされたら反らされたで、微妙に寂しくなるのは自分でも嫌だ。

「その、塩サイダーってどんななんですか?」
「…塩味のサイダー、って感じ」
「……」
「飲んでみたい?」
「はい」

私の握っていたグラスと美咲さんのグラスが交換される。
いい加減ちゃんと身体を起こさないと行儀が悪いとも思ったけど、態勢を変える前にグラスを渡されたので、結局そのままになってしまった。

「…身体に、良いんですかね」

一口それを飲んで、なんとなく聞いてみる。

「知らない」

美味しいと思っていないのだろうか、美咲さんの反応は淡白だ。

「…冴子は、どうだった?」
「?」

一瞬塩サイダーの事かと思ったけど、美咲さんは多分四人旅の事を言っているような気がする。

「今回の旅の事ですか」
「そう」
「私は、楽しかったです」
「…なら良かった」

ようやく美咲さんも身体を伸ばして私の隣に横たわる。

「あと、ちょっと安心しました」
「何を?」

私の全身を覆ってもまだまだ余裕のある大判のタオルで、自分の身体と一緒に美咲さんも包んだ。

「あの二人が、本当に仲良くしてるんだってわかったので」
「…そういう事か」
「はい」

美咲さんも自分からタオルの中にくるまろうとして、私との隙間を詰めてきた。

「これすっごい柔らかいね」
「そうなんです」

…そうだ、何故今思い出したんだろう。
美咲さんにある噂について聞いてみたくなるが、それこそ今言うべき事ではないような気がして躊躇する。
…だけどいつもの生活に戻ったら、余計に聞くタイミングを逃してしまいそうにも思われた。

「あの…役員人事の話なんですけど」
「何、急に」

ふいに美咲さんがこちらに身体を向けてきたので私は緊張した。

「噂、ご存知ですよね…お姉さまがその、役員になるんじゃないかって話」
「あー…それか」

美咲さんは離れたり仰向けに戻ったりはしなかったけど、小さく溜め息を吐く。

「まず、直接…予定としての話も、私自身は聞いてない」
「ですよね…」

私は苦笑で返す。
専らの噂としては、来期かその次の期あたりに、美咲さんが役員に就任するのではないかという憶測が飛び交っているという事なのだが。

「それこそ進藤さんを差し置いて?…ばかばかしい」

昨今の、女性を前に出す施策の一環なのだろうか。仮に女性役員を抜擢するならそのポジションに一番近いのは、社で唯一の女性部長である美咲さんしかいない。
本人としても、そういう担がれキャラとして奉られるのは本意ではないだろう。そうではない出世でさえも、女性だからというバイアスをかけられそれに憤ってきた人なのだから。

「もし、言われたら断るんですか」
「そんな事できる訳ないでしょ、受けるしかないわよ」
「…ですよね」

二回目の「ですよね」が出てしまう。

「別に部長職に思い入れがあるわけでもないけど、明らかに担がれましたってなると色々めんどくさいだろうから、それを思うと憂鬱だけど」
「…ですよね」

「ですよね」三回目。

「と言うかその噂、誰が流してるの?秘書課?」
「違いますよ…秘書課発信だとしたら普通にリークで問題事案になりますし」
「そうだよね…じゃ誰なんだかなあ」

私がその噂を誰から聞いたかと言えば、現在営業部に席を置いている友紀である。
友紀とは同期入社で一緒に受付担当をしていた元同僚だ。
そして友紀は晴香ちゃんの実姉でもある。
私との面識がなかった晴香ちゃんは、友紀を通じて私が『WS』アプリユーザーである事を突き止めて接近してきたのだ。

「私が噂を聞いたのは、営業部から…です」
「ふーん」

明らかに興味がなさそうな風情で、美咲さんは返事をした。

「…営業部、ね…」

そう言いながら、美咲さんは私の手指に自分の指を絡めるようにして繋いでくる。

「なーんか、冴子のおっぱいばっかり見ちゃうなあ、今にもこぼれ落ちそうで」
「……」

胸に注がれる視線にはそれなりに慣れているけど、こうもわかりやすく言葉で言われると微妙な気分だ。

…触られる、そう思った瞬間とほぼ同時に、水着を下にずらされて美咲さんの目の前に私の胸が飛び出した。

「す、すみません」

なぜか私が謝ってしまう。
美咲さんは「わー」と声を上げて、ほとんど自分の顔面にぶち当たりそうになった胸をまじまじと見てきた。

「…やっぱり、水着だと冴子がいかに大きいか、わかりやすくなるものね」
「…そう、ですか」

大判のタオルで隠れているので、胸が出ている事とそれを美咲さんが凝視している事は傍目にはわからないけど、私としてはけっこう恥ずかしい。

「うーん」

美咲さんは、何故か難しい顔をして私の胸に手を伸ばしてくる。
何をされるのかと思ったら、手を一旦タオルの外に出して、タオル越しに私の胸にすっと触れてきた。

「え……」

美咲さんは相変わらず難しい顔のまま、手つきとしてはかなり柔らかく、触れるかどうかのタッチで私の胸をタオルで包んでくる。

「あの、なんか…気持ち良くなっちゃいそうです」
「…そうだよね」
「でも、ここじゃ…その」
「うん」

タオルの柔らかな感触は確かに魅力的で、このまま全部脱がされて、裸になってくるまりたい衝動にも駆られたけれど、ここがそんな事をして良い場所かどうか、私にはわからない。

「でもさ、これ…絶対そういう事意識してるサイズでしょ」

美咲さんが少し可笑しそうに笑って言う。
言われてみればそうなのかもしれない。

勿論綺麗にクリーニングと洗濯をしてあるはずのものなんだけど、それを聞いてしまうと、もしかして過去に何組もの恋人たちがこれに包まれて睦み合ったのかもしれないと連想された。
それだけで、このアイテムが急に卑猥に思えてくるので困ってしまう。

「何、冴子興奮してるのよ」
「してません」

強がってみたけど実際はかなり興奮している。
美咲さんがさっきからやっている、タオル越しの愛撫が気持ち良すぎるのだ。

「……あん」
「やっぱり興奮してるじゃない?冴子」
「……ん」

当たり前だ。こんなにもどかしい愛撫でたっぷり焦らされているのだ。声ぐらい出て然るべきだと思う。

「…だって」
「何?」

そのまま唇が重なって、私はそれ以上話せなくなってしまった。
これ以上ないと言うほど優しい胸への愛撫とキスで、私は身体も心もとろけそうになる。

「……」

水着のアンダーパンツにはっきりと、ぬめったものが流れ出ているのを感じる。
…これ以上されたら、本当にどうにかなってしまいそうだ。部屋まで歩く気力すら失せそうになる。

唇の方はちゅく、ちゅくっと啄むようなキスを連続で施されて、自分の口からいやらしい唾液の音と、甘い呼吸の音ばかりが漏れて仕方ない。

「だめ…もう、我慢できなくなっちゃいます」
「……」

細められた美咲さんの瞳と視線が交錯して、私の背筋にぞくりとしたものが駆け巡る。
それはまるで、背中に虫が這い回っているようでもあり、誰かの指でなぞられているようでもあり、自分の震えで勝手に錯覚しているだけのようでもあるが、いずれにしても私の身体をそういう風にさせているのは美咲さんの視線なのだ。

「……っ」

堪えられなくなり自分の目をぎゅっと閉じるけれど、相変わらず胸へのタオル越しの愛撫は止まっていないし、また美咲さんの唇がすぐ傍まで接近している気配が明らかで、私は降参するより他に道が残されていなかった。

「……ん」

ダメだと思ったその瞬間をぴったり狙ったように、また唇を貪られる。
…こんな場所で、どこまでも乱れてしまうのか、私は。

「っ…んっ……ん」

いよいよ声が抑えきれなくなる。けれども声そのものは美咲さんの口内に吸収されてしまって、あまり外には漏れてこない。
それは免罪符になってしまうだけの事だから、やめて欲しいのに。

「…あ、ん…」

急に声が出せるようになったなと思うと、美咲さんは私の耳元で妖しく囁くのだ。

「部屋に戻ろうか?…それともここで一回イってからにする?」
「はぁ…あ、あの……」

中断なんて嫌だ。それにこの、身体を包んでいるタオルの感触から抜け出したくない。
私の身体はもう、貪欲に快感を求め始めていた。

美咲さんの手はやわやわと胸を揉みながら、同時に腕や脚も使って、私の身体を愛撫してくる。
タオル越しの愛撫が良いのだと気付いたらしく、自分はタオルの外に出て、私の身体との間にタオルを挟むようにして愛撫は続けられた。

「ここは?」
「……」

脚の間の、最も敏感な場所に美咲さんの手が伸びる。
まだ水着の下は着たままなので、更にタオルの外から触られるのはもどかしかった。

「…どうするの?」

今度は膝を曲げて股間に擦りつけてくる。
タオルごと大きく上下に擦られて、私は「はぁっ」と息を吐いた。

…この感覚、何だろう。
一人で自慰している時に近いような気がする。
直接触れられていないのに、胸と股間を愛撫されているだけで絶頂が迫ってくる、そういう感覚があった。

「どうって…そのまま、してください」
「そう…わかった」

日除けがある程度人目をガードしているとは言え、美咲さんの動き自体は隠されていないので丸見えだし、私だってもう声が抑えられない。
…ついさっきは、何組もの恋人がこれにくるまって睦み合ったのではないかという想像をして、自分を取り戻したつもりだったのに。
まるで無意味だ。

「あ、あぁっ、あい…いっちゃうっ」

あまりにもあっさりと絶頂したので自分でも驚いてしまう。同時にかなり恥ずかしい。
当たり前のように美咲さんのキスが降ってきて、私は瞳を閉じてそれを受け止める。

「んふっ……んん…」
「……冴子イっちゃったのね」

見ればわかる事をわざわざ言葉で確認しないで欲しいのだが、私は素直に頷いた。

「…感じてる冴子、すっごく可愛かったわよ」
「……」

「はい」とも「いいえ」とも言えない。「ありがとうございます」も変だ。

「…歩ける?」
「…多分大丈夫です」

何だか、一瞬で始まってあっさりと達してしまった気がする。
ぼんやりしながら水着を元の位置に戻して私たちはビーチから離れた。

*-*-*-*-*-

地元の人たちも利用するような居酒屋で、四人で集まり食事を摂った。
梢さん達は嬉々としてシュノーケリングで見た海の中の風景について語った。
特に晴香ちゃんは刺激を受けたようで、表情も実に朗らかである。

「離島に来て良かった」「また来たいね」等々、二人は口を揃えて言っている。
そんなに楽しめたのなら何よりだ。

「冴子ちゃん達は?」
「ホテル専用のビーチで、海を眺めてた感じ」
「そうなんだ」

実際には言うほど眺めていなかったけど、一応嘘ではないのでそう答えておいた。

シュノーケリングで身体を使ったので、梢さん達の食べるペースは速い。
角煮やピーナッツ豆腐など、味わって食べた方が良さそうなものも割とぱっと食べてしまっているのが可笑しかった。

「…あ、そうお土産だけどさ」

梢さんが思い出したように言う。職場用の事だろう。

「何か決めてるんですか」
「ううん、事前に聞いておいたんだよ、はっきりしてる人には」
「…そうだったんですか」
「だって同じ部署から二人も居ない日が、まあ短期間だけどできちゃう訳だし」

梢さんのこういう所は、すごく気が利いていると思う。
人当りの良い所が自然とそういう発想をもたらしているのかもしれない。

「お姉さまは…大丈夫ですか」
「あー大丈夫大丈夫」

ほとんどまともに考えていなさそうだが、それで良いという事のようだ。

「冴子ちゃん、そっちは撒く数がだいぶ違うでしょ」
「あ、そっか」

秘書課に比べて美咲さんの率いる企画部は大所帯だ。部のメンバー全員に配るかどうかはわからないが、ある程度の数が必要なのは間違いない。

「冴子ちゃん、これからは奥さんとしてそういう所もケアしてあげないと~」
「…え」

わかりやすく固まってしまった私を、梢さんは「あはは」と笑い飛ばした。
美咲さんも何故か「ほんとほんと」と乗っかってるし。

「…エッチな方のお世話ばっかり上手になってもダメなんだからね」
「それを梢さんが言うんですか…」
「そーだよ」

鼻を鳴らして梢さんは得意げだが、晴香ちゃんの方を見ると、どう考えても笑いを噛み殺しているようにしか見えない。

「…梢さん、笑われてますけど」
「えっ、そんな…晴香たんたら酷いなあ、大体私には私のお仕事があるんだから、こっちはエッチな方だけできてればいいんだよ」
「……それも不十分って意味で笑われたんじゃないですか」

梢さんの表情がさっと不安げなものとなり一気に涙目になる。
「やっぱり酷い、晴香たん」と腕にしがみついているが、晴香ちゃんはシュノーケリングで軽く筋肉痛にでもなったのか、やたらと腕を掴まれる行為を嫌がっていた。
梢さんはますます涙を溜めて悲しんでいる。

なんとなく場が和んでいて、私はその間は気になる役員人事の件を忘れる事ができた。
何しろまだ部長全員を担当させてもらえないのに、ひょっとすると私の担当が広がる前に美咲さんが役員に就任してしまうかもしれない。そうなると私が美咲さんの担当秘書になるという目標がますます遠のいてしまうのだ。

旅行の終盤に入ってその事が気がかりになっているものの、四人でいるとその事は薄らいでいる気がする。

「あ、帰りの飛行機では変なプレイしないでくださいね」

梢さんに念押しすると、

「あれは私がやりだしたんじゃないんだから、私に言われても困るよ」
「……」

それもそうだ。私は視線だけで晴香ちゃんに問うてみる。

「ご安心ください、おとなしくしますので」
「なら良かった」
「…とか言って冴子ちゃん達が変な事するかもしんないでしょ」
「しませんよ…ね?」

慌てて美咲さんの顔を見るけれど、美咲さんはそこで「どうかなあ」と言葉を濁しているし。
…冗談なんだろうけど、そういう材料を梢さんに与えないで欲しい。

「何にもないと思ってるのは、冴子ちゃんだけなんじゃないの…?」

そうなんだろうか。だとしたら申し訳ないと思うべきなのか、みんなおかしいよと主張するべきなのか。
全く判断できない。

明日は早めの便で東京に戻る為、私たちは食事もそこそこにホテルに戻って最後の夜を楽しんだ。
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