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月曜の唐所長と市井兄
唐所長と市井兄の余談③
しおりを挟むフラれて傷心中であろう亮太くん。
その亮太くんに「告白の時、王子様した?」と直で聞けるほど俺は無神経では無い。
だけども、美少年の王子様・・・ちょっと気になる。
俺のイメージで言うと、亮太くん、父親に溺愛された箱入り娘かお嬢様だし。
“箱入りお坊ちゃま”はちょっと違うんだよな。
そうだ、“桐箱入りお姫様”が一番ピンと来る表現だ。
・・・言い得て妙とはこの事だな。
箱入りお姫様が王子様を演じる・・・何かややこしいな。
唐所長は“王子様キャラの亮太くん”を知ってるんだろうか。
「・・・亮太くんの(学園の)王子様キャラ、どうでした?」
「ああ、王子様かい?
いつも通りの方がいいってツッコまれたみたいだよ。」
「そっかー。
やっぱり現実は違うんですね。」
告白された側の意見を聞いて、そりゃそうだ、と納得する。
仲良かった姫男子の王子様キャラ転身事件・・・引くか、普通。
俺も気を付けよう。
俺自身が恋愛ゲームをよく分からないままだったのに、健介が気に入ってるからって生徒会副会長を薦めたのは、やはり無理があったか。
亮太くん本当にごめん。
次に会ったときは優しくしよう。
亮太くんは、健介と一緒にちょくちょく研究室に来るから、お菓子でも買っておこう。
健介の好きなチョコレート菓子でいいか。
健介にもあげるだろうし。
「それはそうと、市井くん。
明後日の夜なんだけど、何か予定はある?」
あさって?秘書業務か?
「いいえ。
あ、でも俺、残業はお断りします。」
最近、亮太くん溺愛案件で残業してないのに定時で帰れない不幸な事故が増えた。
謎の職場ステイ(そして本社スタッフに絡まれる。)は、もうお腹いっぱいです。
健介の所に早く帰りたいんです。
もう巻き込まないで下さい。
切実に!と、目で訴える。
・・・
・・・・・
・・・昼休みに美麗なオッサン見つめて何やってんだ俺。
ちょっと頭を冷やそう。
飲み残しの冷えたコーヒーに手を伸ばし口を付ける。
「いや、ちょっと高級な所でディナーしない?
新婚恋人夫婦の弟くんも一緒に。」
・・・新婚恋b
「げほっ、ゴホッ。
え?ディナーですか?」
完全ノーマークのだった『健介との関係』が、会話にぶっ込まれて、飲みかけたコーヒーで咽せる。
コーヒーが鼻に入ってツーンとキた。
「いやホラ、市井くんは告白プランについて資料を集めてプレゼンテーションまでしてくれたし。
弟くんはOtomeゲームの王子様のキャラクターがオススメだって教えてくれた。
お礼もかねて、新婚恋人夫婦の市井くんと弟くんをホテルのディナーにご招待したいんだ。
どうかな?」
唐所長がおかわりしたコーヒーを飲みながらニッコリ笑った。
・・・“新婚恋人夫婦”って言ったタイミング、絶対わざとだ。
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