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月曜の唐所長と市井兄
唐所長と市井兄の余談④
しおりを挟む咽せながら、『それ、“ディナーに市井兄弟を招待する”でいいじゃ無いですか。』と唐所長を半目で睨む。
美麗なおっさんは優雅にコーヒーを口に運んでいた。
いや、落ち着け。
まず優先案は、急な夕食ご招待の件の方だ。
「ごほっ、んん、ぐふっ。
ホテルレストランのディナーに招待して下さるんですか?
弟も一緒に?」
ホテルで高級ディナーか、何か告白成功のお祝いみたいだ。
告白プランの情報提供はしたが、亮太くんはフラれてるのに。
「うん。
丁度明後日、亮太とホテルで食事する予定なんだ。
『告白お疲れさま』って。
折角だから君達もどうかと思って。
ホテルの都合で食事の部屋は別になるけど、それでもいいならね。」
なるほど、唐ファミリーは“失恋ドンマイ会”って訳か。
唐所長は亮太くんを慰めるんだな。
「健介に相談してもいいですか?」
参考にならなかった告白プレゼンのお礼が、恋人とホテルでディナー。
唐所長がいい人過ぎるとか、裏が怖い。
前回は秘書に任命されてしまった。
「それがいい、弟くんと相談してね。
『夜景の見える部屋で、恋人の市井くんと2人だけでのロマンチックディナーだよ。』って弟くんにプレゼンするといいよ。
それと、ディナー会場は、“同性パートナー”が何をしてもスルーしてくれる優秀なホールスタッフの対応になってるよ。
守秘義務は絶対守られる、心配要らない。」
「恋人関係で、片割れが未成年・・・でもホテル側は大丈夫なんですか?
恐らく、弟の対応から親類だとバレると思うんです。」
近親相姦の同性愛、しかも未成年との淫行。
社会にバレれば、俺は致命傷だ。
「大丈夫、問題ないよ。
亮太が子供の頃の誘拐事件、君は覚えてるかい?」
「はい。」
誘拐事件は、唐所長の“亮太くん溺愛案件”の根幹だ。
「あれから、亮太のためにセキュリティ等々見直してね。
どこであれ、私の信頼を裏切るような処には行かない。
私が亮太を連れて行く処は、警備が万全であるのは勿論、業務で知り得た情報を外部に絶対に漏らさない、契約・教育も徹底されている場所のみだよ。」
この平和な日本で警備を万全にする意味あるのか?とも思う。
でもその日本で、幼い亮太くんは誘拐されたんだ、慎重になるのは仕方のないことか。
とは言え、割と重い話なのに、いい笑顔ですね唐所長。
「兎に角、明日の朝でいいから。
弟くんと相談してどう決まったか、の報告お願いね。
すぐ手配するよ。」
『夜景の見える部屋で、恋人と2人だけでのロマンチックディナー。』・・・。
健介が感激して飛びつきそうな誘い文句ですね、唐所長。
健介にディナーの決定権がある事をよく分かっていらっしゃる・・・。
取り合えず、健介に聞いてみるか。
ーー 余談fin ーー
兄弟のお話へと続く・・かもしれないと思って作りました。
続くかなぁ。
※市井兄の中で、亮太は熟女(音楽教師か保健室の先生)にフラれたことに落ち着きました。
後日、市井兄は亮太くんにお菓子をあげました。
市井兄から肩ポンされ、何故か生温かい微笑みの元お菓子を貰った亮太くん。
唐所長は、市井兄弟について、大体全て把握しています。
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