巷で噂の冷血令嬢と狂犬騎士

みくり

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小さなワンコは主人(?)をお探しのようです。

リコレット.1

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常に怒っているかのように吊り上がったルビーの瞳と目が合った
窓ガラスに写りこんだ自分を見つめて赤銅を溶かしこんだような髪をうっとおしそうに手で払った

リコレット・エヴァージェンは父の幼馴染だと言う侯爵の家に来ていた
と言っても暇をしていたところに友人のところにいくから暇な道中語り合おうと無理やり父に連れられ辺境の地まで行き、その侯爵に手紙と花束を預かりおつかいを頼まれて主人が不在の侯爵家にわざわざ寄ったに過ぎないが

その父はついでに本を借りると言ってリコレットを庭に置いて屋敷に入ってしまった。全く勝手である

エヴァージェン家の当主である父は尊敬できる人物だが少々家族への愛が重たい人だ。三男であるリコレットは2人の兄に比べて比較的自由の身ではあるがそれ故に父に1番構い倒されていた。別に嫌ではないが父に見つかる度にどこそこの領地に付き合わされたりするのは少々面倒くさい
しかもそんな父を見習って兄達もリコレットを見かける度にかまってくるのだから余計にうっとおしい。父や兄達に構い倒されてキャンキャンと反抗する姿は小型犬のようだと母によく笑われる。非常に不愉快だ

そんなエヴァージェン公爵家は父、兄ら共に文官一家である。宰相である父とその見習いとなった長兄に司法となった次男。そんな中であまり勉強が好きではなく動くことの方が好きであるリコレットは家族に好きなことをやっていいんだと言われていた。
だが、大切な家族のために自分も勉強して兄達のようになるべきだとは思う。リコレットは日々悩んでいた
自分が何をやりたいのか、分からなかった


ぼんやりとしながら歩いていると少し離れたところに誰かがいるのが見えた。こちらに気づいてないその人は花壇へ水をあげているようで、近づいてみると同じくらいの年頃の女の子が機嫌良さげに魔法で水を作り出している様がよく見えた
リコレットは少女をじっと見つめた。いや、見入っていた

美しい白銀の髪と繊細な雫たちに太陽が当たって全てがキラキラとしている
思わずリコレットは少女へと歩みを進めた
すると少女もこちらに気づいて見つめ返されるといよいよ胸が締め付けられるように苦しくなった

少女はキョトン、とした後ゆっくりとカテーシーをした

「初めまして。私はヴァイオレット・ループと申します。」
「あっ、おれは...コホッ。俺はリコレット・エヴァージェン。挨拶が遅れてすまない」
「まぁ、エヴァージェン公爵様...先程は父に代わってお手紙と花束、ありがとうございます。侍女からしっかりと預かりましたわ」

ころりと鈴が転がるような声がリコレットの耳をくすぐった。彼女から目が離せない

「...この頬は...?」

ヴァイオレットの赤く腫れた頬が気になり尋ねると、長いまつ毛で瞳を陰らせた

「なんでもありません。お見苦しいものをお見せしてしまい申し訳ありません」
「そんなことはない。...治癒魔法は使えないのか」
「.........つかえ、るのですが...その、事情がありまして」

マリベルは治癒魔法が使えない、というより魔法自体があまり得意ではない。故にヴァイオレットが傷を魔法で治すとこれみよがしに自慢するんじゃないと言ってまたぶたれるのだ

「事情...?怪我をしたのに治してはいけないのか?」

ヴァイオレットが応えようとした時、義母の罵声が聞こえた

「...申し訳ありませんリコレット様。私はもう行なければなりませんので、失礼致します」
「待て!まさかその傷...」

掴もうと伸ばした手は空を掴んだ
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