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3年2学期
122話: 天使系小悪魔後輩との1on1③
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「沢山話したら喉乾きました。飲み物買ってきてください、先輩♡」
そう言ってミカエラさんは当然の様に俺に笑いかける。俺はもう裏方は終わったんじゃないかな……と口に出しかけたけど、その笑顔の圧に負けて大人しく席を立った。そのまま仕方なく飲み物を買いに行こうと思ったんだけどその前に彼女に呼び止められる。
「……やっぱり、自分で行きます♡先輩成分表とかわかってなさそうですし、変なの買われても困りますから」
「そ、そうですか……」
そのまま彼女が扉から出ていくのを見送って俺はため息をつく。使い走りは回避できたけどその理由が全然嬉しくない。
「俺も喉乾いたけど、この格好で出るのもなぁ……」
女子用の制服を着てるのを誰かに見られるのだけは避けたい。けど、彼女が飲み物を買ってきてくれるわけもないのでこの話が終わるまでは我慢するしかなさそうだ。
◇
「この部屋、自販機まで遠すぎません?不便すぎてびっくりです」
しばらくするとミカエラさんがそう文句を言いながら帰ってくる。部屋を指定したのは彼女なんだからそんなに言わなくても……と思っていると、俺の目の前にペットボトルが置かれた。彼女が飲む気配もないので俺は疑問に思って問いかける。
「……これ、ミカエラさんのでしょ?飲まないの??」
「私のはこっちです。それは糖分多すぎるので飲めません」
え?つまり、どういう事だろう。ミカエラさんは自分の飲み物を持っていて、飲まない飲み物を俺の目の前に置いている。
「……もしかして、買ってきてくれたの?」
これまでの彼女の行動を鑑みると正直ありえないんだけど、客観的に見ると流石にこうとしか思えないよね。でも彼女の場合、喉が乾いてる俺の目の前に、飲んじゃいけない飲み物を置いて苦しめるとかする可能性も否定できない。
「それ以外に何があるんですかぁ?先輩って鈍感というか、ちょっととろいですよね」
「と、とろいは違うんじゃないかな……」
どうやら、本当に買ってきてくれたみたいだ。あんなに裏方いびりをしてた彼女がこんな事をするなんて何か他に意図とかあるのかな?まあ、とりあえずお代は返しておかないとだよね。
「あの……これ、いくらだった?」
「このくらい貰わなくて結構です♡」
買ってきてくれただけじゃなくて奢り!?こうなるといよいよ真意が掴めない。だって彼女が俺にこんな事する理由がないから。
(いや、でも、もしかして……?)
「あのさ、俺友達の連絡先とか勝手に教えないタイプだから……」
「急に何の話ですかぁ?飲まないなら返してくれます?」
「あっ、いや、飲みます……」
俺経由でクロードの連絡先が欲しいとかかなと思ったんだけどこれも違うみたい。じゃあ本当に何で?本気で理由が思い当たらなくって、俺は口に運んだ飲み物の味すらもよくわからなかった。
「さっきも言いましたけど、私これからもっと凄いアイドルになります。そして卒業後は女優に転向してさらに上を目指します」
俺が混乱している中、彼女はそう言って話し始めた。彼女の声はよく通るので、自然と耳がその声を拾う。さっきまでのとんでもない熱量のクロードの話もその勢いと声で全部聞いてしまったくらいだ。
「先輩が使えない演出魔法ももっと精度を上げますし、種族能力の使い方も磨きます」
「え……今もすごいと思うけど」
彼女の言葉に俺は素直な感想を述べる。彼女とは短い付き合いだけど、学園演劇で見せた魔法の腕や、観客を魅了する能力の高さはずば抜けていたと思う。正直大人にだって負けないだろう。
「まだまだ全然足りません!私が目指しているのは誰が見ても完璧な一番です。その為ならどんな努力も惜しみません!」
「す、凄いね……」
圧の強さは変わらないけど、さっきまでの恋する乙女ではなく、舞台演劇で見たプロとしての覚悟を宿した表情で彼女は続ける。
「それが私の夢ですから♡夢を掴む為なら何だってします!だって夢ってそういうものでしょう?」
「夢……」
彼女の星の様に力強く輝く瞳を見て、俺は思う。自分にはこんなに強く何かのために頑張った事があっただろうかと。人並みに勉強も魔法も頑張ってはいるつもり。体育祭のチアや文化祭でのライブは精一杯やったと思う。だけどそういう事じゃない、もっと本気で目指す何か。
ミカエラさんはその言葉や行動で人を魅了する小悪魔族のプロのアイドルだ。だから俺は、自然と彼女の言葉で自分にもそういうものがあったらいいなぁと、そう思った。
「ミカエラさんは凄いね。俺より年下なのにもうちゃんとした夢があって、それに向かって進んでる」
「私が凄いのは当然です♡私は私の能力を一番活かせる、向いてる仕事としてアイドルを選びましたから」
「……っ!」
自分に向いている仕事。その言葉を聞いた時、俺の頭の中で何かが少し光った様な気がした。
『私ね、フレン君は先生に向いてると思うの』
前に、ペア授業監督の後にミチル先生から言われた言葉。今はまだ、本当に自分に向いてるかはわからない。だけどなぜか今、ミカエラさんの話を聞いて俺はこの言葉についてしっかり考えたいと、そう思った。
そう言ってミカエラさんは当然の様に俺に笑いかける。俺はもう裏方は終わったんじゃないかな……と口に出しかけたけど、その笑顔の圧に負けて大人しく席を立った。そのまま仕方なく飲み物を買いに行こうと思ったんだけどその前に彼女に呼び止められる。
「……やっぱり、自分で行きます♡先輩成分表とかわかってなさそうですし、変なの買われても困りますから」
「そ、そうですか……」
そのまま彼女が扉から出ていくのを見送って俺はため息をつく。使い走りは回避できたけどその理由が全然嬉しくない。
「俺も喉乾いたけど、この格好で出るのもなぁ……」
女子用の制服を着てるのを誰かに見られるのだけは避けたい。けど、彼女が飲み物を買ってきてくれるわけもないのでこの話が終わるまでは我慢するしかなさそうだ。
◇
「この部屋、自販機まで遠すぎません?不便すぎてびっくりです」
しばらくするとミカエラさんがそう文句を言いながら帰ってくる。部屋を指定したのは彼女なんだからそんなに言わなくても……と思っていると、俺の目の前にペットボトルが置かれた。彼女が飲む気配もないので俺は疑問に思って問いかける。
「……これ、ミカエラさんのでしょ?飲まないの??」
「私のはこっちです。それは糖分多すぎるので飲めません」
え?つまり、どういう事だろう。ミカエラさんは自分の飲み物を持っていて、飲まない飲み物を俺の目の前に置いている。
「……もしかして、買ってきてくれたの?」
これまでの彼女の行動を鑑みると正直ありえないんだけど、客観的に見ると流石にこうとしか思えないよね。でも彼女の場合、喉が乾いてる俺の目の前に、飲んじゃいけない飲み物を置いて苦しめるとかする可能性も否定できない。
「それ以外に何があるんですかぁ?先輩って鈍感というか、ちょっととろいですよね」
「と、とろいは違うんじゃないかな……」
どうやら、本当に買ってきてくれたみたいだ。あんなに裏方いびりをしてた彼女がこんな事をするなんて何か他に意図とかあるのかな?まあ、とりあえずお代は返しておかないとだよね。
「あの……これ、いくらだった?」
「このくらい貰わなくて結構です♡」
買ってきてくれただけじゃなくて奢り!?こうなるといよいよ真意が掴めない。だって彼女が俺にこんな事する理由がないから。
(いや、でも、もしかして……?)
「あのさ、俺友達の連絡先とか勝手に教えないタイプだから……」
「急に何の話ですかぁ?飲まないなら返してくれます?」
「あっ、いや、飲みます……」
俺経由でクロードの連絡先が欲しいとかかなと思ったんだけどこれも違うみたい。じゃあ本当に何で?本気で理由が思い当たらなくって、俺は口に運んだ飲み物の味すらもよくわからなかった。
「さっきも言いましたけど、私これからもっと凄いアイドルになります。そして卒業後は女優に転向してさらに上を目指します」
俺が混乱している中、彼女はそう言って話し始めた。彼女の声はよく通るので、自然と耳がその声を拾う。さっきまでのとんでもない熱量のクロードの話もその勢いと声で全部聞いてしまったくらいだ。
「先輩が使えない演出魔法ももっと精度を上げますし、種族能力の使い方も磨きます」
「え……今もすごいと思うけど」
彼女の言葉に俺は素直な感想を述べる。彼女とは短い付き合いだけど、学園演劇で見せた魔法の腕や、観客を魅了する能力の高さはずば抜けていたと思う。正直大人にだって負けないだろう。
「まだまだ全然足りません!私が目指しているのは誰が見ても完璧な一番です。その為ならどんな努力も惜しみません!」
「す、凄いね……」
圧の強さは変わらないけど、さっきまでの恋する乙女ではなく、舞台演劇で見たプロとしての覚悟を宿した表情で彼女は続ける。
「それが私の夢ですから♡夢を掴む為なら何だってします!だって夢ってそういうものでしょう?」
「夢……」
彼女の星の様に力強く輝く瞳を見て、俺は思う。自分にはこんなに強く何かのために頑張った事があっただろうかと。人並みに勉強も魔法も頑張ってはいるつもり。体育祭のチアや文化祭でのライブは精一杯やったと思う。だけどそういう事じゃない、もっと本気で目指す何か。
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