瞳が潤うまでに

夏鶴 里愛

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夏休み

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 夏休みに入り私は父の実家に遊びに行った。

 素敵な笑い方をするおばの家で過ごす日々は楽しく海に行ったり山を登ったりした。

それ以外では…まぁアニメ見てましたわな。

 おばが住んでるのはマンションの一階で、このマンションは家族マンションになっている。

1つ上の階には1番年下のおじが住んでいて、先日1人いとこが増えたところだ。

産まれたばかりだからあまり上に行ってガヤガヤしないようにと言われたから1回だけ挨拶に向かった。

赤ちゃんを抱いてるおじは幸せそうで、ホッとした。おじのところで住んでる私のおばあちゃんも幸せそうだった。

別の家でも合流していとこらと会話したり赤ちゃんの様子を見たりした。

おじにはもう一人子供がいてまだ6歳だが、お姫様ゴッコしたり、好きなキャラクターの絵を描いてやった。

めっちゃ気に入ってくれてなかなか放してくれなかったけど…。可愛いからいいや。

 ある日おばと一緒に朝食食べていたらおばが、

 「マリーのこと尊敬してるよ。私はマリーの踏んでる泥になれたら良かったなと思ってる。それぐらい尊敬してるよ。」

 「何言ってるの!そんな事…私はおばのこと尊敬してるから…その、泥になりたいとか言わないでよ………?」

 「そう?ありがとう。」

おばは少し寂しそうな顔をすると朝食を終え、外にでかけた。

 またこれだ。わからない。相手のこと理解できずにいつも終わる。何考えてるんだろう。なんでわからないんだろう。

       悔しい。

 純粋に言ってくれてるのだろうか?

それとも、携帯をいじっている私に皮肉を言ったのだろうか?

おばはそういうことする人じゃないから、純粋に言ってくれたと思う。

いや、思いたい。

ひょんな事から不安を膨らます、私が悪いのだろうか。

そんな事を思っているのは学校が始まる3日前で、またアニメしか見ずに夏休みを終わらせてしまった事に後悔する。

 空港に向かう道、いとこたちが一緒に来てくれた。

音楽を流し、歌いながら。

 「また来てね!待ってるから!応援もしてるし!」

看護師のいとこがハグして応援してくれた。

かわいいよなぁ。立派でかっこいいし。

 
 パパが11人兄弟のため、いとこの年齢は最高35から0歳と幅がすごい。

ちなみに看護師のいとこは23歳、双子の弟がいる。二人共美男美女。最高。

サッカー少年のいとこや結婚する予定のいとこもいて大家族ってやっぱいいなと思ったりする。

見守ってくれてありがとう。口では言えなかったが、念で伝えまくった。


 一人で飛行機に乗るのは慣れた。手続きの仕方とかも。正直、飛行機熟練者のようなオーラを出しながら飛行機に乗ってる。

これがなぜかとても楽しい。

慌てふためくのではなく、時間までゆっくりソファーに座りアニメを見る。

ニヤけてしまうときもあるが普段はクールを演出してるため、ポーカーフェイスだ。

 3年前だろうか、ママに会いに行くため1人飛行機に乗って降りるとき、まだ小さいからCAが迎えに来てくれるはずだった。

しかしいつまで待っても来ない。

初めてくる空港でぽつんといる事に恐怖を覚えた。

泣きながら恐る恐る人たちの向かっているとこに行き、空港から脱出できた。

その後のママのキレ具合は尋常じゃなかったけど…

儚い思い出を思い出し鼻でフッ、と笑う。

アナウンスがなり、飛行機に乗り、席に座り窓を眺める。

空港から降りるのもクールに済まし、おじと合流する。

「久しぶり。楽しく過ごせたかい?明日から学校だから準備しておくように。」

「うん。楽しかったよ。赤ちゃんも可愛かった。あと、準備しとくよ。」

うなずくおじに好感がもてる。必要最低限の会話と何しているのか心配で声かけてくる以外何もない。

無駄な会話でストレスを増やしたくない。

逆におじの奥さんはよく喋るが、お人好しとして割り切ってる。

毎回、何か言われたあと「心配してくれてる優しいなー」、「きっと不安なんだー」
とか何考えてるかわからないから心の中でポジティブシンキングを始動させる。

 明日から大変だな。これからどうなんだろう。考えるだけで胃が痛い。
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