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俺自身がやりたいこと
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学校に着き、教室に入るも二人の姿はなかった。
きっと何処か旅行にでも行って美兎跳を元気づけようとしてると思う。明日来たときに盛り上がるようにお菓子でも作っておこう。
放課後、花壇掃除をしていると、背後から物凄い力で左肩を掴まれ、引っ張られる。
「いった」
睨みながら後ろを向くと、気が狂ったかのように目を見開き髪はボサボサになっている笹熊がいた。
「周から連絡が来ないんだけど。なんでどうして何が起きてる。どういうことなんだ。二人はどこなんだ」
理不尽に叫ばれ、周囲の目が刺さる。
ここで落ち着いて、なんて言ったら余計叫ぶだろうな。
「周と美兎跳は多分家族旅行に行ったんだよ。明日には帰ってくるんじゃない。もしかしたら二泊三日の旅行に出てるかもしれない」
「そうか、だとしてもどうして俺らに知らせてくれなかったんだ」
「きっとお土産をプレゼントして私達を驚かせたかったんだよ。もしこれが本当だったら私達推理した事になるね」
無邪気に笑うと笹熊も気分を取り戻したらしく、
「明日、明後日そうやってくるのを信じて、待っていられるっていいね」
「それじゃ、私花壇掃除あるから」
突っ立って待っている笹熊を促す。
「わかった。月曜日ね」
「うん」
笹熊は嬉しそうに、いつも帰ってる道とは正反対の道に帰路をついた。
「なんでそっち行くんだろう。あっちに用事でもあるのかな」
ボソッと呟き、手を動かす。
「あいつんちは元々そっちだぞ。いつもつるんでるくせに知らないのかよ」
振り返ると、息を切らした木下が膝に手を当て、呼吸を整えている。
「何してんの」
「靴履いてたら、笹熊が怒鳴ってるの聞こえたから、喧嘩を、止めに来たんだけど、体力が」
「ゲームのレベルだけじゃなくて自分のレベルも上げなよ」
「いざとなれば動けるから大丈夫」
「だからさっき動けてなかったでしょ。バカ。って言うかさっきのは確かなの?」
「あいつ、好きなものにはストイックだから、手に入るまで追い続けるんだよ。ゲームで俺のレベル一週間で超えた時は化け物だと思ったわ」
「好きだね、ゲーム」
「まぁ、ノゲラだから」
「何それ」
「ゲームしなきゃだから俺帰る」
「バイバイ」
木下が小走りに校門を出たあと、花壇掃除を終わらせ、家に帰る。
誰もいない家は当たり前なのに、空気が木霊する。音が聞こえるわけではないのに。まるで暗い森にいるような妙な静けさ。
小刻みに震える手に力を入れ、美兎跳にメールを打ち、夕食の支度をする。
美兎跳に打っても明日まで返信は来ないだろう。一応周にも連絡しておこう。
最近楽しくてあまり周りを見てこなかった。笹熊の今日の態度に心のどこかで濁ったものが広がった。
結果その日は周からも美兎跳からも返信が来なかった。もう少し待っても良かったかもしれない。
土曜日、携帯を持って美兎跳の家に向かう。
人気のない家が大きくのしかかって来るかのようだった。美兎跳もう一度連絡する。
少し長めの旅行に出たんだろう。自分に言い聞かせ千影さんの店に足を向けた。
向かうと店は営業しているものの千影さんらしき人はいない。
どうして不安な気持ちって少しの事で膨れ上がるんだろう。
千影さんに電話をするも呼出音が長く続くだけだった。電話して相手のプライベート邪魔するのも良くないかな。
信じて待ってよう。
月曜日
全校集会の場で校長先生の話を聞き、耳を疑った。ザワザワと波打つのは生徒たちの口か、心臓か。機械的に並べられた言葉を耳は受付けない。
皆が黙祷する中、口を開け固まっていた。ただただ木曜日の夜、周に二人で登校したいとメッセージが送られたことそこからの三日間を思い出していた。事前に防げただろうか。何が原因か。先生は事故だといった。
注意深い美兎跳が、あの美兎跳が事故にあったのか。そもそも本当に死んだの?
四日前に一緒に帰って、笑い合って普通じゃ過ごせないこと過ごして、記憶戻って、助けてもらって、暖かい和に入れてもらって。
全校生徒がぞろぞろと教室に戻るなか学年集会が開かれると、音を鳴らしながら誰かが近寄ってくる。胸ぐらを掴まれ、一発殴られた。その人物を前髪の内側から覗く。
「お前が旅行だなんて言うから信じて、迷惑にならないようにメールも控えて、迎えに行かなかった。俺が行ってれば、俺が一緒に登校すれば、俺が毎日離れずに四六時中そばにいれば助かったんだ」
「何ではあいつは顔色を悪くした。俺のメールが連絡が迎えが足りなかったからかスキンシップが足りなかったから、あぁ、そうか百個じゃ足りないのか俺のすべてを美兎跳に渡せばよかった。俺の全部を見せればよかった」
「お前は知ってたんだろ。だから俺を行かせなかったんだ。お前が美兎跳を殺したんだ」
もう一回殴ってくる相手に椅子を投げる。
「俺俺俺俺俺俺、うるさいんだよ。結局アンタは美兎跳を見てたんじゃなくて美兎跳に自分を見せてたんだろ。」
そっか美兎跳はこいつに悩まされてたんだ。 連絡しにくくなったのも、「眠れない」そう言ってたのも、顔色悪かったのも、全てヒントだったのに。
私も結局自分が先だったんだ。
美兎跳をこの関係を崩してしまった。私が。いや、こいつが。ゆっくりと立ち上がり、ふらつく足に力を込める。
殴られた痛みも、吐かれた暴言もくだらない。
「どうしたよ、さっきまで吠えてたろうが何下で、怯えてんだ。殺そうとしたよねさっき殺してよ。ねぇ、ねぇってば殺せって」
「俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない――」
は?
笹熊の腕を踏みつけカッターを振り下ろす。
その時先生に抑えられ引き離される。
「離して、私は、私はこいつを殺すの」
先生に逆らうも先生は必死に抵抗する。
「どいてください、殺さなきゃ気がすまない、どけ」
唸っているとモッカが遠くから何か言い始めた。
「殺せば、スッキリするもんね殺せばいいじゃん。どうせ美兎跳もあんたが殺したんでしょ。こいつに罪なすりつけて何被害者ぶってんの。また中学の時みたいになればいいじゃん」
「のどかっ切られたくないなら言葉に気をつけろ。仕組んだの全部あんただろ」
モッカは半笑いで何故か挑発してくる。頭がこんがらがって訳がわからない。誰か止めてよ。本当に殺しちゃいそうで、笑っちゃうんだよ。
美兎跳、会いたいよ。
もう一つのカッターナイフを自分にめがける。
目を閉じ流れる涙にすべてを任せた。
何かに刺さる。でも私じゃない。目を開け見ると笹熊が掴み振り払っていた。
「何が、したいの?」
体の力が抜け、ゆっくりと暗闇に入っていった。
空が綺麗だ。濁りのない空。海のように波打って、鳥は綺麗に宙を舞う。俺も泳げるだろうか。泳げたら風が吹いて、涼しいだろうな。ジャボンなんて、音もするんじゃないか。泳げるもんなら泳ぎたい。窓から見える景色に吸い込まれる様に俺は走っていく。飛べる、泳げる、そう思った時、暖かく包まれた。
「お願い、周までいかないで」
涙を流しながら力強く離さない姉に、戸惑う。
「別にどこにも行かないよ。景色を見ようとしただけだろ」
心の何処かで飛べずに落ちていく自分が再生された。
そうだ、確かに飛べないんだ。俺は人間だから。
学校の人には先生から伝わった。俺が行く必要なんてない。積み上げた物なんて風が吹いたら飛んでいく。
別のところで積み上げよう。
「雅さん、俺アメリカに留学に行きたい。良いよね」
口元をハンカチで隠しながら彼女は静かにうなずいた。
「美兎跳、飛ぶよ俺達」
死んでしまった。受け入れないのが当たり前なのか。当たり前なんてもの信用していいのか。
俺は、受け入れてしまった。ただ、中身が空っぽになった気がする。
空洞の中にある一つの棒を掴むかのように胸に手を当てる。
この棒を登っていくんだ。君が満足できそうなものを俺は残すよ。
それが俺がやりたい事。
きっと何処か旅行にでも行って美兎跳を元気づけようとしてると思う。明日来たときに盛り上がるようにお菓子でも作っておこう。
放課後、花壇掃除をしていると、背後から物凄い力で左肩を掴まれ、引っ張られる。
「いった」
睨みながら後ろを向くと、気が狂ったかのように目を見開き髪はボサボサになっている笹熊がいた。
「周から連絡が来ないんだけど。なんでどうして何が起きてる。どういうことなんだ。二人はどこなんだ」
理不尽に叫ばれ、周囲の目が刺さる。
ここで落ち着いて、なんて言ったら余計叫ぶだろうな。
「周と美兎跳は多分家族旅行に行ったんだよ。明日には帰ってくるんじゃない。もしかしたら二泊三日の旅行に出てるかもしれない」
「そうか、だとしてもどうして俺らに知らせてくれなかったんだ」
「きっとお土産をプレゼントして私達を驚かせたかったんだよ。もしこれが本当だったら私達推理した事になるね」
無邪気に笑うと笹熊も気分を取り戻したらしく、
「明日、明後日そうやってくるのを信じて、待っていられるっていいね」
「それじゃ、私花壇掃除あるから」
突っ立って待っている笹熊を促す。
「わかった。月曜日ね」
「うん」
笹熊は嬉しそうに、いつも帰ってる道とは正反対の道に帰路をついた。
「なんでそっち行くんだろう。あっちに用事でもあるのかな」
ボソッと呟き、手を動かす。
「あいつんちは元々そっちだぞ。いつもつるんでるくせに知らないのかよ」
振り返ると、息を切らした木下が膝に手を当て、呼吸を整えている。
「何してんの」
「靴履いてたら、笹熊が怒鳴ってるの聞こえたから、喧嘩を、止めに来たんだけど、体力が」
「ゲームのレベルだけじゃなくて自分のレベルも上げなよ」
「いざとなれば動けるから大丈夫」
「だからさっき動けてなかったでしょ。バカ。って言うかさっきのは確かなの?」
「あいつ、好きなものにはストイックだから、手に入るまで追い続けるんだよ。ゲームで俺のレベル一週間で超えた時は化け物だと思ったわ」
「好きだね、ゲーム」
「まぁ、ノゲラだから」
「何それ」
「ゲームしなきゃだから俺帰る」
「バイバイ」
木下が小走りに校門を出たあと、花壇掃除を終わらせ、家に帰る。
誰もいない家は当たり前なのに、空気が木霊する。音が聞こえるわけではないのに。まるで暗い森にいるような妙な静けさ。
小刻みに震える手に力を入れ、美兎跳にメールを打ち、夕食の支度をする。
美兎跳に打っても明日まで返信は来ないだろう。一応周にも連絡しておこう。
最近楽しくてあまり周りを見てこなかった。笹熊の今日の態度に心のどこかで濁ったものが広がった。
結果その日は周からも美兎跳からも返信が来なかった。もう少し待っても良かったかもしれない。
土曜日、携帯を持って美兎跳の家に向かう。
人気のない家が大きくのしかかって来るかのようだった。美兎跳もう一度連絡する。
少し長めの旅行に出たんだろう。自分に言い聞かせ千影さんの店に足を向けた。
向かうと店は営業しているものの千影さんらしき人はいない。
どうして不安な気持ちって少しの事で膨れ上がるんだろう。
千影さんに電話をするも呼出音が長く続くだけだった。電話して相手のプライベート邪魔するのも良くないかな。
信じて待ってよう。
月曜日
全校集会の場で校長先生の話を聞き、耳を疑った。ザワザワと波打つのは生徒たちの口か、心臓か。機械的に並べられた言葉を耳は受付けない。
皆が黙祷する中、口を開け固まっていた。ただただ木曜日の夜、周に二人で登校したいとメッセージが送られたことそこからの三日間を思い出していた。事前に防げただろうか。何が原因か。先生は事故だといった。
注意深い美兎跳が、あの美兎跳が事故にあったのか。そもそも本当に死んだの?
四日前に一緒に帰って、笑い合って普通じゃ過ごせないこと過ごして、記憶戻って、助けてもらって、暖かい和に入れてもらって。
全校生徒がぞろぞろと教室に戻るなか学年集会が開かれると、音を鳴らしながら誰かが近寄ってくる。胸ぐらを掴まれ、一発殴られた。その人物を前髪の内側から覗く。
「お前が旅行だなんて言うから信じて、迷惑にならないようにメールも控えて、迎えに行かなかった。俺が行ってれば、俺が一緒に登校すれば、俺が毎日離れずに四六時中そばにいれば助かったんだ」
「何ではあいつは顔色を悪くした。俺のメールが連絡が迎えが足りなかったからかスキンシップが足りなかったから、あぁ、そうか百個じゃ足りないのか俺のすべてを美兎跳に渡せばよかった。俺の全部を見せればよかった」
「お前は知ってたんだろ。だから俺を行かせなかったんだ。お前が美兎跳を殺したんだ」
もう一回殴ってくる相手に椅子を投げる。
「俺俺俺俺俺俺、うるさいんだよ。結局アンタは美兎跳を見てたんじゃなくて美兎跳に自分を見せてたんだろ。」
そっか美兎跳はこいつに悩まされてたんだ。 連絡しにくくなったのも、「眠れない」そう言ってたのも、顔色悪かったのも、全てヒントだったのに。
私も結局自分が先だったんだ。
美兎跳をこの関係を崩してしまった。私が。いや、こいつが。ゆっくりと立ち上がり、ふらつく足に力を込める。
殴られた痛みも、吐かれた暴言もくだらない。
「どうしたよ、さっきまで吠えてたろうが何下で、怯えてんだ。殺そうとしたよねさっき殺してよ。ねぇ、ねぇってば殺せって」
「俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない俺は悪くない――」
は?
笹熊の腕を踏みつけカッターを振り下ろす。
その時先生に抑えられ引き離される。
「離して、私は、私はこいつを殺すの」
先生に逆らうも先生は必死に抵抗する。
「どいてください、殺さなきゃ気がすまない、どけ」
唸っているとモッカが遠くから何か言い始めた。
「殺せば、スッキリするもんね殺せばいいじゃん。どうせ美兎跳もあんたが殺したんでしょ。こいつに罪なすりつけて何被害者ぶってんの。また中学の時みたいになればいいじゃん」
「のどかっ切られたくないなら言葉に気をつけろ。仕組んだの全部あんただろ」
モッカは半笑いで何故か挑発してくる。頭がこんがらがって訳がわからない。誰か止めてよ。本当に殺しちゃいそうで、笑っちゃうんだよ。
美兎跳、会いたいよ。
もう一つのカッターナイフを自分にめがける。
目を閉じ流れる涙にすべてを任せた。
何かに刺さる。でも私じゃない。目を開け見ると笹熊が掴み振り払っていた。
「何が、したいの?」
体の力が抜け、ゆっくりと暗闇に入っていった。
空が綺麗だ。濁りのない空。海のように波打って、鳥は綺麗に宙を舞う。俺も泳げるだろうか。泳げたら風が吹いて、涼しいだろうな。ジャボンなんて、音もするんじゃないか。泳げるもんなら泳ぎたい。窓から見える景色に吸い込まれる様に俺は走っていく。飛べる、泳げる、そう思った時、暖かく包まれた。
「お願い、周までいかないで」
涙を流しながら力強く離さない姉に、戸惑う。
「別にどこにも行かないよ。景色を見ようとしただけだろ」
心の何処かで飛べずに落ちていく自分が再生された。
そうだ、確かに飛べないんだ。俺は人間だから。
学校の人には先生から伝わった。俺が行く必要なんてない。積み上げた物なんて風が吹いたら飛んでいく。
別のところで積み上げよう。
「雅さん、俺アメリカに留学に行きたい。良いよね」
口元をハンカチで隠しながら彼女は静かにうなずいた。
「美兎跳、飛ぶよ俺達」
死んでしまった。受け入れないのが当たり前なのか。当たり前なんてもの信用していいのか。
俺は、受け入れてしまった。ただ、中身が空っぽになった気がする。
空洞の中にある一つの棒を掴むかのように胸に手を当てる。
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