たぶん荘、きっと荘〜道祖神大家とイチャラブなんてあり得ない!?〜

振悶亭めこ

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第三章:素顔のままで

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 アパートの更新、または退居まであと九日。

 西村和也はこの日、大家の白亜さんからの依頼でバイトをしていた。
 既に何度かやっていた、白亜さんの裏アカ関連の、安い工賃のものでは無い、健全なバイトだ。
 去年、自殺者が出て以降、空き部屋となっていた「きっと荘」の一室の掃除。自殺発覚後に一度業者が入りクリーニングは済ませてあったが、それ以降は放置されていた部屋の、主に埃や汚れを何とかして綺麗にしろとの事。白亜さん曰く、夕方までに終わればいい。らしい。日給は4,000円。
 正直、白亜さんがピンハネしてやがると思うものの、自力でバイトを探して時間と交通費と、履歴書を作るのに使う手間ヒマ金をかけた挙げ句、お祈りメールが届くよりずっとマシだと思った。お祈りメールについては……過去に送ってきた奴ら全員呪ってっから安心して良い。

 白亜さんの配信アシスタントについては、あの後二回やっている。
『性感開発・尿道で感じよう♡90分耐久戦』
 というもの。白亜さんが一人で挑戦するのを躊躇っていたものを、色々検索して手伝ってヤってみた。
 もう一つは今、空き部屋掃除をしながら配信中のもの。
『お仕置き緊縛放置♡玩具に犯される3時間』
 今頃白亜さんは乳首ローターと尿道ブジー、尻に突っ込んだリモコンバイブの刺激でアンアン言って、涎垂らしてんだろな。リモコンバイブのリモコンは、今オレのポケットの中にある。
 白亜さんの裏アカであるアラミタマのクロアさんのアカウントに、大量に届いていたえげつないお仕置き案を見て、白亜さんは、
「さて。どうしたものか。どれも容赦が無く、えげつない……正直、全部して欲しくなる」
 などと真顔で言う困り方をしてたもんだから、クジを作って本人に引かせて決めさせた。
 白亜さんを放置するのは三時間。配信が終わる5分前には掃除を終わらせようと進めている。オレは合間に、バイブのリモコンを弄って振動を強めたり弱めたりしていた。

「水回りはこれで良し。後は掃除機をかけて、LDK部分の床を拭いて……それから……」
 部屋が広いとやる事多いな。「たぶん荘」は単身者向けの1Kなのに対して、「きっと荘」は2LDKのファミリーにもオススメな間取りで倍以上の広さがあった。オレも今日知った。
 まあ、いい。広いと言っても明日引越してくる人から苦情が出ない程度に、残り一時間ぐらい掃除しときゃいいだろ。三時間弱で4,000円なら、まあ許せるし。
「こんなモンか」
 窓を拭き、あらかた汚れが落ちたと確認して、清掃用具を部屋の入り口を入ってすぐの納戸に片付けた。明日引越してくる入居者はワケ有りで、その辺りのものは残してあると助かるのだとか。金になるならオレは気にしねぇ。

 スマホで時間を確認した。アラミタマのクロアさんのお仕置き配信終了まであと10分。とりあえずリモコンでバイブの振動を一度弱めてみた。物足りなくなって、腰をヘコヘコさせてハァハァ言ってんだろうな。考えただけで楽しくなる……いや、玩具なんてまどろっこしいモン使って、男相手にそんな事して、楽しいとかおかしいだろ。
 白亜さんが浮世離れした雰囲気で、中性的な整った見た目をしていても、変態野朗に違いない。相手をして楽しいんならオレも変態野朗じゃんか……
 あれこれ考えてるうちに、白亜さんの家に着き、手洗いを済ませて配信時用の作務衣に袖を通していた。配信に使っている二階の部屋に入り、例の天狗面を被る。

「はーーーっ♡あぁっ♡あぁあぁ」
 脚を開かせた状態で椅子に縛り付けたクロアが、整った顔を玩具により与えられる機械的な刺激に歪ませていた。三時間近く、絶え間無く責められ続けている割に、甘ったるい声は掠れてすらいない。
「残り3分だ、クロア」
「あああぁっ♡ぬしさまぁっ♡んひいぃっ」
 カチリ。リモコンバイブの振動を、一気に最大まで上げた。大きくなったモーター音と共に、クロアは悲鳴にも似た嬌声をあげ、縛られて動けない身体を何度もビクビクと跳ね上がらせた。
「あああぁーーーっ♡あぁあぁあぁぁっ♡ごめんなさいぃっ♡ごめんにゃしゃいぃ……っ、ぬしさまぁっ♡♡♡」
 射精こそしてないけど、クロアは何度もイッたんだろうな。和也は目の前のクロアの痴態を見て、放置していた時間に思いを馳せた。
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