【本編完結】偽物の番

麻路なぎ

文字の大きさ
48 / 103

48 いつもと違う★

しおりを挟む
 六月二十一日火曜日。
 今日は、千早と会う日。
 あいつの部屋に行き、することは基本ひとつだ。
 夕食を終え、風呂に入ればその時間が始まる。
 当たり前のように。
 週末、よほど我慢したらしい千早はずいぶんと性急だった。
 腹の中を綺麗にされた後とはいえ、風呂場でそれをされるのは未だに抵抗がある。
 湯船を掴み、シャワーを背中に当てられながら俺は、千早の与える快楽に耐えようとした。
 彼の指が後孔に入り、前立腺を押しつぶす。
 
「ひっ……」

 そこを撫でられるたび俺は喘ぎ、腰を揺らした。
 
「久しぶりだから、狭いな」

 どこが狭いんだ。千早の指を二本も難なく飲み込んでるってのに。
 そう思いつつ、俺は湯船を掴む手に力を込める。

「でも、中は柔らかい」

「う、あぁ……」

 指は激しく抜き差しを繰り返し、もう一つの手が俺のペニスを扱いていく。
 後ろと前と。
 同時に刺激されたらひとたまりもない。
 
「そ、そんなにする、なよ……イく、から……」

「イけよ、琳。俺の手の中で出せよ」

「や、だ……あ、あ、あっ!」

 指でイくのは嫌なのに、あっけなく俺は達してしまう。
 足がガクガクと震え、その場に崩れ落ちそうになる。その身体を後ろから抱きしめられ、うなじに口づけられた。

「あ……」

 そこにあるのは、消えることのない噛み痕。
 俺が実際に目にすることのできないその傷は、常にそこにあり続けている。
 千早の所有物である、という証。
 
「琳太郎」

「ち、はや……」

 イったばかりの身体は熱を帯び、奥底が物欲しげに疼いている。
 千早によって変えられた身体は、射精だけでは満足できなくなってしまっている。
 中に欲しい。前立腺を押しつぶし、奥を突きまくってほしい。
 俺は後ろを振り返り、千早に訴えかけた。

「中、せつねえ、よ……早く、欲しい」

 息を切らせて言うと、千早が息を飲むのがわかる。

「大丈夫なのか?」

 風呂場で始めるくらい余裕がない癖に、何を気にしてるんだこいつは。
 俺はまだ満足なんてしていないし、千早だってしたくてたまらないだろうに。

「だ、大丈夫、だから……」

 息を切らせて言うと、千早は俺の身体を反転させ、唇を重ねる。
 舌が唇を舐め口の中で蠢き、舌を吸い上げ唾液を混ぜていく。
 あぁ、息が苦しい。
 頭がぼうっとして、後孔が物欲しげにひくついているのがわかる。
 口が離れたとき、俺は吐息を漏らし千早にしがみ付いた。
 
「ベッドで」

 千早はそう告げ、シャワーを止めた。



 仰向けに寝転がる俺の足を抱え上げ、千早が覆いかぶさってくる。
 先ほどまでローションで解されていた後孔はぱっくりと口を開け、千早の侵入を待ちわびている。

「挿れるぞ」

 気遣うように千早は言い、後孔に先端を宛がう。
 こんなにゆっくりと事を進めてくるのは珍しい。
 俺は手を伸ばし、千早の首に手を回す。

「早く……」

 そう切なく呟くと、千早はゆっくりと腰を進めた。
 俺の後孔はやすやすと亀頭を飲み込み、前立腺を掠め奥へと入ってくる。
 まだ奥までたどり着いていないのに、千早は動きを止めてしまう。

「辛く、ない?」

 不安げな声で言い、千早は俺の顔を見つめる。
 いつもと違う様子に正直戸惑うが、俺は頷き、

「大丈夫、だから」

 と言い、腰を浮かせた。
 千早によって散々拡げられた俺の後孔は、千早のペニスを奥までやすやすと飲み込んでいく。
 奥の奥をこじ開けられる感覚に、俺は吐息を漏らした。
 快楽が脳まで一気に駆け抜け、視界がチカチカと点滅する。

「あぁ……」

「動くぞ」

 千早は半分まで引き抜きそして、ゆっくりと奥まで腰を埋める。
 いつもはもっと激しい癖に、今日はずいぶんと優しい。
 先端が奥を突くたびに俺は背を反らし、身体を震わせて声を上げた。
 奥、良すぎる。
 俺の思考は徐々に快楽に溶け、イくことばかり考え始める。

「中、気持ちいい」

 千早が切なげに呟きそして、少しずつ腰の動きを早めていく。
 
「い、い……千早、奥、クるク……」

 奥を突かれまくり、俺は堪らず果てた。
 ペニスから溢れた精液は俺と、千早の腹を濡らす。
 それでも千早は動きを止めず、余裕のない声で呻いた。

「ごめん、琳太郎……奥、出す」

「え? あ……」

 出す、の意味を理解する間もなく、千早は動きを止める。
 どくどく、と、俺の中で千早のペニスが膨らみ奥で溢れていくのがわかる。
 あぁ、奥で出すってそう言う意味か。
 いつもなら、正直嬉しくはないことなのに、今日は拒否感よりも幸福感の方が強い。

「ち、はや……」

「琳太郎、もっとしたい。お前が、大丈夫なら」

 珍しく控えめに千早は言い、俺は小さく、大丈夫、と呟いた。
 そのまま、抜くことなく二回目を始め、中に出された精液が、抜き差しされるたびに隙間から溢れでて、尻から流れていく。
 時間の許す限り俺たちは求めあいそして、帰る頃に俺は、ぐったりと動けなくなっていた。
しおりを挟む
感想 34

あなたにおすすめの小説

どっちも好き♡じゃダメですか?

藤宮りつか
BL
 俺のファーストキスを奪った相手は父さんの再婚相手の息子だった――。  中学生活も終わりに近づいたある日。学校帰りにファーストキスを自分と同じ男に奪われてしまった七緒深雪は、その相手が父、七緒稔の再婚相手の息子、夏川雪音だったと知って愕然とする。  更に、二度目の再会で雪音からセカンドキスまで奪われてしまった深雪は深く落ち込んでしまう。  そんな時、小学校からの幼馴染みである戸塚頼斗から「好きだ」と告白までされてしまい、深雪はもうどうしていいのやら……。  父親の再婚が決まり、血の繋がらない弟になった雪音と、信頼できる幼馴染みの頼斗の二人から同時に言い寄られる生活が始まった深雪。二人の男の間で揺れる深雪は、果たしてどちらを選ぶのか――。  血の繋がらない弟と幼馴染みに翻弄される深雪のトライアングルラブストーリー。

ジャスミン茶は、君のかおり

霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。 大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。 裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。 困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。 その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。

【完結】いばらの向こうに君がいる

古井重箱
BL
【あらすじ】ヤリチンかつチャラ男のアルファ、内藤は、上司から見合いを勧められる。お相手の悠理は超美人だけれども毒舌だった。やがて内藤は悠理の心の傷を知り、彼を幸せにしてあげたいと思うようになる── 【注記】ヤリチンのチャラ男アルファ×結婚するまではバージンでいたい毒舌美人オメガ。攻視点と受視点が交互に出てきます。アルファポリス、ムーンライトノベルズ、pixiv、自サイトに掲載中。

あなたは僕の運命なのだと、

BL
将来を誓いあっているアルファの煌とオメガの唯。仲睦まじく、二人の未来は強固で揺るぎないと思っていた。 ──あの時までは。 すれ違い(?)オメガバース話。

この噛み痕は、無効。

ことわ子
BL
執着強めのαで高校一年生の茜トキ×αアレルギーのβで高校三年生の品野千秋 α、β、Ωの三つの性が存在する現代で、品野千秋(しなのちあき)は一番人口が多いとされる平凡なβで、これまた平凡な高校三年生として暮らしていた。 いや、正しくは"平凡に暮らしたい"高校生として、自らを『αアレルギー』と自称するほど日々αを憎みながら生活していた。 千秋がαアレルギーになったのは幼少期のトラウマが原因だった。その時から千秋はαに対し強い拒否反応を示すようになり、わざわざαのいない高校へ進学するなど、徹底してαを避け続けた。 そんなある日、千秋は体育の授業中に熱中症で倒れてしまう。保健室で目を覚ますと、そこには親友の向田翔(むこうだかける)ともう一人、初めて見る下級生の男がいた。 その男と、トラウマの原因となった人物の顔が重なり千秋は混乱するが、男は千秋の混乱をよそに急に距離を詰めてくる。 「やっと見つけた」 男は誰もが見惚れる顔でそう言った。

ノエルの結婚

仁茂田もに
BL
オメガのノエルは顔も知らないアルファと結婚することになった。 お相手のヴィンセントは旦那さまの部下で、階級は中尉。東方司令部に勤めているらしい。 生まれ育った帝都を離れ、ノエルはヴィンセントとふたり東部の街で新婚生活を送ることになる。 無表情だが穏やかで優しい帝国軍人(アルファ)×明るいがトラウマ持ちのオメガ 過去につらい経験をしたオメガのノエルが、ヴィンセントと結婚して幸せになる話です。 J.GARDEN58にて本編+書き下ろしで頒布する予定です。 詳しくは後日、活動報告またはXにてご告知します。

変異型Ωは鉄壁の貞操

田中 乃那加
BL
 変異型――それは初めての性行為相手によってバースが決まってしまう突然変異種のこと。  男子大学生の金城 奏汰(かなしろ かなた)は変異型。  もしαに抱かれたら【Ω】に、βやΩを抱けば【β】に定着する。  奏汰はαが大嫌い、そして絶対にΩにはなりたくない。夢はもちろん、βの可愛いカノジョをつくり幸せな家庭を築くこと。  だから護身術を身につけ、さらに防犯グッズを持ち歩いていた。  ある日の歓楽街にて、β女性にからんでいたタチの悪い酔っ払いを次から次へとやっつける。  それを見た高校生、名張 龍也(なばり たつや)に一目惚れされることに。    当然突っぱねる奏汰と引かない龍也。  抱かれたくない男は貞操を守りきり、βのカノジョが出来るのか!?                

あなたと過ごせた日々は幸せでした

蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。

処理中です...