2 / 6
土曜日の午前
しおりを挟む
4つも下の男の子にデートに誘われた。
これって現実?
ひとりの部屋のベッドの上で、私は頬を抓る。
痛い。
どうやら夢ではないようだ。
なにこれ。
なんで?
どうして?
困惑する私に、彼は、
「お姉さんと話して楽しかったから。
せっかくまた会うならデートがいいかなって」
なんてことを言っていた。
今の若者って草食系とか言ってなかったっけ?
何、なんでそんな積極的なの?
「かわいいお姉さんとデートできるなんて、最高じゃないですか」
なんてことも言っていた。
かわいいとかないから。
童顔とはよく言われるけれど。
私たちはメールアプリのアカウントの交換をし、今日はお別れしてきたのだけれど。
スマホがメッセージの受信を告げる。
慌ててスマホを手に取りロックを解除して画面を開くと、浦川君からだった。
『今日はご飯ありがとうございました。
来週ですけど、土曜日の10時に駅の西口はどうですか?』
と書かれている。
なんだろ、ドキドキする。
大学2年で別れてから、こういうの全然なかった。
私はメッセージを入力して、送信ボタンをタッチした。
『わかりました。
でも、どこ行きます?』
『映画。見たいのがあるとおっしゃってましたよね』
え、映画?
確かにみたい洋画があるとは言ったけれど、続き物だよ、いいの?
『確かにみたい見たいのあるけど、いいんですか?』
『大丈夫ですよ、予習していきます』
と、最後は顔文字がついてくる。
今時の子って顔文字使うのか?
いや、それよりも、来週の土曜日お出かけ。
「あー、もう、どうしよう!」
心臓がばくばくいってる。
ぱ、パーカーを返すためなんだから。
そんな深い理由とかないから!
でも、綺麗な顔した男の子だったな。
背も高いし。
年下にときめくとか、どうかしている。
私は頭まで布団をかぶる。
そんなことしたってドキドキは止まらなかった。
そして、一週間がすぎた。
電車で彼を探したけれど見かけることはなかった。
うーん、ちょっと残念。
乗る駅はわからないけれど、降りる駅は一緒だよね。
まあ人が多いから見かけなくても仕方ないんだけど。
土曜日。
普段と同じ6時半に目が覚めてしまう。
なんかすごい気合い入ってる人みたい、と思わず自嘲する。
何着ていこう?
スカート……はなんかこの間切られてから着てない。
ずっと、パンツスーツで通ってる。
ゆったりとしたワイドパンツかな、うん。
ゆっくり朝御飯を食べて、着替えて化粧して。
ワイドパンツにカーディガンを羽織る。
一番無難、かな。
あ、なんか緊張してきた。
年下の男の子とデートなんて、初めてだ。
私はパーカーが入るようにトートバッグを持って、9時前に家を出た。
土曜日ということもあり、駅前に人通りは多かった。
老若男女が行き交うなか、駅のコンビニ前に彼の姿を見つける。
同じ電車じゃなかったの?
と、思い私は走り出した。
「お早うございます」
と声をかけると、彼はこちらを見て微笑んだ。
「お早うございます」
黒いパンツに、黒いパーカー。ボーダーのカットソーを着た浦川君は、
「早く来すぎちゃいました」
なんて言ってはにかんだ。
「そ、そうなの?」
「えぇ。一本早い電車で来てしまって」
どうやら、気合い入っているのは私だけではないらしい。
そういうことだよね。
「それならもうすこし早く出ればよかった。
早く起きすぎちゃったのよね、私」
「そうなんですか?
ははは……連絡すればよかったですかね」
なんて言って笑う。
その笑顔は本当に素敵だった。
って、何考えているんだろう?
やばいやばい。
私は首を振り、恥ずかしさを隠そうと、
「い、行きましょう」
と声をかけた。
「そうですね」
と彼は言い、私たちは並んで歩き出した。
観に行った映画は続き物の映画で、一作目を見てないと内容はわかんないんじゃないかなっていう、SF映画だ。
浦川君は本当に予習してきたらしい。
なんだかちょっと申し訳無い気もするけれど、
「前から見たかったので、いいきっかけでした」
と言っていた。
いい子かな。
映画のあとはご飯を食べに行って、楽しい時間はすぐに終わりを告げる。
「夕方からバイトなんで、すみません、失礼しますね」
バイトか。ならしかたないね。なんでだろう、ちょっと寂しく感じるのは。
「あ、これ、返さなくちゃね」
私は、持っていたトートバッグからパーカーの入った袋を取り出した。
「ほんとに、ありがとう」
浦川君はそれを受け取った。
あぁ、もう、これで会う理由、なくなっちゃう。
どうしよう? 誘う?
でも何に?
考えがぐるぐる回る。
「それじゃあ、また」
と言って、彼は去っていく。
またって、会うことあるのだろうか。
連絡先は交換したけれど、会う理由がもうないしな。
なんだろう。少し寂しい。
そう思ったら、私の足は動きだしていた。
「待って」
と彼の背に向けて声をかける。
浦川君は振り返って、ニコリと笑いはい、と返事をする。
「あの……また、会える、かな?」
とドキドキしながら声をかける。
すると、少し驚いた顔をしたけれど、すぐにまた笑顔になり、
「はい」
と答えた。
なんだろう。
なんで私、こんなにほっとしているんだろう。
「ねえ、ゴールデンウィークって、その……」
「バイトの日はありますけど、開いている日はありますよ」
「じゃあ……」
「また、連絡しますね」
そして、彼は手を振ってから背を向ける。
たった3回、会っただけの年下になんでこんなに心を揺れ動かされるんだろう?
いや、いい子だけどさ。
パーカー貸してくれて、ちょっと見た目クールな感じでカッコいいし。
それでも、あんな年下にときめくなんて、どうかしてる。
私は駅へと足を向ける。
あぁ、でも。
また会えるんだ。
そう思うとなんだかうれしい。
私は服を買いに行こうと町に足を向けた。
これって現実?
ひとりの部屋のベッドの上で、私は頬を抓る。
痛い。
どうやら夢ではないようだ。
なにこれ。
なんで?
どうして?
困惑する私に、彼は、
「お姉さんと話して楽しかったから。
せっかくまた会うならデートがいいかなって」
なんてことを言っていた。
今の若者って草食系とか言ってなかったっけ?
何、なんでそんな積極的なの?
「かわいいお姉さんとデートできるなんて、最高じゃないですか」
なんてことも言っていた。
かわいいとかないから。
童顔とはよく言われるけれど。
私たちはメールアプリのアカウントの交換をし、今日はお別れしてきたのだけれど。
スマホがメッセージの受信を告げる。
慌ててスマホを手に取りロックを解除して画面を開くと、浦川君からだった。
『今日はご飯ありがとうございました。
来週ですけど、土曜日の10時に駅の西口はどうですか?』
と書かれている。
なんだろ、ドキドキする。
大学2年で別れてから、こういうの全然なかった。
私はメッセージを入力して、送信ボタンをタッチした。
『わかりました。
でも、どこ行きます?』
『映画。見たいのがあるとおっしゃってましたよね』
え、映画?
確かにみたい洋画があるとは言ったけれど、続き物だよ、いいの?
『確かにみたい見たいのあるけど、いいんですか?』
『大丈夫ですよ、予習していきます』
と、最後は顔文字がついてくる。
今時の子って顔文字使うのか?
いや、それよりも、来週の土曜日お出かけ。
「あー、もう、どうしよう!」
心臓がばくばくいってる。
ぱ、パーカーを返すためなんだから。
そんな深い理由とかないから!
でも、綺麗な顔した男の子だったな。
背も高いし。
年下にときめくとか、どうかしている。
私は頭まで布団をかぶる。
そんなことしたってドキドキは止まらなかった。
そして、一週間がすぎた。
電車で彼を探したけれど見かけることはなかった。
うーん、ちょっと残念。
乗る駅はわからないけれど、降りる駅は一緒だよね。
まあ人が多いから見かけなくても仕方ないんだけど。
土曜日。
普段と同じ6時半に目が覚めてしまう。
なんかすごい気合い入ってる人みたい、と思わず自嘲する。
何着ていこう?
スカート……はなんかこの間切られてから着てない。
ずっと、パンツスーツで通ってる。
ゆったりとしたワイドパンツかな、うん。
ゆっくり朝御飯を食べて、着替えて化粧して。
ワイドパンツにカーディガンを羽織る。
一番無難、かな。
あ、なんか緊張してきた。
年下の男の子とデートなんて、初めてだ。
私はパーカーが入るようにトートバッグを持って、9時前に家を出た。
土曜日ということもあり、駅前に人通りは多かった。
老若男女が行き交うなか、駅のコンビニ前に彼の姿を見つける。
同じ電車じゃなかったの?
と、思い私は走り出した。
「お早うございます」
と声をかけると、彼はこちらを見て微笑んだ。
「お早うございます」
黒いパンツに、黒いパーカー。ボーダーのカットソーを着た浦川君は、
「早く来すぎちゃいました」
なんて言ってはにかんだ。
「そ、そうなの?」
「えぇ。一本早い電車で来てしまって」
どうやら、気合い入っているのは私だけではないらしい。
そういうことだよね。
「それならもうすこし早く出ればよかった。
早く起きすぎちゃったのよね、私」
「そうなんですか?
ははは……連絡すればよかったですかね」
なんて言って笑う。
その笑顔は本当に素敵だった。
って、何考えているんだろう?
やばいやばい。
私は首を振り、恥ずかしさを隠そうと、
「い、行きましょう」
と声をかけた。
「そうですね」
と彼は言い、私たちは並んで歩き出した。
観に行った映画は続き物の映画で、一作目を見てないと内容はわかんないんじゃないかなっていう、SF映画だ。
浦川君は本当に予習してきたらしい。
なんだかちょっと申し訳無い気もするけれど、
「前から見たかったので、いいきっかけでした」
と言っていた。
いい子かな。
映画のあとはご飯を食べに行って、楽しい時間はすぐに終わりを告げる。
「夕方からバイトなんで、すみません、失礼しますね」
バイトか。ならしかたないね。なんでだろう、ちょっと寂しく感じるのは。
「あ、これ、返さなくちゃね」
私は、持っていたトートバッグからパーカーの入った袋を取り出した。
「ほんとに、ありがとう」
浦川君はそれを受け取った。
あぁ、もう、これで会う理由、なくなっちゃう。
どうしよう? 誘う?
でも何に?
考えがぐるぐる回る。
「それじゃあ、また」
と言って、彼は去っていく。
またって、会うことあるのだろうか。
連絡先は交換したけれど、会う理由がもうないしな。
なんだろう。少し寂しい。
そう思ったら、私の足は動きだしていた。
「待って」
と彼の背に向けて声をかける。
浦川君は振り返って、ニコリと笑いはい、と返事をする。
「あの……また、会える、かな?」
とドキドキしながら声をかける。
すると、少し驚いた顔をしたけれど、すぐにまた笑顔になり、
「はい」
と答えた。
なんだろう。
なんで私、こんなにほっとしているんだろう。
「ねえ、ゴールデンウィークって、その……」
「バイトの日はありますけど、開いている日はありますよ」
「じゃあ……」
「また、連絡しますね」
そして、彼は手を振ってから背を向ける。
たった3回、会っただけの年下になんでこんなに心を揺れ動かされるんだろう?
いや、いい子だけどさ。
パーカー貸してくれて、ちょっと見た目クールな感じでカッコいいし。
それでも、あんな年下にときめくなんて、どうかしてる。
私は駅へと足を向ける。
あぁ、でも。
また会えるんだ。
そう思うとなんだかうれしい。
私は服を買いに行こうと町に足を向けた。
5
あなたにおすすめの小説
離れて後悔するのは、あなたの方
翠月るるな
恋愛
順風満帆だったはずの凛子の人生。それがいつしか狂い始める──緩やかに、転がるように。
岡本財閥が経営する会社グループのひとつに、 医療に長けた会社があった。その中の遺伝子調査部門でコウノトリプロジェクトが始まる。
財閥の跡取り息子である岡本省吾は、いち早くそのプロジェクトを利用し、もっとも遺伝的に相性の良いとされた日和凛子を妻とした。
だが、その結婚は彼女にとって良い選択ではなかった。
結婚してから粗雑な扱いを受ける凛子。夫の省吾に見え隠れする女の気配……相手が分かっていながら、我慢する日々。
しかしそれは、一つの計画の為だった。
そう。彼女が残した最後の贈り物(プレゼント)、それを知った省吾の後悔とは──とあるプロジェクトに翻弄された人々のストーリー。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
冷たい彼と熱い私のルーティーン
希花 紀歩
恋愛
✨2021 集英社文庫 ナツイチ小説大賞 恋愛短編部門 最終候補選出作品✨
冷たくて苦手なあの人と、毎日手を繋ぐことに・・・!?
ツンデレなオフィスラブ💕
🌸春野 颯晴(はるの そうせい)
27歳
管理部IT課
冷たい男
❄️柊 羽雪 (ひいらぎ はゆき)
26歳
営業企画部広報課
熱い女
遠回りな恋〜私の恋心を弄ぶ悪い男〜
小田恒子
恋愛
瀬川真冬は、高校時代の同級生である一ノ瀬玲央が好きだった。
でも玲央の彼女となる女の子は、いつだって真冬の友人で、真冬は選ばれない。
就活で内定を決めた本命の会社を蹴って、最終的には玲央の父が経営する会社へ就職をする。
そこには玲央がいる。
それなのに、私は玲央に選ばれない……
そんなある日、玲央の出張に付き合うことになり、二人の恋が動き出す。
瀬川真冬 25歳
一ノ瀬玲央 25歳
ベリーズカフェからの作品転載分を若干修正しております。
表紙は簡単表紙メーカーにて作成。
アルファポリス公開日 2024/10/21
作品の無断転載はご遠慮ください。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる