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7そして同居が始まった
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大きな町の小さな教会の神官見習いが、男と同居を始めた、と言う話はちょっとした噂になった。
ある日、白い外壁に三角の塔がある教会に出勤すると、神官のアンヌ様が挨拶もなしに心配そうな表情を浮かべて私に聞いてきた。
「実家とケンカした幼なじみと暮らしていると聞いたけど、ほんと?」
「ケンカ?」
何の話かと思いアンヌ様を首をかしげて見つめる。
彼女は至ってまじめな声で頷いて言った。
「えぇ。
エステルさんの幼なじみの男性で家族と色々あって追い出されて、それでいく宛に困って居候してると聞いたけれど」
「いや、それだいぶ脚色されてますが」
いったいどうしたらそんな話になるんだろうか?
マティアス様は、私とは幼なじみで仕事の都合で一年だけこちらで働くことになって、その間だけうちに住むって話をしてるはずなんだけれど。
噂って恐ろしい。
アンヌ様に事情を説明すると、安堵した表情になった。
「よかった。
変な人ではないのね」
変な人ではあるけれど、アンヌ様が心配されるような人柄ではないと思う。
今のところ約束通り二階には上がってこないし、お風呂ものぞかれない。
「まともな家の人ですし、大丈夫ですよ」
フラムテール王国の国王は表向きまともらしいし。
王太子だって悪い噂は聞かないから、大丈夫だと思うんだけど。
風変わりな父だけれども悪い話があったら婚約の話はとっくになかったものにしているだろうし。
マティアス様がうちに来て、一週間以上たっていた。
お仕事が始まるまで日数があるとかで、それまで町を散策すると言い、ユリアンと一緒に外に出ているらしい。
ユリアンはだいぶマティアス様になついていて、家に帰ると楽しそうに談笑している姿がよく見られた。
そして、夕食の後は三人でカードで遊ぶのがいつの間にか定着していた。
私は仕事が繁忙期となり、忙しくすごしていた。
気候が暖かくなると増えるんだよね、結婚式。
毎週休日は結婚式で、葬儀もちょいちょい入る。
だから午前は結婚式、昼からは葬儀という日もあって慌ただしく過ごしていた。
「疲れた」
葬儀を終えて片付けして家に帰ったのは、日が暮れてからだった。
居間の長椅子に寝転がりぐったりとしていると、扉が開く音がした。
「お帰りなさい」
「お帰り、エステル姉ちゃん」
そして、マティアス様は持っていたお盆に載っているカップを机に置いた。カップからは湯気があがっている。どうやらお茶を持ってきてくれたらしい。
私は慌てて起き上がり、マティアス様に頭を下げた。
「す、すみません、ありがとうございます」
こんなのリュシーに見られたら怒られる。
いや、でも今日彼女はうちに夕食を作りに来てるはず。
今日、私の帰りが遅くなる話をしたら、リュシーが夕食作ると言い出したんだ。
マティアス様が引っ越してきた日に宣言したように、彼女は毎日うちに様子を見に来ている。
時間は朝だったり夕方だったりとバラバラだけれど。
そして一日おきに家事をやっていっていた。
ユリアンに料理を教えることもあるとか聞いた。
私よりひとつ年上で既婚者なんだけれど、あと一年は子供を生む気がないらしい。
その原因の一端は私なんだという自覚はあるんだけれど、繊細な問題なので黙っている。
「リュシーさんが今ご飯作ってるから、もう少しでできるって」
尻尾を揺らしながら、ユリアンは私の隣に腰かけた。
マティアス様はお茶を置いて、居間を出てしまった。
「リュシーさんを手伝ってくる」
と言い残して。
マティアス様、家事が楽しいらしくてユリアンとリュシーに色々と教わっているらしい。
今まで家事はほとんどしたことがなく、料理もできないけれど未知との遭遇という感じで新鮮らしい。
毎日家に帰ると初めて何をした、という報告があった。
私はマティアス様がもってきたカップに口をつけてお茶を飲む。
熱すぎず、ちょうどいい温度でとても飲みやすい。
ちょっと濃いけどまあ、許容範囲かな。
人に淹れてもらうお茶ってだけですごくおいしく感じる。
「今日はね、俺の家に行ってきたんだ」
無邪気にユリアンが言い、私は思わず茶を吹き出しかけた。
ユリアンの家は私が働いている教会の近くにある。
お母さんがいなくなってから、ユリアンは余り近寄ろうとはしなかった。
時々私やリュシーが行って、掃除や空気の入れ替えはしている。
彼のお母さんが消えたとき、家の様子におかしな点は全然なくって、作りかけの編み物や畳まれた洋服などそのままになっていた。
ついさっきまでここにいた、という感じで、ただ人だけが忽然と消えてしまった。
警察が現場を見には来たけれど……それっきりだ。
私がむせていると、ユリアンが背中をぽんぽん、と叩いてくれた。
「大丈夫?」
「な……なんとか。
で、何かあった?」
すると、ユリアンは首をかしげた。
「んー、俺にはよくわかんなかったけれど、変なこと聞かれた」
「変なこと?」
「うん。
子供は、俺だけかって。
だから俺しか子供はいないって答えたけど」
「……ユリアン、きょうだいいないって言ってたもんね」
子供はユリアンだけかってどういう意味だろう?
彼の家の光景を思い出してみるけれど、特におかしなことはなかったと思う。
畳まれた子供服。
編みかけの編み物は何を作ろうとしていたんだろうか?
私、そういうの苦手だからわかんないんだよねえ……
「マティアスさんて、姉ちゃんと幼なじみなんでしょ?
いつから知ってるの?」
「え? んー……私が三歳くらいの時だと思うけど」
その辺の記憶は正直曖昧だった。
もしかしたら三歳より前かも知れないし、もっとあとかも知れない。
なんだか知らないけれど、年に一度は必ず会されて何なんだろうって思っていたくらいでそこまで深い興味を抱いたことはなかった。
たまにしか会わない親戚に会うような感じと言えばいいだろうか。
私何かおかしなこと言ってたかなあ。
マティアス様が関心を持つようなことを話していたとは思えないんだけれど。
「リュシーさんは姉ちゃんとマティアスさんが結婚すればいいのにとか言ってたけど、姉ちゃん興味ないの?」
「ない」
はっきりときっぱりと答えると、ユリアンは苦笑いを浮かべた。
「うわっ。
さすがエステル姉ちゃん。
姉ちゃんの口から異性の話なんて出たことないもんな。
恋人とか作んないの?」
「ユリアンはどうなのよ。
リーズちゃんだっけ? あの子いい子だよね」
と、ユリアンと仲がいい獣人の女の子の名前を出すと、彼は真っ赤になって首を振る。
「お、俺は女の子まだ興味ないし。
そもそも俺まだ子供だし」
「恋に子供とか関係ないんじゃないの?
っていうか、ユリアン今年で二十四でしょ?
獣人の成人て三十歳だっけ?
後六年もすれば結婚できるじゃない」
人間とは成長の仕方も違う獣人の成人年齢は、人間よりもだいぶ高い。
三十歳くらいで一人前と認められるらしい。
なんか儀式があるらしいけれど、獣人しか参加できないものなので詳細は知らない。
恥ずかしいのか、ユリアンは私から視線をそらして言った。
「そうだけど、三十で結婚する奴なんていないから。
だいたい四十くらいだから、あと俺、十六年あるし」
十六年たったら私は三十五か三十六か……
その頃には私、結婚しているかなあ。
今日見た結婚式を思い出し、そこに自分が立つことを想像してみるけれど、無理だった。
私にはまだ結婚とか想像すら無理そうだ。
おなかの空く、肉が焼ける匂いが漂ってきて思考が現実へと引き戻される。
そろそろごはんかなあ。
そう思っていると、扉を叩く音が響いた。
ある日、白い外壁に三角の塔がある教会に出勤すると、神官のアンヌ様が挨拶もなしに心配そうな表情を浮かべて私に聞いてきた。
「実家とケンカした幼なじみと暮らしていると聞いたけど、ほんと?」
「ケンカ?」
何の話かと思いアンヌ様を首をかしげて見つめる。
彼女は至ってまじめな声で頷いて言った。
「えぇ。
エステルさんの幼なじみの男性で家族と色々あって追い出されて、それでいく宛に困って居候してると聞いたけれど」
「いや、それだいぶ脚色されてますが」
いったいどうしたらそんな話になるんだろうか?
マティアス様は、私とは幼なじみで仕事の都合で一年だけこちらで働くことになって、その間だけうちに住むって話をしてるはずなんだけれど。
噂って恐ろしい。
アンヌ様に事情を説明すると、安堵した表情になった。
「よかった。
変な人ではないのね」
変な人ではあるけれど、アンヌ様が心配されるような人柄ではないと思う。
今のところ約束通り二階には上がってこないし、お風呂ものぞかれない。
「まともな家の人ですし、大丈夫ですよ」
フラムテール王国の国王は表向きまともらしいし。
王太子だって悪い噂は聞かないから、大丈夫だと思うんだけど。
風変わりな父だけれども悪い話があったら婚約の話はとっくになかったものにしているだろうし。
マティアス様がうちに来て、一週間以上たっていた。
お仕事が始まるまで日数があるとかで、それまで町を散策すると言い、ユリアンと一緒に外に出ているらしい。
ユリアンはだいぶマティアス様になついていて、家に帰ると楽しそうに談笑している姿がよく見られた。
そして、夕食の後は三人でカードで遊ぶのがいつの間にか定着していた。
私は仕事が繁忙期となり、忙しくすごしていた。
気候が暖かくなると増えるんだよね、結婚式。
毎週休日は結婚式で、葬儀もちょいちょい入る。
だから午前は結婚式、昼からは葬儀という日もあって慌ただしく過ごしていた。
「疲れた」
葬儀を終えて片付けして家に帰ったのは、日が暮れてからだった。
居間の長椅子に寝転がりぐったりとしていると、扉が開く音がした。
「お帰りなさい」
「お帰り、エステル姉ちゃん」
そして、マティアス様は持っていたお盆に載っているカップを机に置いた。カップからは湯気があがっている。どうやらお茶を持ってきてくれたらしい。
私は慌てて起き上がり、マティアス様に頭を下げた。
「す、すみません、ありがとうございます」
こんなのリュシーに見られたら怒られる。
いや、でも今日彼女はうちに夕食を作りに来てるはず。
今日、私の帰りが遅くなる話をしたら、リュシーが夕食作ると言い出したんだ。
マティアス様が引っ越してきた日に宣言したように、彼女は毎日うちに様子を見に来ている。
時間は朝だったり夕方だったりとバラバラだけれど。
そして一日おきに家事をやっていっていた。
ユリアンに料理を教えることもあるとか聞いた。
私よりひとつ年上で既婚者なんだけれど、あと一年は子供を生む気がないらしい。
その原因の一端は私なんだという自覚はあるんだけれど、繊細な問題なので黙っている。
「リュシーさんが今ご飯作ってるから、もう少しでできるって」
尻尾を揺らしながら、ユリアンは私の隣に腰かけた。
マティアス様はお茶を置いて、居間を出てしまった。
「リュシーさんを手伝ってくる」
と言い残して。
マティアス様、家事が楽しいらしくてユリアンとリュシーに色々と教わっているらしい。
今まで家事はほとんどしたことがなく、料理もできないけれど未知との遭遇という感じで新鮮らしい。
毎日家に帰ると初めて何をした、という報告があった。
私はマティアス様がもってきたカップに口をつけてお茶を飲む。
熱すぎず、ちょうどいい温度でとても飲みやすい。
ちょっと濃いけどまあ、許容範囲かな。
人に淹れてもらうお茶ってだけですごくおいしく感じる。
「今日はね、俺の家に行ってきたんだ」
無邪気にユリアンが言い、私は思わず茶を吹き出しかけた。
ユリアンの家は私が働いている教会の近くにある。
お母さんがいなくなってから、ユリアンは余り近寄ろうとはしなかった。
時々私やリュシーが行って、掃除や空気の入れ替えはしている。
彼のお母さんが消えたとき、家の様子におかしな点は全然なくって、作りかけの編み物や畳まれた洋服などそのままになっていた。
ついさっきまでここにいた、という感じで、ただ人だけが忽然と消えてしまった。
警察が現場を見には来たけれど……それっきりだ。
私がむせていると、ユリアンが背中をぽんぽん、と叩いてくれた。
「大丈夫?」
「な……なんとか。
で、何かあった?」
すると、ユリアンは首をかしげた。
「んー、俺にはよくわかんなかったけれど、変なこと聞かれた」
「変なこと?」
「うん。
子供は、俺だけかって。
だから俺しか子供はいないって答えたけど」
「……ユリアン、きょうだいいないって言ってたもんね」
子供はユリアンだけかってどういう意味だろう?
彼の家の光景を思い出してみるけれど、特におかしなことはなかったと思う。
畳まれた子供服。
編みかけの編み物は何を作ろうとしていたんだろうか?
私、そういうの苦手だからわかんないんだよねえ……
「マティアスさんて、姉ちゃんと幼なじみなんでしょ?
いつから知ってるの?」
「え? んー……私が三歳くらいの時だと思うけど」
その辺の記憶は正直曖昧だった。
もしかしたら三歳より前かも知れないし、もっとあとかも知れない。
なんだか知らないけれど、年に一度は必ず会されて何なんだろうって思っていたくらいでそこまで深い興味を抱いたことはなかった。
たまにしか会わない親戚に会うような感じと言えばいいだろうか。
私何かおかしなこと言ってたかなあ。
マティアス様が関心を持つようなことを話していたとは思えないんだけれど。
「リュシーさんは姉ちゃんとマティアスさんが結婚すればいいのにとか言ってたけど、姉ちゃん興味ないの?」
「ない」
はっきりときっぱりと答えると、ユリアンは苦笑いを浮かべた。
「うわっ。
さすがエステル姉ちゃん。
姉ちゃんの口から異性の話なんて出たことないもんな。
恋人とか作んないの?」
「ユリアンはどうなのよ。
リーズちゃんだっけ? あの子いい子だよね」
と、ユリアンと仲がいい獣人の女の子の名前を出すと、彼は真っ赤になって首を振る。
「お、俺は女の子まだ興味ないし。
そもそも俺まだ子供だし」
「恋に子供とか関係ないんじゃないの?
っていうか、ユリアン今年で二十四でしょ?
獣人の成人て三十歳だっけ?
後六年もすれば結婚できるじゃない」
人間とは成長の仕方も違う獣人の成人年齢は、人間よりもだいぶ高い。
三十歳くらいで一人前と認められるらしい。
なんか儀式があるらしいけれど、獣人しか参加できないものなので詳細は知らない。
恥ずかしいのか、ユリアンは私から視線をそらして言った。
「そうだけど、三十で結婚する奴なんていないから。
だいたい四十くらいだから、あと俺、十六年あるし」
十六年たったら私は三十五か三十六か……
その頃には私、結婚しているかなあ。
今日見た結婚式を思い出し、そこに自分が立つことを想像してみるけれど、無理だった。
私にはまだ結婚とか想像すら無理そうだ。
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