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9 おうちへ帰る
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買い物をして、うちへと帰る。
もう外は暗くて、空にはぽつぽつって星が見える。
藤兄がエコバッグを持っていて、それがメビウスのグッズだと気が付いて私はすっごくびっくりした。
確かこれ、四色展開あるんだよね。藤兄が持っているのはもちろん紫だ。
いいなあ、公式グッズ。
お父さんに欲しいって言えなくて、買えないんだよね……グッズ。
私が買えるグッズなんて限られているけど。
思わずじろじろエコバッグを見ていると、藤兄は気がついたらしい。
エコバッグをかざして言った。
「あ、これわかる?」
「う、うん。公式グッズだよね」
「そうそう。色々グッズ作ってもらえて、そこそこ売れてて嬉しいんだよね。前にやったネップリもけっこう買ってもらえたんだよ」
って、藤兄は嬉しそうに言う。
知ってる。だって動画で話してたから。
「ねえ、妹ちゃん、メビウスの動画よく見てるよね」
「う、うん。だって面白いし……」
ドキドキしながら答えると、藤兄は小さく首を傾げて言った。
「誰が好きなの?」
「え?」
ドキン、って心臓が跳ねる音がした。
藤兄は笑顔だ。たぶんふかく考えていなさそう。
でも私はどうしたらいいのかわかんなかった。
「えーと……す、好きって言うのはないよ! うん、みんな推し!」
って、冷や汗だらだらで答えると、藤兄はぱっと明るい顔になって、
「そうなんだー。ありがとう。そう言ってもらえるとうれしいなー」
と言う。
うう……藤兄って素直、かな?
私は前を歩く蒼兄を見る。
私の推しは蒼だけど、そんな事言えるわけないよ。
「ファンレターとかさー、貰うと嬉しいんだよね。あ、ねえねえ妹ちゃん。受験するんだよね、俺たちの学校」
「あ、うん……」
「勉強大丈夫? わかんないところとかあったら俺たち教えるから」
俺……たち?
たちって、蒼兄もって、こと?
私はドキドキしながら蒼兄の背中を見る。
その先に家が見えた。
一戸建ての、白い壁の家。
お義母さんたちが住んでいた家をリフォームしたんだよね。
「え、あ……あの、いいの?」
藤兄のほうを見ると、藤兄は笑顔で頷いた。
「うん。当たり前でしょ? 妹ちゃん、塾いってないでしょ? 俺たちでも教えられるから。たぶん兄貴のほうが教えるのうまいだろうけど」
と、あっけらかん、と言った。
それって本当に、推しに勉強教えてもらえるってこと?
うそ、どうしよう……
もう私、ずっとドキドキしっぱなしだよ。
そんなことしている間に家に着く。
蒼兄が鍵を開けてドアを開いた。
「ただいま」
「ただいまー」
「た、た、ただいま」
ふたりの義兄に続いて、私も中に入る。
っていっても、お父さんもお義母さんもまだ帰ってきていないみたいだった。ふたりが帰って来るの、六時過ぎだもんね。
私たちは手を洗った後リビングに向かい、蒼兄から荷物を受け取った。
「あ、ありがとう」
「うん」
とだけ返事して、蒼兄は買ってきたものを藤兄から受け取りテーブルに広げた。
「アイス、食べる?」
「あ、うん」
私は蒼兄から買ってきたアイスを受け取って、袋から取り出す。
モナカのアイスだ。私はソファーに座って、アイスにかじりついた。
アイスおいしい。
いや、それより。
お土産いつ渡そう。
「なあ兄貴。妹ちゃんに勉強教えるのいいよな?」
って、ダイニングテーブルの所に座って、ふたりが話しているのが聞こえる。
渡すなら今……かな?
いやでも、お父さんたちと一緒に渡せばいいかな。
ううどうしよう……
「別にいいけど」
って、蒼兄が言っているのが聞こえる。
「だって、妹ちゃん。こんど一緒に勉強しようよ」
って、藤兄が言って来て、私は嬉しさをかみしめながら返事した。
もう外は暗くて、空にはぽつぽつって星が見える。
藤兄がエコバッグを持っていて、それがメビウスのグッズだと気が付いて私はすっごくびっくりした。
確かこれ、四色展開あるんだよね。藤兄が持っているのはもちろん紫だ。
いいなあ、公式グッズ。
お父さんに欲しいって言えなくて、買えないんだよね……グッズ。
私が買えるグッズなんて限られているけど。
思わずじろじろエコバッグを見ていると、藤兄は気がついたらしい。
エコバッグをかざして言った。
「あ、これわかる?」
「う、うん。公式グッズだよね」
「そうそう。色々グッズ作ってもらえて、そこそこ売れてて嬉しいんだよね。前にやったネップリもけっこう買ってもらえたんだよ」
って、藤兄は嬉しそうに言う。
知ってる。だって動画で話してたから。
「ねえ、妹ちゃん、メビウスの動画よく見てるよね」
「う、うん。だって面白いし……」
ドキドキしながら答えると、藤兄は小さく首を傾げて言った。
「誰が好きなの?」
「え?」
ドキン、って心臓が跳ねる音がした。
藤兄は笑顔だ。たぶんふかく考えていなさそう。
でも私はどうしたらいいのかわかんなかった。
「えーと……す、好きって言うのはないよ! うん、みんな推し!」
って、冷や汗だらだらで答えると、藤兄はぱっと明るい顔になって、
「そうなんだー。ありがとう。そう言ってもらえるとうれしいなー」
と言う。
うう……藤兄って素直、かな?
私は前を歩く蒼兄を見る。
私の推しは蒼だけど、そんな事言えるわけないよ。
「ファンレターとかさー、貰うと嬉しいんだよね。あ、ねえねえ妹ちゃん。受験するんだよね、俺たちの学校」
「あ、うん……」
「勉強大丈夫? わかんないところとかあったら俺たち教えるから」
俺……たち?
たちって、蒼兄もって、こと?
私はドキドキしながら蒼兄の背中を見る。
その先に家が見えた。
一戸建ての、白い壁の家。
お義母さんたちが住んでいた家をリフォームしたんだよね。
「え、あ……あの、いいの?」
藤兄のほうを見ると、藤兄は笑顔で頷いた。
「うん。当たり前でしょ? 妹ちゃん、塾いってないでしょ? 俺たちでも教えられるから。たぶん兄貴のほうが教えるのうまいだろうけど」
と、あっけらかん、と言った。
それって本当に、推しに勉強教えてもらえるってこと?
うそ、どうしよう……
もう私、ずっとドキドキしっぱなしだよ。
そんなことしている間に家に着く。
蒼兄が鍵を開けてドアを開いた。
「ただいま」
「ただいまー」
「た、た、ただいま」
ふたりの義兄に続いて、私も中に入る。
っていっても、お父さんもお義母さんもまだ帰ってきていないみたいだった。ふたりが帰って来るの、六時過ぎだもんね。
私たちは手を洗った後リビングに向かい、蒼兄から荷物を受け取った。
「あ、ありがとう」
「うん」
とだけ返事して、蒼兄は買ってきたものを藤兄から受け取りテーブルに広げた。
「アイス、食べる?」
「あ、うん」
私は蒼兄から買ってきたアイスを受け取って、袋から取り出す。
モナカのアイスだ。私はソファーに座って、アイスにかじりついた。
アイスおいしい。
いや、それより。
お土産いつ渡そう。
「なあ兄貴。妹ちゃんに勉強教えるのいいよな?」
って、ダイニングテーブルの所に座って、ふたりが話しているのが聞こえる。
渡すなら今……かな?
いやでも、お父さんたちと一緒に渡せばいいかな。
ううどうしよう……
「別にいいけど」
って、蒼兄が言っているのが聞こえる。
「だって、妹ちゃん。こんど一緒に勉強しようよ」
って、藤兄が言って来て、私は嬉しさをかみしめながら返事した。
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